虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

お母さんを困らせてコントロールするのが遊びのメインになってしまう 

2019-07-11 13:24:01 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達






「魔の2歳児」と呼ばれる第一次反抗期の2歳児さんたち。

「自分で!自分で!」「あれしたい」「これほしい」と駄々をこねて

大騒ぎする姿に手を焼いている方も多いことと思います。

2歳児さんというのは、あれもこれも自分でしたいけれど思うようにできないからと

かんしゃくを起こし、我慢が苦手で、不可能なこともすぐにもやりたがるし、

お友だちが手にしているものばかり欲しくてたまらないのに自分では貸したくない……

という時期。

そんなわがまま勝手が普通であたり前ではある2歳児さんたちとはいえ、

「こんな場合、ちょっと心配」「親子関係の軌道修正が必要では?」

「もう少し遊びの世界を豊かにしてあげるといいかも」

と感じるケースについてお話します。

 

それは、遊びが長続きしなくて、ちょっと飽きてつまらなくなると、

お母さんを叩いたり、「お母さんきらい~」といった言葉を吐いたり、

帰りたいわけではないのに「もう帰る~」といった言葉を繰り返すなどして

お母さんに自分の機嫌を取らせたり、

お母さんが困ることやイライラすることをわざとしつこくやり続けたりする子です。

つまり遊びのメインがお母さんをコントロールすることに

向けられている2歳児さんたちです。

メインとまではいかないけれど、2歳児さんらしい「自分で!」という自己主張や、

「今すぐしたい」「あれほしい、これほしい」といって騒ぐことがほとんどなく

穏やかないい子に振舞っていることが多いのに

お母さんに対してはしつこく嫌がらせのようなことをしたり、

お母さんが優しく接している時に、叩いたり、お母さんが困ることを繰り返したりする子も

注意が必要だと思っています。

 

続きを読んでくださる方はこちらに。

お母さんを困らせてコントロールするのが遊びのメインになってしまう 2

お母さんを困らせてコントロールするのが遊びのメインになってしまう 3

 

 

 

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大名行列の人形たちの辛口コメント

2019-07-06 22:00:43 | こんなこと、やってみたい!

 

『しろあと歴史館』に遠足に出かけて以来、子どもたちと、

「教室の全ての人形を大名行列に参加させよう!」

という呼びかけのもと、参加したい人が参加したい形で参加するという

ゆるいルールで大名行列作りが進んでいます。

 

江戸時代の参勤交代の様子を再現するうちに、

「誰の命令でこんな行列をしているの?」

「どうして大名行列をするとお金がなくなるの?」

「トイレはどうしたの?」など、子どもたちの口からさまざまな疑問が出るようになり

ました。

そこで図鑑や本で参勤交代の舞台裏について調べ、

そこでわかったり気づいたりしたことを

辛口のコメントにして人形たちにつぶやかせることになりました。

小学校中学年の子どもたちは大喜び。

 

「参勤交代は各藩の藩主を1年交代で江戸から自領へ行き来させる

江戸幕府が定めた制度で、徳川家光によって制度化された」といった

説明を読んだ後には、

人形たちに、「家光なんかたくらんでるな!」とか

「1年ごとに行ったり来たりするのなんか疲れるな」とか

「とおいな~」

「外様大名はお金がかかるからイヤダ~」などのふきだしを

作っています。

「お前は何藩だ?」「薩摩藩です」「それならこれだけやろう」

とか言いながらお金を渡して遊んでいました。

 

道で大名行列にあった人々。頭を下にしてひれ伏しています。

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学習につまずきのある子のレッスン(人形ごっこで語彙力を伸ばす)

2019-07-04 07:22:16 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

小学2年生の●くんは普通級で学習している

さまざまな面で少し発達がゆっくりしている男の子です。

個別で細かいサポートをしていると何とか学年相当の問題を理解できるけれど、

学校での授業の進行についていくのは

次第に難しくなっているようです。

<7時半の時計の絵>から、3時間 たった 時こく

を問う問題のように、

「時計の絵から何時何分かを判断する」ということと、

「その時間から3時間たった時こくが何時何分になるか考える」ということの

2つの作業をする場合、

手も足も出なくなって、「わからない」と投げ出す姿がありました。

 

「まず、何をしたらいいのかな?ほら、時計を読むんだよね。ここに何時何分か書いておこう」と

言って時計の横に枠を作ってあげると、「7時30分」と書くことができました。

 

また、「次は何をするのかな?問題をよく見てね。時計で時間がわかったら

その次にすることは何かな?」とたずねると、

「何時の方に足すの?何分の方どっち?」とはたずねてきましたが、

意味はそこそこわかっているようで「10時30分?」と自信なげに答えました。

 

そうしてようやくわかっても、

同様の次の問題になると、

時計の絵の時間を読むというところから、何をしたらいいのか

わからなくなっていました。

 

●くんは最近まで、ワーキングメモリーが極端に弱い上、時系列でものごとを考えていくことが

苦手でした。

そのため、お家ではお母さんから一度にひとつだけ指示を出してもらって、

それを実行するようにして過ごしてきました。

 

この頃は、ワーキングメモリーにしても、時系列にものごとを考えるのにしても

わずかずつですが向上しています。

 

レゴの作品作りやピッケの絵本というパソコンソフトで遊ぶ時のように

好きなことをしている時は周囲がびっくりするほど少し前にした作業を記憶しながら

目的を持って新しい作業をこなしていくことができるようになっています。

 

ところが、勉強となると、「問いに答えるためにしなくてはならない手順を考えて、

ひとつひとつ実行していく」という作業が

さっぱりできなくなってしまうのです。

 

問題をいっしょに見ながら、「何をすればいいと思う?ひとつめは何かな?ふたつめは?」

と指を1本ずつ立てて見せながら考えさせても

●くんは困惑したまま黙っています。

 

物作りのように好きなことなら何をすべきか計画したり記憶を保っておいたり

できるのに、

勉強だと手も足も出なくなってしまうのは、

嫌なことをやりたくないからではなさそうです。

 

●くんは視覚優位の子なので、ブロックの手順のように

画像だけで予測したり、記憶したりするのは

それほど難しくないようなのです。

けれども言葉を使って、何と何をすべきなのか考えるのは

至難の業なのかもしれません。

 

●くんは教室に着くなり、ドールハウスをいくつか配置して

家の中の家具をていねいに設置していきました。

少し前までドールハウスを出しても、ありったけの人形を部屋に詰め込んで

ふざけて遊ぶだけだったのですが、

今回は「先生、どろぼうのねずみの役して!」と言ってました。

(↑学校を覗く黒いマスクのどろぼうねずみ)

きちんとストーリーを演じて

遊びたい気持ちが芽生えてきたようです。

 

遊びというとふざけて追いかけあうとか、

おもちゃを出すだけ出して少し触るとおしまい……

という状態で過ごしていた子が、

小学生になってようやくごっこ遊びや人形遊びや工作に興味を持ち始めることがあります。

 

小学生ともなると、帰宅は遅くなるし、宿題もさせなきゃならないしで、今さら

ごっこ遊びやお人形遊びに付き合うのもどうかな……と感じる親御さんも多いことと思います。

 

でも、「幼児期にごっこ遊びや人形遊びや工作をほとんどしなかった」という子は、

想像を膨らませて見えないものをイメージの中で操作したり、

論理的に物事を考えたり、

そうして考えたことを言葉で表現することがかなり苦手なケースがよくあるのです。

 

子どもの発言に耳を傾けていると、「うん」「ううん」「いや」「そうする~」以外の言葉をほとんど

使っていなかったり、

言葉の使い方が間違っていたり、語彙量が極端に乏しかったりすることが多々あります。

 

また、理由を推測する力や

質問にきちんと答える力が育っていなかったりします。

 

学校の勉強がはじまると、計算はできるか、時計は読めるのか、

九九は暗記したか、漢字はかけるのか、といったことが

気になりますし、そうした訓練をたくさんさせると

勉強に遅れることはないように錯覚しがちです。

 

でも実際には、使える言葉が極端に少なくて、論理的に筋道を立てて考えることができないままで

授業を理解していくのは困難なのです。

 

想像力を使って頭の中でイメージできず、

理由を推理するのが苦手で、質問されると問いからずれた答えばかり言っているとするとすれば、

それはそれで学習のつまずきの大きな原因となるはずです。

 

発達のでこぼこの凹の部分を絵本で補う 1

発達のでこぼこの凹の部分を絵本で補う 2

という記事でも書きましたが、(この記事の続きは近いうちに書きますね)

「本来、幼児期に通っていく現実を論理的に理解していく過程がスポッと抜けたままに

なっているんじゃないかな?」と推測される状態にある子に

学校の勉強だけを繰り返し訓練していっても、

あるところまで進むと、頭打ちになってしまう可能性があるのです。

 

それなら、どうすればいいのか?というと、

わたしは次のように考えています。

 

小学生になってからも、「絵本読んで!もっと読んで!」と言い始めた子には、

たっぷり読んであげて、いろいろおしゃべりし、

ごっこ遊びや人形ごっこをし始めた子とは、ストーリーを展開させ、会話をたくさん交わしながら

いっしょに遊ぶのです。

工作をしたがるようになった子には、道具と環境と時間と適切な手本を与えてあげます。

そして、工作をしている最中にも、「どんなものが作りたいのか」

「工夫した点はどんなところか」「もっと良い作品にするんはどうすればいいと思うか」など

たくさん会話をするのです。

実際に手や頭を使いながら、大人とたくさん会話をしていると、

間違って覚えていた言葉が修正され、理由について正しく考えるようになり、

想像力が徐々に向上していきます。

 

 

●くんとのごっこ遊びの様子です。

わたしに泥棒役をするように指示する●くん。

●くんは、警察署のドールハウスに犬の警察官2匹を置いて、

それらの役をするつもりのようでした。

わたしが、「そうだ、あの家にどろぼうに入っちゃえ。何を盗もうかな。

そうだ、いっそのこと、お家ごと盗んじゃおうかな。

お家を全部、泥棒しちゃおうかな?」と言うと、

●くんはすかさず、警官の人形で泥棒をポカポカ叩いて、

やっつけてしまいました。

 

そんな逮捕劇がひととおり済んだ後で、どろぼう人形とお茶犬の人形に

話をさせました。

「ねぇねぇ、お茶犬くん。泥棒って、どんな格好をしているか

知っているかい?」

「知らないよ。教えてよ。どんな服を着ているの?」

「袖が青くて、身体の部分は白くて、ズボンは青。赤いベルトをしているよ」

「それなら、警察の近くで見たことがあるなぁ」

「いっしょに泥棒を捕まえに行こう」と泥棒に誘われたお茶犬が、警察署に近づくやいなや、

今度もポカポカとやっつけられて、●くんの手でお茶犬も泥棒も牢屋に閉じ込められてしまいました。

●くんはとにかくこのストーリーの展開に夢中になって遊んでいるのですが、

人形同士の活劇には一生懸命ですが、ほとんど言葉は使いません。

そこで、

「●くん、●くん。どうして、お茶犬まで牢屋に入れられてしまったの?」とか、

「●くん、泥棒が牢屋に入ってしまったら、お話しの続きはどうしたらいいかな?」

など、たずねました。

すると、●くんは、必死で言葉にしようとするのですが、うまく言えなくて、

「あのぅ、あのぅ、あのぅ……それは」と繰り返しています。

しまいに、「ふたりで相談していただろ。だからどっちも悪いんだ!」と言ったり、

「続きは、牢屋から逃げて、また泥棒にくるといい」と言ったりしました。

 

●くんは子ども同士で話ている時は、言葉の大切さを少しも

実感していない時があります。

おふざけしながら、何となく、言葉がないままに時間が過ぎていくのです。

勉強している間も、言葉の大切さを理解していません。

分からない時は、「しらない」「できない」と言ってそのままプイッとよよそ見をして遊びだすし、

分かる問題の時は、答えだけ書きこんで黙っています。

お母さんが話しかける時には、「うん」「いや」「そうする」「え~」「できない」くらいの言葉で

会話は事足りると思っているふしもあります。

友好的で笑顔が多く、人と関わる力も高いため、そうした語彙の少なさが

それほど周囲に問題として感じられていないふしもあります。

人形遊びをする●くんは、いくら遊んでも遊び足りないほど楽しい様子で、

●くんにしゃべらせるような質問を何度も投げかけても、

楽しそうに必死になって言葉で言おうとしています。

それを補助するように、

「そうなの。お茶犬は、悪者と相談していたから、泥棒の仲間だと思われているのね。

でも、お茶犬はね、泥棒に嘘をつかれて騙されただけかもしれないね」

「牢屋から脱獄するストーリーにしたいのね。

どうやって逃げ出すのか方法を考えてちょうだい。

●くん、脱獄に必要な道具って。何と何がいるのかな?」

など、大人の言葉でできるだけていねいに会話をしていると、

「脱獄するには~」とか「道具が必要だね」など

本人がそれまで使ったことのない言葉も、会話の中で使い始めます。

 

●くんのように発達に少しゆっくりしたところのある子は

言葉が劇的に増える幼児期には、何らかの理由で語彙力が伸びにくかったのかもしれません。

でも、幼児期にはそうした困難さが目立っていた子も、小学校に入った後くらいから、ていねいな会話を心がけて、

会話するシーンを増やしていると、言葉がどんどん増え始める子もけっこういます。

もし子どもがごっこ遊びを喜ぶようなら、

ぜひたっぷり付き合ってあげてほしいです。

 
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立体駐車場をいつも眺めている子と工作を楽しみたい

2019-07-04 06:49:34 | 工作 ワークショップ

1歳3ヶ月のAくんのお母さんから、

「息子はいつも近所の立体駐車場を眺めています」とうかがいました。

そこで、Aくんが遊んでいるうちに

形への理解を深めることができるような工作のアイデアを紹介しました。

 

箱にスロープを作る時は、写真のように切り込みを入れます。簡単に

車が上っていくスロープができあがります。

 

丸い形のものの一部を切り取って、中央に穴を開けて、モールで床部分と接続すると、

車を回転させる部分ができあがります。

 

 車が持ちあがると、Aくんが目をまん丸にしてのぞきこんでいました。

 

回転を利用すると、他にも面白い駐車場ができあがります。

 

立体駐車場に取り付けるエレベーターとして回る形を利用すると面白いです。

あっという間に完成するし、遊ぶだけで子どもに考える力をつけます。

 

筒の形のお菓子の箱にペットボトルを入れただけ。適当に穴をあけます。

底が円形なので、入り口はひとつでも、様々な方向から出ることができます。

回転のなせるわざ。

 

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古生物作り と 1年生の女の子たちの算数レッスン

2019-07-02 20:09:26 | 算数

Aちゃん、Bちゃん、Cちゃん、小学1年生の女の子たち3人のレッスンでの出来事。

(この日、小3のCちゃんのお姉ちゃんのDちゃんも参加していました。)

 

まず、古生物の話から。

教室では、今、

リアルサイズ古生物図鑑 古生代編 http://bunshun.jp/articles/-/8402

という本がとっても人気です。図鑑を見た子たちが、次々に、

古生物を粘土で作っていました。

写真は、Dちゃんの作ったコエルロサウラウ¨ス。

これまで知られている脊椎動物の中で最も初期に空を飛んだもののひとつで、

翼を折りたたむこともできる。

Dちゃんは、「折りたたむ」仕掛けに関心のある子で、

2年前のレッスンでも、こんな作品を作っていました。

基礎的な発見 2 <折りたたむ>

で、Dちゃんの工夫を見ることができます。

この翼を折りたたむという生物にとても興味が湧いたようです。

今回は粘土で制作したため、つばさを折りたたむ仕掛けに作れなかったのですが、

次回は紙で作ってみるのもいいかもしれません。

Cちゃんはイノストランケウ¨ィアというペルム紀の古生物を作っていました。

尖った石があったので、それを牙にすることを思いついたのです。

 

Aちゃんはプテリゴトゥス・アングリカスという

ウミサソリの仲間を作っていました。Aちゃんは形にとても興味がある子で、

台形を貼り合わせて、丸みのある形を作るなど、いつも形の世界をたんきゅうするような

工作をする子です。

 そんなAちゃんが、Dちゃんが工作で使っていたバランを見て、

「これって、24652465~って並べていたのと同じね」と言いました。

24652465~というのは、ユースホステルのレッスンの日、

Aちゃんより年上の子たちが学んでいた規則性の問題のことでした。

Aちゃんいわく、23452345とは、上の写真のように

バランの山が規則的に並んでいるということに気づいたそうなのです。

写真は、バランを切って、Aちゃんが説明してくれたものです。

そこで、算数レッスンの時間に、Aちゃんの発見を問題にすることにしました。

バランが、山山山半分の山というつながりでできているとします。(半分とはいいがたいですが、

ここではちょうど半分ということにしました)

 

「バランが2つだと、山はいくつになるでしょう?」 答え7

「バランが4つだと、山はいくつになるでしょう?」 答え14

「バランが8つだと、山はいくつになるでしょう?」 答え28

こんな問題です。

最初はわからなかった子たちもテキパキ答えていました。

 

バランについて考えた後で、ユースでした規則性の問題を子どもたちに

たずねると、しっかり(数え上げてですが)解いていました。

という絵本を読んで盛り上がりました。

この絵本は子どもたちに大人気です。

絵本の中で、60秒になった時、「何分でしょう?」と聞くと、

「1分」と答えていたので、

 

65秒は何分何秒?

70秒は何分何秒?

100秒は何分何秒?

 

と問うと、みんな喜んで答えていました。

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『9歳の壁』でつまずくか つまずかないか を左右する抽象概念の理解力 6

2019-07-02 20:07:17 | 思考力

この話題、タイトルの内容から脱線しながら書いているので

読みづらくて申し訳ないのですが、もう少し続けさせてください。

 

寝食を共にするユースホステルのレッスンでは、

子どもたちが数学的な考え方を扱う場面や

抽象的な言葉と出会う機会がたくさん見られました。

 

夕食中、わたしの前に座っていた3歳のAちゃんが、

「先生とわたしはお向かいだね」と言いました。

Aちゃんの口から「お向かい」という言葉を聞くと思っていなかったわたしが、

聞き間違いかと思って、「Aちゃん、先生とAちゃんは何だと言ったの?」と

たずねると、Aちゃんの隣に座っていた年長の姉のBちゃんが

「お向かいって言ったのよ。先生はAの向かい側に座っているから」と解説しました。

「ああ、そうね。先生とAちゃんはお向かいだわ。

それならAちゃん。Aちゃんの斜め後ろは誰かしら?」と問うと、

くるりと後ろを振り返ったAちゃんは、斜め後ろに座っているDちゃんのお母さんを

見ながら、「わからない」と言いました。

すると、BちゃんとBちゃんの友だちが、「Aちゃんは、Dちゃんの名前を知らないの。

Aちゃんの斜め後ろに座っているのはDちゃんのお母さんでしょ?

ねぇ先生?もしわたしの斜め後ろはっていうなら、別の人だけど」と言いました。

 

この場面、周囲にいた子は興味しんしんで耳を傾けていました。

食事中だったのでやめておきましたが、

こんな算数クイズを出したら面白いだろうな……と思いました。

  

<その人は誰でしょう?クイズ>

その人はAちゃんのとなりではありません。

その人はBちゃんのお向かいに座っていません。

その人はCちゃんの斜め前に座っています。

その人は誰でしょう?

 

食後に、職員の方から、「できる分でかまいませんから、

できるだけ同じ食器ごとに重ねて、返却コーナーに戻してください」と

いうお知らせがありました。

子どもたちに、「同じ食器ごとに重ねるってどういう意味かわかる?」と

たずねると、

「こうやって、おわんはおわんってすることでしょう?」と写真のように

重ね始めました。

 

忘れ物や落し物があった時も、数学的な考え方に触れる機会になります。

わたしの道具入れに混じっていたミッフィーちゃんのペン。

部屋にいた数名の子とお母さんにたずねると、

「わたしの物ではない」ということでした。

 

それなら、誰のペンである可能性があるのでしょう?

まず、部屋にいた人々のものではないことがわかったのですから、

今、部屋ではない場所にいる人の物である可能性がありますよね。

 

そんなふうに子どもたちと探偵のような推理を働かすのは面白いです。

 

こんなクイズにも発展します。

ピンクの消しゴムが落ちていました。

Aちゃん、Bちゃん、Cちゃん、Dちゃん、Eちゃんのいずれかの落し物です。

 

AちゃんとBちゃんは公園で遊んでいます。CちゃんとDちゃんはお部屋にいます。

Eちゃんは台どころにいます。公園に行って、落としものについてたずねたところ、

消しゴムの持ち主はいませんでした。

お部屋に行ってたずねましたが、そこにも消しゴムの持ち主はいませんでした。

消しゴムを落としたのは誰でしょう?

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『9歳の壁』でつまずくか つまずかないか を左右する抽象概念の理解力 5

2019-07-01 17:09:05 | 思考力

小3の女の子たち中心のユースホステルでのレッスンでの算数の時間。

遊び体験が豊富で工作好きの子どもたちです。

普段とはちょっと異なる目新しい課題を用意したところ、

ほとんどの子が「いつの間に身に付けたのかな?}と驚くほどの数学的な思考力を

発揮していました。

 

『スーパーエリート問題集 小学2年』に、

絵を描きながら難問と解くという問題集が付録としてついていたのですが、

2年生の問題集についていたとはいえ、初めてするなら高学年でも難しいような

内容でした。

「誰か絵を描いて解いてみたい人?」とたずねると、小3の4人がいっせいに

手を挙げました。絵を描いたり物を作ったりするのが好きな子たちなので、

未知の問題とはいえ、絵を描くと聞いただけでワクワクしたようです。

そこで4人で相談しながら描いてもらうことにしました。

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今日は まんかいの さくらの下で、お花見です。ごちそうは 金太郎あめと

銀太郎あめの やわらかステーキです。

金太郎あめは 銀太郎あめの3ばいの 長さです。

みんなで午前中に 金太郎あめと銀太郎あめを ちょうど半分ずつ 食べたところ、

のこりの 長さを合わせると 16㎝でした。

では、金太郎あめは もともと 何㎝ だったのでしょうか。

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金太郎あめはやたら太くて、銀太郎あめはただの棒では……とつっこみたくなるような

絵ではありましたが、「銀より3倍大きい金を半分にして、

銀も半分にしたということは、

半分にしたって、3倍というのは変わらないと思う」とひとりが言うと、

他の子らが、「それは、そうよ。最初が3倍なら、それぞれを半分にしたって、

何倍かっていう違いは変わらないもの」と口ぐちに言う姿に、

3年生ならではの知恵に感心しました。

 

「それなら答えは?」とたずねると、

「16㎝を金の側3つと銀の1つの4つに分けて、4㎝が元の金太郎あめだと、

3倍にしたのが元通りにするから、もうひとつ分あるって

ことだから24㎝ってことでしょう?」と、次々正解を出していました。

そうした子どもたちの姿に、いっしょに参加していた幼い子のお母さんは

とても驚いたようでした。

 

算数の時間に、『だいたい いくつ?数えてみよう・はかってみよう』という絵本を

みんなで楽しみました。

絵本の画面を埋め尽くす大量のハチを見て、「ハチはだいたいなん匹だと思う?」と

たずねると、「横と縦の一列に何匹ずついるか数えて、かけ算で計算したら、

だいたいの数がわかると思う」

「線を入れて切ってみて、その中に何匹いるか数えて、その切ったのが

いくつぶんあるか見たらわかると思う」などのアイデアが出ました。

 

 

これまでしたことがない一風変わった問いを投げかけると、

遊びの質の大切さを実感します。

縦にして並べた飛行機の半分弱のサイズ

が10mと示してある写真を見て、

「それならピサの斜塔は~mくらいだ、自由の女神は~mくらいだろう……」活発な

意見が交わされていました。

比で比較してだいたいのサイズを予想したり、

単位を変換して表現したりすることができていました。

何よりこうした頭の体操を心から楽しめているのがいいな、と感じました。

 

高さについてのおしゃべりついでに、「自分の身長がわかる人?」とたずねました。

身長がわかる子もいれば、わからない子もいました。

正しい身長がわかっている子たちのサイズを書きだしてから、

身長がわからない子のサイズを予測することにしました。

 

身長がわからないAちゃんの妹のBちゃん。

106㎝とわかっているもうすぐ3歳のCちゃんと120㎝のAちゃんといっしょに

並んで立ってもらうことに……。

話しあいの結果、「Bちゃんは、106㎝のCちゃんとの身長差の方が、

120㎝のAちゃんとの身長差より大きいこと」が判明しました。

また、Cちゃんとの差もAちゃんとの差も3㎝以上はあるようです。

 

とすると、Bちゃんは何㎝から何㎝の間の身長だと予測できるのでしょうか?

 

図を描いて比べて考えました。

 

『だいたいいくつ?』の本に面積比べもありました。

Dちゃんのこんな考え方に感心しました。

「もとになる1平方センチメートルのクラッカーのだいたい4つ分が大きいクラッカー。

調べたい野球のCDは大きいクラッカーのだいたい5つ分(4つ敷き詰めた後、

半分に割ったものを底部分にふたつ敷くことができる)だから、

4×5で20平方メートルくらいじゃないかな?」

とのこと。確かに小さいサイズのものがいくつ分か考えるよりも、

先に大きいサイズで考えたほうが、すばやく正確に把握することができますね。

 

間違えやすい10000-3や10000-305といった

計算を、ミスしないように解く方法を学びました。

 

子どもたちにページ当てクイズを出しました。

9ページの次の一枚を抜かした後にあるのは何ページか?という問題。

3年生より幼い子たちは、「9の裏が10で、その次が11と12で、

その次だから……」とカウントしながら考える問題。

さすが3年生。「わかった、奇数になるでしょう?奇数が、9、11、13……

と続くことを考えて、11のページを抜かすから、答えは13でしょう?」とのこと。

紙に書いて説明してもらうと、

「9、11、13……と続いている奇数は、2ずつ大きくなるでしょ……」と

説明してくれました。

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『9歳の壁』でつまずくか つまずかないか を左右する抽象概念の理解力 4

2019-07-01 16:07:29 | 思考力

ユースホステルでの晩の勉強会で、

遊びや日常のどんな場面で、数学的な考え方に触れる機会があるか話しあいました。

子どもいっしょにとさまざまな考え方に親しむアイデアを共有しました。

 

その時期、その時期、子どもにヒットすることや、子どもがしつこいほど繰り返したが

ることは、その子の能力を最も成長させてくれるものであることがほとんどです。

 

先の記事で書いた「絶対、違うに決まっているでしょってことでも、

ちがうよ、こうだよ、と説明しても、少しすると、また同じことばかり言う」という

自閉症のAくんにしても、こちらが、特性によるこだわりだと一蹴せずに、

「抽象的な意味を伴う言葉の意味をわかった、そういうことか、と自分の中に落とし

こめるような体験を欲している」「言葉に対して敏感になっている」という

受け止め方をして、気になる言葉をさまざまな場面で目で確認し、体感できるように

してあげることは知力の大きな成長につながると考えているのです。

 

Aくんにとって、「大切」とか「重要」という抽象的な言葉は、耳で聞くだけでは

わかりにくいものです。

でも、Aくんが大切にしているものを、「大切だね。これは大切」と言いながら、

大切に扱うボディーランゲージをし、ゴミとして捨てるものを、「大切じゃない。

こんなの大切じゃない。」と言って、ぞんざいに扱う真似をするすると、

Aくんの中に、具体的な大切という言葉のイメージが蓄積されていくかもしれません。

重要などもそうです。

お母さんの話にあった鳥の羽根の話も、

「人が落としていったハンカチは拾いに戻るけれど、鳥が落としていった羽根は

拾いにもどらない。なぜなら、人間が大切じゃないなとポイッとゴミ箱に捨てたものと

同じで、鳥にとってもういらないものだから。

それに鳥は落としたことに気づいていないかもしれない」といったことをテーマにした、

ごっこ遊びや人形劇遊びをするとAくんが今敏感になっていることに寄りそうことに

なるのかもしれません。

 

発達の凹凸がない子たちは、Aくんのようにひとつのことにこだわって

同じ言葉ばかりを繰り返すようなことはありませんが、

その時期、その時期で、非常に敏感になっている思考のあり方があるし、

月齢ごとにより抽象化した概念に関心を寄せるようになっていることを

遊びや会話の中で感じます。

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『9歳の壁』でつまずくか つまずかないか を左右する抽象概念の理解力 3

2019-07-01 15:42:07 | 思考力

前回までの記事にこんなコメントをいただきました。

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今回のユースホステルありがとうございました。

かわいい子ども達と出会い、とても楽しかったです。

毎日、仕事で子ども達と遊び、工作などをくり返す中で、

数学的思考が発達の凸凹のある子ども達にとって、社会を生き抜いていく中で、

重要な鍵になるのではないか‥‥と考えていました。

発達の凸凹のある子ども達は、あらゆる刺激の強さから、一対一対応でしか物事を

認識できないこと‥少しでも違いがあると別の物として認識してしまうことが

多くありますよね。様々な物が全く違った物として個別に存在しているので、

分類遊びは自然発生的には、なかなか出てきません。

例えばよくある事例では、

・Aちゃんを叩いてしまった時、注意を受けてとても反省していても、

Bちゃんは叩いてしまう。また注意を受けると「Bちゃんは叩いたらダメって言われて

ないもん!」と言う。

・「まっすぐ家に帰りましょう。」と言われると「そんなの帰れない!」と言い、

なぜか聞くと「曲がらないと帰れないから。」と言う。

こういった彼らの性質上の特性として片づけられてしまっている事も、

刺激の強さから抽象概念をとらえられず、遊びの中で充分に育まれにくい事から

起こるのではないか‥と感じていました。

物事を抽象的にとらえられる様になると、帰納的な考えや類似的な考え、

統合的な考えなどにつながりやすく、そういった考えは勉強だけでなく、

人間社会に多くある暗黙のルールをとらえられやすくなったり、変化に対する耐性や

柔軟さもでき、学校生活や社会生活の不安が少なくなるのでは‥と感じています。


発達の凸凹のある子ども達はくり返す事で(くり返すと思っていても、彼らには全く

違うことなんでしょうね。自転車が毎日、場所が1ミリも、角度が1°も違わず置いて

あることなんて、ないですもんね。違った状況を何度も照らし合わせて、

様々な角度から擦り合わせていく事で)意味として、獲得していくんでしょうね。

そこに、彼らの苦手とされる抽象的な表現や変化やユーモアなど取り入れると、

一対一対応ではなく大きな意味を持ったものとして、獲得していけるんだな‥‥と強く

感じました。

心と身体を解放して、全身で自分が何が好きか、何が心に響いているのか‥‥を

表現する子ども達。そんな子ども達に触れられて、とても幸せな2日間でした。

ご一緒させていただいたご家族のみなさん、ありがとうございました。

また、お会いできるの楽しみにしています。

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通常、ユースホステルのレッスンは、

幼児中心の日、小学生の女の子中心の日、小学生の男の子中心の日、

発達に凹凸のある子たちが中心の日などで分けて募集しているのですが、

今年は、十分な日程を確保できなかったため、発達に凹凸のある子、一般的な子、支

援の仕事をなさっている方のお子さんたちで年齢の高いお兄ちゃん、お姉ちゃん……と、

さまざまな年齢のさまざまなタイプの子らが参加することになった日を

設けることになりました。

こうした特別な日を作ると、

「発達の凹凸のある子のお母さんが相談したり気持ちを打ち明けたりしにくくなるの

ではないか?」「それぞれの子の学習時間がきちんと取れるのか?」

「まとまりのある体験ができるだろうか?学びを共有できるだろうか?」

「つまらなかった、参加しづらかったという子は出ないだろうか?」と気を揉むことも

多いのですが、心配のほとんどは杞憂に終わり……

結果良ければ…じゃありませんが、特別な日は特別な日にしかないかけがえのない時間を

参加した方々と共有することができました。

 

晩の親の学習会では、発達に凹凸のある子にも一般的な子にも

とても大切だと感じている日常生活や遊びや親子の会話の中で、

「抽象概念の理解力」と「さまざまな数学的な考え方」をどのように育んでいくかに

ついて話しあいました。

 

この記事の初めに、「難関突破経験と子育ての実態」の調査で、

子どもの自主性や思いや意欲を大切にして、遊びの主導権を子どもに与えることの

大切さが示唆されたという話題を紹介しました。

子ども自身が考える余地を与えるような援助的なサポートをする

共有型の関わりが大事であることや、遊びの量より質が重要であることも書きました。

 

でも、実際、子どもの遊びを見守る段になると、

「考える余地を与えるようなサポートってどんなこと?量より質っていったい何を

どうすればいいの?」と疑問でいっぱいになったかもしれません。

 

虹色教室では、子どもたちの遊びの質を高めるためのさまざまな試みをしているので、

何がどのように子どもの思考する姿勢に影響を与えるのかよく把握しているつもりです。

 

子どもと遊ぶ時に、あれやこれや知識を与えようとするのは

子どもを考えることから遠ざけてしまうこともあります。

遊びながら知識をインプットしようとするのではなく、

子どもの中に形成されつつある数学的な考え方の芽を育んでいくことが、

考える力の土台を作っていく上で大切だな、と感じています。

また、日々の暮らしの中で抽象的な言葉の理解を深めていくことも重要だと思います。

 

数学的な考え方には、

『数学的な考え方を育てる課題&発問集/鈴木正則著(明治図書)』を参考にすると、

 

帰納的な考え方  類推的な考え方  演繹的な考え方

統合的な考え方  発展的な考え方

記号化の考え方  数量化、図形化の考え方

集合の考え方   単位の考え方

抽象化の考え方  単純化の考え方  一般化の考え方

特殊化の考え方  表現の考え  操作の考え

アルゴリズムの考え  概括的把握の考え 基本的性質の考え

関数の考え    式についての考え

 

などがあります。

言葉だけみると、大きくなってから数学の世界で学ぶように感じられる考え方も、

まだ2、3歳という幼い時期から、ざっくりと考えに触れたり、使ってみたり、

扱う中で洗練させたりしているものがたくさんあります。

幼い子向けの絵本や児童文学の世界でも、こうした考え方は多用されているものです。

 

たとえば、

数学的な考え方のひとつの帰納的な考え方というのは、

いくつかの場合を調べて、それらに共通するルールや性質を見いだし、

それを元に推測し、推測したことが正しいか新しいデーターで確かめていくことです。

 

帰納的という言葉こそ難しそうですが、

子どもたちが親と楽しそうにおしゃべりする様子を聞いていると、年少の子らでも、

「あれとあれとあれは、こういうところが似ているね。ということは、

あっちは、こうなるのかな?」と、共通に見られるルールに着目したり、

それをもとに予測したりすることを心から楽しんでいる子はけっこういるのです。

そういう子は、文字や計算のプリントを早い時期からするようなことはありませんが、

1を聞いて10を知るような利発さがあって、考えることを心から楽しんでいるのです。

 

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『9歳の壁』でつまずくか つまずかないか を左右する抽象概念の理解力 2

2019-07-01 08:15:39 | 思考力

Aくんが半分という言葉に関心を抱いていた姿を見て、

朝食後のレッスンで「抽象的な言葉にはどんなものがあるでしょう?

具体的な言葉にはどんなものがあるでしょう?」というクイズを子どもたちに出しました。

 

聞き慣れない言葉に、最初はキョトンとしていた子どもたちも、

「具体的な言葉は、目で見て形がわかる言葉よ」と言ってから、

近くにあったホッチキスを指して、

「ホッチキスは具体的な言葉よね。この黄緑のホッチキスは、目で見て、

これって形がわかるわよねそれから、消しゴムも○くんの靴下も目で見て確かめられる

具体的な言葉よね。

抽象的な言葉は、あいまいでこれって指さして確かめられないような実態のない言葉よ。

勇気、重要、理想、正義……どれも、これだよって指さして見ることができないね」

と説明すると、小1のBくん、Cくんがわくわくした表情で、

部屋中の物を指しながら具体的な言葉を挙げてから、

「色は抽象的な言葉?」「理解は抽象的な言葉?」と質問しはじめました。

神妙な顔で考え込んでいた小3のDくんも、

「自然は抽象的な言葉?夢は抽象的な言葉?」とたずねては、

「そうよ。よく気づいたね」と言うと、心底うれしそうな笑顔浮かべていました。

 

そこで、子どもたちの前に1つのコップをかかげて、

「このコップは、ただの紙コップだけど、よく見るといろんな言葉が隠れているよ。

外側、内側、底、オレンジ色……」と言うと、

子どもたちから、「丸」「形」「白色」「薄い」といった声が上がりました。

わたしが、「円周、縁」と言うと、Dくんが、「安物!」と言いました。

「それは名称や色や形やサイズとは違う、意味を伴う新しい表現の仕方だね。

それじゃ、リサイクル可能、影」と言うと、子どもたちはこんな楽しいことはないと

いう様子で、思いつく限りに言葉を挙げていました。

 

言葉というのは、本当に面白いのです。

4歳のEくんが、「ぼく、タコが作れるよ」と作った作品は、

さっきまで眺めていた紙コップを材料としているけれど、

わたしたちからそれまでとは別の言葉を引き出してくれます。

「これは何でしょう?」

「タコ」

「どうしてタコだとわかるのかな?どうしてタコに見えるのかな?」

「下の部分、いくつも切っているでしょ?足に見えるから、タコってわかる」と

Cくん。

「Eくんがタコだって言ったから、タコってわかるよね。作者が言うんだから」

とわたし。

「全部見たら、ほら、頭の部分から足みたいなところまで形を見たら、

タコに似ているでしょ。だからタコってわかる」とBくん。

 

その場では黙っていた小5のFちゃんが、お母さんの耳に何かささやいていました。

後から聞いたところ、「欲望も抽象的な言葉」と言ったのだとか。

欲望というちょっと刺激的な言葉に、Fちゃんの周りで笑いが起きました。

それを小耳にはさんだDくんは、

「希望も願望も抽象的な言葉だ」とつぶやいていました。

実はEくん、お母さんからうかがった話では、算数は得意だけれど、

国語は苦手とのことでした。

Eくんが、抽象的な言葉についてずっと思いを巡らせているのを見て、

「Eくん。国語のいいセンスしているね。国語もきっと得意になるよ」と言うと、

Eくんは、うれしそうに照れ笑いを浮かべていました。

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