早期教育の弊害の話の続きを書きたいのですが、
読んでいる人にきちんと伝わる形にまとめられず、
話があっちゃこっちゃ飛びつつ書きなぐっている状態です。
早期教育の弊害については、もう二十年近く気にかけて分析したり検討したり
していることなので、自分の内面ではかなり明確に捉えていることなのですが、
予備知識がない方に、どこからどう説明すればいいのかはかりかねています。
いったん記事を消して、別のタイトルで整理しなおすことも考えましたが、
ごちゃごちゃのままもう少し書き進めたいので、
読んでくださる方は雑談に耳を傾けるつもりで文章の粗さを許してくださいね。
先に過去記事をアップします。
早期教育の話題とは遠いけれど、わたしの中では地続きでつながっている話です。
早期教育の問題の核心は、
「大人の期待を察するのが上手で、常に、『自分がどうしたいのか』よりも、
『大人が自分に何を期待しているのか』
『その場の空気が、自分にどう振舞うように求めているか』を優先させることに
大人も子ども自身も疑問を抱かなくなっていくことにあるでしょうから。
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3歳8カ月の◆くんは、利発で明るくてしっかりしている男の子です。
幼い頃から手のかからない育てやすい子だったそうで、
幼稚園での集団生活を控えている今も、
活発で誰とでも親しくなる上、他の子と争わない優しさも備えていますから
安心です。
◆くんのお母さんは穏やかで優しく理知的な方です。
◆くんに心から愛情を注いでいて、接し方は過干渉でも過保護でもなく、
早期教育に走ることもなければ、放任しているわけでもなく適切です。
そんなふうに何ひとつ問題がないように見える◆くんと、
理想的とも思える◆くんとお母さんの関係ではありますが、
わたしには何点か、どうも心に引っかかることがありました。
そこで、◆くんのお母さんにその旨を伝えようとするものの
言葉で正確に言い表すことができなくて、
しまいに、「お母さんの接し方にしても、◆くんの発達にしても
何ひとつ問題がないし、むしろ◆くんは他の子よりも発達がよくて
とても頭の良い子ですから、わたしがあれこれダメ出しする理由もないのですが、
わたしには気にかかる点がいくつかあって、今この時期に無視するわけにはいかない
気がするんです。
文章でしたら、細かい状況を書いて整理できますから、あまり誤解がないように
伝えることができるかもしれません。
気になる点を指摘するので、もしかして不快な気持ちになるかもしれませんが、
よかったら、◆くんのことをブログに書かせていただいてもよろしいでしょうか」
とたずねました。
◆くんのお母さんからは、
「わざわざ遠方から通っていますし、わたしの態度で直す必要があるのなら、
直したいです。どうぞ書いてください」
とおっしゃいました。
今はもう小学生となった子たちですが、
3歳頃に、お友だちとは仲よく遊べるし、頭も良いし、活発で、気持ちが優しくて、
お母さんとの関係も良好に見えるけれど、
わたしの心には今の◆くん同様、どうも引っかかる点がちらほらあった
という子たちがいます。
その子たちが幼児の頃、わたしはいろいろと気にかけながらも、
「悩むことなく子育てしている方に、わざわざ心の葛藤を起こさせるような
アドバイスをするのもどうだろう?」と感じて、
言葉を飲み込んだまま見守っていたのです。
そうして成長した子らがどうなったのかというと、
どの子も、程度の差こそあれ、
「やっぱりもう少し小さい頃に、気になっていた問題に親御さんといっしょに
向き合っていればよかったな」と深く反省する事態にぶつかることになりました。
そんな経緯から、心がざわざわした時には、誰も気にとめないような些細な事柄でも
そこに問題が潜在しているなら、光を当てておきたいし、
解決が必要なことなら、取り組んでおきたいと思うようになったのです。
前回の続きです。
◆くんは自由遊びが主流ののびのびした幼稚園への入園を予定しています。
誰とでも親しくなり、揉め事も少ない◆くんですから、
おそらく新しい集団生活にすぐさま溶け込んでいけることでしょう。
それなら何をわたしが気にかけていたのかというと、
そのひとつは◆くんが夢中になって没頭している時に見せる遊び方でした。
教室に着いた◆くんは、木製のドールハウスに目をつけて遊びたがりました。
それから警察署のドールハウスも使いたがって、隣に設置しました。
近くにあったお茶犬ハウスもその正面に置きました。
その後、チェストの上に乗せているドールハウスを指して
「あれも取って!」と頼んできたので、「◆くん、おもちゃの出し過ぎ。
このドールハウスはだめ。今出しているおもちゃで遊んでね」と告げると、
サッと気持ちを切り替えて「だったら、あの階段のところだけは使ってもいい?」と
ダメだと言われたドールハウス内にある階段を指さしました。
わたしが、階段を渡すと、「でも、どこにつけようかな?」と迷っていました。
◆くんが今遊んでいるドールハウスは、
階段を引っ掛けるための穴が室内にあいていないのです。
そこでわたしが、警察署とドールハウスの間に隙間を作って、そこに階段を置いて、
2階の部屋に上がっていけるようにしました。
◆くんは、わたしに向かってにっこり微笑んで、
「ダメダメ、そこはこうやってひっつけとかなくっちゃ」と言って、
ドールハウスと警察署をピッタリひっつけなおしてから、
「それからね、この家は……」と言いながらお茶犬ハウスを半開きにして、
警察署のドアの前にドアを柵で囲うような形にセットしました。
それから、「どろぼうが来たらいけないから、入れないように、こうしてこうして
おくんだよ」と付け加えました。
わたしが黙っていると、◆くんは、
「悪いのが入れないように、こうしておこう!」と言って、
木製の立体パズルでお茶犬ハウスの隙間を埋め、「こうしたら入れないよ」と言いながら、
果物が入っているかごや、クルクル回して遊ぶおもちゃや、玉ころがしのおもちゃを
どんどん取ってきては、扉から誰も入れないようにしてしまいました。
わたしが、「お友だちが来たらどうしよう?」とたずねると、
◆くんはドールハウスの2階に小鳥の人形を舞い降りるようにさせて、
「鳥さんは、ここから来れるよ」と事もなげに言いました。
「それ以上おもちゃを出してはダメ」と注意すれば、◆くんはすぐさま素直に
指示に従ったことでしょう。
でもわたしはしばらく◆くんのしたいようにさせていました。
というのも、◆くんのおもちゃの出し方は↑の写真の通り、
ランダムででたらめに見えるものの意図は一貫して、
警察署の扉から誰も入れないようにする作業のままで、
何かに憑かれたような集中力を見せていたからです。
さんざん扉をふさいだ後で、
しまいには、ビー玉転がしのおもちゃ等で、天井部分からの侵入を防ぐように
埋め尽くすことまでしていました。
わたしは、いくつかのぬいぐるみを持ってきて、◆くんに好きな物を選ばせました。
するとセサミストリートのビックバードの人形を選びました。
◆くんは鳥好きのようです。
わたしは黒猫ちゃんのお人形を手に、「◆くん、遊ぼうよ!」と声をかけました。
すると◆くんは、ビックバードを手にすると、黒猫ちゃんの頭を
ツンツンツンツンとつつきまわります。
その後も何度も、お人形を手にして「遊ぼうよ」と声をかけるたびに、
◆くんから、「うん、いいよ~」という応答はなく、
ビックバードのくちばしで、わたしが手にしている人形をつつきまわることを
繰り返していました。
◆くんが手にしているビッグバードの反応は、
いつも機嫌がよくて、誰が声をかけても、にっこりほほ笑んで、
「うん、いいよ~」と良い返事をし、大人から注意を受けた時さえすぐに気持ちを
切り替えて、さわやかに切り返す◆くんの姿からすると、正反対とも言えるものです。
さんざん攻撃をした後で、やっぱりやりすぎたなぁと気づいて、
「じゃ、遊ぼう」というような展開はなくて、いつまでたっても
「遊ぼう」と言って近づいてくる人形には、つつきまくって撃退する以外の
別の選択肢がない様子なのです。
何ひとつ問題がないように見えるけれど、気にかかる子 3
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