虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

考える力を育むブロック遊び 

2016-08-31 20:45:23 | デュプロブロック

昨日からブロック講座をはじめています。親子で参加していただく形なので、

ちょっと詰め込み過ぎですが、

推理力を引き出すブロックの遊び方、科学的な力を利用する方法、

男の子に人気の作品群、女の子が喜ぶ作品群、

敏感期の子とブロックの関わり、文字への興味を育む遊び方、ブロックで知育玩具を作る方法

などを一気に学んでいただいています。

2時間あると、合体ロボ、ビー玉コースター、エレベーター、ドールハウス、爆弾、足が動く昆虫、果物の形の宝箱、

本当にボールが打てるバッティングマシーン、ベルトコンベアーのある工場、開閉するドア、回転ずし屋さん、

ガチャポン、自動販売機、空飛ぶロケット、テレビ、動く動物園、知育パズルと算数パズル、知育ゲームなど

けっこうたくさん作れました。

実際に作るところを見ていただいたり自分で作っていただいたりすると

すぐにコツが飲み込めたようです。

(これまで2回、ブロック講座を開いていますが、流れ上、

それぞれ2つくらい見ていただけなかったものがあります。また教室に来る機会があれば、

作り方を知りたいものを申し出てくださいね。)

 

ブロック講座でのひとこま。

2歳児の親御さんたちのグループで、

穴を利用して、さまざまなしかけを作る方法を学んでいた時のこと。

 

「『穴を棒でふさいで、棒を動かすことで小物が下に落ちる』というシンプルな

しかけで子どもが熱心に遊びだしたら、次はどうしますか?」とたずねました。

すると、参加しておられたパパさんが、こんな面白いおもちゃを作っていました。

さまざまな方向から差し込まれた棒を

上から順番に引きぬくと、ビー玉がだんだん下におりてきます。

そこの娘ちゃんが、不思議そうにしかけを覗きこみながら遊んでいると、

赤ちゃんが興味しんしんに近づいてきて、引っ込んだり出てきたりするブロックの棒

を触りだしました。

棒が引っ込むと、穴に指を入れて取り出そうとする姿に

一同、大笑い。

 

 

こちらは2歳のBくんとお母さんの作品。

棒を入れる穴のサイズが少し大きいだけで、

それまでにない面白い動きが生まれていました。

お母さんが上の穴からあひるを入れると、

Bくんが棒を押す時に、あひるが棒に乗って出てくるのです。

このしかけで『ハト時計』を作ることができるかもしれませんね。

 

最初のシンプルなアイデアを、知恵を絞って

少しだけ発展させるようにして遊ぶと、子どももいっしょになって

考えるようになっていきます。

ちょっとしたアクシデントも知恵を使う好機です。

上の写真は、最初、開閉する扉がついた

駐車場だったのですが、Cくんが入口を黄色いブロックで埋めてしまいました。

これでは車を入れることができません。

でも、これを見た時、わたしは面白いアイデアを思いつきました。

先っぽにCくんが埋めた黄色いブロックの形をつけた

鍵を作ると、「鍵をしめると、ドアが開閉できない」「鍵を開けると、扉が動くようになる」

という遊びができるな……と。

こんな風に、「中に入れない」という困った状況も、創造的に解決する姿を見せると、

子どもは子どもで、新たなアイデアを試してみようとします。

 

ブロック遊びをする時は、「子どもに作り方を教える」のではなく、

「子どもといっしょに知恵を絞ることや問題を解決することを楽しもう」という気持ちで

関わるのがいいかもしれません。

平たいブロックの板も、板に乗せる向きによって

たちまち立体的な作品になります。

階段をつけたり、エレベーターをつけたりすると、

子どもは空間を自在に使って遊びだします。

荷物を引きあげる道具も取り付けました。

 

「3階から2階に下りるのはどうすればいいでしょう?」と相談をいただいたので、

らせん状の階段を作る方法を見ていただくと、

思わぬ解決法があるもの……ととても面白がっていただきました。

空間を複雑に使った作品は、遊びをわくわくするものにしてくれます。

子どもは自然に階段や家具や入口などを付け加えるように

なると思います。

 

ブロック講座の3回目と4回目が終わりました。

子どもだけのレッスンに、最後に親御さんたちに見学していただく形の4組と違って、

親子講座で4組は多かったかな……と反省。狭くて居心地が悪く感じた子もいるかもしれません。

次回、親子講座を開く時は、理想は2組、多くて3組までにしようと思っています。

 

それでは、ブロック講座の様子を……。

年長のAちゃんの『科学館』。Aちゃんは教室の定期的なレッスンに通ってくれている子です。

「ブロックで磁石を使って遊ぶ方法が知りたい」と、自分で磁石を持参していました。

ドールハウスの作り方を説明した後で、

「これをレストランにしてもいいし、駅のビルにしてもいいよ」と説明していると、

「科学館にしたい」と即決しました。Aちゃんは以前、教室で科学館に出かけたことがあるのです。

その時、感動したあれやこれやを作ってみたかったのでしょう。

そこで、科学館で、「確かあんなの見た……こんなのあったな……」というものを、

ブロックで作ったお家に組み込む方法を教えることにしました。

 

科学館には、磁石のしくみ、光のしくみ、音のしくみ、空気のしくみなどを学べるコーナーがあります。

どれもお家にあるちょっとした小道具で再現することができそうですね。

 

キーライト(100円グッズ)を使って、投影機を作ってみました。

丸いチーズの空き容器に穴を開けて、

セロテープを両面から貼ってマジックで絵を描きます。

丸い箱の中心にモールや針金入りリボンを通すと、ブロックに装着可能になります。

くるくる回転させながら、壁に絵を映します。

回転させることができる投影機の作り方を教えながら、

いつも子どもたちが何かに夢中になった際に投げかける質問をしました。

「このアイデアが面白いなと思ったら、次に発展させるために

どんなことをしてみたらいいと思う?」

 

(この質問は、この言葉通りたずねるのではなくて、子どもの理解する力によって、

言葉を介さずに伝えることもあるのですが、

今回は親御さんもおられたので、大人向けにそうした質問にしました。)

 

発展させる方法1

<縦のものを横にしてみる>

縦のものを横にしたり、ひっくり返したりすると、

全く新しい使い方を発見することがあります。

下の写真は、投影機とほぼ同じ仕組みで

磁石の力でモールの花が咲くようにしたもの。

科学館にこんな展示物があったので。

 

上の写真はAちゃんが考えた投影のしくみ。

白い壁の部分に流れるような映像が映っていました。

 もしこのわっかの中央に白い塔を置いたら、

全方向から投影する道具ができるかもしれませんね。

ブロックの内部に磁石と折った紙を入れると、

こんな風に金属がひっつくブロックができあがります。

お家の上のガムマシーンの一部を乗せたBちゃん。

 

<知っていることや学んだことを2つ以上組み合わせる>

2つ以上、アイデアを組み合わせると、

たちまち面白いものができあがります。

ブロック講座でまなんだばかりの

ガムマシーンの上部まで、ビー玉を送り届ける装置と組み合わせると、

たちまちすてきなしかけができあがりました。

上の写真も、ブロック講座で学んだばかりの

昆虫やロボットの動く手足の作り方を

ドールハウスにひっつけたことでできた面白い道具です。

椅子に座っている子のところに

ロボットアームがドーナツを届けています。

機械化した未来の家を作っていくのも楽しいですね。

 

次回に続きます。

 

ブロック講座に参加した方からいただいた感想をひとつ紹介させていただきます。

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ブロック講座
本当にありがとうございました。
親子で受講できたので、
私の方が、特に、勉強になりました!

レゴデュプロは、
もともと持っていましたが
虹色通信を拝読させていただくように
なってからは、
足繁くリサイクルショップに通い
作りたい物がなんでも作れるように
数を増やして、
どんな大物も作れるほどに
なっていました。
その為か、子どもたちは
更にブロックが大好きになりました。

しかし、
好き勝手に組み立てて
ユニークな物を作る事から
あまり発展せず、
私は私で、頭も硬くなっている為?(笑)
動物などしか思いつかず…
それを、子どもが真似て作ったり…
と、そんな感じで…

虹色通信を読ませていただいて
いつも感心するような
ブロックの使い方、知ってはいたのですが、実際に見ると
更に分かりやすかったです。

ブロックを横に使ったり、
逆さまにしたり、動くようにしたり…
感動仕切りでした!
それから、教材としての使い方も
もっと活用していきたいです。
つい、色んな教材に手を出してしまうのですが、こんな風に身近なレゴで
視覚的に入ると、身につき方が
違うように感じました。
私は算数が苦手だったのですが、
今日は、面白いなぁと感じました。
そうやって、子どもたちにも
算数、数学…考えることや学ぶことは、
楽しいんだと、感じて欲しいです。

質問してみたいことは
いつも沢山あるような気がするのに
いざとなると、なんだか
胸がいっぱいでありがた過ぎて(笑)
ただ何でも少しでも、吸収できれば
それで満足です。
子どもも、回を重ねるごとに
虹色教室が楽しいから、
次はいつ行くの?と…
子育て、教育、子どもへのまなざし、
勉強だけじゃなく、親としてのスキルまで教えてくださり、
本当に感謝しています。
長い目で見れる親になりたいと
思っています。

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外から見える変化 と 内から起こる変化 2

2016-08-31 07:20:34 | 工作 ワークショップ

『オセアノ号、海へ!』というポップアップ絵本を見てから工作タイム。

この『オセアノ号、海へ!』は、保育士おとーちゃんさんが、ブログでお子さんの誕生日プレゼントに選んだと

紹介されていた本。

ページ数こそ少ないですが、この本を開いたとたん、2,3歳の子から小学校高学年の子まで、

イラストに圧倒された様子で、

「わぁ~!」「すごいっ!」と、大きなため息を漏らすのです。(本を見せるとき、最初は、海面の下部分をテーブルでかくしています。)

氷山の一角というたとえを、言葉のまんま目にする瞬間です。

海面の上にあるのは、わたり鳥1わで手狭になるほどの小島なのに、

海面の下には、あっと驚くような全貌が潜んでいるのです。

ちょこんと飛び出た氷の突起の下に眠る巨大な氷の塊の数々。

海面に見えるのは、三角の小さな切れ端のようなもの。

でも、実はそれはくじらの尾の先で、その下にはでっかいくじらが泳いでいるという絵。

 

ユースの晩、寝しなにこの本を見せたので、翌朝、朝食がすむやいなや、

子どもたちは、「朝になったら、海の中の絵本を作るって約束したでしょう?」

「昨日見たあの本みたいな、海が作りたい!」と大騒ぎでした。

 

紙に海面を貼って……。

小2のAちゃんの大きな魚、ナイスです。

小2のBちゃんの作品。

たこつぼをつりさげて、たこを捕まえるところ。

年中のCくん。得意の深海魚をたくさん描いて、

暗くて深い深海を作っていました。

年中のDちゃん。イルカのショーが見られる仕掛けをつくっえtいました。

小1のEちゃんのたこつぼつりのおじさんはいい味でてますね。

すごくいい作品ができていたのに、写真を撮りそびれた子がいて残念。

 

 

 

写真を紹介していたら、タイトルの内容を書くところまでいきませんでした。

次回に続きます。

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外から見える変化 と 内から起こる変化 1

2016-08-30 09:41:35 | 工作 ワークショップ

 

年中~小2の子たちとユースホステルのレッスンに行ってきました。

ホームセンターで見つけた1mくらいの筒状の梱包材を3本もっていったところ、

養生テープでつないで2段ベッドの上段から上段にビー玉を移動させる通路になっていました。

非日常な光景に子どもたちは大興奮。

ベッドのはじごを上ってはビー玉を転がしあっているだけなんですが、遊園地どころじゃない

高揚感を味わっている様子でした。

 

これを目にした3歳の妹ちゃん。お姉ちゃんたちの遊びに入りたいし、ビー玉が転がしたいのですが、ちょっと危なっかしい。

お母さん方に紙を丸めてビー玉コースターを作ってもらっていました。

満足そうに遊ぶ妹ちゃん。

 

それを見たお姉ちゃんたちは、

「わぁ」と目を輝かせて妹ちゃんのベッドの下に集まってきました。

平たい紙が筒になって、それをつなぐと長いビー玉通路になることは、どの子も知っていることながら、

実際に目にすると何もないところから、

必要なものが生まれてきたような感動があるのです。

人の知恵とかアイデアとか問題解決法といった目には見えない頭の中にあるものが

可視化される瞬間に立ち会えるのは身近に物づくりがある環境のだいご味です。

みんなで手分けして筒をつないで、

いつの間にか、2段ベッドからベッドへとつながる紙のビー玉通路が開通していました。

次回に続きます。

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年少さんたちの工作と算数タイム

2016-08-28 07:40:34 | 算数

 

年少の女の子たちのレッスンの様子です。

木片とペットボトルのふたをつかった工作。

夏休みの工作用に売っている木片は、年齢を問わず人気の素材です。

たっぷり用意して自由に貼りあわせたり

色を塗ったりできるようにすると、どの子も熱心に何か作っています。

 

Aちゃんは木片をTの形につないで、「ぎったんばっこん」と言いながら

揺らしました。シーソーに見立てたようです。

年少グループでは、養生テープを使って

簡単に接続ができるようにしています。

ペットボトルのキャップは、貼るだけで

車や船や遊具の座席になるので、作ったらとにかく小さいお人形を乗せて

遊びたいこの時期の子たちが大好きな素材。

作りたいものとして、「ふね」という声があがったので、

みんなで『オセアノ号、海へ』という絵本を見ました。

海の中の世界を目にすることができるポップアップ絵本です。

「うわぁ~!!」と感動の声。

子どもたちから思った以上の反応がかえってきました。

それからは、みんな舟やボート作り。

↓Aちゃんのお姉ちゃんが舟にオールやハンドルをつけてくれました。

たくさん舟ができたので、水に浮かべて遊ぶことにしました。

魚や釣り竿も作って、魚釣りを楽しみました。

 

年少の子たちのこうした遊びにつきあっていると、子どもの内面から、

「期待して待つ」「期待して結果を見守る」「ドキドキしながらうまくいくか確かめる」

といった集中力が引き出されてきます。

 

すると、それが、「3つあるボートに3人のお人形。全部乗せられるかな?」

「4つの椅子に4ひきの犬。全部座らせられるかな?」といった

算数の世界の気づきを伴う活動に自然につながっていきます。

 

算数タイムの『動物にごはんをあげよう』というゲーム。

回転盤を回して、矢印のところにとまった動物と

ミッフィーが持っている食べ物とがマッチしたら、食べ物をもらうことができます。

子どもたちはとても熱心に参加していました。

子どもたちには、「1点か2点、どちらかの得点が取れるよ」と話しています。

次第に、食べ物をゲットできたことと得点をゲットできたことの

つながりに気づいていきます。

 

動物は、何匹だったかな?

数えた後で、数の指遊びをしました。

絵柄が作れる積み木で、「真っ暗闇の夜」「お昼」

「小さい黒と小さい黒と小さい黒と小さい黒が集まって……小さい四角」などを作りました。

子どもはどの子も、「やってみたい」と心が動き、ちょっと苦労してやり遂げたときに、

今、やっていることに、真剣に心と頭を傾けるようになります。

「数を数える」のにしても、「数えてごらん」と数えさせると、

いやいやつきあううちに数ぎらいになってしまうのがオチですが、

写真のように「水風船をふくらまし機でふくらます」「ストローをテープでつける」「人形に持たせる」という

作業を自分でした場合、進んで数えようとします。

「風船の数は足りるかな?」といった問いも

一生懸命考えようとします。

 

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子どもたちを夢中にしたものと興味を膨らませる活動 1

2016-08-27 08:58:34 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

 

教室では、子どもたちが興味を持ったものとさまざまな形で触れ合い、発展させるお手伝いをしています。

これまで子どもたちを夢中にしたものと、興味を膨らませるためにした活動の数々を紹介します。

(近いうちに、算数にかかわることで、子どもたちを夢中にしたものと興味を膨らませる活動を整理することにします)

 

<子どもたちを夢中にさせたもの>

 

ピタゴラ装置作り

 教室やユースホステルの部屋全体を使った大がかりなものから

ストローの中をビーズが滑っていくミニサイズのピタゴラ装置まで

さまざまなものを作りました。数えきれないほどしかけのアイデアが

試されています。


影絵劇、映画作り

 ブロックで作るミニシアターから、2mほどのスクリーンを使ったものまで

さまざまな影絵劇や映画を作りました。

 

工場作り ごみ処理場、ベルトコンベアーで移動させる算数の工場、

 

頭脳パズル

 

ハンバーガーショップ作り

ボードゲーム、カードゲーム

エレベーター作り クレーン作り

 

 

忍者

 

戦国武将 お城

 

ドールハウス作り

 

ガチャポン作り

 

 

レジ作り

 アルミホイルを貼ったお菓子の箱にレジのバーコードを読み取る機械をつけると

ピッと鳴ります。

 

 

パソコン作り 携帯電話作り

 

元素カード

海賊船 大型フェリー

 

ポップアップのしかけ

 

かばん作り

 

すごろく作り

 

歴史的建造物

 

深海魚

 

おばけ屋敷作り

宇宙

 

ポケモンゴーのゲーム作り(ブザーが鳴るマッチング式のゲーム作り)

 

わたがし機作り (モーターを使った工作)

 

 

 生きものの生態

電車の世界

 

スライム(動く砂鉄スライム、スーパーボール作り

 

電子工作

 

プログラミング

 

洋服屋さん

 レオナルド・ダウ¨ィンチ

 

 

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自発性と創造性を育てるには……?

2016-08-27 08:32:10 | 日々思うこと 雑感

↑ユースホステルでの月の観察。

 

仲の良い……とても信頼できる友だちや知人、数名から、相田みつをの本を
いただいたことが何度かあります。
口を揃えて言うのは、「大衆的だと思って敬遠していたけれど、とてもよかったの」という言葉。
私も、読むたび、年々、
その良さが、心に響くようになった気がします。

一番好きな著書は、

相田みつを 書 
佐々木 正美 著 

の『育てたように子は育つ』

この本には、子育ての実話が相田みつをの書といっしょに載っていて、
とても考えさせられるものです。

ささいな親の注意にカッとして、母親のろっ骨を折ってしまったり、窓を割ったりする若者に共通しているのは、
小さい頃「素直ないい子」なのだそうです。
「やらなければならないこと」を優先する習慣がついて、
本当にやりたいことをやる能力を失ってしまったのです。

それに大きな悔いと不満を感じ、混乱し、人生をやり直そうとしているかのような行為。
両親は自発性や創造性が育つよう、干渉し過ぎないやり方で根気よく
やりなおさなくてはならないそうです。

相田みつを の 待つ という美しい書に、
佐々木氏が次のような話をそえています。

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子どもに限らず草花でも農作物でも、何でも育てることが上手な人は、
待つことが上手な人だと思う。待っていることに喜びや楽しみを感じていられる人である。
日常で、最善をつくしているという実感があれば、待つことの楽しみは最大になるであろう。結果を問わない気持ちができていれば、待つことは安らぎでもある。

子どもを育てるとき、努力と結果を問題にするならば、先の結果より、努力の「今」に共感してやりたい。
休息の「現在」であれば、その現在を静かに見守ってあげたい。

休息が終わって活動を再開するのを、いつまでも待ってやりたい。
はた目には待ってやったことが無駄だったように見えても、かけがえのない親子のような関係の者にとっては、苦楽を分かち合ったものにしかわからない
存在の重みの感動が必ず残る。
だからじっと待ってやりたい。

子どものなかの自律性や自立性は、待ってやるからこそ育つ。

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わが子も、教室の子も、とてもすばらしい成果を目の当たりにするとき
というのは、他のようにできなくても
のんびりゆっくり待ってあげた結果だな~と思います。

好きなことばかりして、苦手なことから逃げてばかりいる
すぐお友だちに手が出る
かんしゃくを起す
よく泣く
何をするのも遅い
よく忘れる 

子どもが大人の期待通りに動いてくれないときに、
しつけたり、子どもに正しい見本を見せたりして最善はつくす

でもできるできないは、時を待つ~

とのんびりゆっくり構えていたら、どの子もすばらしい才能をしめし
はじめます。
特に、他の子の何倍も時間がかかって、それを待っていてあげた子は
本当にすばらしい力を発揮し始めるんですよ~。

わが子にしても、「この子のこういうところすばらしいな~」と感激する
部分は、教えた結果でなく、「待った」結果、身についたことばかりなのです。

「小さい頃にきちんとしつけないと、わがままな子に育つ」と言って
おどす人は多いと思います。
でも、小さい頃に親の言いなりでいい子をしていても、
思春期になれば、ほとんどの子は生意気で軽はずみな行動が多くなってきますよね。
でも、待ってあげる という親の姿勢は、
子どもの心に深く届いて、義務ではなく自分の本心から生じる
優しさを生むように思います。

かつて勉強を見ていた近所の子に、
大きくなって久しぶりに会うとき、
小中学生の頃は
好き放題言うので、私もずいぶん勝手を聞いてあげたものだけど、
本当に優しくしっかりした子に育って、
自分で考え、ばりばり仕事しながらがんばっている姿を見て
心からうれしく感じています。

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シングルフォーカスに陥ったり、注意散漫になったりする子に教えるコツ 1

2016-08-25 18:12:03 | 算数

小学2年生の★くん。

知力は高いけれど、

シングルフォーカスに陥ったり、注意散漫になったりする

「できる時」と「できない時」の開きが大きい子です。

 

理解力や創造力が高い反面、

細部の一点に集中しはじめると、全体が見えなくなったり、

頭が切り替えられなくなるという欠点を持っています。

勉強以外の遊びや生活の場面でも、

何かをしている途中で、ひとつでも気にかかるものが現れると、

最初の目的を忘れがちです。

また、気が乗らない作業をしているときは、

 注意散漫になって上の空になりがちです。

学校のテスト中も、適当に読み飛ばしてミスを連発することが

多々あるようです。

 

教室では、まず次のような問題を解いてもらいました。

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①よこの 長さが たての 長さの 6ばいよりも 2㎝長い

長方形が あります。

たての長さが 4㎝と すると、

この長方形の まわりの 長さは、

何㎝になりますか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

★くんが困っているようだったので、ヒントの代わりに、

★くんの中から答えを引き出すような質問をしてみることにしました。

 

「★くん、何の話だった?」とたずねると、

「長方形」と答えます。

その絵を描いてもらいます。(★くんの答案はえんぴつの線が見ずらかったので、

写真は私が同様の図を描きなおしたものです)

次に、「長さが出ているけれど、比べるものはあるの?」とたずねると、

「たてとよこ」と答えると、次のような線分図を描きました。

 

「★くん、6ばいってどういうこと?」とたずねると、指でたての幅を作って、6回それをつなぐ真似をします。

 

ここまできて、★くんは、この問題を解いていくだけの力がありそうなことは

わかりました。

 

ただ、困ったことに一度問題に目を通すものの

解きはじめた後につまずいても、

自分の頭から何かを絞りだそうとするように目を宙に向けて首をかしげるばかりで、

決して問題を見直そうとしません。

「比べるならどのようにちがうのか、問題をきちんと見て」と言うと、

次のように描くことができました。

(本当は最後につけた2㎝を、途方もなく長くかいていたのですが、

それでもだいたいのところは写真のように正しく描けていました)

★くんに、「よこの長さはどれくらいになると思う?」とたずねると、

「えっ5センチ?ちがうかな10センチかな?」などと、

またも宙を見ながら、首をかしげて答えます。

 

「★くん、何を見て考えればいいんだった?」とたずねると、

「ああ、そうだった」と自分が描いた線分図を見て、4~8~12……24と2で26㎝!」

とちゃんと答えます。

そして、さっさと答え欄に26㎝と書きこんでしまったので、

「何が質問されていたのか間違えないためには、どうすればいいの?」とたずねると、

「問題の最後のとこを読む」と言います。

 

「そう、読んで」

「あっ、まわりの長さだったから、26+26+4+4=60 答え60㎝だ」と

正しい解答を出すことができました。

 

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★くんタイプの子が問題が解けなくて困っているとき、

問題の意味がわかっていないのだと思って、

解き方を説明しても、

いっこうにできるようにならない場合があります。

 

知力はあるのに、シングルフォーカスに陥りがちだったり、

注意散漫だったりして解けなくなる子には、

 

何を考えていたのかわからなくなって混乱した時に、

自分に投げかけるといいシンプルな質問を教えておいてあげると、

ボーっとなりそうになると、

心の中で自分で自分に質問を投げかけて、

夢から覚めたように

続きを解いていくことができるようになる場合があります。

 

また、どのようなところに注目したらいいか、

目の使い方も教えます。

 

こうした子は「問題の意味がわからない」のではなくて、

よそ見をして解いているときに、

どのタイミングで問題を読み返したらいいのか

コツがつかめないのです。

 

また、うろ覚えの内容について

読み返すことの大切さが

わかっていないのです。

 

どちらも身体の使い方の問題です。

 

「うろ覚えでも見直さなくてもいいや。間違えてもいいや」と

適当に構えている子に懇切丁寧に解き方を説明していると

「どうせ言ってもらえるからいいや」と

ますます依存的になって、

他人事のように勉強をするようになりがちです。

 

こうしたタイプの子は、

とても頭が良い子でも、

算数の問題を解いている最中に、

自分が何をしているのだったか忘れていることがあります。

 

何か、心を奪われた一点で頭が占められて、ぼんやりしたまま

元の状態に戻れないのです。

 

たとえば、問題にザーッと目を通した瞬間、

難しそうな言葉があったりすると、

そこに気を取られて、次に何をしたらよいのかわからなくなってしまうのです。

 

おそらく、前回まで(算数の文章題を考えるためのワザ4)

の記事で紹介した「筋肉豆腐」の問題も、

「タンパク質なんて難しそうな言葉にぶつかって、そのまま白昼夢の世界へ

飛んでいってしまった子もけっこういたのでは?」と想像しています。

 

そこで、子どもには、問題を読むとき、

「何の話だったのか?」という急所を

シンプルな一言で表すように教えています。

 

「おりがみの話」「長方形の話」「列で並んでいる話」

などいろいろあるはずです。

 

それを絵にしてみます。

 

子どもがひとりで問題を読むときも、

何を読んでいるのかを忘れてしまわないために

「何が出てくる?」という最初の問いを心に持って、

問題を読んでいくようにして、絵を描いてみると、解きはじめでつまずきは

減ってきます。

 

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「言葉の遅れ、人と関わる力の弱さ、叱られると笑うところが気になります」の続き 1

2016-08-25 09:23:52 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

言葉の遅れ、人と関わる力の弱さ、叱られると笑うところが気になりますの記事の続きは、

別のタイトルで書いています。

 

怖いものしらずで聞き分けのない2歳児。強く叱った方がいい? 1

 

怖いものしらずで聞き分けのない2歳児。強く叱った方がいい? 2

 

 

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連絡事項【Mail連絡について】

2016-08-24 22:47:52 | 連絡事項

こんばんは、虹色教室事務担当の【事務K】です。

 

夜分遅くですが、勝手ながら記事を書かせて頂いております。

私のミスなのですが、新しいPCに変えた7月初旬よりYahoo!メールをメールソフトでサブの保存用に使っておりました。

 

 

この頃、頂いたメールがYahoo!メールの検索に引っかからないことが多発したため、先ほど調べたところ、メールソフトの設定をミスしており削除されておりました。

 

 

そのため、ご連絡が滞っている方がおります。

 

現在、メールソフトの方からご連絡(返信)待ちの方をピックアップしており、お時間を頂戴しています。加えて、私事なのですが、もう暫くバタバタとしております。

出来る限り早く態勢を立て直す予定です。

 

 

お待たせしております方々には大変ご迷惑をお掛けし申し訳御座いません。

ご連絡の内容(日程等)に応じて、このような時間では御座いますが、ご連絡を進めさせて頂くことが御座いますこと、ご了承下さいませ。

 

誠に申し訳御座いません。

 

 

事務K

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学びの原動力は『謎』

2016-08-24 07:41:04 | 日々思うこと 雑感

『小さな友へ』という詩は、10年ほど前に、子どもたちに向けて書いた詩です。
もし何でも子どもたちにプレゼントできるとすれば、何を贈ればいいだろう?
私が子ども時代に手にしたもので、最高にすばらしかったものって何だろう?
今も宝物となっているものは何だろう?
そんな考えをめぐらせながら書いた詩です。

当時、私が、「子どもがもらって、心がときめくのはこれしかない」と考えたのは、『答えのない問い』でした。
つまり、『謎』であり、『不思議』であり、自分独自の『知りたい思い』『まだ答えが与えられていない未知の課題』です。
この思いは、10年経った今も、少しも変わっていません。

先日、『おせっかい教育論』 著者 鷲田清一 釈徹宗 内田樹 平松邦夫  
(株式会社140B)という著書のもくじ欄で、
『子供が育つには「謎」が必要』というタイトルを目にし、思わず、即、購入して帰りました。


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この著書の中で、内田樹氏は、
子どもにとって、成長の一番の契機になるのは「謎」だと断言しておられます。
子ども自身が自分の知的な枠組みを壊してブレイクスルーを
果たすためには、「なんでこの人はこんなことをやっているんだろう」というミステリアスな大人が絶対不可欠なのだそうです。
学校では、文部省は一貫して教員たちの規格化・標準化を進めてきているので、一定の価値観の枠内の人しか教壇に立てなくなってきている問題を指摘しています。


鷲田清一氏は、大人が言うことが一色なのも問題で、いろんな考えがありうるという、複数の可能性のフィールドを提示するのが大人の責任だとおっしゃっています。
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この著書で書かれているミステリアスな『謎』は、私が詩で表現した『謎』とは少し意味がちがっていたのですが、
とても共感できるすばらしい本でした。

勝手に拡大解釈させていただいて……
「子どもが育つには『謎』が必要」という言葉は、いろんな意味で、今子育ての場に最も足りないもので、最も重要なもののひとつでもあると感じました。

教室でもワークショップでも、
子どもの目が輝き出し、一生懸命課題に取り組み出すきっかけとなるのは、「どうしてだろう?」「おかしいな」「不思議!」と感じた瞬間です。

子どもはすでにわかっていることを「覚えなさい」「練習しなさい」と言われるときではなく、「どうして?不思議!」と大人でも首をかしげるような疑問にぶつかったときに、全力で問題を解決しようとします。
そうして考えることの面白さに気づいた子は、普段の勉強もまじめにこなすようになっていきます。

『謎』は、上で紹介したような好奇心をくすぐる不思議との出会いや、価値観の異なる人々との出会いとは別に、『未知』であるという意味で、
学ぶ意欲と深いところでつながっています。
↓は過去記事ですが、よかったら読んでくださいね。
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『明後日(あさって)』の感覚って聞いたことがありますか?
アーティストの日比野克彦氏が、哲学者で大阪大学総長の鷲田精一氏との
対談中に使っておられた言葉なんですが、
目にしたとたん、
「良い言葉だな~」という感動を通り越して、
自分の生きてきた方法とか、やってきたこととか、考えてきたこととか、
そうしたもの全てに太い一本の芯が通って、
「あ~、私はこうした感覚を大事にしてきたんだ」
と納得したような気持ちになりました。


日比野氏が、

明日のことはある程度はっきりわかる。1ヶ月後のことは全然わからない。自分の絵の描き方やワークショップなどの共同作業は、
ちょうど、「明後日」のように、ぼんやりと大まかなところだけわかっている感じなんです。
……(中略)ある一つのアクションが次のアクションを生み、この人と出会ったから、このアクションにつながっていく。
いつもその連続です。
絵も同じで、大まかな方向性はありますが、「黒い線を描いた、この次はどうしよう」と、まず一手を描かないと次の一手を思いつかないものです。……(略)

と、アーティスト自身が先行きを正確に把握しないまま進んでいくプロジェクト
について、「明後日」の感覚という言葉で言い表したところ、

鷲田氏が、

そういうプロセスには、「新しい社会性」とでもいうものを模索していくヒントがあるような気がします……(続く)

といったこと答えておられるんです。

以前、教育現場に必要な 『ブラックボックス』 という言葉 
という一連の記事を書いて、教育の場に、『ブラックボックス』という言葉が必要なのでは?……といったことを書いたことがあります。
子どもたちが、ブラックボックス化する世界に生きていることを無視したまま、、パソコンや携帯ゲームや、○○○計算や○○時間といったよさげ~な方法だけ取り入れても、子どもたちが主体的に勉強していく方向には、
機能しないんじゃないかな?
という疑問を言葉にしたものです。
(多くの方が、同じようなことを考えていたそうでした)


日比野氏の『明後日(あさって)』の感覚という言葉に出会ったとき、村上陽一郎氏の『ブラックボックス』という言葉を目にしたときと同じような強い衝撃を受けました。
そして、この『明後日(あさって)』の感覚という言葉もまた、
「教育現場に必要な言葉じゃないかな?」
「子どもが意欲ややる気を取り戻すキーワードじゃないかな?」という
思いにかられました。

虹色教室で子どもたちに学ばせているとき、私には、
どうすれば子どもたちのやる気や意欲が盛り上がってきて、知りたい!調べてみたい!もっとがんばりたい!という気持ちになるのか、
だいたいのところ勘でわかっているんです。

それは、「自分は既存のきまったコースをなぞってるだけじゃないんだ」という感覚……というか、
「ある方向性はあるけれど、進んでいく先はガチガチに固まったもんじゃないんだ」
「自分のアイデアや考えや発言が、未来を変えてく影響力を持っているんだ」
という感覚でレッスンを受けているということです。

教室で、時々、にんじゃブームとか、日本全国のゆるきゃらを覚えようブームとか、宇宙の実験ブームとかが巻き起こるのですが、
最初の火付け役の子たちの時期には、
黒い布切れにもぐって宇宙気分を味わうことから、宇宙への興味が膨らんでいくような、教材は整ってないし、やることは見えてないしで、
言わばレッスンとしたら、「レベル低い!」状態なんです。
でも、そんなカオスな時期こそ、子どもたちは、「こうしたら?」「これしたい!」「なんでだろ?」と主体的に自分で動いて、それは熱心に学びたがるんです。
そのブームが飛び火して、他の子たちの興味も加わるにつれ、
私は子どもたちがワクワクして熱中していた学習課題を扱いやすい教材にして、
「宇宙」といったタイトルのついた箱の中に溜めていきます。

すると、大人の目には、箱を開けるだけでワクワクするような
教材パックができあがるんです。
もたつかずに、「わ~」っという感動や、
「そういうことだったのか」という知識を得るのも手っ取りばやくて、
大人は満足。
でも、最初の子たちに比べたら、ものすごく良い教育環境……のはずが、
後の子たちほど、しら~っとやる気がない状態に陥ってしまいがちなのです。
そこから、発展させて自分で調べてみようという気持ちになりにくく、
「見て、不思議でしょ?」と、笛吹けど踊らずという状態です。

同じように見えるけど、
むしろ、後の方がよっぽど魅力的なのに、
何がどうやる気や意欲を半減させるのでしょう……?

大人が何日も前から事前に準備していた魅力的なプロジェクトよりも、
下の記事のような3歳の子のふとした発見の方が、どうして子どもたちの探求心に火をつける場合があるのでしょう?
★3歳の子の発見から、発明、研究、工作の輪 1
★3歳の子の発見から、発明、研究、工作の輪 2
★3歳の子の発見から、発明、研究、工作の輪 3
★3歳の子の発見から、発明、研究、工作の輪 4
★3歳の子の発見から、発明、研究、工作の輪 5
子どもの意欲ややる気の盛り上がりって、ランダムでその日のお天気で決まっているように見えて、
やっぱり言葉にして整理できる一定のルールが存在する気がしています。

うちの息子が、小学3,4年生の頃、
ビデオカメラ片手に友だちと映画を撮ることに熱中していたことがありました。
上映会というのに、引っ張っていかれて見たら、
期待以上の面白さで、
「今度、もっと良いのができたら、公募に応募したらどう?
映像作品の募集がないか調べてあげるわ」と言ったことがあります。
すると、息子は呆れたように、
「お母さんは、遊びってものがわかっていないな~。
何かのためとか、結果とか気にせず、自由にやるから遊びで、
だから面白いんだよ」
と言い返されたことがあります。

子どもって、もともと功利的じゃないんですよね。
「遊び心」が汚されていない場や時間の中ではじめて、
いきいきと自分を発揮できるし、
思いきりがんばれるし、頭をしぼりきって考えられるのでしょう。
それと、遊んでいる途中で、映画作りが、探偵ごっこに変わるかもしれないし、
まったく別の興味へと流れていくかもしれない
という未来が固定されていない感じが、
今の集中や全力投球を支えているのでしょう。

そういえば、昔、私が通ってた小学校や高校(中学は荒れてました)は、きちんと学校としての秩序は保たれていたけれど、日比野氏の言った
『明後日(あさって)』の感覚というものが、いろんな場の底流に流れていて、
私たちの好奇心を持続するのに役立っていたな~と思いあたりました。

虹色教室では、子どもたちと小さなものから大きなものまで、
さまざまな創作活動をすることがよくあります。
子どもの興味に引っかかったものを、先行きについては『あいまい』なまま
気の向くままに、
その都度、学べそうな要素をいろいろ盛り込みながら作っていきます。
こうした制作活動は、たいていの場合、
いつも最初に期待していたよりも何倍も良い結果を得て終わります。

はじめ結果が読めないのは、その子その子の個性が混じるからです。
子どもによって、作ってるうちに、歴史や地理に強い興味を抱くようになったり、緻密に計算された作品を作るようになったり、根気が伸びたり、
自己肯定感が上って、何ごとにも積極的になったり、
算数や理科が得意になったりとさまざまです。

そんな風にそれぞれが得るものは異なるけれど、
手でする作業と、自分のなかの美を感じる気持ちと接触した後って、
必ずといっていいほど、
期待以上の結果を手にすることになるのです。

何かすごい作品を作ろうと力むのでなくて、
面白そうだ~というアンテナにかかった作業にモクモクと熱中してみることで、
子どもは素直になり、落ち着き、個性的な「自分」という感覚や、
自由な生命力を取り戻すように見えます。

積み木で、幼稚園や小学生の子たちと、
海上のピラミッド モン・サン・ミシェルやパルセノン神殿を作ったことがあります。
そうした製作はたった一日の出来事ですが、
その後、教室では、
古代のカレンダー ストーンヘンジや
ピサの斜塔、コロッセオなど遺跡を作る子たちが続出し、
学習への集中力や海外の文化に対する興味が高まりました。
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日比野克彦氏と鷲田清一氏は、アートの

『絵でも工作でも何かをつくることで、気持ちを共有したり、
コミュニケーションの輪が広がったり、新しい発見ができたりする』

という機能に着目しています。

「気持ちの共有」「コミュニケーション」「新しい発見」の3つは、
虹色教室でも、製作活動中やその後で起こりやすいことです。

子どもが作品を作ったとき、時折、それを教室に飾っておいてあげると、
「私も飾って!」と言い出す子がいて、
描いたものを「誰か」が見てくれることがうれしくてたまらないという気持ちが、他の子の作品にも興味を持ち、
自分の中にその良さを取り込んでいこうする態度に変わるときがあります。

また、ひとりの子の作品が、たくさんの子の心を揺さぶって、電子工作や歴史的な建造物を作るといったことが流行することがあります。

だれかが発見した科学的な仕組みを、
別の子たちが別の作品で利用することが流行るときもあります。
「新しい発見を発表しなくちゃ!」というワクワクする気持ちと、小さなアイデアが広範囲に影響を及ぼす力に子どもひとりひとりが感動する気もちを持っています。

教室では、自然に遊びが共同制作へと流れていくことがよくあって、
ピタゴラスイッチのような装置ややどかりハウス(だんだん巨大化して屋根つきを作ります)などを、
「ぼくは、ここするから、そっちたのむよ」「これどう?いいでしょ?」「うん、すごいすごい!」といったやりとりをしながら、
熱中する姿がみられます。
完成の喜びが、「磁石について、くわしく調べたい」「恐竜の時代について研究したい」など、強い知的好奇心に結びつくこともよくあります。

製作の場で、
「気持ちの共有」「コミュニケーション」「新しい発見」が活性化されることと、
日比野氏の『明後日』の感覚といったものはつながりがあると感じています。

「こういうものを作りなさい」「それぞれ個人で」
など、ルールや先行きがかっちり決まりすぎていると、
ただ作った~で終わっちゃいがちなんですね。
子どもを見ていると、人って個人的に何か上達することよりも、人とコミュニケーションを取ることや、互いに響きあうとき、誰かの役に立ったとき、
認め合ったときに、
一番いきいきするんだなと感じています。良い作品ができたとき、高い点数をつけてあげるより、
「みんなに、どうやったら
こんな風にできるのか教えてあげてちょうだい。
みんなに、どこを工夫したか説明してあげてね!」
と言った方が誇らしげな顔をしているのです。


日比野氏の言葉に、次のようなものがあります。
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そう展覧会でも、「この絵いいよね」という人もいれば、無言で通りすぎていく人もいる。
絵は同じでも、判断は百人百様です。
絵はダンボールに絵の具がのっているだけのものですが、人によっては、見た瞬間に時空を超えることもできる。
それって、芸術の力としては、絵描きの力よりも見る力のほうがすごいんじゃないか。
それで、だんだん、見る力のほうに興味が移ってきました。
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子どもに創作させるとき、「わが子が何を作ったか?」「他の子より上手か?」という点だけ気にかける親御さんはいるのです。
でも、本当は何も作っていなくても、他の子の作品を「見る」だけでも、
見る力が高まっているんですよね。

「見る」力だけでなく
★幼児が「よく考える」ようになるためのいくつかのステップ で取り上げた
さまざまな力が、製作をお友だちと共有しあう場では、向上するのだと思います。

脳への「入力」自体が変わる、と言っても過言ではないのでしょうね。

日比野氏は美術を日常のなかに機能させる機会を広げることを、
自分の役割と感じておられます。

美術を日常のなかに機能させる大切さって、すごく感じた出来事があります。
去年、母の死の後、
私は母への供養の意味もあって、曼荼羅風の絵を何枚も描きました。

どうして曼荼羅かというと、
母が末期癌におかされて入院中、「暇つぶしに」と、
色鉛筆のセットと分厚い曼荼羅塗り絵というのを持っていったことがあるのです。
母は、クリスチャンだったので、曼荼羅とかかわりがあるわけじゃないのです。ただパッチワークが好きだったので、
曼荼羅が母の縫うパッチワークのパターンのようにも見えて
買っていったのです。

数日後、入院先を訪れると、母のベッドに
向かいのベッドの人がやってきて、
「○さん、ありがとう。2枚も塗らせてもらっちゃったわ。心が落ち着くわ~ほんとに楽しいわね~」と言って、例の曼荼羅塗り絵を差し出しました。
母に塗り絵の進行状態を見せてもらうと、何十ページももう塗られていて、
メモの欄に、病室の人らしき名前や看護士さん、実習生の方などの
名前がつづられていました。

塗り絵の隙間には、○さん(母)に出会えて、私は感動しました。この塗り絵作業に(勝手にプロジェクト化していたのでしょうか?)
参加させていただけて、どんなにうれしかったか……といったメッセージが、
看護の実習生や看護士さん、病棟内の友人によって、いくつもいくつも書かれていました。

この曼荼羅塗り絵は母の形見としてもらおうかと思ったのですが、母が旅立つとき棺の母の顔の傍らに入れさせてもらうことにしました。

母のいた病棟は病が重い人が多くて、
暗い気が立ち込めているような感じがあったのに、
きゃっきゃっとはしゃぎあう高校生たちのような
雰囲気で、塗り絵をしてよろこんでいる病棟の人々の姿と、それぞれの個性が
あらわれる色遣い、タッチなどの面白さが
今も目に焼きついています。

私も、スケッチブック一冊分、曼荼羅の絵を描き続けて、
ようやく母の死を静かに受け入れられる心境へと移っていった
気がします。

アートの力すごいですね。

病棟の空気を一新したアートの力が、子どもたちの心に
変化を起してくれないかな?
とそんな夢を抱きました。
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