虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

お菓子作りで算数

2022-07-27 12:27:37 | 算数

虹色教室では、子どもの要望に合わせて、時々お菓子作りをしています。
だいたいの場合、クッキーか、小さなホットケーキを作ります。

私が「お菓子作り」を通して、子どもにマスターして欲しい…と考えているのは、次の3つです。

お料理の本を見て、材料を用意したり、手順を読み取る力

「はかり」の使い方と重さの単位

時間の量

最近の子は、本を見てその意味を理解する力が弱いです。便利な世の中になった代償でしょうね。

ところが、受験の際にはそうした弱点をねらって、図や表を読み取る新問題が年々増えているんです。

「数学検定」では実際、料理の手順表の問題が出ていました。
問いは、砂糖の分量を半分にして作る場合…?といった、料理したことない子にはピンとこない難しい問題…。

次の「はかり」の使い方…これって教科書で習ったくらいでは、なかなかマスターできないです。
でも、こうして「料理をする」という目的の中で自然に使ってると、けっこうすんなり読めちゃったりします。

「時間」って子どもに教える時、「今は何時何分」ばかりになりがちですよね。

でも、お菓子作りの時に学べる時間は、「○十分」という「時間の量」です。
「このクッキーが焼けるまで30分!」と教えると、子どもはワクワクしながら、時間の量を体感できます。
その時はじめて「時間ってこういう風にも言うんだな」と知る子が多いです。


小さい子にも作れるお菓子(手先が器用になります。)

クッキーもどき
食パンをクッキー型で抜いて焼きます。(子どもに抜かせてあげてくださいね。)

パンプディング
食パンをちぎってココットカップに入れ、卵・砂糖・牛乳を混ぜた液を加え焼くだけ
(子どもにパンをちぎらせてあげて)

プチケーキもどき
市販のビスケットに、ホイップを少し搾り出し、干しぶどうやマーブルチョコを飾ります。


競争心を刺激してがんばらせる幼児教育

2022-07-23 10:20:51 | 幼児教育の基本

早稲田大学名誉教授の加藤諦三氏の『妬まずにはいられない症候群』(PHP文庫)という著書では、競争意識をかき立てる家庭で育った子の不幸について、胸が痛くなるような内容でつづられています。

子どもが競争心を煽られて育つと言うことは、つまり、子どもが「自分が自分であることによって、家族に受け入れられていない」ことを感じて育つということです。つまり、自然な自分であってはいけないのです。

のんびりやだったり、運動嫌いだったり、想像力や創造力が豊かで、競争よりもクリエイティブであることを好んだりする子であってはいけないのです。

頭脳活動を好む子は、他の子と自分を比べるより、自分の内面の好奇心を追いかけてのんびり過したがる子が多いですが、それは許されないのです。

大人が望む運動での競争、基礎計算や文字を書くことをがんばるかどうか……で大事にされたり、邪険に扱われたりします。


カレン・ホルナイが、自己蔑視の心理的結果の特徴のひとつとして、強迫的に他人と自分を比較するという点をあげています。
自分に劣等感を持つと、競争意識が異常に強くなり、人より自分の方が優れているかどうか気になって仕方がなくなるのです。
親自身が自分で自分を受け入れられないで、心の葛藤を解決できないでいると、親は子どもを巻き込んで解決しようとします。

親が自分で自分を軽蔑していると、自分の子を幼いときから競争させたくてたまらなくなり、他の子との優劣が気になって仕方なくなるのです。

子どもは自分を守るために必死でよい子を演じます。
その結果、親の心が不安定で、競争を煽られている子たちは、外から見ると立派にしっかり育っているように見えます。

けれど、それは、そう見えているに過ぎません。

心の満足がないまま社会的に適応を強いられると、態度やできることは擬似的に成長しているように見えても、心理的な成長が幼児のままとまってしまうのです。

加藤諦三氏は、別の著書『「大人になりきれない人」の心理』で、「子ども時代に無責任に遊び楽しむことをしないで、大人になってから責任ある立場を全うするのは、ナポレオンがアルプスを越えるよりもきついことである。」と言っています。

人間は、無責任なわがままで許される幼児の時代があって、その時期に幼児的願望が満たされて初めて、責任ある大人に成長していくのです。
「幼児的願望が満たされない」という不満は、人間にとって[本質的な不満]となって一生ついてまわるのです。

『「大人になりきれない人」の心理』によると、
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子どもの時期に子どもにしか堪能できないことを十分堪能した大人と、したくないことを力ずくでさせられていた大人は、同じ年齢でも全然別次元に住んでいるそうです。
子どもの時期にしかできないことを、「もういい!」というほど堪能した子どもは、満足しているので、我慢を強いられて育った人が「辛い」と感じることも「楽しい」と感じることが多いのです。
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幼児はまだ、自分の意志でいろんなことをやってみて、自分が「楽しい!得意だ!」という面に気づいて、「そこで全力を出し切って友だちと競争してみよう」と考えることができるほどの体験もなければ、気づく力もありません。

幼児が競争の場で、必死でがんばるのは、自分を高めるためではなく、
「親に見捨てられたくない」
「愛されたい」
という根源的な不安感がもとになっています。
また発達障害のある子が勝ち負けへのこだわりから競争に固執している場合もあります。

もし大人が安易に子どもの競争心をあおってさまざまなことをさせたなら、子どもが人の弱さを許したり、妥協しあったり、仲良く協力し合って何かすることを学ぶ力は育ちません。

強迫的に競争ばかりに心を使うようになります。

しかしその競争は、自分のためになる自己実現を目指しているのではありません。
人に勝った負けた~あいつよりえらい~と感情的ないきさつばかりにとらわれる狭い世界でだけ生きて、自分の可能性を求めて、自分の人生を生きることができなくなってしまうのです。

子育てをするとき、親は自分の心をきれいに保っておく必要がありますよね。みんながしているから……と、子どもを競争に駆り立てているときは、自分の心を見つめなおす大事な機会ではないでしょうか?


こぐまくんの知育日記♦︎虹色教室mini♦︎更新しました♪

2022-07-19 15:09:24 | こぐまくんの知育日記

こぐまくんの知育日記♦︎虹色教室mini♦︎更新しました♪

 

自分で考えたアイデアを披露してくれるこぐまくん(2歳3ヶ月)

 

おしゃべりなこぐまくん(2歳3ヶ月)


ブロック遊びに理科実験を取り入れるアイデア

2022-07-16 07:00:27 | 理科 科学クラブ

子どもたちと今日したいことを話し合うと、Nゲージやブロックで遊びたいということでした。

そこで、ブロックで駅を作ることから、遊びをスタートしました。

ブロックの傍らに、科学遊びに使うさまざまな小道具を出してあげると、子どもたちがめいめい気に入ったものを手にして、「いいこと考えた!こうしたら?」「これは信号になる」などアイデアを出し合っていました。

 

アイデア 1 <駅の冷房装置>

100円ショップのミニ扇風機が気に入った★くん。

「駅をこれで涼しくしたい」ということでした。

そこで、窓枠のブロックパーツに氷を置いて、そこにミニ扇風機の風を当てるアイデアを提案すると、大喜びでした。

氷に当てた風は本当にひんやりしていて、子どもたちめいめいが手をかざしては感激していました。

 

アイデア 2 <信号機>

色の変わるライトを、信号機として使いたいという○くんのアイデア。

 

アイデア 3 <発掘現場>

恐竜の骨のフィギュアをブロックの山に隠して発掘現場作り。

恐竜の世界を作りました。

 

アイデア 4 <海の中>

ヒトデの化石や貝殻を並べて海の中を表現しました。

 

アイデア 5 <火山の噴火>

恐竜の世界の火山を噴火させるために、発泡入浴剤作りをしました。

 

アイデア6 <水を運ぶシステム>

ユースホステルのレッスンで、年上の子らが水を移動させる道具を作るのを見てきた☆くんが、火山の噴火に使う水を注ぐために道具を作っていました。

(この記事の最初の写真)


ダンボールで簡単に子どもが乗れる舟を作る方法

2022-07-12 15:47:29 | 工作 ワークショップ

スーパーでもらってきた段ボール。

切り込みを少しだけ入れて、子どもが乗れる舟を作ってみたら好評でした。

側面の下部分をたてに切り、上部分は折り目用の傷をつけます。

ひっぱると下のような舟ができます。

周囲に紙やカラーの布テープを貼るとさらに舟らしくなります。

ごきげんで乗り込む子どもたち。虎も乗っています。


小学生のつまずきと教え方 3 (知的ゆっくりさん)

2022-07-03 21:53:10 | 算数のつまずき克服

知的障害を持っている子たちに勉強を教えるときには、大きく分けて3つの視点が必要だと感じています。

ひとつには、障害児専門の家庭教師の方々や特別支援教室の先生方がしてくれるようなハンディーに合わせた「教えたい内容の一部分だけに特化して、スローステップで教える」方法です。
それには学習内容をよりシンプルにして、噛み砕いて提示する工夫が必要です。
また「目で見えて、手で操作できる」教具を使って教えることも大切です。
文字を大きくしたり、漢字にふりがなを打ったりして、学習しやすくすることも必要です。

私が会ったことがある知的障害の子に関する印象は、人が好きで温和で素直ということです。ですから、できないことは恐がってしないけれど、できることは何度もやりたがり、褒められるといきいきとしてがんばります。
ルールが易しいトランプやボードゲームなどで遊べるようになると、お友だちといっしょに遊びを共有できていることをとても喜びます。

私が知的ゆっくりさんに学習を教えるとき大切にしているのは、「できることは何度もやりたがる」という性質を最大限に活かすことです。

たいていの親御さんは、できることというのを、学習課題の狭い範囲の中で捉えているので、ひとつのことができるようになっても、いつまでもそこで足踏みしていて、次の課題に進めない知的障害の子の様子にじりじりとしびれを切らしているように見えます。
でも、実際には、何かひとつできるようになって、何度も何度も同じことを繰り返している期間というのは、親の接し方ひとつで、さまざまなことを訓練し、新しいことを学び取ることができるチャンスでもあるのです。

たとえば、知的ゆっくりさんが、折り紙を長方形に半分に折る作業をはじめたとします。何枚も何枚も、長方形に半分に折る姿を見た親御さんは、三角に半分に折る方法や、折り紙で猫や犬を折る方法を教えて、進歩や新しい展開を求めることでしょう。
それでも、本人は、長方形を折り出したらそればかり……。
いろいろな見本を見せても、声をかけても、知らんふり。
いつまでたってもあまりに進歩がないので、イライラしてくるかもしれません。

そんなときは、「上手に長方形が折れているね。ちゃんと、角と角を合わせているわね。」と、本人の作業を認めながら図形の名前や、作業にともなう言葉の表現が覚えられるような声かけや会話をするようにします。
また、「どうやって作るのか教えてちょうだい」と作業の手順を説明させる役をさせるのもいいですね。

「たくさん折ったわね。いくつ折れたか数えよう!」と数の学習に誘うこともできます。
また、できた長方形を図形パズルにして遊んだり、長方形の両脇をセロテープで貼って財布にするという作ったものを生かした工作に誘うこともできます。

折り紙を例にあげましたが、文字の練習でも計算でも、ひとつ何かできることがあって、それを繰り返している期間は、さまざまな新しい課題を習得させるチャンスでもあるのです。

九九を教えると、真似して2の段と3の段が言えるようになったとします。
教えている側が、「はやく4の段を!5の段を!」をあせっても、知的ゆっくりさんたちは、ゆっくりゆっくりしか覚えていかないでしょうし、九九を覚えたからといって、九九を使った文章題の理解に移行するのは難しいでしょう。

私は、2の段と3の段が言えるようになったなら、それをさまざまな場面で活用できるように工夫しています。
写真のように、「2個ずつ人形におやつ(積み木)を配ってね」と言って、「2いちが2~」と言いながら、配ってもらうこともそうですし、友だちとの遊びや、お手伝いの場面で、かけ算が役立つようにするのです。
それと同時に、少しずつ次の段をマスターするための練習を進めていきます。

また、10の合成が言えるようになったとすれば、最初に10個の物を見せてから、いくつか隠して、「いくつ隠れているでしょう」と推理する遊びをしたり、その問題を他の人に出題する役をさせたりします。

学ぶときに子どもが、教える役や説明する役、人形劇を演じる役など、さまざまな役割を体験できるように工夫すると、学習がなかなか進まず停滞しているように見える時期にも、「企画する、評価する、判断する、選択する、類推する、推測する、一般化する、抽象化する」といった経験を深めていくことができます。

知的障害を持っている子たちに勉強を教えるときの3つ目の視点は、「その子の個性をしっかり感じ取る」ということです。
子どもに何かを教えようとするとき、どうしても教えている内容や教え方にだけフォーカスしてしまいがちです。
そうなると、子どもが発信しているものを受信する大人のの感性が鈍るときがあるのです。
知的障害の子といっても、個性も能力もそれぞれ異なりますし、発達の段階も違います。
ですから、その子がどのような子かということを知ろうとする努力は、何をどのように教えるかと同じくらい大事なことだと感じています。

たとえば、ある子どもに数についてのプリントをさせても、いっこうに進まないとします。

その子と話をするうち、お笑い芸人の物まねをするのが好きで、アニメの歌はよく知っていることを知ったとします。
すると「聴覚を利用した学習から入ると学びやすいかも‥‥‥」という可能性が生まれますよね。
そういう子には、先に、足し算や九九を歌にしたり唱えたりする練習から始めて、耳で暗記した記憶を土台にして、書いて解く形に移行させていくと、急速にできなかったことができはじめたりするのです。

その子について知ろうと努力すると、一方的に何かを教え込もうとするより何倍も伸びる場合があります。

知的ゆっくりさんたちの遊びは、敏感期の幼児の遊びに似ていることがよくあります。
はさみでひたすら線を切っていたり、ままごとの果物を容器から容器へと移しかえる遊びを繰り返したり、ブロックをただはめることを繰り返したりするのです。
ひとつのことを覚えてしはじめると、長い期間それに熱中し、あまり進歩が見られないため心配になる親御さんもいるようです。
「またやっている!」とそれをやめさせて、別の遊びを強制する方もいます。
教室の子たちを観察していると、見たところくだらない繰り返しに見えることも、
その子にとって今必要な発達の課題を超えるための訓練である場合がよくありました。本能的に子どもは自分が何をすべきか知っているのです。

たとえば、ブロックの基礎板にみっちりブロックをはめていく作業にしばらく熱中していた知的ゆっくりの子がいたのですが、ひたすらその作業をした後で、それまで知能テストで悪い点だった空間上の位置を理解したり、記憶したりすることができるようになったのです。
また、アニメのキャラクターのポスターを見るのに凝っていた知的ゆっくりの子は、それに熱中したあとで、ひらがなや漢字を覚える力が急速に伸びました。

子どもがしつこく繰り返すことに注目し、それをやめさせるのではなくて、その作業が含んでいる深い意味を読み取って、その作業からより多くのことを学べるように環境を整えてあげることが大切だと思っています。