虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『未来のだるまちゃんへ』メッセージ

2022-06-23 11:45:25 | 教育論 読者の方からのQ&A

 『だるまちゃんとてんぐちゃん』などの人気絵本を世に送り出してきた、かこさとしさんの『未来のだるまちゃんへ』で先生方に向けて書いたメッセージを読んで、考えさせられました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今は学校の先生方も忙しくてそれどころではないかもしれませんが、本当は生徒さんたちがひとりひとり、どんなものが好きで何に関心を抱いているのか、その生態を見極めて、先達としてうまいこと導いてあげられないものか。

型にはまった目標を掲げて、お尻をひっぱたくだけでは才能があっても埋もれたままになってしまっている気がする。

 「君が持っている、ものすごい鉱脈はそれだよ」

そう気づかせてやることさえできれば、子どもは、大人が叱咤激励なんかしなくたって自分からぐんぐん成長していけるのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 このメッセージは先生方だけでなく親や身近な大人たちみなが、大切に受け止めていく必要があるな、と感じました。

 

子どもたちが自分で自発的に花開いていく糸口をつかむ前に、外注して解決していく手立てがあふれるほどあって、子どもが自分で見つけるのを待っていられない風潮がありますから。

 

 『未来のだるまちゃんへ』にこんなエピソードがありました。

あるとき、かこさとしさんは、とにかく子どもたちと遊ばなきゃと、材料がなかったので、新聞を人数分に破いて、「この中に数字があるのを見つけて、多い人が勝ちだぞ。さぁ、用意ドン!」と言ったそうです。

そんなたわいのない遊びでも、子どもは「僕が一番!」「ちっともないや」と、はしゃいで探していたそうです。

そうしたら「自分の方がもっと多い」という子がいて、のぞくと株式欄だったそうです。

「なるほど株式か。これが一番だな」と褒めたら、「株式って、なんだ?」と聞かれたそう。

その子のお父さんは日立造船に勤めていたらしく「お前のお父ちゃんはここに勤めているんだから、これを毎日調べてみろ」と言ったら、その子も自分の父親のことだから、グラフなんてかけと言った覚えはないのに、ちゃんと株やみたいにグラフまで書くようになって、そのまま続けていたそうです。

 

どちらかと言えば、学校の勉強はあまり熱心じゃない子でも、「これだ」と思うものを見つけさえすれば、そういうことが起きるわけです。

そんな例はいくらでもありました。

と、かこさんはおっしゃっています。また、

本人に興味がない時に、大人がちぎれるまで手をひっぱったってどうしようもない。

 とも。

(「昆虫好き」という子でも、「昆虫全般が好き」という子はまずいなくて、「バッタが好き」とか「セミが好き」とか昆虫好きになったきっかけになった何かがあり、それについてはピンポイントで大人顔負けにくわしかったりします。)

 

「なんで好きなの?」と聞けば、そこにはきっとその子だけの物語が浮かび上がってくるはずです。

子どもにはそうした秘めた力があって、糸口さえぱっとつかまえたら、あとは自分自身の力で伸ばしていく、自分で探求し伸びてい行くことができるのだと思います。

自分から興味を抱いたものを調べて、どんどん深めていく時の充実感というのは、その子の生きる喜びにもつながっているのでしょう。

子どもの顔が急にいきいきと輝きだすのがわかります。

 

といった言葉は、虹色教室でも、何度も何度も、目にして感動してきたことでもあります。

 

少し前に成長とは自発的に花開くこと」というかこさんの言葉を強く感じた出来事がありました。

教室に小学校にあがるまで、1語文か2語文を話すのがやっとだった重い自閉症のAくんという男の子がいるんです。

その子のお母さんの子育てがまさに、かこさとしさんがおっしゃるような視点によるものでした。

小学校中学年になったAくんは、3ケタの計算をしたり、みんなの前で歌を歌ったり、さまざまなゲームや頭脳パズルを楽しんだり、ブロックですごい作品を作ったりするようになり、人と関わることを心から楽しんでいるのがわかります。

その成長のひとつひとつには、ささいな見落としてしまいそうなきっかけがありました。

たとえば、Aくんは地理に興味を持つようになったのですが、そのきっかけは「北海道」の地図の絵が描いてある大好きな蒸しパンだったそうです。

Aくんは特性のせいで、興味の対象がどうしても狭くなりがちなのです。

それで、Aくんが、いつも北海道の地図の絵がついている蒸しパンが好きなことから、親御さんたちは思いきって北海道旅行を計画しました。

といっても初めてのことにパニックを起こしがちなAくんを連れての旅行は、それは大変なものだったようです。

同時に、準備をし、工夫をし、問題にぶつかったら家族で解決しながら乗り越えて、旅行がうまくいった後で、Aくんの興味関心と自信は大きく広がっていました。

Aくんは学校や虹色教室でのさまざまな新しい課題に積極的に取り組むようになってきました。

以前はむずかしすぎてすぐにあきらめていたグラビティ―・メイズという頭脳パズルの問題を次々と課題を解く形でクリアーしていきました。


かんたん紙コップ工作♪ 雨ふらし機+いろいろ楽しめる!

2022-06-19 13:37:37 | 工作 ワークショップ

2歳児さんたちが、とても満足する工作です。

とんがったえんぴつで紙コップの底に穴をあけます。

上から力を入れるだけで穴があくので、これができるようになった2歳の子たちはコップの底にたくさん穴をあけたがります。

コップに水を入れると、雨が降ってきますよ。

 

<2歳児さんの発見>

2歳のAくんが作った雨降らし機で遊んでいた時のこと、Aくんがコップを水の中に沈めようとしました。すると、コップ内の穴から水が、噴き上がってきました。

「噴水!」Aくんがうれしそうに声をあげました。

 

そうして遊んだあとで、紙コップに自分でしゃぼん玉を膨らませてもらいます。

<遊び方>

1. しゃぼん玉液(台所洗剤を少しだけ溶かした水かせっけん水)に、穴をあけた紙コップの底をつけます。

2. ボウルなどに水を入れて、底にしゃぼん玉液をつけた紙コップを、写真のように逆さにした状態でつけていきます。

3. 水に空気が押されてしゃぼん玉が膨らみます。

不思議で楽しい実験です。


ジオラマ作りに夢中

2022-06-15 13:39:20 | 通常レッスン

小3のAくんとBくんのレッスンで、(一緒に来ていたAくんのお兄ちゃんも手伝ってくれています)ジオラマを作って遊びました。

最近、教室で話題に上ることが多い、明石海峡大橋と瀬戸大橋をイメージして作っています。


勉強が好きになるまでのプロセス 2

2022-06-13 15:18:14 | 教育論 読者の方からのQ&A

前回の記事にこんなコメントをいただいたので紹介します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「間違っていてもいいからやる気があふれだしている状態」

↑これがすごく大事なんだな〜って最近ひしひしと感じています。

先生もご存知の通り、娘の書く漢字の中には不思議な形の物がチラホラ、、、(;^ω^)
でも何故か漢字の練習を頑張らせよう、とかいう気になれず、しばらく様子見、、

すると案の定、個人面談で先生に「漢字がちょっとね、、、漢字の書き取りをご自宅で頑張らせて下さい」言われました、、、
勿論、はい! と返事をし、で、そのまま何もやりませんでした(;^ω^)

それから約一年は見るも無残な点数ばかりで酷い状態でしたが、何故か私も娘もち〜っとも気にならず、、、

そうこうしているうちに娘の方が自発的に漢字の書き取りをするようになり、今ではほぼ毎回満点(*^^*)<
しかし、私は勉強の事で特に褒めた訳でもなく、どちらかというと、「プリントくらいやりなさいよ!」と怒っていましたが、、、

では、何が娘をヤル気にさせたんだろう、、、???

「○○はいつも頑張ってるね!頑張り過ぎてない?息抜きも必要よ〜」と、毎日労いの言葉をかけていたから?
はたまた突然ヤル気を出してほぼ毎日やっている習い事のおかげ???
↑これがヤル気が溢れ出した状態なのかしら、、、?

理由はよく分からないままですが、一つだけわかっている事は、私が無理矢理漢字の書き取りをやらせていたらこうはならなかっただろうな、、、です。(;^ω^)

漢字のみならず、他の勉強も自発的にやってくれる日が来るのかな、、、にわかに信じがたいのですが、、、今は淡い期待を抱きながら日々過ごしています(*^^*)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

前回までの記事で、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

遅ればせながら大逆転を遂げる子たちには、それが先に書いた「間違っていてもいいからやる気があふれだしている状態(やる気がからぶり状態)」をしばらく過ごしているという共通点があります。

また、親や学校の先生や友達から一目置かれて認められていて、周囲の愛情を肌で感じられる状況があり、ありのままの自分を表現できる場がある点も共通しています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

といったことを書きました。

書きたかったことは、子育てで同様の経験をした方以外には伝わらないだろうな……と思っています。

どうして伝わらないなどと消極的なことを言うのかというと、この状態は、「できなくてもくじけずに意欲的に取り組んでいる」という、一般的に言葉からイメージするであろう状態とはちがって、はっきりとはわからないけれど、

「子どもの脳の中で新しい回路が開発されつつあるんじゃないか」

「幼い子たちの敏感期や集中現象に似ている」

と感じさせるもので、これまでそれについて言及されるのを見たことがないからです。

 

虹色教室の特徴は、ひとりひとりの子と長い期間関わることが多いことです。

1、2歳の頃出会って、それから10年あまりの年月、見守り続けることもめずらしくありません。

もうひとつの大きな特徴は、子どもとの関わり方が多岐にわたっていることです。

工作したり、実験したり、ゲームをしたり、ブロック遊びをしたり、ごっこ遊びに興じたり、算数を学んだり、お泊まりのレッスンに行ったり、それぞれの子のその時期の興味やニーズにそった活動をしたりしています。

そんなふうに、幼い頃から大人のような口をきくようになる頃まで、その子がどんな風に成長していくのか見守りながら年月を重ねるうちに、子どもというものやそれぞれの子の個性、子どもの育ちというものに対して、深い信頼感や安心感や、自然を前にして感じるような敬虔な気持ちを抱くようになりました。

というのも、どんなに今、目の前の子の問題行動が目立っていても、できないことばかりが目についても、子どもは成長の過程でそれを取り戻すかのような劇的な成長の時期が訪れたり、個性の力で、不利な条件を利用して、他の子らが真似できないような面を大きく伸ばしたりする姿を何度も目にしてきたからです。

 

戸塚滝登著の『子どもの脳が学ぶとき』に、数学者のシーモア・パパートの『パパートの原理』がの一部が紹介されています。

 

子どもの脳は単に知識を詰め込まれるだけでは発達できず、その知識を使うための知識(より良い方法を見つけたり、発展させたりする体験などの知識)を与えられない限り、うまく成長することはできない」という考えのことです。

 

子どもの脳は単に新しいスキルや知識を身に付けるだけでは成長できない。

「知識を使いこなすための知識」「知識についての知識」を学ぶことも、子どもの脳の発達にとってかけがえのないステップになる。

ーー『子どもの脳が学ぶとき』戸塚滝登著

 

この著書には、脳神経科学者、ジュディス・ラポポートとジェイ・ジードの脳スキャナーを使った脳発達の研究の話題も取り上げられています。

ラポポート博士が、普通のIQの子どもたち、ややIQが高い子どもたち、最もIQが高い子どもたちの3つのグループに分けて子どもの脳発達と知能指数との関係を追跡したところ、もっとIQが高い子どもたちにだけ、奇妙な現象が見つかりました。

それは、IQの高い子どもたちの脳ほどスロースペースで成長し、思春期がやってくるまで成長をやめなかったということです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

虹色教室では、先に書いたように長い期間、多岐にわたる活動を通して子どもたちとかかわるため、知識を使うための知識、つまり知恵を獲得していく場面にしょっちゅう遭遇します。

また、教室では、子どもがよりよい方法を見つけたり、オリジナルアイデアをひらめいたり、問題の解決法に気づいたり、それらを繰り返しによって洗練させ、より高度なものへと発展させていけるように環境を整え、私自身や親のスキルアップに努めてもいます。

最近、10年以上続けてきたそうした活動が実を結び、思った以上の成果を得るようになったのを肌で感じています。

その一方で、新たな問題に頭を悩ませてもいます。

「教室での子どもたちとの関わり」という現場の仕事について経験知が上がるにつれて、ブログを読む不特定多数の人々に伝えることがより難しくなってきたのです。

子どもの成長のスイッチはいつどんな時、どのような条件で入るのか、子どもとの関わりでどんな点に気をつけていけばいいのか、現場の子どもとのやり取りのなかでは正確に把握できても、それを言葉でさらっと説明すると、どうしても言葉足らずになってしまうのです。

虹色教室通信は、そうした 現場での気づきを日誌のようにつづっているものです。

忙しい日は日誌というよりメモの状態でアップしています。

 

<補足>

断片的な日々の話題なので、もしもう少しまとまった形で読みたいという方は 、『子どもの考える力をぐっと引き出すお母さんの話し方』という本にこれまでの気づきをまとめていただいたので、手に取ってみてください。


勉強が好きになるまでのプロセス 1

2022-06-10 09:47:53 | 教育論 読者の方からのQ&A

算数のレッスンをしていると、見慣れないものを目にするたびに、よく見もしないで……また、数秒、考えてみることもしないで、即座に、「習ってない!そんなのわからん!」と突っぱねる子……(「習ってない!くんタイプ」とします)と、

やる気まんまんで、積極的に参加しているんだけど、考えていく手立てが身についていなくて、答えを間違ってばかりいる子……(「やる気がからぶりくんタイプ」とします)の2タイプの子たちがいました。

「習ってない!くんタイプ」と「やる気がからぶりくんタイプ」が、能力もできていることも同じくらいだったとすると、これから先の伸びとか可能性という面では、「やる気がからぶりくんタイプ」の方が利があるのです。

「習ってない!くんタイプ」は、チャレンジする前から、耳をふざいで、目を閉じて、心にシャッターをおろしちゃってますから。

でも、「やる気がからぶりくんタイプ」の方は、夢中になって関わっているうちに、体感が身についていったり、気づきが生まれたり、的確に指導することで、理解に至ったりするでしょうから。

ここで書きたいのは、だから、こんな口癖の子はダメだとか、この子の態度は丸でこの子はバツといったことではありません。

そうではなくて、子どもが「習ってない!くんタイプ」だった場合、次に通るべきプロセスは、間違っていてもいいからやる気があふれだしている状態で、それを存分にやりつくしてから、次の「理解した上で答えを導きだす」「慎重に忍耐強く考え抜いていく」「考えるための技能を身につけて解く」というプロセスへと移っていくといいのかな……と考えています。

 

幼児から小学校高学年くらいまでの子どもたちの育ちに付き合っていると、幼い頃は、他の子よりあれこれ遅れがあってやきもきした子も、一般的な子より数年遅れでそうしたあれこれに夢中になって、急激な成長を遂げる時期を経るのをよく見かけます。

もちろん、オールマイティーにできる子になるというわけではないけれど、苦手でできないように見えたことに、他の子が飽きたころに手をつけだしたかと思うと、いつのまにか苦手が得意になっている、できない→上手にできるに変わっている、という姿はめずらしくないのです。

虹色教室では算数の学習も見ているので、工作や遊びだけでなく、勉強においても同様の変化があって、勉強でつまずいてばかりいた子が、ある共通するプロセスを経て、いつの間にか勉強が大好きな子になっているのをよく目にします。

 

遅ればせながら大逆転を遂げる子たちには、先に書いた「間違っていてもいいからやる気があふれだしている状態」をしばらく過ごしているという共通点があります。

また、親や学校の先生や友達から一目置かれて認められていて、周囲の愛情を肌で感じられる状況があり、ありのままの自分を表現できる場がある点も共通しています。

 

「考える場面ですぐにシャッターを下ろしてしまう子」に対して、「間違っていてもいいからやる気があふれだしている状態」に移行させようと思う親御さんは少ないです。

たいていは、できないところをできるようにさせようとしたり、考えないでも解ける形に直して、暗記メインで訓練したりします。

あっちのいい方法、こっちのいい方法、あの習い事、この習い事……と、とにかく大量にインプットすることで解決しようとする方もいます。

でも、そうした方法は、一時的に効果が上がったように見えても、さらに考えることから遠ざける結果を生んでしまいがちです。

 

次回に続きます。