虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

「がんばり屋だけど考えるのが苦手な子」 「飽き性だけど頭の回転が速い子」

2018-11-09 16:40:02 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

子どもの個性も長所も十人十色です。

たとえば「がんばり屋だけど考えるのが苦手な子」

「飽き性だけど頭の回転が速い子」っていますよね。

「がんばり屋だけど考えるのが苦手」という子の長所は

「もっともっとたくさんしよう」「がんばろう」とするエネルギッシュさです。

といっても、勉強の場合、いくらがんばり屋でも 考えるのが苦手だと、

「考えなくてはならない問題」で先に進めないことが続くと、

勉強を避けるようになるかもしれません。

勉強以外のスポーツやお手伝いや携帯ゲームの攻略などでは

長所の根気のよさを生かすけれど、

勉強は苦手というタイプに成長するかもしれません。

かといって、「易しい計算問題ばかり」をスローステップでやらせていると、

ある時点で、考えなくてはならない文章問題の学習に入ると、

満点ばかり取っていて良くできると思っていたのに、

小学3年生くらいから、いきなり成績が急降下しはじめるということも起こります。

「がんばり屋でも 考えるのが苦手という子」の答案を見ると、

はりきってたくさん問題にチャレンジしているものの、

どれもこれも間違いばかりということがあります。

そんなときに、相手ががんばり屋さんですから、多少手厳しいことを言っても、

まじめで素直な対応が返ってくるものですから、

親もつい本人の心への配慮を怠ってしまいがちです。

せっかく自発的にたくさんがんばったという場面でも、

「何でこんなにミスばかりなの?」と本人が自分には能力がないと錯覚するような

ことを言ったり、たくさん×をつけて、「たくさんがんばれば、×が増えるから、

自分から努力すると損だ」と思い込むようなことをてしまいがちなのです。

学校の授業やテストでは、間違えた問題にすぐに×がついて、

間違いを修正するのは大事です。

でも家庭で自発的に学習する場合にも、身近な大人が

自分の「勉強とはこういうもの」というイメージを子どもに無理に押し付けていると、

子どもの長所が学習で生かせなくなってしまう場合があります。

 

カナダ人の心理学者アルバート・バンデューラが提唱した感覚に、

自己効力感というものがあります。

自己効力感とは、「外界の事柄に対し、自分が何らかの働きかけをすることが

可能であるという感覚」

「ある具体的な状況において適切な行動を成し遂げられるという予期、および確信」

いったものです。

 

勉強の場面で、過去に「自分の強みを発揮して成功できた」という体験がなければ、

次に「きっと自分にはうまくできるから、がんばろう」と自発的に取り組む動機は

生まれてきませんよね。

 

私は、学習の場面で、子どもに「自己効力感」が身につくまでの間は、

「最初が肝心だから、ミスはその都度きちんと直しておかないと」とか、

「たくさん失敗しても、それを乗り越えられる強い子になってほしいから」

といった大人の持っている学習へのイメージを、

子どもが「自己効力感」を得るか否かよりも優先しない方がいいと思っています。

私たち大人でも、外国の方を相手に、勇気を持って習いはじめの外国語で

声をかけたとき、間違いを馬鹿にされたり、注意されたり、

何度やっても通じなかったという体験が続けば、

それでもがんばって話しかけ続けるか……というと難しいのではないでしょうか?

でも、相手が外国の子どもだった場合、こちらのミスをいちいち気にしていないとしたら、

たくさん話しかけるうちに、自分は外国語で会話ができるという自信がつくし、

回数を踏むうちに、上手に正しい使い方ができるようになってくるかもしれません。

「自己効力感」がないまま、何年、英語を学んでも、

外国の人と会話のキャッチボールをするのは難しいのかもしれません。

 

多くの勉強が苦手な中高生は、

知的なハンディーキャップを持っている子ばかりではありません

また、発達障害があって、努力や計画的に物事を進めることに

ハンディーキャップがある子ばかりでもありません。

ごく普通の小学生の頃はがんばり屋で成績も良かった子の多くが

「勉強ができない子」に成長しているのです。

その原因には、日本の教育では、個人個人の「自己効力感」より、

集団に通用する「教育ってこういうもの」という大人が信じやすいものを

優先しすぎているからのように思います。

 

私は 子どもの個性はさまざまですから、集団の場でない限り、その子が

「自分の有能さ」を感じ取れるような勉強が必要だと思っています。

本来なら、集団の場でも、「みんなから認められている」「自分は有能だ」という

フィードバックを得る体験がたくさん必要だとも思っています。

勉強の場で、「自分の有能さ」を発揮できるという確信が、

いくつになっても自発的に学び続ける姿勢を育てるからです。

一方で、いつも先に解き方を暗記させておいてから良い点を付けていく

スローステップの学習で、「考えない」癖をつけてしまうことも問題だと思います。

このさじ加減は難しいので、何度かに分けて詳しく説明させていただきます。

 

「飽き性だけど頭の回転が速い子」っていますよね。

さまざまな新しいことをやりたがってチャレンジ精神旺盛なのはいいのだけど、

やる前は、大騒ぎして、「どんな苦労もいとわない!」という様子だし、

やってみると人一倍、呑み込みもいいのに、すぐに飽きて放り出してしまう子。

目ざとくて、知恵もよく働くけど、気が散りやすくて怠けがちな子。

こういうタイプの子って、お友だちが習い事をしているのを目にすると、

すぐに自分もやりたがって、泣いて騒ぐことがよくあります。

「それならと……」習わせると、少しすると、今度は練習や宿題が嫌で、

毎日、親とバトルになるという結末をたどりがちです。

通信教材もしかり。「ぜったいがんばるからやらせて!」と

地団駄を踏んでいたのもつかの間、教材を取り出したとたんに、

ほとんど手付かずのまま溜め込んでいくものです。

 

注意が必要なのは、「自分がやると言いだしたんでしょ!がんばりなさい!」

「ちゃんとがんばればできるのに、努力が足りない!」と叱り続けるうちに、

幼い頃は自分から知的なことに何でもチャレンジしたがっていたのに、

大きくなるにつれ、勉強に関わることは自発的にチャレンジするのを避けるように

なってくることです。

その代わり、後々、「やる、やらない」で揉めたり、

「やめたい、しんどい」と悩んだりしなくてもいいテレビゲームや買い物などでは、

相変らず、ごね続けるようになりがちです。

 

飽き性の子に、我慢することや努力することを、しつけていくことは大事です。

けれども、現代は大人と子どもの境界線が薄れていますし、

幼い子も消費のターゲットになっている時代ですから、

「あなたが自分でやるって言い出したんだから、すぐに投げ出さずにがんばりなさい」

と叱ると、年齢不相応な自己責任の押しつけになってしまうことも多々あるのです。

 

3歳、4歳、5歳といった子が

「お友だちといっしょにリトミックを習いたい」とごねたところで、

その子の年齢だと、

「お友だちが公園に行ってるから私も行きたい」とごねているレベルの先の見通ししか

持っていないものです。

まだまだ、自分に何が合っているのか、どんなことなら長続きするのか、

何をすると一番がんばれるのかといったことを、

いろいろ試してはやめて、夢中になっては卒業して、より自分を成長させることが

できる何かを、外にも、自分の内側にも探索していく時期なのです。

 

それなのに、大人の世界が幼い子の暮らしにまで浸透して、

子どもの習い事に、ママ友同士のおつきあいが絡んでいたり

子ども向けの商売のシステムのせいで、

幼児が数年計画の責任感を問われることになっていたりするのです。

 

「飽き性だけど頭の回転が速い子」の長所は、

新しい興味の対象に向けるエネルギーの強さです。

「やりたい!」と言っているときのエネルギーと、

やりはじめた当初のエネルギーが維持されたら、

この子はどれだけ賢くなることか……?と感じている親御さんは

たくさんおられることでしょう。

私は、あまりお金などの負担がかからないことでいろいろチャレンジさせてみて、

やってみたり飽きたりを繰り返しながら、

「こういうことならがんばれそう」「自分が生かせそう」という

自己効力感を得られるものに気づかせていくことが大事だと感じています。

 

勉強で、基礎を繰り返し学習するのを極端に嫌がる場合、

「あなたは勉強嫌いの悪い子だ」

「あなたは怠けもので、こんなことをしていたら将来勉強が苦手になってしまう」

というイメージを植え付けないように気をつける必要があります。

このタイプの子は、易しい問題と難しい問題が混在したワークで、

「好きなものを1問選んで解いてね」と言うと、

ちょっとひねったものを選んで解いて、

それを機会に「もっと解きたい」と言い出す場合がよくあります。

 

子どもの学習に構いすぎるのもよくないのですが、

義務を無理強いして大の学習嫌いにさせるよりも、

長所の頭の回転が良さを使って、知的な課題の面白さに気づかせることが

大事だと思っているのです。

飽き性って悪いことばかりじゃなくて、

執着心のなさや、自分によってより必要なものを見極めていく力や、

好奇心の強さとも関わっているものです。

今、自分にとって一番重要な目的に全力投球できる能力でもあります。

短所に見えるところも、罪悪感を植えつけず、大らかに関わっていると、

そのように良い資質として使っていけるようになっていきます。

 

うちの子たちにしても、飽き性とはちょっと異なるのですが、

コツコツがんばることが苦手です。

ですから、決まりごとや義務が多い場では、

欠点ばかりが目立っていた時期もありました。

でも、ゆっくりと長所も欠点もどちらも大切に育てていくようにすると、

長所だったものはもちろんですが、短所と思われていたものが、

自分で目的を定めたり、深く考えたり、創造的に解決したり、学び続けたりする

原動力となっているのがわかるのです。

 

わが子が、子どもとは呼べないような年齢になると、

子どもに対して親ができることは本当にしれていて、

役に立つのは信じてあげることくらいだと気づきます。

子どもは本当に自分がなりたいものに向かって、自分の力で成長し続けていくのです。

コメント

『マイコ―雑記』の長岡真意子さん の 子どもとの関わり方講座がはじまります

2018-11-09 08:57:39 | 連絡事項

こちらのブログで何度か紹介している『マイコ―雑記』の長岡真意子さんの

子どもとの関わり方講座

の募集がはじまります。

興味のある方は、ぜひ、

「子どもとの関わり方講座」&「子育ちコミュニティー」始動のお知らせ

に飛んでみてくださいね。

私は、1月22日と23日の子どもたちのお世話(&遊び)を手伝わせていただこうと思っています。


「子どもとの関わり方講座1-4

この講座は、次のような方に役立てていただけます:

・子どもが主体的に伸びていく関り方を知りたい方

・罰・報酬・脅し・恥を与える以外の「関わり方」を身に着けたい方

・子どもに感情をぶちまける頻度を減らしたい方

・子どもを観察するポイントを知りたい方

・「無条件の愛情」の伝え方を知りたい方

・親自身のケア方法を知りたい方

・子育て仲間と話し合いたい方

・もっと肩の力をぬいて子育てを楽しみたい方
 
 

講師 長岡真意子プロフィール:

『ユア子育ちスタジオ』代表。子育ち研究家。幼児教室主宰から大学講師まで、幅広い年齢と文化背景を持つ乳幼児から青年までの育ちを20年間指導。国内外1,000以上の文献に基づく子育てコラムの大手ウェブサイト連載等執筆多数。マインドフルネス・ティーチャー。高校教員免許有。名古屋大学大学院修士課程修了(文化人類学専攻)。プライベートでは、成人してからの努力で専門職についた重度学習障害を持つ夫と、ギフテッド認定を受けた個性はじける2男3女を育てる。長男は高校時代起業し2018年に米国超難関大学合格、現在米国東海岸からアラスカまで6,870㎞を3か月間自転車旅準備中。

 

日時:

   123日(月)10301230「子どもとの関わり方講座1」&遊び場12:30-1330
 124日(火)10301230「子どもとの関わり方講座2」&遊び場12:30-1330
 125日(水)10301230「子どもとの関わり方講座3」&遊び場12:30-1330
 126日(木)10301230「子どもとの関わり方講座4」&遊び場12:30-1330
 1211日(火)10301230「子どもとの関わり方講座1
 1211日(火)13301530「子どもとの関わり方講座2
 1212日(水)10301330「子どもとの関わり方講座3
 1212日(水)13301530「子どもとの関わり方講座4

20191月から3月までの予定はこちら です。(若干変わることがあります)

 
 

場所:

東京都渋谷・代官山駅周辺。申し込み確認後、詳細をお送りします。

コメント

縄文時代ブーム

2018-11-07 19:40:29 | 通常レッスン

娘が大阪府茨木市の山間部に位置する『まだま村』という藁葺屋根の古民家の中で、

縄文時代の食事ができるカフェに行ってきたそうです。

「竪穴式の住居がすごかった」と感動していました。


まだま村のホームページ


縄文ランチ


虹色教室では、今、土器づくり。古墳づくり。埴輪と土偶づくり。

遺跡のなぞ調べなどがブームです。

興味のある方はぜひ縄文ランチを味わいに行ってみてくださいね。




コメント

2歳児さんたちの数の敏感期のおしゃべり、遊び方。

2018-11-01 09:15:54 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

2歳になったばかりのAくんと2歳4か月のBくん。

言葉が爆発的に出始めたAくん。とにかくしゃべりたくてたまらない様子です。

AくんもBくんも2歳のお誕生日を迎えて、サイズと数にとても敏感になっている数の敏感期特有の遊び方が目立ちました。

道路の板の上にミニカーや電車を走らせていたので、ブロックでトンネルを作ってあげたところ、

Aくんが2度車をくぐらせてから、大きな車をくぐらせようとしました。

すると、トンネルの天井にぶつかってしまいました。

すると、Aくん。

「できるよ。こうすればいいんだね」といって、ブロックをつぎたそうとしました。

ところが天井部を高くしてしまいうまくいかない模様。

でも、サイズが合わない時に、大人がサイズを調整する姿を見てきて、自分でも真似して

調整しようとしたようです。

AくんもBくんもお兄ちゃんたちの遊ぶビ―玉転がしのおもちゃで遊びたくてたまりません。

大きな玉をレールに乗せようとして、「ちがうね。大きいね」とAくん。

よくわかっています。

レールの隙間に緑色の毛糸のボールが詰まっていました。誰かがいたずらして詰めたようです。

二人が気にするので、ピンセットを用意してあげると上手につまんで取っていました。

「ピンセット」という言葉も真似てうれしそうでした。

 

 

「指は10本」と動物の小物を指先に置く遊びが気に入っていたので、積み木を10個並べると、

熱心に動物のおもちゃをひとつずつ乗せていました。

工作では「くつやさん」と「ぼうしやさん」をしました。

足形を取って、切り抜き、細く切った紙を足のサイズに渡して、サンダルを作るのです。

これはBくんがそれは気に入っていました。

Aくんの足形も自分で取っていました。

Bくんが4ピースの猫のパズルをした後で、次に6ピースの犬のパズルをしたがりました。

それが、この犬のパズルの表面をめくってしまった子がいて、1枚だけピースの絵がなかったんです。

それで、「このパズルはもう捨てておくね。別のパズルを用意してあげるね」とBくんに言ったところ、

真剣な訴える顔でじっと私を見ていたBくんが、

「なおして!」と言いました。

「そうだったね。捨てたらいけないね。なおそうね」と謝って、ピースに足りない絵を描くことにしました。

すると、Bくんも大好きな黄色の色のマジックを持って絵を描くのを手伝いました。

そうしてできあがったパズルを完成させて大満足のBくん。

2歳児さんたちも、いろいろな自分なりの思いを抱いているんだと感じました。

 

2歳のCちゃん。犬のぬいぐるみたちの服を着せたりぬがせたり。お世話でおおいそがしです。

いっしょに犬を運ぶかごをおりがみで作りました。

せっせせっせと椅子を移動させるのが楽しくてたまらないCちゃん。

がんばったお仕事と記念撮影。

こうして自分のやりたいことをいっぱいした後は、急に難しいことにチャレンジしたくなるようです。

お姉ちゃんたち用のゲームやパズルも出して遊んでいました。

 

コメント

漢字の工場が作りたい♪

2018-10-23 09:31:06 | 工作 ワークショップ

小学1年生の子たちのレッスンで。

名古屋から通ってくれているAくんが、「漢字工場が作りたい」と言いました。

「漢字工場?いいアイデア」Bくんもそれに飛びつきました。

武器作りがしたかったCくんは、「今日は武器でないものを作る。できれば、漢字をテーマに

して作ることにしよう」という縛り

(Aくん、毎回、武器を作りたがるので、何回かに1回はこうした

縛りを設けて関心を広げています)に不満そうでしたが、

朝のレッスンの子が作っていたミョウバンの結晶を眺めるうちに、

「そうだ!漢字の結晶を作ろう!」とひらめいて、乗り気になりました。

写真を撮りそびれて残念ですが、「田」と「山」を作っていました。

 

Aくんの漢字工場。ベルトコンベアーで漢字を運びます。

 

Aくんの4年生のお姉ちゃんがいっしょに遊びに来ていました。

ストローで開閉する仕掛けを作って

漢字パズルを作っていました。

 

 

下は1年生のBくんの作品。

Bくんは毎日、時間さえあれば何か作っているという男の子です。

大人がおもいもよらないような発想で、ひとりでもりもりと漢字工場を作っていました。

磁石で引き寄せられる漢字のへんとつくり。

 

段ボールを開閉すると、漢字がコップに吸い付くらしい。

ストローで移動する漢字。

コメント