虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

アメリカに住むことと算数の感性

2011-12-20 07:57:26 | 算数

シアトルの幼稚園で工作のワークショップを開いたときのこと、

ちょっとした算数の指遊びもしました。

すると、とてもしっかりしている4、5歳の子らも

目で見て、「3だな」「2だな」と直感的に気づいたり、

「あといくつで5かな?」「今、3つあるけど、その前に2つお友だちにあげたんだよ。

最初はいくつあったと思う?」と問われて

見えない数を推測することが苦手なようでした。

 

もちろん日本に住んでいる4、5歳児もそうした数の感性が身についている子もいれば

いない子もいます。

でも、アメリカに住んでいる子たちの反応を見て

「あれっ?」と感じたのは、

同じようなものの差異に日本にいる子たちのように注目しないんだな、

ということです。

2の指と3の指のちがいとか、

4人と5人のちがいといった

微妙な差異は、「おんなじようなもんじゃん!」といった

大雑把でざっくりした捉え方をしているように

見えるのです。

そうした小さな差異に注目しないというか、気づかないというか……。

そのことが気になって滞在先のAさんに、

「アメリカに来て、どこへでかけても、

ひとつひとつの物の個性はドーンと目に飛び込んでくるのだけど、

よく似たものの繊細な違いに気づいたり、

目で見るだけで数を感じるような体験が少ないような気がします」

と伝えました。

するとAさんも、「確かにアメリカでは小さな違いに意識を向けるなんてことはないかもしれない。

アメリカでは砂糖をほんの少しなんて言い方をしても

大きな注ぎ口からザーッと入れちゃいますからね。

スーパーで並んでいる商品はたいてい大袋に入っているし、

日本のように、ひとりいくつずつなんて考えずに

それを大皿に盛って取り分ける場合がほとんどですよ」

「それでは子どもは何かと何かの小さな違いや、

数の増減に気づく機会がなかなかないかもしれませんね。

アメリカでは算数の宿題をコンピューターのゲームでする学校もあるようだから、

そうして問題として提示されるものに

反射的に正しい答えを出すのはいずれ上手になっていくのでしょうね。

でも、体感として生活のなかで、

小さな差異に注目したり、それを話題にしたり、それについて意識する体験は

少ないのかもしれません。数の敏感期のようなものも

身近にいる人が子どもの環境や働きかけにちょっと気をくばってあげないと、

たとえ敏感な時期であっても、それが外にあらわれにくいように思いました。

 

<算数が得意になる幼児の暮らし> 過去記事から

 

幼児期、毎日のくらしのちょっとした工夫で、

算数大好き♪
算数が得意♪

という子になるコツを、いくつか紹介しますね。

算数が得意になるには、
「交換」に対するイメージが
とっても大事です。

中学生の関数の学習や方程式になっても、

ある点を別の言い方であらわしていく
ある数を別の言い方で言い換えていく

という交換のイメージがつかめているかが大事なんです。
もちろん、小学1年生の学習でも、小学校受験でも、
交換のイメージがきちっとつかめているかは、
重要課題です。

小学校受験の場合、きりんマーク1つ = 赤い丸2つ
         くまマーク1つ =赤い丸3つ

きりんマーク2つでは、赤い丸はいくつか
くまマーク3つでは赤い丸いくつか

といった問題を解く力が必要です。
小学生のくりあがりくりさがりでは、
1円10枚と10円ひとつを交換できることが
わかる力が必要。
もちろん高学年になっても、算数の難問は、
イメージを交換し続けていくことで解けていきます。

そんな大切な交換のイメージ……幼児期にたっぷり経験させてあげたいですね。

☆切符を買う

☆ガチャポンをする

☆自動販売機でジュースを買う

などは、普通の買い物より、交換がわかりやすい体験です。

また、コインやシールをいくつかためさせて、
何かと交換することを、生活の中で、ちょこちょこ増やすといいかもしれません。
大人の世界のクーポン感覚のものより、
遊び心がある楽しいものがいいです。

おりこうにしていると、宅配便が届いて、
3個ハンコを貯めたら、水遊びさせてあげるとか……

宅配便は、もちろんそこら辺にある空き箱です。

子どもは夢の世界に生きていますから、
あんまりリアルすぎる設定ではなく、
心が暖かくなるようなアイデアの中で、想像したり計算したりする
力が育ってきます。

子どもが開いている
ジュースやさんでジュースを3杯頼んで、
入れてもらったらキラキラした大きなコイン(折り紙製の巨大コイン)と交換というのもいいですね。

幼児教材等の大人の満足を想定したものは、
子どもの想像力を奪うことも多いと思います。

幼児は明るくて優しくて何でもできてしまう
不思議な世界に生きているので、
そうした世界に大人の方が入っていく必要があるのです。
そうすれば
たちまち算数も国語も理科も社会も、
子どもが自由に扱えるおもちゃになっていきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

2,3歳児向けの算数問題

 

4歳児と数遊び


3~6歳の子と数の遊び 物の形

 

算数のお店屋さん(年中さんグループ)

 

 

考えるための練習問題(分ける)4歳~7歳

 

 


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ぱぐぱぐ)
2011-12-21 17:00:45
アメリカからの更新嬉しいです。イベントお疲れ様でした☆こんなところにもお国柄ってあるんですね、面白いです。細かいことに気づきまくる息子がアメリカに行ったらパニックになりそうです(笑)滞在はあと少しでしょうか?楽しんでくださいね。
ぱぐぱぐ様 (事務K)
2011-12-21 18:12:48
先生は23日帰国予定と聞いていますから、もう少し…ですね。
Unknown (ROYママ)
2011-12-22 05:56:46

日本は
繊細であること
四季おりおりの変化が豊かであること

が素敵なところだと思っています。

私は4年間アメリカに住んでいましたが、
同じ桜を見ても、日本の桜とアメリカの桜は趣が違うのです。
アメリカ料理や各国の料理はすきでしたが、日本の料理のように繊細さはあまり見られませんでした。
アメリカでの生活は楽しかったですが、外から日本を見て気づいたところです。

日本の良さを守り続けていきたいです。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。