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奇跡の一本松

2013-07-19 08:40:00 | Weblog
      
              


 かの有名な、大震災の大津波にも負けず耐え残った岩手県陸前高田市の『奇跡の一本松』です。 
推定樹齢270年、樹高28メートル、幹の太さは90センチです。

 震災前、ここ高田松原は約七万本もの松が植えられていた景勝地でしたが、この1本を除いた全部が倒伏の憂き目にあいました。
この生き残ったど根性松は、被災地の人々に希望を与え震災復興のための象徴的存在となりました。
何を語らずともその姿は、逆境や苦難の中にある人々の大きな心の支えになったことでありましょう。

 しかし一本松は海水をかぶったため根が腐り立ち枯れて死んでしまいました。
奇跡の一本松は、厳密に言えば奇跡の存在ではなくなってしまいましたが、市は募金活動をしてお金を集め、防腐処理などを行い震災のモニュメントとして永久に保存することになりました。

 復元に関しては地域復興の方が大事ではないかという批判もあったようです。
30世帯分の仮設住宅になる寄付金が集まったようですが、一本松は震災伝説としての重要な役割を担うので、地域復興を引き合いにするのは次元の異なる話ではないかと思います。
もし『奇跡の一本松』というネーミングは嘘だと言う批判があるのなら『レジェンド・オブ・一本松』にしたらいかがでしょうか?
とにもかくにも復元処理が終了し一般公開が始まりました。
夏休みの観光客の増加を見越して期間限定で臨時の『奇跡の一本松駅』の設置も決まりました。

  震災後何度かこの辺りを通り『奇跡の一本松』を目にしていましたが、モニュメントとなった一本松を見るのは今回が初めてです。
陸前高田市は、震災の大津波によって市中心部の施設や市庁舎等すべて流失しました。
市街地は未だに荒涼たる風景が広がっていますが、その中でひときわすらりと背の高い一本松は大変目立つ存在です。

 この場所に立つと、青々と美しかった高田松原が目に浮かびます。
この足下に何があり何が起きたのか、失ったものは一体何だったのか・・・思いを巡らすだけで辛くなります。
あまりにも寂しすぎる風景なので、この一本松からは復興への希望とか生への強いエネルギーを感じることは出来ません。
私が感じたものは、この荒れ地の中でたったひとり、永遠に孤独の世界に閉じ込められてなお耐えていかなければならない一本松の諦念のようなものでした。
やりきれないけれど生きていくしかない」という逃げることの許されない生命の本質を、一本松は訴えているかのようでした。

一本松から受ける印象は人それぞれによって違うと思います。
人々の背負っている人生が投影されるのかもしれません。


 そして近くでこんなものを見つけました。


       


 これは未だに行き場のない松の墓場のようです。
写真では広さが分からないかもしれませんが、大量の松の木や根の残骸が放置(いや管理か?)されていました。
おそらく簡単に処理することは出来ないものなのだと思います。
これらを鬼籍の千本松とでも名付けましょう。

 伝説となるもの、折り重なって朽ちて行くもの、この対比を同じ場所で見せられるのはかなりショックです。
これはなんとかならないものでしょうか。