穏やかな天気だった元旦から、一夜明けて景色が一変しました。
盛岡地方の積雪量は33センチ。
苦手な雪かきを、ため息をつきながら何度もやりました。
でも日本海側の地域や北海道の方々のご苦労を思うと、まだこれぐらいで音を上げる訳にはいきません。
ところで北海道人たちと話をすると、ほとんどの人が「雪かき」のことを「雪はね」と言います。
「雪はね」って?
雪の上で跳ねながら除雪する?
除雪した雪が空中をキラキラ舞う。雪羽根?
みんなで並んで雪をはね飛ばしながら除雪する?
なんだかとても楽しそうな様子が浮かんできます♪
「雪はね」は道産子のnihaoにとっても耳にしたことがない言葉だったので、初めて聞いたときは驚きました。
私の子ども時代には、両親も地域の大人たちも、除雪に関しては皆「雪かき」という言葉を使いました。
「雪はね」という言葉はなかったので、これは新しい方言ではないでしょうか?
道具などの進化によって「雪はね」という言葉が生まれたのかもしれませんが、はたしていつ頃から使われるようになった言葉なのか、知っている方がいらしたら教えてください。
「雪はね」はとても美しい言葉だと思います。
北国の人々の果てしなく過酷な営みである除雪が、この美しい言葉によって気分だけでも少し軽くなり、明るく楽しく立ち向かうことが出来ますようお祈り申し上げます(と言っても現状は少しも変わらないけれど...)
ところで私は、岩手に来て初めての冬を迎えた時、オットーに提案したことがあります。
「北海道の男たちは女性には決して雪かきをさせない。私は父からも兄弟たちからもスコップすら持たされたことがない。岩手の習わしではどうか知らないが、ここは北海道式でやっていかないか?」
オットーは、私の話を聞いて北海道の男たちの優しさと逞しさに感動いたしました。
「岩手の男たちも負けられない!オレたちだって決して封建的ではないのだぞ!」
それを証明するために、オットーは私の要求を黙って呑むしかありませんでした。
それからというものどんなに大雪の日でも、オットーひとりで雪かきをするのが我が家のうるわしい習慣となりました。
ああ、確かに大変だけれど...しかし同情を寄せていただくほどのことではありません。
幸いにも岩手は降雪量が少ないので、雪かきをするのは年に数回のことなのです。
しかし時は巡り、オットーの健康にもあちこち翳りがさしはじめ、ついに大病を患いました。
病気は奇跡的に回復し、元気で現在に至っていますが、医師から禁じられていることがたったひとつだけあって、それが「雪かき」だというから皮肉なものです。
オットーの胸部にはAED(自動体外式除細動器)が挿入されています。
雪かきのような姿勢を長時間続けることは、彼の持病に何らかの悪影響を与えると思われます。
故に現在は立場が逆転。雪かきはすべてか弱き私の仕事となりました。
窓辺に立ったオットーが、毎回偉そうに司令官のごとき指示を出すので頭にきます。
でも因果応報というのは、きっとこういうことを言うのでしょうね。
えっ?[北海道の男たちは女性には決して雪かきをさせない]って本当かって?
あはっ、そんなこと嘘に決まっているでしょうが