風景 山村暮鳥
いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな
いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな
いちめんのなのはな かすかなるむぎぶえ いちめんのなのはな
いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな
いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな
いちめんのなのはな ひばりのおしゃべり いちめんのなのはな
いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな
いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな
いちめんのなのはな やめるはひるのつき いちめんのなのはな
ひらがなの並び方が何と美しい詩だろう!
菜の花畑を前にすると、この詩が自然と思い出される。
『やめるはひるのつき』と表現する詩人の孤高の魂に打たれる。
山村暮鳥の前衛的・実験的な作風は世間の悪評を浴びたが、萩原朔太郎や室生犀星らに大きな影響を与えたという。
この作品は音声表現に適していて、小学生が学習発表会で群読をしているのを聞いたことがある。
視覚・聴覚に訴えるリズム感と存在感、新鮮な感動が今でも忘れられない。
目の前に広がる菜の花畑に迷路のような小道がつけられていたので、分け入って踏み込んでみた。
頭上高くから聞こえる鳥の声、柔らかい春の光と風が心地よく、菜の花畑と一体化したような幻想的な気分になった。
.....いちめんのなのはな だれもいなくなった..... (by nihao)
小道を抜けると黒のジーンズが真っ黄色になってしまった。あらまあ!
この菜の花畑の反対側には.......
男たちが三々五々集まって釣り糸を垂れている光景が目に入る。
菜の花を背にして埠頭釣りが出来るとは、なんてお洒落な秋田港だ。
大物を期待するのはまだ少し時期が早いようで、どなたの魚籠も空っぽだったが、小学生の女の子が突然大きな鰺を釣り上げて、周囲からどよめきの声があがった。
市場で売られているような大きな鰺だ!
私も走り寄って、少女に惜しみなく称賛の言葉をかけた。
今回は釣りの下見のために秋田に出かけた。
山々は新緑が美しく、柔らかい新芽の色相が目に優しい最高の景観。
本格的埠頭釣りシーズン到来まであと僅かか?