[レビュー]
私たちが飲食するチョコレートとコーヒーには
涙がしみ込んでいる
登録:2023-12-02 07:01 修正:2023-12-02 08:13
児童労働と奴隷労働の横行
生産者を疎外させ環境破壊
嗜好食品の裏面に隠された矛盾
「少し高くてもフェアトレードで」
『嗜好と耽溺の食べ物から見た地理:祝福を受けた自然はいかにして呪いの歴史になったのか』
チョ・チョルギ著|タビ刊
生産者を疎外させ環境破壊
嗜好食品の裏面に隠された矛盾
「少し高くてもフェアトレードで」
『嗜好と耽溺の食べ物から見た地理:祝福を受けた自然はいかにして呪いの歴史になったのか』
チョ・チョルギ著|タビ刊
貧困に苦しめられる西アフリカ諸国からコートジボワールやガーナのカカオ農場に売られてきた子どもたちは劣悪な環境下で長時間の強制労働に苦しめられている=ウィキメディア・コモンズ//ハンギョレ新聞社
『嗜好と耽溺の食べ物から見た地理:祝福を受けた自然はいかにして呪いの歴史になったのか』チョ・チョルギ著|タビ刊|2万5000ウォン//ハンギョレ新聞社
世界で最も多く輸出される果物であるバナナ。消費者がバナナを購入するために支払う代金の約43%は小売り業者が持っていき、プランテーション農園の所有主が17%近くを取り、熟成業者と運送業者がそれぞれ約13%を、卸売および輸入業者が10%程度を確保する。バナナの栽培や収穫、洗浄、分類、包装に関与する労働者に渡る割合は3.3%に過ぎない。チョコレートの原料であるカカオを栽培する農民は、チョコレートの小売価格の6%を所得として得るだけであり、コーヒー1杯の価格のうち栽培農民の取り分は1%にも満たない。
慶北大学地理教育科のチョ・チョルギ教授の著書『嗜好と耽溺の食べ物から見た地理』は、嗜好食品の裏面に隠された暗い実状を掘り起こす。茶の木と紅茶、サトウキビと砂糖、カカオとチョコレート、油ヤシとパーム油、バナナ、エビ、ブドウとワインなど7種類の食材と食品を選び、生産から消費にいたる全世界的な「商品鎖」(commodity chain)を暴き、食べ物をめぐる歴史と流れに注目することを求める。食べ物の世界では、私たちはみなつながっており、だからこそ、商品鎖にまつわる矛盾や不合理に目覚めた市民の意識で対抗しなければならないと助言する。