大統領室は、3人がこれまでで最も長い時間を同じ場所で過ごし、深く協議したと強調した。尹大統領はあわせて、今回の3カ国首脳会談を機に、韓米首脳会談と韓日首脳会談も続けて行い…

2023-08-20 16:08:39 | アメリカの対応
 

韓米日首脳会談

「共通の脅威に共同で対応」安保協力枠組みを構築

登録:2023-08-19 09:37 修正:2023-08-19 11:4
韓米日首脳会談 
「共通の利益・安全保障に影響を及ぼす脅威を各国政府がすみやかに協議する」 
軍事・経済通商・サイバー攻撃など集団安全保障で「準同盟」の足掛かりを作る
 
 
 
尹錫悦大統領と米国のジョー・バイデン大統領、日本の岸田文雄首相(左から)が18日(現地時間)、米国大統領の別荘であるメリーランド州キャンプデービッドで開かれる韓米日首脳会談を控え、山荘の前で記念撮影をしている=キャンプデービッド/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と米国のジョー・バイデン大統領、日本の岸田文雄首相は18日(現地時間)、米国のキャンプデービッドで韓米日首脳会談を行い、地域的な挑戦・挑発・脅威に対する情報交換、メッセージ調整、対応措置をすみやかに協議するという内容の「3カ国協議に対する公約」を採択した。韓米日3カ国に脅威が迫った場合、即座に共同対応に乗りだすことができるという点で、事実上、同盟に準ずる安全保障協力の枠組みが作られたものとする見方が出ている。これとともに3カ国は、中国と北朝鮮に対するけん制という目的を前面に掲げたインド太平洋地域協力体の稼働を公式化した。

 尹大統領はこの日午前、米国大統領の別荘であるメリーランド州キャンプデービッドの山荘で開かれた韓米日首脳会談の冒頭発言で「それぞれの自由が脅かされたり毀損されることのないよう、3カ国がしっかりと結束することは、未来の世代のための約束であり責務」だとし、「韓米日の共助強化のため、制度的な基盤を強固にする必要がある」と述べた。また、「今日は3カ国協力が制度的な基盤と推進の意志を確固たるものにした歴史的な日として記録されるだろう」と述べた。バイデン大統領は「3カ国の協力が、太平洋地域だけでなく全世界的にとってより良い未来のための力になると考えている」とし、岸田首相は「日米同盟と米韓同盟の連携を強化し、日米韓3カ国の安全保障協力を新たな高みへ引き上げる」と応じた。

 
 
尹錫悦大統領(左から2番目)と米国のジョー・バイデン大統領(中央テーブルの中心)、日本の岸田文雄首相(右から2番目)が18日(現地時間)、米国大統領の別荘であるメリーランド州キャンプデービッドで韓米日首脳会談を行っている=キャンプデービッド/聯合ニュース

 3カ国の首脳は会談後、共同記者会見を行い、首脳会談の定例化など3カ国間の包括的協力案を網羅した韓米日共同声明「キャンプデービッド精神」▽韓米日の協力推進過程の原則を文書化した「キャンプデービッド原則」▽共通の脅威への対応策をすみやかに協議・調整しようという政治的意志を込めた「3カ国協議に対する公約」(Commitment to Consult)を採択したと明らかにした。

 そのなかの「公約」文書には、「我々の共通の利益と安全保障に影響を及ぼす地域的な挑戦・挑発・脅威に対する自国政府の対応を調整するため、各国政府が3者レベルで互いにすみやかに協議する」という内容が加えられた。3カ国間協議を強化する政治的な意志を最高レベルで公約した別途文書であり、これは3カ国間の情報の共有、メッセージ同調化、対応措置の協力を通じて実現が可能となる。キム・テヒョ国家安保室第1次長は共同記者会見に先立つ17日夜、米国ワシントンに用意されたプレスセンターで会見を開き、「韓米日協議の強化に対する『政治的公約』を入れた別の文書」として、「領域内の共通の脅威と挑戦に対し、各国が緊密に連携し、適時に効果的な対応策を設けられるようにするもの」と説明した。

 文書には「脅威」の具体的な事例は明示されてはいないが、大統領室は「軍事安全保障・経済通商・サイバー攻撃など、領域内外で発生した脅威」を包括すると述べた。たとえば、北朝鮮の核・ミサイルの脅威や重大な海上挑発、中国の「力による一方的な現状変更の試み」、領域内外での通商紛争のような状況が発生した場合、3カ国が「共同安保の枠組み」を通じて実質的な協力に乗りだす根拠が、まさにこの公約だ。大統領室高官は「デューティー(duty、義務)はない。公約は、いかなる新しい国際法的な義務も課されない」と強調しながらも、「3カ国が同時に『これは我々にとって重要な安全保障の危機だ』とみなした場合、ただちに情報を共有し、メッセージ調整を始めることになる」と説明した。この公約は事実上、準同盟に並ぶ3カ国集団安保体制の足掛かりとみなされる公算が高いということだ。

 これとともに、3カ国の首脳は、首脳、国家安保室長、外交部・国防部・産業部長官など、各レベル、各分野の年次会合で協力体を制度化し、政権交代などで各国の状況が変わっても3カ国の協力構想を継続するという意志を示した。あわせて、北朝鮮のミサイル警報情報のリアルタイム共有システムを年内に構築して稼動し、韓米日防衛訓練を定例化するなど、北朝鮮に対する実質的な圧力措置も強化することにした。

 3カ国はまた、インド太平洋対話▽開発政策対話を発足させ、ASEAN(東南アジア諸国連合)と太平洋島しょ国への影響力を強化する。韓国と日本が、米国のインド太平洋戦略を後押しするかたちとなる。3カ国はウクライナの支援・再建、ロシアに対する制裁の履行、ロシアへのエネルギー依存度の減少にも協力することを明らかにした。

 大統領室は、今回の首脳会談を通じて、韓米日協力の「中核となる骨格」が完成されたとみている。キム・テヒョ第1次長は「共同声明でも明示されているように、今回の韓米日首脳会談は『3カ国パートナーシップの新時代』を開いた。韓米日3カ国協力は、領域内で最も包括的かつ多層的な協力体に進化するだろう」と意味づけした。また、「AUKUS(オーカス:米国・英国・オーストラリア同盟)やQUAD(クアッド:米国・日本・オーストラリア・インドによる安全保障協議体)などとともに、領域内外の平和と繁栄を増進するための強力な協力体として機能することになる。今後、韓米日はインド太平洋地域の自由・平和・繁栄を追求する求心点の役割を遂行していくだろう」と付け加えた。

 だが、今回の会談を基点に、米国主導の北朝鮮・中国・ロシアに対する包囲網がいっそう厚くなり、領域内の緊張度が高まることになるものとみられる。米中覇権競争のなか、AUKUSとQUADに続くもう一つの中国封じ込めの軸が、中国の「真横」に立てられたようなものであるためだ。

 会談の成果物には、インド太平洋地域の平和のような米国側の関心事が強く反映されており、韓国が実質的な国益を確保できたかどうかについては疑問だとする評価も出ている。世宗研究所のキム・ジョンソプ副所長は、ハンギョレに対し「韓米日の国益の構造は違う。これを調和させるのではなく米国の国益を韓国のものであるかのように一致させるのは問題だ」と指摘した。

 3カ国の首脳が、多国間会談をきっかけとするのではなく個別の会談のために集まったのは、今回が初めて。3カ国の首脳は会談中、キャンプデービッドを散策して昼食を一緒にとり、友情を確かめる様子もみせた。大統領室は、3人がこれまでで最も長い時間を同じ場所で過ごし、深く協議したと強調した。尹大統領はあわせて、今回の3カ国首脳会談を機に、韓米首脳会談と韓日首脳会談も続けて行い、両国間の安全保障・経済・文化協力の方法を議論した。

キャンプデービッド/キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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