中国から発せられるシグナルをどう読むか、米国経済がどうなっていくか、泥沼化する欧州の行方、経済貿易摩擦の行方、債務リスクを解消できるか

2019-01-06 09:00:54 | 中国を知ろう!
2019年の世界経済における5つの見所
人民網日本語版 2019年01月04日11:16

2018年下半期から、世界の主要エコノミーは回復の原動力が乏しく、成長のスピードが減速傾向を見せており、世界経済に暗雲が垂れ込めている。さまざまな不確定要因を前に、各国際経済組織も予測を次々に下方修正している。国際通貨基金(IMF)は10月に、世界全体の経済成長率見通しを3.7%と、これまでの予測から0.2ポイント下げた。新華網が伝えた。

19年、一部のアナリストが懸念しているように、世界経済は本当に減速するのだろうか?今年の世界経済における見所5ポイントを基に、世界経済の方向性の一端をうかがい知ることができるかもしれない。

見所1:中国から発せられるシグナルをどう読むか

世界ナンバー2のエコノミーである中国の経済は、外部の環境が複雑化し、経済が下方圧力に直面する中、引き続き健全に発展することができるかどうかが、多くの人の注目ポイントとなっている。

中国は多くの分野の改革を深化させ、ハイレベルの開放を推進しており、最近閉幕した中央経済政策会議でも経済政策運営の方針が決まり、経済の「安全係数」や「信頼感指数」の向上に取り組むことにより、市場に明確なシグナルを送り、外部の中国経済の発展に対する信頼が強化されている。

専門家は、「中央経済政策会議は、ポジティブな姿勢で経済の下方圧力に対応しようとしており、中国経済が世界経済における「安定化装置」と「バラスト」のような役割を果たすのに資するだろう」との見方を示している。

世界銀行中国局の■福満局長(■は赤へんにおおざと)は、「世界に目を向けると、中国より良いパフォーマンスを見せているエコノミーは極めて少ない。また、中国経済の成長ペースが鈍化しているからといって、中国の世界経済に対する寄与率が下がっているわけではない。寄与率は約30%を保っている」と指摘している。

見所2:米国経済がどうなっていくか

統計によると、昨年第三四半期(7-9月)から、世界のいくつかの主要エコノミーの成長が明らかに減速傾向を見せている。ドイツや日本のほか、経済が勢いよく成長しているように見える米国でさえも、いつ減速してもおかしくない状況となっている。

米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年12月に発表した統計によると、19年、米国経済の成長ペースは2.3%減速し、18年を大きく下回ると予測している。ゴールドマン・サックスのチーフエコノミストJan Hatzius氏は、「金融市場の環境が緊迫していることと経済を刺激するための措置の效果が減少していることが、米国経済の成長ペースが減速する主な原因となるだろう」と予測している。

世界ナンバー1のエコノミー・米国の成長ペースが減速すれば、世界経済の成長にとって足かせとなるのは間違いないが、FRBがどのような金融政策を打ち出すかにより注目が集まっている。日本のみずほ総合研究所のチーフエコノミスト・長谷川克之氏は、「米国経済が明らかに減速するようなことがあれば、FRBは金利の引き上げペースを下げることができるが、同時にインフレ率が上昇すると、FRBは金利引き上げを優先せざるを得ないだろう。そうなると、過度な縮小が生じ、最終的に経済が後退する可能性がある。また、FRBが金利引き上げを継続すると、ドル高が続くことになり、新興エコノミーは、通貨下落や資本流出、債務返済負担拡大など多くの問題に直面することになるだろう」との見方を示している。

見所3:泥沼化する欧州の行方

欧州統合が進められるようになって今年で62年目を迎えたが、英国、ドイツ、フランスというかつての「3本柱」が泥沼にはまっている。英国はまもなくEUを離脱し、軸となっていたフランスとドイツは国内政治が原因で、EUで指導力を発揮するのが難しくなっている。19年、さらに多くの政治の不確定要素が欧州統合に試練をもたらし、世界経済にとっても、直接的、間接的な逆風となると予測されている。

ドイツのハンブルク世界経済研究所(HWWI)のヘニング・ファペル所長は、「現在、英国のEU離脱の影響は先行き不透明で、イタリアとEUの溝も深まっている。また、欧州の債務問題においてまだ妥当な解決策が見つかっていない。欧州は安定、制度、規則などの面で依然として大きな問題に直面しており、経済は大きな下方圧力に直面している」と指摘している。

欧州中央銀行(ECB)は19年のユーロ圏の経済成長を1.7%と予測し、以前の予測から0.1ポイント下げた。ECBのマリオ・ドラギ総裁は、「地政学や保護主義の脅威、新興市場の脆弱性、金融市場の変動などの不確定要素が依然として存在しているため、ユーロ圏の経済成長の前途は暗くなっている」と明確に指摘している

見所4:経済貿易摩擦の行方

昨年から、世界中で経済貿易摩擦が激増し、政策リスクが再び高まり、ルールに基づく多国間貿易体制が崩れたことが、世界経済を脅かす主な要素となっている。経済貿易摩擦がエスカレートすると、19年の世界経済に大きな打撃となると分析されている。

IMFは、「貿易摩擦による緊迫がエスカレートし、それが原因で政策の不確定性が増すと、商業や金融市場の懸念材料となり、金融市場が不安定になり、貿易や投資が減少することになるだろう。貿易障壁の増加は、世界の供給チェーンを切断することにつながるほか、新技術の普及の障害となり、最終的に世界の生産率が下がり、人々にもたらされる利益も減少する」と警告している。

米コンファレンスボードのチーフエコノミスト・バート・ヴァン・アーク氏は、「国際的な貿易摩擦のエスカレートなど、極端な状況が生じなければ、今後半年、世界経済は引き続き力強く発展するだろう」と予測している。

見所5:債務リスクを解消できるか

IMFが昨年10月に発表した「財政モニター」によると、世界の非銀行業の公的・民間債務総額は182兆ドル(1ドルは約107円)に達し、07年と比べて1.5倍増加した。また、40%以上の低所得エコノミーが債務リスクを抱えている。

世界が抱える債務がこれほど膨張していることを背景に、市場や企業は一層金融環境の縮小の影響を受けやすくなっている。実際には、先進エコノミーの金融政策の正常化に適応する過程で、新興市場や発展途上エコノミーはすでに大きなプレッシャーを感じるようになっており、そのプロセスが突然加速するようなことがあれば、そのプレッシャーはさらに大きくなるだろうとみられている。

専門家は、「債務リスクを緩和できるかが、世界経済が安定するか左右するカギとなる。デフォルトが大規模に発生すれば、消費や投資が縮小し、経済が後退するだけでなく、世界的金融危機が起きる可能性もある」と指摘している。(編集KN)

「人民網日本語版」2019年1月4日

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