人事聴聞会を通過したのは３人のみ…
韓国、「新首相不在」のまま新政権発足か
道徳性や資質めぐる議論で内閣構成が難航
尹大統領、不適格とされた候補の任命強行した場合
ハン首相の国会承認が遅れる恐れも
新大統領と旧長官らの不都合な同居が続く可能性も
尹錫悦（ユン・ソクヨル）政権の発足（5月10日）が4日後に迫ったが、国務委員候補の道徳性や資質をめぐる議論で人事聴聞会が難航し、初の内閣構成は霧の中だ。共に民主党はハン・ドクス首相候補の辞退を求める一方、ハン・ドンフン法務部長官候補など他の「不適格」候補たちの辞退や指名撤回に結び付けようとする動きを見せている。尹次期大統領側と民主党の綱引きの中で、ハン首相候補に対する国会承認が遅れた場合、新首相不在のまま「尹錫悦大統領」と「文在寅政権の長官たち」の不都合な同居がしばらく続く可能性もある。
与党「共に民主党」のパク・ホングン院内代表は5日、本紙との電話インタビューで、尹錫悦政権の初内閣について、「言葉では言い表せないほどの人事大惨事だ」としたうえで、「ダブルスタンダードに基づき、このように問題だらけの人物たちを推薦したことは驚愕すべきことだ」と述べた。「家族全員フルブライト奨学生」などが問題になり、3日に自ら辞退したキム・インチョル社会副首相兼教育部長官候補をはじめ、金・張法律事務所から高額の顧問料を受け取り、前官礼遇（裁判官や検事を辞めて転身した弁護士に対して、なるべく裁判で勝たせるようにすること）が物議を醸したハン首相候補や、「親の七光り」疑惑で野党「国民の力」内部からも辞退を求める声が高まっているチョン・ホヨン保健福祉部長官候補者などを批判したのだ。
尹錫悦政権の長官候補たちに対する人事聴聞会が終盤に入った中、5日までに聴聞会が終わった11人の候補のうち、聴聞報告書が採択されたのは、チュ・ギョンホ経済副首相兼企画財政部候補、ハン・ファジン環境部長官候補、イ・ジョンホ科学技術情報通信部長官候補の3人だけだ。娘が「親のコネ」で海外大学への進学に必要な様々な経歴を作ったという疑惑を受けているハン・ドンフン法務部長官候補の場合、資料提出の不備と証人採択問題で新政権発足前日の9日に聴聞会の日程が延期された。
民主党は辞退したキム・インチョル候補に加え、チョン・ホヨン候補も尹大統領側が捨てたカードとみている。そのうえでハン・ドンフン候補をはじめ、イ・サンミン行政安全部長官候補とウォン・ヒリョン国土交通部長官候補の辞退を狙っている。民主党の院内指導部の主要関係者は、「ハン・ドクス首相候補の欠陥が多く指摘されている状況で、（尹錫悦政権が）民主党が容認できない長官候補の任命を強行すれば、ハン・ドクス候補の承認表決にも当然否定的な影響を及ぼすだろう」と述べた。国会議員の過半数の賛成を必要とするハン・ドクス候補の承認を、他の長官候補の進退と結びつけるものとみられる。ただし、盧武鉉（ノ・ムヒョン）政権でも首相を務めたハン・ドクス候補の承認を阻止するのは、民主党にとっても負担になる。
国務委員提請権を持つ首相の承認が遅れれば、尹錫悦政権の初代内閣発足にも支障を来すことになる。ハン・ドクス候補の承認をめぐる表決が尹次期大統領の大統領就任後に持ち越されたり、否決された場合、現職のキム・ブギョム首相が尹錫悦内閣の長官候補を提請するなど「中途半端な」政権発足になりかねない。尹次期大統領側は、キム・ブギョム首相の協力を得て、チュ・ギョンホ経済副首相を任命した後、「チュ・ギョンホ首相代行」体制で臨時運営する案も考慮していると、ある側近が伝えた。
国民の力はこのような状況に対し、民主党が新政権の足を引っ張っていると反発している。キム・ヒョンドン首席報道担当は論評を出し、「ハン首相候補の承認にケチをつける民主党の行為は、尹錫悦政権の足を引っ張ることを越え、発足自体を否定するものであり、これは新政権発足を念願する国民に対するもう一つの暴挙だ」と批判した。チャン・ジェウォン次期大統領秘書室長も記者団に「ハン首相候補は産業や通商、外交まで全体に精通した大韓民国に必ず必要な方」だとしたうえで、「国民の選択によって誕生した新政権が順調にスタートを切れるよう、民主党が協力してほしい」と話した。
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