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「命を守る最後の砦(とりで)」が生活保護制度です。この砦を崩してきた自公政権に対し、29都道府県で闘われてきた31の裁判をめぐり、最高裁判所は27日、生活保護費の減額は違法という初の統一判断

2025-06-29 12:16:28 | 国民の暮らし向上最優先!

2025年6月29日(日)

主張

生活保護最高裁判決

守った命の砦 分断超え強固に

 生活に困窮したら誰でも利用でき人間らしく生きるための保障、「命を守る最後の砦(とりで)」が生活保護制度です。この砦を崩してきた自公政権に対し、29都道府県で闘われてきた31の裁判をめぐり、最高裁判所は27日、生活保護費の減額は違法という初の統一判断を示しました。

 国は過ちを認めて謝罪し、減額前の水準に戻し、原告以外の利用者を含め減額分をさかのぼって支払うべきです。原告らも参加する機関を設け、なぜ違法行為が行われたのか検証すべきです。

 憲法25条が保障する生存権にもとづき、国は国民に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する責任を負います。

■「物価偽装」で削減

 ところが、安倍晋三政権は2013年から15年にかけて食費や光熱費など日常生活に不可欠な生活扶助の基準額を平均6・5%、最大で10%も引き下げました。08年と11年を比べ消費者物価指数が4・78%下がったというのが理由の一つとされました。

 最高裁は、生活扶助の額は従来、消費水準を指標としており、今回、専門部会にも諮らずに物価変動を直接の指標として改定したことは、専門的知見との整合性を欠き、違法だと断じました。

 しかも、この数字は何重にも「偽装」されたものです。▽厚労省独自の数字で、通常の総務省の消費者物価指数の下落2・35%に比べ過大▽生活保護利用者があまり買わないデジタル家電製品の大幅な値下がりを織り込むなど保護世帯の消費実態とかけ離れている▽物価が特に高騰した08年と比較したため下落幅が大きくなっている―のです。

■自民の選挙公約で

 厚労省が強引で恣意(しい)的な減額を行ったのは、安倍総裁の下、自民党が12年の総選挙公約で生活保護費の1割カット、「不正受給者への厳格な対処」を掲げて政権に復帰し、引き下げを決めたからです。この年、芸能人の親族の生活保護利用が報じられ、自民党議員を先頭に大々的にバッシングがあおられました。

 自公政権は00年代半ばから、一般世帯の消費水準との比較を考慮していた生活扶助の基準に、所得下位10%の低所得者層と均衡させる考え方を持ち込みました。低所得者同士を分断するやり方です。

 日本の生活保護捕捉率は15~20%とされ、生活保護を利用せず保護基準以下の生活に耐えている人が多くいます。その層との均衡を図れば保護基準は際限なく下がり「健康で文化的な最低限度の生活」は保障されません。

 生活保護基準は、最低賃金、就学援助、国保料の減免基準など国民全体にかかわる制度と連動します。最低生活の水準引き下げは社会保障全体を引き下げることになります。自己責任論による分断に乗ることは、国民が自らの首を絞めることです。

 今回の一連の裁判では、偏見や攻撃に抗して全国で千人超の原告が立ち上がり、「利用者の尊厳回復」「命の砦を守り、強固で豊かに人権として確立し、すべての人の暮らしを豊かにする」ものと位置づけて闘ってきました。この勝利を力に生活保護行政の改善を求めていきましょう。


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