嫌悪表現を規制する差別禁止法の議論を本格化しなければならないと、口をそろえる。

2019-10-21 07:40:57 | 中国の医療

インターネット実名制・悪質なコメント禁止法?
今必要なのは差別禁止法!

登録:2019-10-19 12:11 修正:2019-10-20 12:27

大統領府掲示板「チェ・ジンリ法」1万6千名余りが賛成 
インターネット実名制など国会で係留中 
表現の自由制限・実効性に疑問 
専門家「性差別と嫌悪、大きな絵を見るべき」


          

差別禁止法制定連帯の会員らが17日午前、ソウル汝矣島の共に民主党本部前で行われた「嫌悪と差別解消のための各政党の立場に対する質疑書」への応答を要求する抗議集会で差別禁止法制定を促すプラカードを持っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 多数の女性嫌悪的で悪質なコメントに苦しんだ俳優のソルリ(25・本名チェ・ジンリ)が14日に亡くなった後、「インターネットコメント実名制」や「悪質なコメント禁止法」などが必要であるという声が高まっている。 政界からも、すでに世論を背景に関連法の審議要求が出ている。しかし専門家は、表現の自由を制限するなど悪用の可能性が高い「インターネットコメント実名制」や「悪質なコメント禁止法」より、嫌悪表現を規制する差別禁止法の議論を本格化しなければならないと、口をそろえる。

 15日、大統領府の国民請願掲示板には、「人間らしい人生のために、チェ・ジンリ法を作ってください」とのタイトルの請願が登録された。「ネイバーやダウムカカオなどのポータル内の記事くらいには、コメント実名制を活用すること、記者がプライバシー侵害や事実関係が不明な記事を書いた場合、該当の記者の資格を停止する罰を与えること」などを要求する請願である。この請願は17日午後6時現在、1万6000人余りの同意を得た。

 政界からも声が出た。代案政治連帯は先日16日、キム・ジョンヒョン・スポークスマンの論評を通じて、「歌手のソルリの死を契機に、悪質なコメント防止法制定の運動が起きているのは妥当である」として「すでに改正案が出ている状況で、国会はこれに関連する議論さえしなかった。関連常任委員会は直ちに関連法の審議に乗り出さなければならない」と明らかにした。これに先立ち2017年、チャン・ジェウォン自由韓国党議員が、ポータルと掲示板コメントへのインターネット実名制導入を主張する「情報通信網利用促進および情報保護などに関する法律改正案」を発議し、同党のパク・ウォンス議員も、インターネットなどで相手を侮辱した場合、刑法上の侮辱罪より厳しく処罰する内容を盛り込んだ同じ名称の法律改正案を出した。この法案は現在、国会科学技術情報放送通信委員会に係留されている。

 しかしこれに先立ち2012年、憲法裁判所は、本人確認手続きを経てからのみ掲示板を利用可能になるように本人確認制を規定した「情報通信網利用促進および情報保護などに関する法律」に対して、社会的弱者などの表現の自由を制約することになり得り、個人情報流出への憂慮が大きいなどの理由で、違憲決定を下した。ソン・ドンギュ中央大学教授(新聞放送学)も、「ともすれば表現の自由を萎縮させることになり得り、多数のインターネットユーザーを仮想の犯罪者として事前に売り渡す憂慮が強く、憲法裁判所で違憲決定が出た」と説明した。

 インターネット実名制には実効性もないとの指摘もある。すでにフェイスブックなどのように実名を基本とするSNSにも悪質なコメントは降り注いでおり、IDを盗用して悪質なコメントを書くこともできる。ハン・サンヒ建国大学教授(法学)は、「悪質なコメントを書く人々は、自分の身元を示すことについて悩まない。自分の権利だと考えるからだ」として「韓国は今現在もコメント内で名前を確認することができないだけで、誰がコメントを書いたのかは、ほとんど大部分は追跡可能である」と述べた。

 このためソルリの死亡以後、2030の女性の間で、ソルリに向かって降り注いだ多様な非難の声は、実際には同世代の女性が日常で経験している「私たちの社会が暗黙的に許容してきたこと」とのコンセンサスが拡散して怒りが噴き出ている現象に、もう少し集中しなければならないとの声が出ている。ある教授は、「(ソルリに降り注いだ)脱コルセットやノーブラなどに対する批判は、明白な嫌悪表現」として「嫌悪表現には、個人と個人が持つ少数者性に対する2種類の攻撃を伴う。大部分の悪質なコメントが、ソルリ個人に対する非難である同時に、ソルリが帰属する女性という属性に対する攻撃と見られる」と説明した。

 専門家は、差別禁止法制定にもう少し議論を集中しなければならないと指摘する。問題は差別禁止法が20代国会で発議さえされなかったという点である。19代国会ではキム・ハンキル民主統合党議員などが発議したが、保守プロテスタント系の反対で、すぐに発議を撤回した。国家人権委員会も差別禁止法に関連した議論を進めないでいる。イ・テククァン慶煕大学教授(グローバルコミュニケーション学)は、「ソルリの場合、芸能人である上に女性であるため、差別や嫌悪発言に苦しんできた」として「まずはコメントを通じて収益を得ているポータルとメディアが、コメントに責任を持って管理するシステムを整え、嫌悪と差別発言を禁止しなければならないとの認識が拡散できるよう、差別禁止法を制定しなければならない」と述べた。ホン・ソンス淑明女子大学教授(法学)は、「個人に対する悪質なコメントなどに関しては、名誉毀損や侮辱など既存の法律を活用して規制することができる。ただ、女性一般を対象にする卑下発言に対しては、嫌悪表現に関する別途の根拠法規の用意が必要である」として「差別禁止法を制定して、差別と嫌悪に対する総合対策を用意しなければならない」と語った。
チョン・グァンジュン、オ・ヨンソ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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