韓国:すでに100人に3人が再感染…
オミクロン株「BA.5」はどのように免疫回避?
免疫回避特性を持ち、再感染の危険性上昇
重症化率は同程度というが安心できず
全世界の新型コロナウイルスの再流行を主導しているウイルスは、オミクロン株の下位系統「BA.5」だ。感染力が強く、従来の変異株より免疫回避能力が高いため、再感染の可能性が高いことが知られている。防疫当局もBA.5が韓国国内のコロナ再流行を主導しているとみている。
中央防疫対策本部(防対本)の資料によると、7月第1週のBA.5検出率は35%で、前週に比べて6.8ポイント上昇。海外からの流入を含む国内のBA.5検出率は、6月第4週の10.4%から6月第5週には28.2%へと跳ね上がったため、今週中に優勢となると予想されていたが、7月第1週は35%と停滞している。政府は1~2週間ほど推移を見守るべきだとしつつも、BA.5がまもなく優勢となって急速な拡散を主導するだろうとの予測を重視している。
BA.5、宿主細胞にくっついて免疫回避し「再感染」
新型コロナの変異株とは、最初の新型コロナウイルスを基準として遺伝子が一つ以上の突然変異を起こしたもののこと。オミクロン株はBA.1で、BA.2はステルスオミクロン。BA.5はBA系統から出た5番目の子孫系統だということを意味する。
感染力の強さは、BA.2<BA.4<BA.5の順で高い。英国保健安全保障庁(UKHSA)は、BA.5の方がBA.2より35.1%速く感染すると分析している。BA.2も初期のオミクロンより30~50%速いと評価されていた。変異を重ねるごとに感染力が強くなっている格好だ。世界的にはすでにBA.5が優勢だ。米国はBA.5が全体の53.6%(7月2日現在)、ドイツは65.7%(6月中旬現在)、ポルトガルは94%(6月27日現在)。
BA.5の拡散が懸念されるのは、免疫を回避するという特性があるためだ。これは、ワクチンや自然感染によって免疫力がついたとしても、BA.5にさらされれば突破感染(ブレイクスルー感染)または再感染の可能性が高くなるということを意味する。韓国もBA.5の流入後は再感染率が高まっている。コロナ再感染率は、5月第1週は0.59%に過ぎなかったが、6月第5週には2.87%へと大きく上昇している。これは、最近の感染者は100人に3人近くが再感染だということを意味する。
BA.5は宿主の細胞にくっついて免疫細胞による破壊を避けることが知られている。ハーバード大学医学部とボストンの「ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター」の研究陣による分析資料によると、ワクチン接種完了者のBA.5に対する中和抗体生成率は、初期の新型コロナウイルスの21分の1程度だった。自然感染して完治した人々のBA.5中和抗体生成率も18.7分の1に過ぎなかった。中和抗体とはウイルスを無力化して感染を予防する抗体で、中和抗体生成率が高いほど感染予防効果が高い。
ただし、国内の再感染規模は国外より大きくはならないだろうとする予想もある。カトリック大学医学部のペク・スニョン名誉教授(微生物学教室)は「韓国のオミクロン株の流行期間は3月~4月で、海外より最近だ。(相対的に免疫力が強い状態であるため)再感染例は海外よりは若干少ないと予想される」と語った。
重症化率が高いという証拠はまだない
BA.5の症状は既存のオミクロン株などと大きな差はないと報告されている。米国では咳、鼻水、頭痛、疲労などの類似の症状が現れており、喉の痛みと鼻づまりがひどいケースもあった。英国キングス・カレッジ・ロンドンの研究チームもやはり鼻水、喉の痛み、頭痛、持続的な咳および疲労などの症状を確認している。ただし、研究チームの調査対象に占める発熱を報告した人の割合が3分の1未満だったことが、これまでの変異株とは異なる。防対本もやはり「重症度が高いかどうかについては、現在のところ確認されていない。海外の事例を見ても、重症化率や死亡率が特に大きく上がっているとは報告されていない」と述べた。
しかし、警戒すべき点もある。日本の東京大学は最近、BA.5がBA.2に比べて肺での増殖力が18.3倍高いということを動物実験によって確認している。BA.5に感染したハムスターはBA.2に感染したハムスターより体重の減少が顕著で、より多くの肺細胞が損傷していた。既存のオミクロン株が鼻や喉などの上気道を感染させたとすれば、BA.5は下気道にまで浸透して肺炎のリスクを増大させる可能性があるということを意味する。高麗大学九老病院のキム・ウジュ教授(感染内科)は、「一般的に、感染力が強ければウイルスの重症化率は低いが、これは傾向のことであって、必ずそうなるとは限らない」と述べた。
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