泡のように不安な東京五輪の「バブル防疫」
東京五輪の開幕が4日後に迫っている中、選手村などで新型コロナウイルス感染者が相次いで確認され、不安が高まっている。安全・安心の五輪にしたいと豪語していたものの、開幕してもいないうちから防疫に穴があいてしまった格好だ。
東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会は18日、東京五輪選手村で2人の選手がコロナの陽性判定を受けたと発表した。選手村内の選手の初の感染確認だ。前日にも組織委は、選手村内で五輪関係者1人のコロナ感染が確認されたことを発表している。組織委の発表によると、現在、東京五輪関連の感染者は55人。
日本は不安に包まれている。毎日新聞は17日、全国の有権者1087人(有効回答者数)に対して電話で世論調査を行い、その結果を18日に発表した。これによると、菅義偉首相が主張する「安全・安心な五輪開催」について、「できるとは思わない」と答えた人は65%に達した。「できると思う」と答えた人は19%にとどまった。
国際オリンピック委員会(IOC)と日本政府は今回の五輪を「バブル方式」の防疫で行うとしている。米国プロバスケットボール(NBA)の「オーランド・バブル」モデルを借用したのだ。NBAは昨年、コロナ拡散により試合を行うことが難しくなり、順位決定戦の参加チームをフロリダ州オーランドのディズニーワールドに集め、外部と断絶したまま試合を行った。現地メディアがこれを泡になぞらえて「バブル」と名付けた。
組織委はバブル五輪のための様々な対策を打ち出している。例えば、日本に入国する参加者たちは組織委が提供するタクシーに乗ってホテルに移動し、3日間隔離される。2週間は公共交通機関を利用したり、日本の現地の人との不要な接触をしたりすることもできない。管理のために、日本に入国する際に位置追跡機能などのある5つのアプリケーションをインストールするよう要求される。
問題は、組織委が実質的に参加者を統制する方法がないということ。東京五輪は205カ国、約1万5000人が参加する大会だが、選手が宿泊する選手村ですでに感染者が確認されている。取材陣やボランティアなどのその他の関係者を含めれば、関係者の数はさらに増えるが、彼らを集めておく場所がないだけでなく、統制を行う人員も不足している。組織委は指定されたホテルの入り口ごとに警備員を配置しているが、他の宿泊客が混ざっているため識別が難しい。実際に記者の泊まっているホテルでも、警備員に五輪関係者であることを告げてようやく案内を受けることができた。
米国のオーランド・バブルとは状況が異なる。オーランド・バブルに参加したのはわずか22チームだった。ディズニーワールドという限られた空間だったため、参加者の行動半径が制限できた。リゾートとして作られているディズニーワールドでは、内部で宿泊や食事なども解決可能だった。外部の人間と参加者を完全に切り離すことができた。これこそ、NBAが残りのシーズンを1人の感染者も出さずに終えることができた理由だ。
組織委は最近、各参加団の防疫問題を担当するCLOあてに電子メールを送り、「最近、日本のメディアによって、東京で夜遅くまで酒を飲む五輪関係者が目撃されている。摘発された場合は強力な措置を取る」と脅した。警告しているように見えて、実は泣訴に近いジェスチャーだ。東京のバブル防疫は安全な枠ではなく、いつでも弾ける可能性がある不安な泡になりつつある。