「(弾劾を提案した)2人の判事は、自ら裁判の独立を侵害した人々だ」とし、「裁判の独立侵害を回復するために、(また)それに対する不信感を回復するためにも、むしろ弾劾が必要だ」と主張した。

2021-01-27 18:16:58 | 韓国を知ろう

「司法壟断」判事の弾劾を進める民主党議員

「処罰しなければ裁判の独立が損なわれる」

登録:2021-01-27 06:38 修正:2021-01-27 10:07
 
イ・タンヒ共に民主党議員(中央)が今月22日、国会の疎通館で開かれた民主党のカン・ミンジョン議員(左)や基本所得党のヨン・ヘイン議員らと共に「司法壟断判事の弾劾」を提案する記者会見を行っている/聯合ニュース

 「司法壟断」に関与した判事の弾劾を進めるイ・タンヒ共に民主党議員は、裁判官の弾劾が司法府の独立を害するという主張に対し、「むしろそのような裁判官を処罰しなければ、裁判の独立が損なわれる」と反論した。

 イ議員は26日、「交通放送」(TBS)「キム・オジュンのニュース工場」に出演し、「(弾劾を提案した)2人の判事は、自ら裁判の独立を侵害した人々だ」とし、「裁判の独立侵害を回復するために、(また)それに対する不信感を回復するためにも、むしろ弾劾が必要だ」と主張した。

 彼は「裁判を受ける国民の立場から見て、どれほど荒唐無稽なことか。公正な裁判を期待して、法壇に座っている人を裁判官と信じて話したのに、実は隠れて判決内容を流出し、変えたのではないか」とし、「このような人を処罰しなければ、(司法府に対する)信頼は回復できない」と述べ、弾劾の正当性を繰り返し主張した。

 これに先立ち、イ議員は22日、民主党、正義党、開かれた民主党、基本所得党、無所属の107人の議員と共に、近く退任するイム・ソングン釜山(プサン)高裁部長判事(2月末任期満了)とイ・ドングン・ソウル高裁部長判事(1月28日辞職予定)の弾劾を国会に提案した。両判事は、朴槿惠(パク・クネ)前大統領の「セウォル号7時間疑惑」関連コラムを書いて名誉毀損の疑いで起訴された産経新聞記者の裁判で、判決文を流出し内容を修正した疑惑を受けている。

 イ議員は同日の放送インタビューで「(イム部長判事らは)裁判所の一審判決で反憲法行為者と認めた人たちであり、全国裁判官代表者会議もこの二人の判事は弾劾しなければならないと事実上国会に要請している」とし、「二人の判事が今回、事実上逃避のような形で辞表を出したが、このまま行けば名誉退職して前官弁護士として活動するような状況を迎える」と述べた。

 イ議員は韓国で前例のない裁判官弾劾の試みが司法府の独立を害するという主張に対し、「韓国社会では特に判事が神様のように扱われる傾向がある。それがむしろ司法への信頼に毒となっている」と積極的に反論した。また「米国の場合には連邦裁判官だけでも15回弾劾訴追され、保守的な日本のような国でも9回も弾劾訴追された事例がある」とし、「英国のような国は事実、1年に20~30人の判事が罷免される」と述べた。また「英国の場合は裁判を不公正に進めた場合もあり、不正を犯した場合もあった」とし、「韓国では判事らが飲酒運転をしたり、あるいは盗撮する場合があっても、非常に軽い懲戒処分にとどまる」と指摘した。

 今回、イ議員とともに弾劾を提案した議員の規模は、弾劾訴追案発議の要件である国会在籍議員の3分の1を超える数字だ。弾劾案の可決定足数は「在籍議員過半数賛成」であるため、174議席の民主党だけでも単独処理が可能だ。

 しかし、民主党指導部では、コロナ禍の痛みの軽減や暮らしの改善などに集中すべきこの時期に、判事に対する弾劾の試みが波紋を広げかねないと懸念する雰囲気だ。党では「弾劾の時期を逃した」という声もあがっている。民主党は27日、議員総会を開き、裁判官弾劾について話し合う予定だ。もし、国会で裁判官弾劾案が議決されれば、当該判事に対する弾劾問題は憲法裁判所で最終決定される。

ソン・ホジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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ブリンケン氏は「北朝鮮に対するアプローチと政策を再検討する予定で、この過程で韓日などとあらゆる方策について話し合う」と述べた。

2021-01-27 10:11:08 | アメリカの対応

[記者手帳]

米「対北朝鮮新戦略」に大げさに反応する韓国保守メディア

登録:2021-01-26 03:01 修正:2021-01-26 06:49
 
バイデンはトランプ外交を捨てると言うが 
文大統領だけが「夢想」に陥っていると非難 
「言いたい放題」報道から脱却すべき 

新政権が新戦略を練るのは当然
 
米ホワイトハウスのジェン・サキ報道官が22日(現地時間)、メディアへのブリーフィングで記者の質問に答えている=ワシントン/AP・聯合ニュース

 外交・安保分野についてのメディアの論評は、ある程度「言いたい放題」が許される領域ではないかと思ったりもする。国内の懸案については、不正確な報道に対する後続措置が比較的明確に行われるが、機密性が重視される外交・安保分野については、当局は明確な誤報に対しても対応を控えることが多い。特に、外国の外交・安保政策についての解釈の領域ともなるとさらにひどくなり、同じテキストに対する解釈が正反対になることも多い。韓国の記者の勝手な解釈に米日の政府が「抗議電話」をかけてくることもないため、この「言いたい放題」構造は続くことになるわけだ。

 こうした考えが固まったのは、米ホワイトハウスのジェン・サキ新報道官が23日の記者会見で言及した「新戦略(new strategy)」についての25日の保守メディアの解釈を確認してからだ。「東亜日報」は社説で、バイデン政権が「対北朝鮮『新戦略』に言及したのは初」とし、これは「バイデン政権によるトランプ政策払拭において、対北朝鮮政策も例外ではないことを公式化したもの」と分析し、「中央日報」も「バイデン政権が発足から二日で北朝鮮の核に対する立場を明らかにした」と述べ、文大統領は米国と「北朝鮮の核の脅威に対する認識をまず共有」しなければならないと主張した。つまり、米国はトランプ政権の対北朝鮮政策を廃棄して「新たな戦略」を構想しているというのに、文在寅(ムン・ジェイン)政権だけが夢想に浸っていると言っているのだ。だがこの発言は、そこまで軽はずみに騒ぐほどのものだろうか。

 その日の会見の模様は、ユーチューブのホワイトハウス・アカウントにアップされている61分42秒の動画で確認できる。午後1時3分に始まったその日の会見で、くだんの質問は最後の方に出た。ホワイトハウスのブリーフィングルーム後方に座っていた日本人記者とみられる男性がまず「東京五輪」開催の可能性についてのホワイトハウスの見解を聞き、その後、バイデン政権のインド太平洋政策に話題を移した。サキ報道官は2つ目の質問に対し「北朝鮮に関する対日政策について尋ねているのか」と確認した後、「北朝鮮の核や弾道ミサイルなどは深刻な脅威」と前置きし、「我々は米国人と同盟を守る新たな政策を導入する」とし「徹底した政策の見直しを行う過程で、韓日と緊密に協議する」と答えた。

 この発言は、実際には次期国務長官に指名されたアントニー・ブリンケン氏の上院人事承認公聴会での発言を、サキ報道官が「自分の言葉」で整理したものに過ぎない。ブリンケン氏は「北朝鮮に対するアプローチと政策を再検討する予定で、この過程で韓日などとあらゆる方策について話し合う」と述べた。そして「北朝鮮が交渉のテーブルにつくために圧力を強化した方が効率的なのか、それとも他の外交的アプローチも可能なのか」検討するとも述べている。米国が政策の見直しを通じて導き出す戦略が「新戦略」であって、いずれにせよ失敗した「昔の戦略」ではないはずだ。

 韓米が政策を調整する過程で多少の摩擦は予想されるものの、北朝鮮の核という難題にはっきりとした答えがないのは互いに同じだ。主張すべきことは主張し、受け入れるべきことは受け入れればよいだけで、何もないうちから「新戦略」の一言に恐れる必要はない。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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