注目すべき点は、全体議員の17.7%である53人が農地を買い入れた事実だ。

2019-04-07 08:29:59 | 問題がないは、大問題
国会議員の土地、「汝矣島の1.5倍」…
農地法違反、公文書偽造がはびこる

登録:2019-04-03 09:49 修正:2019-04-04 12:16

議員1人当たりが土地4518坪を所有、一般国民の15倍 
議員所有の土地、汝矣島の面積の1.5倍 
キム・セヨン議員が最大面積…農地はパク・ドクフム議員が1位


          

1人当たりの土地保有現況//ハンギョレ新聞社

 ハンギョレが昨年3月に公開された国会議員、政務職公務員など公職者の財産登録内容を分析した結果、国会議員が1人当たり(配偶者所有を含む)平均1万4908.67平方メートル(4518坪)の土地を所有していることが分かった。これは国民1人当たりの所有地(300.6坪)の15倍、行政・司法部公職者(2093坪)の2.1倍にのぼる面積だ。議員298人が所有している土地の面積は444万2784.6平方メートルで、汝矣島(ヨイド)の面積の1.5倍だ。

 議員別に見ると、自由韓国党のキム・セヨン議員が26万3291坪で最大面積の土地を保有しているものと分析された。農地を最も多く持つ議員は自由韓国党のパク・ドクフム議員で4万568坪だ。市・郡単位で分析すると、3カ所以上の地域に土地を保有している議員は16人だ。共に民主党のキム・チョルミン、ビョン・ジェイル、ユ・ドンス、イ・ハギョン、チョン・ヘチョル議員、自由韓国党のカン・ソクホ、パク・ドクフム、イ・ワニョン、イ・チェイク、チャン・ソクチュン、チョン・ウテク、チョ・フンヒョン、チェ・ギョイル議員、正しい未来党のキム・サムファ議員、民主平和党のチョン・インファ議員、無所属のイ・ジョンヒョン議員などだ。

 国民1人当たりの所有地は、統計庁が2017年に公表した「土地所有現況統計」を利用して国・公有地と法人土地などを除いた民有地の面積5万1517平方キロメートルを住民登録人口で割った数値だ。行政・司法部公職者1人当たりの平均保有土地は、昨年の財産公開対象者のうち国会議員、自治体首長、地方議会議員を除いた854人の土地を分析した結果だ。

■農地法違反、公文書偽造を多数確認

 ハンギョレが集計した議員1人当たりの土地4518坪を地目別に区分すると、林野が3608坪で一番多く、農地658坪、牧場用地117坪、雑種地59坪、敷地38坪の順と分析された。二番目に多く所有した地目が農地だ。農地を保有した議員99人(配偶者所有を含む)のうち、53人が購入を通じて所有し、46人が相続または贈与を受けた。

 注目すべき点は、全体議員の17.7%である53人が農地を買い入れた事実だ。別の地目と違い、農地は耕者有田の原則と食糧主権のため、憲法で保護する土地だ。憲法第121条は「国家は農地に関し耕者有田の原則が達成されるよう努力しなければならず、農地の小作制度は禁止される。農業生産性の向上と合理的利用のために不可避な事情で発生する農地賃貸借と委託経営は、法律の定めるところにより認められる」と規定している。自ら農業をする者でなければ所有できないように制限したのだ。農地を取得するためには、農業経営計画書を含めた農地取得資格証明の発給を受けなければならず、農地を買い入れたら休耕ができず、自ら農業をしなければならない義務が課せられる。政府が毎年、農地利用の実態調査を通じて休耕の有無を取り締まる理由も、農業ではなく投資目的で農地を購入する行為を食い止めるためだ。

 しかし、ハンギョレは多くの議員たちの農地が開発を待ちながら休耕中である事実を確認した。農地法によって公職就任後に小作農を置くことはできるが、議員当選前から不法な小作農を通じて管理していた農地もあった。「他の目的のために農地を購入したが、みんな木を植えるので私もそうしようと思う。木を植えれば問題ないじゃないか」と堂々と言う議員もいた。果実樹などを植えておけば休耕ではないため、農地法違反ではないという意味だ。情報公開請求を通じて確保した議員の農地取得資格証明は、自ら農業をするという虚偽記録が大半だった。公文書を偽造したのだ。実需要ではない農地の購入が増加するほど、地価は上がる。ハンギョレが会った多くの農業者が、子どもの大学費用をつくるために農地を売って小作農になったり、農地が開発されて土地が国に受容された。開発予定地近くの農地は利ざやを狙う「ニセ農業者」が土地を買い入れたため価格が上がり、購入が難しくなった。開発が集中する京畿道・仁川市(インチョンシ)と、農地がゴルフ場やレジャー施設に変わる江原道から追い出された本当の農業者たちは、より安い農地を求めて忠清道や慶尚道に移ったり、農業をやめた。法案をまとめ審査する議員らの農地所有の形態は、農地法違反や公文書偽造など、違法行為にあふれていた。

■不動産に関する利害衝突防止制度が必要

 国民1人当たりの平均所有地と比較すると、国会議員の場合は15倍、行政・司法府公職者は6.9倍にのぼるほど膨大な土地を所有しているが、不動産に関する公職者の利害衝突防止制度や法案は全くない。職務に関連性のある株式を処分したり白紙信託しなければならない「株式白紙信託」制度が運用されているだけだ。これは、株式を中心に利害衝突防止制度が発展してきた米国やカナダから影響を受けたためだ。

 不動産が財産増殖の最も重要な手段とされる韓国の状況を考慮し、土地をはじめ不動産に関する利害衝突防止制度が追加で設けられなければならないという必要性が提起されている。2005年に不動産白紙信託を主な内容とする公職者倫理法が国会に発議されたが、任期満了で廃棄された。高位公職者が財産登録の際、不動産の実需要の目的について説明するようにし、釈明できなければ白紙信託させる内容の法案は、過剰に私有財産権を制限するという指摘とともに廃棄された。高麗大学法学専門大学院のチャン・ヨンス教授は「韓国はあまりにも土地が狭く首都圏の集中がひどいので、韓国だけの不動産に関する規定は必要だが、全国的な単位で開発と不動産政策が執行されているため、誰をどのような基準で業務から排除するかを決めるのが難しい。無条件に白紙信託をすれば現実性のない政策になるため、韓国独自の基準を立てる必要がある」と話した。専門家らは、包括的な不動産白紙信託よりは、特定事業に国や地方自治体の財政が投入され始めれば関連業務を行う公職者が関連する不動産の新規購入をできないようするなどの具体的な法案が必要だと指摘する。

 中小ベンチャー企業部長官候補者に指名された共に民主党のパク・ヨンソン議員は2月、国会議員が利害関係のある予算案や法案を審査する際に除斥されるケースを規定し、委員自ら回避を申請できるように国会法改正案を代表発議した。除斥の理由としては、委員またはその配偶者や配偶者だった人が当該予算案・法案に関して当事者か共同権利者、共同義務者の場合▽委員が当該予算案・法案の申請人と親族関係にあるか、あった場合などを列挙した。この法案が成立すれば、自分の土地と関連した各種規制を自ら緩和したり、各種の開発予算を確保する行為は自ら回避を申請することができたり、職務から排除される。

 財産公開制度が利害衝突に関して有機的に運用されなければならないという指摘もある。公職者倫理法によって国会議員、大統領や首相など、政務職公務員、一般職1級以上公務員などは、毎年財産変動事項を申告しなければならない。しかし、公職者の財産形成過程を検証する目的で申告した内容が官報に公開されるだけで、公職者の財産と業務の関連性を有機的に分析する制度的装置はない。参与連帯のイ・ジェグン権力監視局長は「国会議員の財産が現在の国会ホームページと官報に公開されるだけで、利害衝突に関して監視することができない。常任委員会などに常時財産内容を公開すれば、推進法案と財産の関連性を見ることができる」と財産公開制度の不備を指摘した。
パク・ユリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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