3日間、小中高全ての演奏を聴いた。さすがにレベルが高く、というか各部とも飛び抜けた演奏をする団体(誰が聞いても、ここがトップと言えるような団体)が無くて、審査員泣かせの大会であった。
特に、中学校の部では、審査結果が生放送中に間に合うか?と一瞬司会者が戸惑う場面もあったほどで、文字通り激戦であったことが理解できた。他の部門でも、ほぼ同様に、一票の差で順位が変動するという微妙な審査風景が想像できた。
全体を通して特に感じたことを幾つか挙げてみたい。まず、ホールの特性についてである。3000人を収容する特大のホールであり、特に小学生には過酷なホールであると言える。あのホールで鳴り響く声を作ることは大変なことである。
また、小学校の部で特に感じたのが、自由曲の貧困さである(やや語弊はあるが)。同じ作曲家の同じ曲を4団体が演奏するなど、以前から感じていることだが、小学生に適した楽曲が不足しているとをあらためて痛感させられた。
中学校、高等学校では選曲も多彩になり、変化に富んだ合唱が楽しめた。しかし、選曲の難しさ、大切さが浮き彫りになったコンクールでもあった。自分たちに適した楽曲と出会い成功した団体。難曲に挑戦してはみたが、充分に歌いこなせなかった団体等々、自由曲の出来栄えが大きく結果に影響していたように感じた。
難曲に挑戦する姿勢は否定すべきではないが、合唱の原点を見失うような選曲は避けるべきである。全国のステージでも「果たして、生徒がどれほどの共感を持ち、喜びを感じて歌っているのか?」と疑問を感じる演奏があることは残念である。