人間社会において、どんな時代にもどんな社会においても避けて通れないことは世代交代である。私も80数年の人生において幾度か世代交代の場面に遭遇してきた。学生時代にも、社会人になってからも、望む望まないにかかわらず訪れるのが世代交代である。ごく最近の経験としては混声合唱団「樹」における指揮者交代がある。私が13年間務めてきた常任指揮者を辞してI氏に後を託した件である。
混声合唱団「樹」は私が満70歳を迎えた時に創設した合唱団である。その時の心境としては「できることならば80歳までは続けたい。そして次の人にバトンを渡したい」であった。当初の思惑通り80歳での引退は可能ではあったのだがコロナ禍等により83歳まで継続したのであった。幸いにも「次はこの人に託そう」という人材に恵まれたことは嬉しい限りである。合唱団に限らず、どんな団体においても後継者の問題は重要課題である。「樹」の場合は私が80歳になる以前に、次はこの人にということを決めて本人にもその旨を伝えつつ予定通りにバトンを渡すことができた。先日、とある有名合唱団(道外)のベテラン団員と話す機会があった。その団も数年前に指揮者が交代して順調に活動が継続しているものと判断していたが、必ずしも順調ではないということを聞き、世代交代も難しいものだと実感した。