★飢餓の根本原因は“金貸し”による途上国破壊
世界の飢餓人口は、8億8600万人と推計されている。
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世界の食糧、特に穀物は、「緑の革命」「ODA」、そして「WTO」によって、アメリカの巨大穀物商社、カーギルとADMの2社にほぼ牛耳られる事となった(カーギルが2/3を握る)。
発展途上国の栄養不足人口は、1969年~1971年には約9億9000万人だった。その後、「途上国の飢餓を解消する」と称して莫大な資金が途上国に投入された。結果どうなったか、栄養不足人口は、国連食糧農業機関(FAO)の予測によると、2008年より1億500万人増え、2009年は10億2000万人になった。世界の約6人に1人が飢えに苦むという過去最悪の数字である。
この数十年間に「飢餓を解消するため」に投入された莫大な資金はどうなったか?
ほとんどが米政府と結託した巨大グローバル企業の懐に消えていっただけで、飢餓人口を逆に増加させただけであったというのが事実である。アフリカでは餓死者は増え、地域社会はどんどん破壊されていった。
こんなの、何かおかしくないか? → 「あいのり」が飢餓問題の本質に迫る
「グローバリゼーション」と称して、欧米が主導で行ってきた開発は、途上国にこれまでにない破壊と貧困と格差拡大をもたらした。特に中南米の国々では、その動きを皮肉を込めて「ネオグローバリズム」と呼んでいる。この国際的な破壊を主導したのは誰なのか?
たしかに目立つのは、市場や流通を一手に支配しているカーギルや、種苗・農薬などを独占しているモンサントなどの企業群、そしてその手の企業を政策として支援してきた米政府である。
しかし、その背後にまるで批判を受けず、今後も「環境」をネタに途上国からの搾取と破壊を続けようとしている勢力があるのを忘れてはならない。
世界銀行やIMF、その背後にいる“金貸し”勢力である。
★金貸しは世銀やIMFを利用して暴利を貪る
世界銀行・IMFは、ブレトンウッズ体制の目玉で、第二次大戦後の戦後復興を名目に立ち上げられた組織である。実際には、ポンドからドルに基軸通貨体制を移すために国際的な圧力をかけるために創られたと言ってよい。
この組織が、二代目総裁のマクナマラの時代から手がけたのが、「緑の革命」という名の途上国からの搾取のための融資である。
この世界銀行の融資による途上国破壊の構造を再度整理してみたい。
①「開発援助」と称して世銀が途上国に融資する。そのカラクリは「アメリカが世界から収奪する仕掛けはこうして構築された」に書いたが、この融資は、ありとあらゆる手段を使って途上国に強制的にでも承諾させる。
融資の目的は、「途上国を豊かにするため」とか「インフラ整備のため」などと正当化されているが、実際のところは、安い労働力を求めて生産工場をつくりたい多国籍企業や、宝石・貴金属・原油などの資源開発を目的とするグローバル企業が途上国へ進出する足がかりと基盤をつくることである。
②安い労働力の供給基盤を形成する。土地を買い占めたり、本国の食糧や商品を流通させることにより、自給自足的な地域共同体を壊し、カネが無くては生きていけない状況に人々を追いやる。
③土地を追い出され、カネが無くては生きていけなくなった地元民を低賃金で雇って、本国で売れる単一作物を作らせる(あるいは、天然資源を開発させる。低賃金で工場労働者として酷使する)。作らせる作物は、天然ゴム、タバコ、コーヒー、パーム油、サトウキビ、茶葉、綿花など、趣向品が多く、もっぱら食糧にならないものが多い。換金作物や資源や工業生産品は不当な安値で買いたたかれ、本国に持ち帰って高い値で売りさばかれる。
④逆に、生活必需品などは、グローバル企業が安価に大量生産したものを提供する(途上国の人々は、金を出してそれを買うしかない)。食糧についても、本国の余剰生産物を売りつけることによって、途上国の農業生産基盤を根底から破壊する。近年では、水さえもグローバル企業から買わなくてはならなくなった…。よく善人面して行なわる「食糧援助」というものも、実は地元の農業の生産基盤を破壊するのに一役買っている。
⑤学校、教育機関などを整備して、「自由」「個人主義」などの思想を洗脳し、地域共同体の破壊をさらに決定的にする。グローバルスタンダードの社会的ルール(「法律・時間・規則などは守るべき」など)を叩き込み、従順な労働者としての従順なメンタリティー(奴隷根性)を植えつけ、労働市場の基盤整備をする。
⑥集団は人間にとって共認充足(体感共認)の基盤である。バラバラの個人にされた人間同士は、共認充足の対象ではなく、私権闘争の潜在的な「敵」となる。ゆえに必然的に共認不全に陥り、ストレスを抱え代償充足を強力に求めるようになる。そこに、メディアを使って大量の代償観念(近代思想)や快美充足のネタなどの情報の中に共認支配に都合のいい情報を紛れ込ませていく。そのようにして、さらに深く徹底的に洗脳されていくのである。
⑦また、バラバラにされた個人は私権闘争の主体となるので、私権闘争に勝つためには手段を選ばなくなる。私権闘争に勝つために必要な武器(資金と観念)の需要が発生し、欧米人(or欧米人の洗脳を受けたエージェント)はそれを提供する。そこに新たな金貸し先と市場が発生する。
⑧道路・流通網、ダムなどのインフラを整備する。当然、土木事業は多国籍企業のゼネコン等が受注し、地元の低賃金労働者をこき遣う。途上国の政府が借りた金は、まるごとこれらグローバル企業に転がり込む。これらのインフラ整備は、実はグローバル企業がより参入し儲けやすい基盤を整備し、「市場化」を加速するのが真の目的である。
その後はどうなるか。
出典: 【図解】「緑の革命の本質とは」
結局、世界銀行から借りた金を返せなくなって国家は破綻。破綻した国家に、「融資をしてあげましょう」とIMFがやってくる。IMFは融資条件を付け、途上国はそれを断れない。途上国の政策はIMFがコントロールし、ますます途上国を食い物にする法整備や税制を敷いていく。
そういう世界銀行、IMFは、資金はどこから調達しているのか。
そのほとんどは、一般市場からである。つまり、運用益を見込んだ投資機関や投資家連中(金貸し勢力)から金をかき集めているという事である。そして金を貸し付けて金利収入を得る。
貸し倒れなどに遭って世界銀行やIMFの資金が不足したらどうするのか?
加盟各国に号令をかけ、供出させるのである。ちなみに、2009年10月に、日本が供出を約束した額は6800億㌦。その後も多額の金を要請されいてる。
世銀やIMFは、国家(途上国)を相手に金を貸し、その金は巨大グローバル企業に還流する。途上国には負債と、破壊された食糧生産環境が残される。
世銀やIMFは莫大な金利収入を得るが、途上国の破壊の責任は問われる事はない。
※画像上の日本語訳:「はい、この通り。あんたがたの発展のためのインフラ整備は完了しました。そのために我々があんたがたに投資してできた借金は、ちゃんと返してくださいね。当然でしょ?」
画像は↓ここから。
http://www.under.ch/SansTitre/Archives/Images/Vrac3/Vrac3.htm
★世銀による新たな共認支配:グリーン・ネオリベラリズム
世界の貧困や飢餓の撲滅を掲げる国連の組織(世界銀行やIMF)や、世界の公正な貿易の推進を謳う組織(WTO)が、実は、単にアメリカの巨大企業の利益を上げるためのお膳立てを行う機関に過ぎない。この事実は、なぜか日本ではあまり知られていないが、世界では常識になっている。その証拠に、反グローバル運動は世界中で大きなうねりとなっている。
この全世界からの非難に対抗するために、世銀はこんな手をうっている。
参考書籍:『緑の帝国』-世界銀行とグリーン・ネオリベラリズム
彼らが行っているのは、自分たちの主張にお墨付きを与える学者に研究資金を出し、御用学者として飼いならしながら、世界の環境運動、貧困撲滅運動を行う非営利組織などを逆に取り込んで味方に付けていく、という巧妙な方法である。
学者を金(研究費)で釣って、己の都合のいい理論武装をするために利用している。これは昔からロックフェラー財団などが行っている方法論で、特に新しい手法ではない。だが、プロ専門家の仮面をかぶった人々が都合よくねじ曲げたデータを出して、「権威」を主張されたら、途上国や貧困層の人々はなかなか有効な反論ができない。協力しない学者は学会から徹底的に干されるので、学者生命を賭けて反旗を翻す学者は稀少である。それに加えて、巨大資本をバックとした企業をスポンサーに付けているマスコミも、正面から事実を報道することができない。
マスコミしか情報源の無い人々は、世界の福祉を考える超国家的機関である世界銀行やIMF、WTOが、まさか特定の企業と結びついて金儲けのお膳立てをしている…なんて夢にも思わないだろう。
こうして、人々の素朴な善意さえ、先進国企業によるさらなる途上国からの収奪に利用されているのである(ODAなどはその典型である)。
世銀は、今度は「地球温暖化」「CO2は悪」「自然保護」「アフリカの貧困」「第二の緑の革命」「貧しい人々に食糧を!きれな水を!」を声高に叫ぶことで人々を騙し、莫大な資金を集め、さらに効率よく途上国から収奪しようというシステムを整えていく。
参照↓
世界銀行の「エセ環境保護」戦略と途上国破壊・収奪の全貌…
現在起こっている、世界の飢餓状況を本当の意味で改善するためには、このような超国家組織(世銀やIMFやWTO)による欺瞞、収奪構造を白日の下に晒し、ふつうの人々の共認によって封じ込めていくことが必要なのである。
★新たな可能性。世界の新たな動き
しかし、世界中の多くの国は、この仕打ちに痛い目に遭う中で、新しい動きをはじめている。
金貸しの支配から逃れて、自分たちで融資機構を作り上げようとしているのが、南米7か国である。2007年の12月に独自の開発銀行を創設した。
他にも、中南米ではエクアドル、ニカラグア、ベネズエラ、他にも、西アフリカのマリ共和国や、ネパールなどで、明確に憲法に「食糧主権」を盛り込む国家も出てきた。
欧米を中心とした「開発援助」を口実とした非道な搾取と破壊は、世界中から非難をあびている。今やそれを知らないのは日本だけになったと言ってもいい。その欧米の要請に唯々諾々と従って巨額な予算を国際金融組織に供出させられている。我々の税金が、途上国の破壊と搾取の地ならしのために利用されているのである。
我々は、共認支配から脱して現状を正しく捉え、このような非道なやり方に明確に「No」を突きつけないといけない。そして、搾取され続けてきた途上国と提携しながら、「実質的な植民地支配」を引きずった関係ではなく、まともな国際関係を築いていく流れを作り、国際世論をリードしていくべきである。
幸い、米国発の世界的な金融危機から、それまで一方的に途上国から搾取してきたシステムそのものが破綻しようとしている。金融システムの破綻はメディア支配の綻びも生じさせ、途上国の人々の怒りの声を封殺し続けることが、もはやできなくなってきている。
そのような実現基盤のもとで、あたりまえの事を「あたりまえ」と共認さえすれば、事は成る。既存の支配勢力が力を失った現在、そういう可能性を探っていける時代が到来したのである。