>「(原爆が投下された)六十年前のヒロシマのようだ」。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050903/mng_____tokuho__000.shtml(東京新聞)
先月末に襲った大型ハリケーン「カトリーナ」による被害を目の当たりにした米ミシシッピ州知事は、こう感想を漏らしたそうな。
おいおい、自然災害を加害者であるあんたがたが落とした爆弾の被害に例えんなよ!と思ってしまったよ…。
今回のハリケーン被害について、TVニュースやJMMの2005年9月3日号冷泉氏の報告(
http://ryumurakami.jmm.co.jp/)を見ると、どうやら車を持ってる富裕層の白人だけがさっさと避難して、貧困層の黒人が取り残され大勢死んだようだ。
しかも、その後の救出作業や遺体回収、復旧作業も滞り、一旦は難を逃れてドームなどの避難所に身を寄せた人々からも死者が出始めている(
http://www.asahi.com/international/update/0903/010.html)。おそらく、この救出や救援への腰の重さには、深刻な被災者のほとんどが貧困層の黒人だということも関係してるんだろう。ブッシュはそれを必死で否定してるけど、そりゃあホンネ(=「貧しい黒人は死んでいいよ。イラクの石油の利権の方がよっぽど大事だ」)は言えないでしょう(ライスは必死で弁護にまわっているようだけど)。
「こうしなけりゃ生きていけない」 (略奪している者がTVのインタビューに答えて)
引用元:
http://www.asahi.com/international/update/0902/004.html
「これで寝室が造り直せる」(事前にニューオーリンズを脱出し、大破した自宅を訪れた白人男性 家に保険金が掛けてあるため)
「打撃を受けているのは貧しい人ばかり。彼らは家を失い絶望している」(ニューオーリンズ市から脱出した福祉団体職員 2日)
引用元:
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050902it15.htm
被害のひどかったニューオーリンズは、黒人と貧困の街。19世紀には米国最大の黒人奴隷市場があり、今も46万人の人口の3分の2が黒人。貧困層の割合は全米平均の約2倍だそうな。貧困層はもともと市内でも水害に最も脆弱な地域に追いやられて暮らしていた。
僕ら普通の日本人の感覚から言って、「あんだけ避難勧告があったんだから逃げたらよかったやないか」と思っている人も多いかもしれない。実際アメリカでも「被災したのは勧告に従わなかった人の“
自己責任”」みたいな話も出ているようだが…(出たぞ、小泉の得意な
「自己責任論」^^;。川柳「貧しさは貧しい奴の自己責任」
http://www.okoshi.org/tadashi/bbs2/archives/000982.html)
>現地時間9月1日のアメリカABCニュース「ナイトライン」では、肌の色には言及していませんでしたが、アンカーマンのテッド・コッペル(Ted Koppel)氏が、“あなたは「これほど多くの人が避難しなかったことに驚いた」と言いました。しかし、ニューオリンズの少なくとも10万人の市民は、車を持たず、公共交通機関を利用できないほど貧しい暮らしをしているのです。彼らは、誰かに「勢力5のハリケーンが来るから避難するように」と言われても、逃げる手段を何も持たないのです。脱出用のバスも用意されていなかったのに、人々が残っていたことに驚いたなどと言えるのでしょうか?”と連邦緊急事態管理局(FEMA:Federal Emergency Management Agency)のマイケル・ブラウン (Michael D. Brown)長官に詰め寄っていました。
引用元:
http://blog.livedoor.jp/soliton_xyz/archives/30976848.html
これらの前提から考えてみると、日頃から貧困にあえいでいて、ハリケーンが来るといっても放置され、救援物資でさえまともに送られてこない、そんな立場の黒人貧民層の強い不公平感も、治安悪化の大きな要因の一つだと思われる。その上、「無政府状態で危険だから、救援(人も物資も食糧も)の派遣は困難です」ときたもんだ…
要するに、貧富の差が極端なアメリカ社会の歪み(
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=88925)が、この災害であらためて露呈してしまったというわけ。
そんな状況の中で、
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=96876この投稿にもあるように、州知事の地位にある人物が、
“治安回復に必要なら無法者を射殺する態勢にある”(要するに、被災者は何するかわからんから銃で脅して治安を維持せよ、ということ)という意味の発言を堂々とするような異常事態に…
ハリケーンの被害を受けて家族を亡くしたり、救援物資が底を尽いたり、というようなひどい状況下で、同じように被災した黒人の仲間と協力して、生きていくためにしかたなく無人と化したスーパーに押し入る…そういうことは、もともと貧困で、災害が来ても放置され、救援も滞っている状況下では、簡単には止められないと思う(白人もやってるみたいだが、もっぱら黒人がターゲットだとか)。そういう黒人を警官や州兵が銃を持って待ち構える…などというロス暴動や公民権運動の時のような悪夢のような事態になってしまうのだろうか。なんともやりきれない。
早速、身内のために助けを呼ぼうと車を止めようとした黒人が
誤って射殺される事件が起きている。警官や州兵と貧民層の黒人たちの間の空気はますます殺気立ってるようだ。
掠奪・強盗・レイプなどが頻発する無政府状態と化してしまったニューオーリンズでは、
既に2割もの警官が職務放棄(一部掠奪に加わったり)した。「ハリケーン被害ですべてを失ったうえに命まで失いたくない」というのが職務放棄や退職する警官のホンネのようだ。警官はが減り、代わりに州兵が増えたとしても、残念ながら秩序の崩壊はもっとひどくなっていくだろう(何か我々にできることはないだろうか…。冷泉氏の言うように、イラクの自衛隊を引き上げてニューオーリンズ送ればいいのではないか。世界中から感謝されて、地に落ちた日本の株も少しは上がると思うが…)。
現在、小泉首相はアメリカの要請を受けて、徹底した
「自由経済」の、自分の身は自分で守る
「自己責任」の社会を推進しようとしている(
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=96710)。
しかし、その本家本元のアメリカ社会が、上のように自然災害に対してさえまともに対応することができない、簡単に秩序が崩壊するような脆弱な社会であることが明るみになってしまった。
「このブッシュやアメリカの惨状をみんなが見れば、さすがに今の小泉の勢いは減退するだろう…」と思っていたが、
>「射殺」を認めるほどの壊滅的状況にも関わらず、日本の新聞・TVでの、今回の災害関連のニュースが異常に少ない気がする。(中には、知らない人さえいるのではないだろうか?)
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=96876これを見る限り、マスコミはこの件を私たちの社会と関連付けてまともに分析も報道もしていないようす。
このカトリーナとアメリカ社会の件も、小泉の問題と併せて自分達で共認形成していかなくてはならんなあ。「これは対岸の火事じゃぁない。我々の社会もこのままだとああいうふうになっていくかもしれんよ…」と。
※画像出典:
http://www.asahi.com/international/update/0831/012.html
「人気ブログランキング」に参加しました。
↓
人気blogランキングへ
※亡くなられました多くの方々のご冥福、および被害に遭われた地域の一日も早い復興を心よりお祈りします。