今年はグリム童話が出版されてから、200年の記念すべき年
日本においても、ドイツからカッセルのグリム兄弟博物館からラウアー館長を迎えて
東京と関西でグリム・シンポジウムが開催されました。
■東京会場は、東洋大学創立125周年記念行事として大野寿子准教授のイニシアティブのもと
「グリム童話200年のあゆみ-日本とドイツの架け橋として」と題して盛大に開催された。
そのことに関しては前回のブロブで報告しましたので、ご覧ください。
■関西会場は、武庫川女子大学の野口芳子教授の科研究費給付による研究の成果のひとつとして
「グリム童話刊行200年記念シンポ≪グリム童話とジェンダー ―文字・図像・音楽にみる家族像―≫」
と題して日本独文学会の会員や多くの学生、グリム童話愛好家も集い、開催された。
<基 調 講 演>ベルンハルト・ラウアー(グリム兄弟博物館館長) 独日通訳:大野寿子
文字から図像へ―19-20世紀における『子供と家庭のメルヒェン集』 挿絵史
講演中のラウアー博士
ラウアー氏は、ユネスコの世界記録遺産に登録されているグリム兄弟が所持していたグリム童話
初版・2版の紹介から、グリム兄弟の弟で画家のエミール・グリムの挿絵、そして
ロマン派、ユーゲント・シュティールから現代にいたるグリム童話の挿絵の歴史を
スライドを交えてわかりやすく講演された。
20世紀のメルヒェン「白雪姫」
オペラや映画としてもグリム童話は親しまれている。
メルヒェンの受容:文化的相違
日本の「狼と7匹の子ヤギ」、アフリカの「ブレーメンの音楽隊」
そしてアメリカ・ニューヨークの闇の街の「白雪姫」
時代は変わっても、世界のどこでも親しまれるグリム童話!!
<シ ン ポ ジ ウ ム>グリム童話とジェンダー ―文字・図像・音楽にみる家族像―
① 溝井裕一(関西大学准教授): 「解雇された兵隊」と近世の家父長制
② 金城ハウプトマン朱美(ドイツ語圏口承文芸研究者): 「ヘンゼルとグレーテル」から見る家族像の変遷
③ 山本まり子(聖徳大学教授): オペラにおける「ヘンゼルとグレーテル」 ―ジェンダーの視点から―
④ 竹原威滋(奈良教育大学名誉教授): グリム童話とヨーロッパ民間伝承にみる「白雪姫」のジェンダー観
⑤ 野口芳子(武庫川女子大学教授): グリム童話「白雪姫」に見られる家族像
左から順に、溝井、金城ハウプトマン、山本、竹原、野口の各発表者
シンポジウムの内容については、神戸新聞の10月29日の朝刊の記事を引用しておきます。―
グリム童話刊行200年を記念したシンポジウムが28日、西宮市池開町の武庫川女子大学で開かれた。
「グリム童話とジェンダー 文字・図像・音楽にみる家族像」をテーマに、研究者たちがさまざまな作品を
取り上げながら発表。学生ら約150人が耳を傾けた。
グリム童話(正式名称『子どもと家庭のためのメルヒェン集』)は200年前にドイツでグリム兄弟が編さん。
170以上の言語に訳されて世界中で親しまれている。
シンポジウムでは、関西大学の溝井裕一准教授ら5人の研究家が登壇した。
グリム童話のいくつかの物語に登場する「兵隊を解雇された男」を、溝井准教授は
「父権制社会において家長たりえなかった男性」と位置付け、当時の時代背景に重ねた。
ドイツ語圏口承文芸研究者の金城ハウプトマン朱美さんは、「ヘンゼルとグレーテル」が
初版から改訂する中で、登場人物の母親を「悪い継母」に変えたことが、
読者の子どもたちに継母は冷酷だという印象をすり込んでいると指摘した。
聖徳大学の山本まり子教授は、欧米で上演されるオペラ版の「ヘンゼルとグレーテル」では、
魔女役を男性テノール歌手が演じることが多いことを紹介し、公演映像も流した。
奈良教育大学の竹原威滋名誉教授と武庫川女子大学の野口芳子教授は、白雪姫を題材に、
結婚観や女らしさ、美しさについて語った。
武庫川女子大学1年生(19)は「小さいときから好きな白雪姫も、
自分で常識だと思っていたことが覆されたのが面白い。知らない話が多くて新鮮だった」
と話していた。(記者:金山成美)(2012/10/29 09:20)
ブログをお読みいただいている方々のなかにも
遠路はるばる来ていただいた方もいらっしゃいます。
どうもありがとうございました。
これからもグリム童話が未来に向けて、さらに多くの人々に愛されるよう
私も研究に励み、その成果をみなさまに発信していきます。
長いブログになりましたが、これに懲りず、毎週1度は更新しますので、見てくださいね。
ホームページも更新しました。
日本においても、ドイツからカッセルのグリム兄弟博物館からラウアー館長を迎えて
東京と関西でグリム・シンポジウムが開催されました。
■東京会場は、東洋大学創立125周年記念行事として大野寿子准教授のイニシアティブのもと
「グリム童話200年のあゆみ-日本とドイツの架け橋として」と題して盛大に開催された。
そのことに関しては前回のブロブで報告しましたので、ご覧ください。
■関西会場は、武庫川女子大学の野口芳子教授の科研究費給付による研究の成果のひとつとして
「グリム童話刊行200年記念シンポ≪グリム童話とジェンダー ―文字・図像・音楽にみる家族像―≫」
と題して日本独文学会の会員や多くの学生、グリム童話愛好家も集い、開催された。
<基 調 講 演>ベルンハルト・ラウアー(グリム兄弟博物館館長) 独日通訳:大野寿子
文字から図像へ―19-20世紀における『子供と家庭のメルヒェン集』 挿絵史
講演中のラウアー博士
ラウアー氏は、ユネスコの世界記録遺産に登録されているグリム兄弟が所持していたグリム童話
初版・2版の紹介から、グリム兄弟の弟で画家のエミール・グリムの挿絵、そして
ロマン派、ユーゲント・シュティールから現代にいたるグリム童話の挿絵の歴史を
スライドを交えてわかりやすく講演された。
20世紀のメルヒェン「白雪姫」
オペラや映画としてもグリム童話は親しまれている。
メルヒェンの受容:文化的相違
日本の「狼と7匹の子ヤギ」、アフリカの「ブレーメンの音楽隊」
そしてアメリカ・ニューヨークの闇の街の「白雪姫」
時代は変わっても、世界のどこでも親しまれるグリム童話!!
<シ ン ポ ジ ウ ム>グリム童話とジェンダー ―文字・図像・音楽にみる家族像―
① 溝井裕一(関西大学准教授): 「解雇された兵隊」と近世の家父長制
② 金城ハウプトマン朱美(ドイツ語圏口承文芸研究者): 「ヘンゼルとグレーテル」から見る家族像の変遷
③ 山本まり子(聖徳大学教授): オペラにおける「ヘンゼルとグレーテル」 ―ジェンダーの視点から―
④ 竹原威滋(奈良教育大学名誉教授): グリム童話とヨーロッパ民間伝承にみる「白雪姫」のジェンダー観
⑤ 野口芳子(武庫川女子大学教授): グリム童話「白雪姫」に見られる家族像
左から順に、溝井、金城ハウプトマン、山本、竹原、野口の各発表者
シンポジウムの内容については、神戸新聞の10月29日の朝刊の記事を引用しておきます。―
グリム童話刊行200年を記念したシンポジウムが28日、西宮市池開町の武庫川女子大学で開かれた。
「グリム童話とジェンダー 文字・図像・音楽にみる家族像」をテーマに、研究者たちがさまざまな作品を
取り上げながら発表。学生ら約150人が耳を傾けた。
グリム童話(正式名称『子どもと家庭のためのメルヒェン集』)は200年前にドイツでグリム兄弟が編さん。
170以上の言語に訳されて世界中で親しまれている。
シンポジウムでは、関西大学の溝井裕一准教授ら5人の研究家が登壇した。
グリム童話のいくつかの物語に登場する「兵隊を解雇された男」を、溝井准教授は
「父権制社会において家長たりえなかった男性」と位置付け、当時の時代背景に重ねた。
ドイツ語圏口承文芸研究者の金城ハウプトマン朱美さんは、「ヘンゼルとグレーテル」が
初版から改訂する中で、登場人物の母親を「悪い継母」に変えたことが、
読者の子どもたちに継母は冷酷だという印象をすり込んでいると指摘した。
聖徳大学の山本まり子教授は、欧米で上演されるオペラ版の「ヘンゼルとグレーテル」では、
魔女役を男性テノール歌手が演じることが多いことを紹介し、公演映像も流した。
奈良教育大学の竹原威滋名誉教授と武庫川女子大学の野口芳子教授は、白雪姫を題材に、
結婚観や女らしさ、美しさについて語った。
武庫川女子大学1年生(19)は「小さいときから好きな白雪姫も、
自分で常識だと思っていたことが覆されたのが面白い。知らない話が多くて新鮮だった」
と話していた。(記者:金山成美)(2012/10/29 09:20)
ブログをお読みいただいている方々のなかにも
遠路はるばる来ていただいた方もいらっしゃいます。
どうもありがとうございました。
これからもグリム童話が未来に向けて、さらに多くの人々に愛されるよう
私も研究に励み、その成果をみなさまに発信していきます。
長いブログになりましたが、これに懲りず、毎週1度は更新しますので、見てくださいね。
ホームページも更新しました。
時代や社会背景などを考慮しなければならないということも踏まえて…。
子どもにとっての親、親にとっての子ども。
本当に難しい
講演会、拝聴したかったぁ~