2/14の県西おもちゃ病院で入院となったおもちゃの修理に取り掛かった。
●笑い袋
袋の中に笑う機構が有り、このボタンを押すと「わっはっは」と大きな笑い声が出るというものだ。
以前に修理したものだが、また笑わなくなったという依頼だった。
内部にソノシートの小さいのが有り、コーンの先端に有る針がトレースすることで、音声が再生されるという、面白いものだ。
針が内周に行くと、針が、ばね板式のスイッチを押して接点と離れ、モーターが停止する。一方、ボタンを押すと、レコード溝から針が持ち上がり、外周にばねで戻され再生する仕組みだ。
コーンの微妙な押さえ方で再生スピードも変化し、またボタンを押してもスタートしないというので、バネ圧とか押さえの寸法を変えたりしたが、うまく動作しない。
原因を先に言うと板バネ2ヶ所の組立違いだった。(押さえていなかった)今後の為に写真を撮った。
前回は、手作りのバネ等をいれて、悪く言うと誤魔化して動作させていた。
また、モーターの固定はケースを被せて行っているので、ケースを外しての動作確認中にシャフトからゴムベルトがしょっちゅう外れ大変なので、両面クッションゴムをモーターとハウジング間に入れてモーターが抜けない様にした。
●ファービィ人形
以前にも修理経験の有る(修理不可だったが)人形で、動作が複雑なことを覚えている。
全然、動作しないという症状。
分解してみて、モーター単体では動作する。
基板部分まで、外してみて電源6Vを接続すると、モーターが動作、おしゃべりも正常に再生される。電源電圧を下げて見たが3Vまでは正常に動作した。
いろんなセンサー(接点/マイク/光)を操作したが、問題無さそうだ。
学習機能が有り、以前の経験では長時間スリープに入ることも有ったので、本当に動作しているのか分かりにくい人形ではある。
取り敢えず、組立直して動作OKだったので、これで様子を見てもらうことにする。
2015/01県西おもちゃ病院は6件の受付があり、そのうち、この1件が入院となった。
完了となった5件中4件が電池液漏れによる接点腐食折れや、接点が奥に入ってしまった症状で、残り1件はスピーカー断線だった。
「ことばずかん」は図鑑の絵をタッチペンで指すと、それにあった音声が再生されるというものだが、これが反応しないという症状である。(電源ONしたときのメッセージは出る)
当日は、オシロで水晶(円筒形)発振波形を観測して、2個中(32.768kHz、16MHz)、1個(16MHz)が、発振してないというところまでは確認出来たが、部品を持参していなかったので、入院となった。
ずばりが無かったので、HC-49/S型パッケージの14.31818MHzと20MHzに交換してみると、どちらも発振する。しかし、タッチペンが反応しないので先頭部カバーを切断して内部を見る。
LEDが2個が45°程度の角度で対向している。波形を見ると、短いパルスが間欠して出ている。LEDは紫外線の様で、スマホカメラで、点滅が確認出来た。
中心部には突起があり、採光用の小さな穴がある。中までは確認出来ない。LEDの角度がシビアな様で、これを微調整すると、見事、反応する様になった。
水晶を入れ替えても、どちらでも動作する。発振周波数には、それほど関係ない様なので20MHzを使うことにした。
尚、センサー部基板が接続されていないと、何故か発振しなかった。
ja7jqjさんからコメントが寄せられたので、波形を測定してみた。
アノード側電圧が3.72Vで一定。電池の電圧は3Vなので、内部DC/DC-CONVで昇圧していると思われる。とすると紫外線発光ダイオードでは無いかと考えられる。
カソード側の波形を見ると、40mSの間隔で400μS幅のパルスが出ている。
OFF側が2.84VでON側が2.08Vとなっている。
ブック側を見るが、拡大すると細かい横線が見える。
タッチペンの反応が、例えば消防車の場合、その絵のどの部分をタッチしても反応するので、どの様な原理かは分からないが、音声はタッチペン内部の音声ROMに記録されており、ブックのコードと合致した音声が流れるものと思われる。
ブラックライトでもあれば、紫外線コードが見えるかも知れないが。
余談だが、郵便の配達物には、全て見えない紫外線インクで郵便番号バーコードが印刷されている。
コメントいただいた湯浅様から写真がメールで届いた。確かに規則的なドット配列が見られた。
そこで、私も60倍ルーペで覗いて見たら、見えたのでそれをデジカメおよびスマホで撮ってみた。ピントが合わず良く写っていないが掲載する。
SNS仲間のja7jqjさんからは、「元になる技術はGスキャナー これではないかと思います。」とコメントがあった。
スマホのカメラと照明を変えて変化を見てみた。紫外線照明が無いので紫LEDとしたが、コードのコントラストが上がり認識しやすくなるのではと思われる。
左から「ストロボ無し」「ストロボ有り」「紫LED照明有り」
おもちゃ病院で、油分や汚れの除去等に、プラモデル用のシンナーを使用しているが、ご存じの通り刺激臭が有り、女性には遠慮される場合が有る。
そこで、ある方から紹介されたのが、エナメルリムーバー(除光液)というものだ。
220mlで300円程度、香りも良くて、皮膚にも良さそうということで、現在はこれに切り替えて活用している。
おもちゃ修理の世界でも、結構、異性が普通に使っているものに便利なものが多い。
なので、100円ショップでも、異性の目を気にしながらも、女性コーナーを必ず周って歩いている。(変なオジサンと見られてるかも)
いつもは、午前中殆ど患者さんが無く、午後に見えるケースが多いのだが、今日は午前中から患者さんが見えて、こういう日に限ってベテランドクターが2名休みで大忙しだった。
終わってみると、10件と、いつもの倍位の受付があった。
修理内容を報告しておく(名称は正式名とは異なる場合が有るのでご了承下さい)
1.ゴーカイジャーの鉄砲
音が出ないという症状で、予想通り、スピーカーの断線だった。
φ21と一般的では無い寸法で手持ちが無かったのでφ20のスピーカーを使って接着固定とした。
ちなみにφ21のスピーカーはイーエレで入手可能です。(@50円)
2.赤ちゃんメリー
全然動作しない(回らない、音が出ない)という症状で、電池を見ると液漏れで接点が腐食していたので、これを磨いてOkとなった。
3.赤ちゃんBOX
音が出ないという症状。
これも、やはりスピーカーの断線だった。
一般的なφ27のスピーカーだったが、あいにくと品切れになっていたので、手持ちφ28スピーカーを接着。
更に、裏側押さえ板が付いているので、隙間にスポンジゴムを挟んで固定する。
4.アンパンマンパッド
タッチパネル式の玩具で、スイッチを入れると「+をタッチしてください」と表示するが、タッチしても反応せず。
その後、他のボタンで左上隅に+が表示されるが、これもタッチは反応せず。
電源スイッチは無く、蓋のストッパー部分内部にリードスイッチらしきものが有るが磁石を接近させてもONにならない。また蓋側にも何かスペースは有るが磁石が無くなっている。
但し、リードスイッチをショートさせてやっても変化は無い。(このリードスイッチは、別売りの「うたって♪たたいて☆パソコンだいすき」とドッキングして遊ぶことが出来るためのものの様だ)
液晶部分を組立直したが変わらず、ICの不良として結論付け、修理不能とした。
今後の教材用にヤフオクで同機を落札して、内部を開けると、バージョンが有る様で、違いのあることが分かった。
5.ディズニー・プレイメイト
カードを読み込まない、また、内部でカタカタ音がするという症状。
隙間から外れたベルトが見えるので分解してみる。
すると、駆動のモーターが外れていた。止めねじはM1.5位の小さなもので、ゴムのブッシングで振動吸収する固定構造になっている。
ねじ1本は見つかったので固定したが、もう1本が見つからない(閉院で片付けていたら床の上に有ったが)ので手持ちの近いタッピンねじで固定した。長すぎるとモーター内の回転子にぶつかるのでギリギリの長さになっており、これが外れやすい原因になっている。
組立してカードを通すと問題無く動きアナウンスが正常に聞こえて来た。
余談だが、今回のはデジタル式(バーコードを読み取る)で、これ以前のはアナログ式(カード裏に磁気テープ状のコーティングがされている。
6.ディズニー・あいうえおボード
電源スイッチを入れると、途中で音楽が終了し、その後、各キーをおしてもメッセージが出ないという症状。
電池は単三×3本使用しているが、0.9V・0.9V・0.7V以下しか無く、新しい電池に交換すると問題無く正常動作した。
電圧が低い関係で再生の電子回路が誤動作していた様だ。
あとは、ボタン中央部は構造上の関係か強く押さないと反応が鈍い。これは治しようが無いので、了解いただく。
5.6.項の依頼者はフェースブックにアップして良いかとのことだったので、快く承諾した。
家で確認したら、嬉しいメッセージと「おもちゃ病院」のPRをしてくれていた。
つくば市の方で、近くにも病院は有ったが、私のブログを見て、直してくれそうだと、わざわざ来てくれた。
https://www.facebook.com/yoshie.ojima.5/posts/616631385109691
7.どらえもんカラオケキーボード
電源が入らないという症状。
分解してみると、オリジナルのスライドスイッチ(基板のパターンとボタン裏面に付けた二股ばね接点)が使われているが、ボリューム側はパターンが2本に対し、接点が2個付いている。また切り替えスイッチ側がパターンが6本に対し接点が2個しか無い。
どこで修理されたか分からないが、正解はボリューム側接点が1個、切り替えスイッチ側接点が3個と想像出来るので、入れ替えて接着固定(オリジナルは熱溶着)する。
完全に固定されたのを確認して組み立てると、問題無く動作する様になった。
8.ショベルカー(大型で英語のアナウンスが出るもの)
有線リモコン式で各ボタンを押すと動作(モーターおよびサウンド)するのだが、空回りしている様なので分解してみる。
キャタピラ駆動側ギアボックスはシャフト受け部分のモールドケースが摩耗してガタが大きくなりギアがかみ合わないのが原因の様で、押さえのプラ板を内側に貼り付けて、ガタを少なくすることで、空回りが無くなった。
アーム側もやはり空回りするので、運転台部分を分解すると、ギアボックスのねじが3個中1個が外れて紛失していた。この関係で、やはりギア間にガタが生じていたと思われる。これは手持ちのねじで固定したところ、問題無く動作した。
9.あんぱんまんの黒ひげ
樽に剣を順序に差し込んで行くと、どこかで当たりが有り、樽上のバイキンマンが飛び出すというものだが、音楽が鳴らないという症状。
電池は問題無しということで、分解してみる。
電子回路基板で、クロックを決めていると思われる高抵抗値の抵抗部をテスターで触ったら、急に音が出る様になったので、半田を付け直す。片側がベタアースで、これが完全に付いていなかったのかも知れない。
振動を加えたが、正常のままなので組み立ててOKとなった。
10.動くロディ
左後ろ足が折れてしまったので、修理可能かとのことだった。
足付け根の部分に2か所穴開けし、ステンレス細線で縛り付けプラリペアで補強する。
先日のブログで「セーラームーン・ムーンミラクルオルゴール」の修理を紹介したが、先日依頼者から、鏡と蓋が割れて届いたとの、ショックを受けたメールが写真と共にあった。
前回依頼された、梱包のまま送り返したのだが、運送会社の違いなのか、この様な事態になってしまった。
当人から、運送会社にクレームを出したところ、調査するので、現物を回収したいということで、預けたのだが、最終的に、運送会社の担当者から私のところに、何とか修理出来ないものかと、依頼が有り、現物を見てみることにした。
割れ方から、上下に圧縮されたか、落下等で強い衝撃があったものと想像する。(勿論、送り状はワレモノ指定してあるが)
梱包がどういう状態だったかを確認したかったのだが、送られて来たのは中身だけだというので、これに関しては継続調査する様依頼した。
金額的な保障をしてもらっても、現物は戻らないので、何とかすることにした。
鏡を入れ替えするには鏡枠を外す必要が有り、割れた隙間から見ると差し込みのポストが4本見えるのだが、ラジオペンチでこじっても抜けない。接着だろうという判断で切断することにした。
これで外れたので、ポストをこじってみるが、やはり外れない。接着か、圧入の様だ。
鏡枠の内径を測定すると55.4×85.4×2.1(鏡の厚さは1.7mm)
鏡を見つけにノギスを持ってダイソーに出掛ける。
ズバリは無かったので2枚取れる寸法の鏡を2個購入。
そして、ホームセンターでガラスカッターを購入。
ダイソーの鏡とプラスチックケースとは両面テープでしっかり固定されているので、裏面よりホットガンで加熱して剥がす。
ガラスカッターは小学校の頃だろうか、ガラス屋さんが綺麗にパン!と切っていたのを見ていただけで、実際使ったことはなかった。
1枚は練習のつもりで切ってみた。途中からの切れ目でも綺麗に切れる(割れる)ことが経験出来たが、寸法がプラスだったので、枠に入らない。
この経験を生かし、2枚目は寸法通り切れた。
これを枠に入れて、ポリイミドテープで4方向固定する。
カットしたポストを接続しなければならないので、切断面に空いた穴にちょうど良い銅線(φ1.5)を差し込みクイックボンドで固定する。
蓋の割れについてもクイックボンドで接着する。瞬間接着剤だと、はみ出した時に修正が効かなくなるので。
やはり、割れ目は完全には消えない。
鏡枠と蓋表面飾りの板は両面テープでも固定する様にして、サンドイッチする。
これで、一応は修正完了となった。
今回のことで、割れ物を送るには、しっかりした箱に入れてクッションを十分詰める様にしなければならないというのが教訓となった。
以前修理してあげた方から、また修理の依頼があった。
「セーラームーン・ムーンミラクルオルゴール」というもので、オルゴール(手巻きゼンマイ)は正常に鳴るが、ライトが点灯しないという症状で、電池の液漏れが有る様だとのことだった。
届いて見ると、電池のマイナス接点(バネ状)に緑青が見られる。
また、電池は新品を入れたとのことだったが、1個は劣化していて+-が逆の電圧を示した。
おそらく、電球の点灯が見えないくらいの電流(後述の接触不良により)が、蓋を開けた状態で流れっぱなしになり、消耗したのではと思われる。
手持ちの電池に交換してみたが、やはり点灯しないので分解することに。
ON/OFFの構造は簡単で、電池の-接点の端子に、上下レバーに付いた真鍮版が接触するというもので、どちらも腐食していた。
磨くと、麦球が点灯する様になったが、接触が不安定で、また腐食してくると問題なので、手持ちのスイッチを押す構造を考えて見た。電池接点はaitendo製に交換した。
レバー付きマイクロスイッチが丁度合うので、端子を曲げて電池ボックス裏に接着、動作タイミングはレバーを微調整して合わせる。
これで、安定して点灯する様になった。
麦球の回りにはモザイク状の反射鏡があり、オルゴールの回転をスパーギアで伝えて回している。表から見ると、これが綺麗に見える。
あとで調べると、同様なものがヤフオクにて23000円で出品されていた。プレミアムな製品の様だ。
午前中は依頼者ゼロ、こういうケースは良くある。
予想通り?午後は、依頼者が来た。全部で6件有った。
1.今回はプラレール関係のギア破損が多かった。
ピニオン割れで交換。スパーギアのピニオン側破損で交換(市販の部品とピッタリ一致)。
タイヤ、連結器も合わせて交換。
2.乗用の車(幼児用)
ハンドル固定の長ねじとナット紛失という症状だが、同じ様なねじが無いので、ロックタイを2本使用して各半周させてロックすることで固定した。
3.トーマス・プラレール:転車台が回らない/戻らないという症状
機構的にはなかなか面白い。
転車台にブルトーザーが進むと、後輪の回転が台のローラーに伝わり、この回転で転車台を回すというもの。
なかなか手強くて、入院で修理することにした。
戻りが悪いのは、内部の引っ張りバネを短くすることで、戻る様になるが、そうすると、ブルトーザーとローラーがスリップする。
スリップを改善する為に、ローラーを現在使用されているプラスチック製からゴム製(網戸の押えゴムの太いタイプがピッタリ)に交換する。
シャフトとのガタが有るので接着固定する。ブルトーザー側もタイヤとホイールがスリップするので接着する。
それでも、転車台が回転しきらず、回転したとしても、戻らないという微妙な問題が有る。
良く見ると、転車台のシャフトにガタが有り、これにより、内部のギア噛み合わせがきつくなって回りにくくなっている様だ。
そこで、転車台の本体側当たりの部分にマイラーシートを両面テープで貼り付けて、水平に回る様にしたところ、スムーズに回り、また戻る様になった。
セーラームーン・スターコンパクト修理完了 を見た方から修理の問い合わせが有り、引き受けることにした。
***コメント***
私もこちらと同じクリスタルスターブローチとコズミックハートコンパクトの2点を昔から大事に持っているのですが、
クリスタルスターは光り音もするのですが、クリスタルの真ん中のガラスボタンを押した際の音がならず、
コズミックコンパクトは光るだけでボタンを押しても、開いても音がでなくなってしまいました・・。
どうしても直したくて調べていたところ、こちらのサイトにたどり着きました。
他にもおもちゃ病院があるようですが、こちらのサイトの記事をみていてこちらの県西おもちゃ病院にぜひともお任せしたいと思いました。
近場で無い事から直接はお届けにいけませんがもしお直しが可能であればお願いしたいです。
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1.クリスタルスターブローチ(丸いコンパクト)
現状⇒フタを開いた時に音が2回正常に鳴りますが、
真ん中の丸いクリスタルボタンを押しても音が鳴りません。
正常な状態⇒フタを開くと2回音が鳴り、真ん中のボタンを押すと少し長めのメロディーが3回繰り返し鳴ります。
(両方共、音と同時に光ります)
原因⇒スピーカー断線とトランジスタ不良で交換して正常に動作。
2.コズミックハートコンパクト(ハート型)
現状⇒フタを開ける時と中のボタンを押した時に少し光りながらビリビリ(歪んで音にならない)と音が出ます。
正常な状態⇒フタを開くと、光ながら2回音が鳴り、真ん中のボタンを押すと、少し長めの音が、光ながら3回繰り返されます。
原因調査⇒音が鳴らない原因はトランジスタですが、交換しても不安定(音が変)
外部電源で3.3V程度に上げると正常に鳴るので、別な部分を調査。
音階?を決めてるらしいコンデンサ容量47uFを10uFに減らすと正常に音が出たので交換。
多少オリジナルより音階が上がっているかも知れません。
光が出ない原因はIC不良の様で信号が出ていませんでした。
そこで、音声出力で光らせる様にしました。オリジナルとは異なるかと思います。
また、白熱ランプはドライブ出来ないので赤色LEDに変更しました。
IC不良の場合には、またしばらくして再発する恐れが有りますので、了承してもらうことにした。
県西フェスタで10/4,5の2日間臨時のおもちゃ病院を開催。合わせて11件の依頼が有った。
10/5は電子工作教室と重なるので、下妻おもちゃ病院から2名応援してもらった。
今後の修理の参考になったものを2点紹介する。
1.赤ちゃんガラガラ
タンバリン状の形状で、内側にあるスイッチを押すと光と音が出るのだが、音が出ないという症状です。
分解すると、傾斜スイッチが有り、これを振ってもON/OFFしないので、手持ちの秋月製AT-407に交換したが変わらない。
スピーカーはチェックの結果、正常だ。だが、オシロで片側をGNDに、もう一方をスピーカーに付けると音声信号は出ている。ではとスピーカーの+-端子に接続すると信号が出ていない。
どうやらIC(TOBタイプ)のBTL出力の片側が動作していない様なので、音量は低くなるが片側GNDに落とすと、スピーカーからサウンドが聞こえて来た。また、本体を振ると、ガラガラの音が出るのでスイッチも問題無さそうだ。
2.しまじろうのあいうえおボード?
あるボタンを押しても音声が出ないという症状。小島ドクターにお願いして調べてもらったところ、キーシートのコンタクト部分が腐食している様で抵抗が大きいとのことで、銅テープを細く切って、そのパターンに這わせて接続。
だが、基板と合わせて押さえ板を締めても接触が微妙ということで、入院となり当方が再度見直すことにした。接触は、いくらやっても不安定なので、基板単体のコンタクトをショートさせながら反応しない50音が無いか調べていくと、ICに接続されている1ピンが導通無し。TOBモールドのギリギリまでレジストを剥がして導通を見るがやはり無く、IC内部で断線している様でこれは修理不能と判断した。う、す、つ、ふ、む、る、の音が出ない。
一方、接触だけでもなんとかならないものか、清浄、接点グリス、接点復活スプレーを試したが、かえって悪くなるばかりである。そこで、aitendoから購入してあった導電ゴム(2個入) [GC51X5.5X2.5](液晶モジュールと基板の接続によく使われる電気を通す(導体)シリコーンゴム)を間に入れることにした。
4面導体タイプで、丁度半分に切断して2個に分けるとスペースに収まる。押さえ板を締め付ける(反らない程度に)。
キーを押すと、なんと問題無く、キーも軽いタッチで音が出た。接触抵抗が改善されたためと思われる。
キーボードのおもちゃでは良く使われている接続方法で、いつも悩まされていたが、今後はこの方法で簡単に対処出来そうだ。
「6種類サウンドとLED点滅ブレッドボード」を製作してみた。
当初はタクトスイッチを6個付けて操作したかったのだが、スペースが取れなくて、6回路-DIP-SWに変更した。ところが、このブレッドボードの+-電源ラインは5列毎に分かれているので1ピン刺せない。なので1と2ピンを半田付けする。
取り敢えず動作したが、DIP-SWの操作性が悪いので点滅回路は配置を見直す必要がある。これを図面化するのだが、ブレッドボードに丁度良いフリーソフトFritzing が有り、これを使おうと考えている。
取り敢えず、部品を置いて見たが、リード線を伸ばす方法が分からない。取り敢えず配線延長で誤魔化すことにする。
誤魔化さなければ、ブレッドボードでの設計で、回路図と基板図が作成される優れたソフトだと思う。日本語にも対応しているので、使いやすい。
ダイソーに行ったところ、100円(税抜)でソーラーライトが売られていたので、実用出来るか確認用に購入した。
裏側に電源スイッチがあり、これをONにすると、充電池(Ni-MH1.2V/80mAh)から供給された電圧でLEDが点灯した。太陽電池に照明を当てると当然消灯する。
ところが、LEDの点灯色が黄色なのだ。虫よけには良いのだが。波形を見るとP-Pで1.965V
そこで、手持ちのφ3mm白色LEDに交換してみたら、暗い。電圧も低い(P-Pで2.94V)。
外部電源で3Vにすれば、明るくはなる(P-Pで3.57V)。
使用されていたICはANA618というもので、データーシートは見つからなかったが、同じ様な実験をされてるブログから接続は分かった。 そこで、同じ用途用で、秋月のCL0116に交換することにした。
ピン配列も異なり、太陽電池の接続方法が異なるので、データーシートに合わせて接続する。
白色LEDを点けると、ANA618よりは明るくなった。波形を見てみる。(左側)P-Pで3.57Vある。
外部電源で3Vにしたときの波形が右側でP-Pで6V程度ある。太陽電池の発生電圧がどのくらいあるか、気持ちの良い秋空の下、測定すると2.45Vだった。
その後、充電池は1本に減らして、1日充電後、直接太陽光は入らない室内(夜間は真っ暗)に置いてあるが、3日間経過しても、まだ結構明るい。
電子工作サークルの吉本先生から、PICによる電圧/電流計を作っているが、微小電流(10mA以上)を表示するためのOP-AMP回路を教えてほしいというので、一般的な、電流検出抵抗と非反転増幅による回路とIC(NJM4580DD)を提供した。ところが、無負荷状態でも、電圧が発生するということで、自分で確認する様、回路を組んで見た。
電源は+-必要なのでRS232Cインターフェース用のICL3232を使って発生させる。前回スイッチングノイズが影響した回路が有ったのでLCによるLPFを入れた。
それでも、言われる様に、やはり無負荷でも電圧が発生する。試しにICをFET入力タイプのNJM072Dに変更すると、0に近くなった。しかし別なロットのものに交換すると、電圧が増えてしまう。
良い方のICにして、aitendo製の極小電圧表示器 [VM3D-30V-036] 販売価格: 395円~495円(税別) は、以前のブログで紹介した様に電源+と測定系+を切り離すと、0V~30Vまで測定出来ることから、接続してみると、何故か電圧(電流)が変化(減る方向)してしまう。
ダイナミックドライブの電流変化を拾っているのか、コンデンサを付けたりしたが改善されない。
そこで、メル友のja7jqjさんに相談してみたところ、オフセット電圧の小さいICにしないとダメということで、秋月で入手出来るOPA277PAを探してくれた。
当日は「宇宙博2014」に行ってたが、意外とスムーズに見れて、1時には会場を出られたので、その足で秋葉原に行き、購入した。
今日、交換(2個入りから1個入りになるのでピンアサインを変更)して、オフセットの半固定抵抗(手持ちの関係で30kΩ)を付ける。
また、ノイズ低減のために、非反転入力にCRによるLPF回路を入れた。
これらが功を奏したか、無負荷では0Vに調整出来、表示器を接続しても、電圧が変化しなくなった。7seg-LEDに、やはり秋葉原のaitendo新店舗に行った時に購入した偏光?フィルタを被せると見やすくなった。
今後は、これを利用して、サークルで使用する簡易型実験用可変定電圧電源を製作しようと考えている。
先日のブログでPWMによるLED輝度調整の実験結果を報告したが、PWM発生器を製作したついでに、基板にモータードライブ回路を追加して、DCブラシレスモーターの回転がどの様に変化するか確認することにした。
(本来の仕組みから、回転数の制御が出来るのか不明だったので)
というのは、以前のブログで、自作パソコンについて、最近のマザーボードは4PコネクタによるDCブラシレスモーター制御を行っていて、従来の3PコネクタのDCブラシレスモーターでは常に最高回転になってしまい、うるさいというのが調査の理由です。(マザーは4P/3P兼用のコネクタになっている)
最初LEDと同じ35kHzで制御したところ、デューティ比50%以上にしないと回らないので、周波数を低くしてみた。
Cx=0.1uFにした時が一番良く、デューティ比15%から回りだした。
PWM周波数は14~35Hzとなった。
ドライブトランジスタもNPNからパワーN-MOS-FETに変更すると、少し改善される。
これが、寿命に与えるかは不明なので、自己責任でお願いします。
ちなみに、モーター単体でDC電圧を変化させた場合5V以上で回転し出す。
DCブラシモーターは逆にPWM周波数を高くしたのが良さそうだ。
【参考資料】
ブラシレスモーターとは(東芝)
ブラシレスDCモーターとは(日本電産)
メールで交流のあるおもちゃドクターから、トイラジコンの電波が出ているかモニターする方法が無いか問い合わせが有った。
簡単で身近にあるものでチェックする方法として、日本おもちゃ病院協会の講習会で、AMラジオを使用する方法が紹介されていた。
アマチュア無線家としては、周波数が違うから無理だろうと思ったが、ちゃんとAMラジオに信号が聞こえて来る。変調パルス信号の高調波が検出されている様だ。
変調信号回路は動作してても、電波が出ていないという場合には使えないので、簡単に受信機が出来ないものか、調べてみた。
ネットで検索すると、100円AMラジオの前に50MHzのクリコン(クリスタル・コンバーターの略)を付ける方法が紹介されていた。
もっと簡単で、感度の良いものが出来ないかと今までの実績回路でアレンジしてみた。
AMバンドに変換する原理は一緒だが、AMラジオとしてaitendoより発売されているDSPラジオモジュール180180[DSP-RADIO-M] 240円を何個か在庫していたので、これを使うことにして、DSPブレークアウト基板[DSP443-BKO] 180円に実装することにした。
モジュールピッチが2mmで基板ピッチが2.54mmと異なるので、ヘッダーピンとソケットを使ってプラグイン出来る様にした。
クリコン回路は、何度かFMチューナーフロントエンドで置き換えたTA7358AP(サトー電気で税別90円)を使うことにし、このICと一緒に26MHz水晶と40MHz水晶を注文した(どちらも税別で5個200円)。
RFの同調コイルにはaitendoの磁気コア可変コイル(2個入)[KB35]11T(100円)を使用し、同調コンデンサはカットアンドトライで22PFとした。(27MHz帯に同調させているので、40MHz帯ではレベルが少し落ちる)
出力(6ピン)は1mHのインダクタで非同調とする。
お互いのコイル(入出力)を接近させると、回り込みで自己発振を起こすので、離している。
TA7358APはLCによる発振回路となっているので、水晶で発振するか心配だったが、どちらも問題無く発振した(水晶は8ピンとVCC間に入れた)。なので26MHzと40MHzをスイッチで切り替えられる様にした。
DSPラジオ側はMW-AM固定(520~1710kHz)とし、バーアンテナ替わりにIFT(黒コア)を使用し、ケースはGNDに落とす。これにより、MWの直接波は減衰する。
SGで信号を出し、ヘッドホン出力でモニターして見る。
受信範囲は26.5~27.78MHzと40.46~41.77MHzになった。
(RF部の同調はラフなので、当然、下側ヘテロダイン周波数も発生するが)
ラジコンに許されている周波数は26.975~27.255MHz(01~12バンド)、40.61~40.75MHz(61~75バンド)なので、受信範囲に入る。
クリコン側はアンテナ無しで、SG側は30cm程度のリード線を付けた状態で受信するので、DSPラジオの効果が出ている感じである。同調するとLEDが点灯する。
電源は単三×2本の3Vを想定しているが、2Vまでは正常に動作した。消費電流は50mA以下です。
以上、材料費は千円以下で出来、今回の製作で、逆にアマチュアバンドでも威力を発揮しそうだ。
2007/4/21のブログでTRIO製プリコンSM-5を紹介しているが、これに応用出来そうだ。オリジナルのままで私設博物館?用として置きたい気持ちもあるが。
【9/13実機で確認】
おもちゃ病院が有ったので、実際のラジコン送信機で確認してみた。
簡単なASK変調なので、広帯域に変調音が聞こえて、どれが中心周波数なのかわかりにくい。
ハンディ受信機でも、同じ現象となるが、レベル表示が出るので、それで確認は出来る。
ラジコンカーと到達距離を比較したが、ラジコンカーのが同調の関係は距離が伸びる。
クリコンでも10m以上は届くので、確認用には使えそうだ。
あとは、バリコンを付けて同調させた場合どうなるか確認したいと思う。