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犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

談合>浅野川洪水災害関連砂防工事で談合は?

2011年11月13日 | 公共土木事業談合
 奥能登談合事件は、平成19年3月の能登半島地震の災害復旧工事が端緒となったようであるが、類似の浅野川洪水の災害復旧工事では談合がなかったか疑念がわいたので奥能登談合の分析と同じように、入札結果を少し調べてみた。(データと分析の詳細はホームページへ
 入札結果資料は、石川県土木部監理課のホームページから、浅野川洪水災害関連砂防工事11件を抜き出した。いずれも石川県発注の総合評価方式に係る入札結果である。
 奥能登談合では、業者間で落札率を石川県発注は95%以下、輪島市発注は97%以下という暗黙の了解があったらしく、高値安定で落札されていた。
一方、浅野川洪水災害関連砂防工事では、落札率が95%以上で3件、90から95%で3件、90%弱が1件、82から84%付近で4件、合計11件となっており、落札率がばらついている。ちなみに、82から84%は最低制限付近で落札されたものである。
 入札結果毎に簡単な分析を加えて談合の有無を調べてみた。ただし、この分析は、結果の数値から見て談合の疑いが認められるという独断と偏見の筆者の想像である。入札結果にある各社の技術評価点は、事前に公表されているわけではないので、各入札参加者はわからないことになっている。したがって、談合しても、落札者を決めることはできない、談合できないしくみになっているからである。

総合評価方式では、落札するために「入札価格」だけで決まらず、入札者の技術が「技術評価点」として評価される。「技術評価点」を「入札価格」で割算して求められた数値が「評価値」であり、この評価値の最高点をつけたものが落札者となる。
奥能登談合では、95%という談合の目安となる落札率があったのでわかりやすいが、浅野川洪水災害関連砂防工事では、落札率がばらついており、わかりにくい。落札率についてグループ分けして分析した。

①90%以上のグループ
 90%以上は6件ある。うち2件は、応札が1社だけであり、落札率が96.8%、95.8%である。「無競争型」である。もし1社だけに特定しなければならない理由があれば、随意契約でもいいわけで、それをしないで発注者が一般競争入札としたのは、競争入札すべき環境にあったと判断したわけで、これが競争入札にならないのは、業者間の村の掟にしたがって談合が行われたと考えられるケースである。
 残りの4件は、応札者が2社から7社と一応は競争の形が整っているケースである。ここでは、最低制限価格の評価点に着目した。各社が最低制限価格を入れた場合に、計算される評価値であり、各社が取りうる最高の評価値である。最低制限価格を下回れば失格となるのでこれ以上の評価値はとれない。この点数と落札者の評価値と比較した。落札者の評価値よりも大きければ、落札のチャンスはあったということになる。この4件のケースでは、落札者の評価値よりも他の業者の取りうる最高の評価値の方がすべてについて上回っている。つまり、落札のチャンスがありながら、そのチャンスをミスミス放棄しており、「競争放棄型」である。

②90%をわずかに下回ったグループ
 落札率88%が1件ある。このケースでは、①の「競争放棄型」と同様にほとんどの業者に勝つチャンスがありながら、放棄している。1社だけは勝チャンスがなく、この参加者の最高点を上回る評価値をいれることによってこれを排除することができることになる。これで決めると落札率88%となる。「準競争放棄型」である。

③82~84%グループ
 ほぼ最低制限価格で落札しているもので4件ある。もし、談合があるとすれば、なるべく高い価格で落札したいものだろうが、なぜ最低制限価格ギリギリで落札するのだろうか。落札者のメリットはなんだろうか。考えられることは、最低制限価格にギリギリでいれることによって自分の最高の評価値となる。この評価値を上回ることができない入札参加者に対しては何の借りもできないことになる。格上の技術評価点も飛び抜けて高い企業が1件で応札して最低制限価格で落札している。この企業は入札で談合する必要はなく、何の借りもなく受注している。ただ、この企業が応札すれば、ほとんどの件で落札することができるにもかかわらず、全11件でこの1件にしか応札していない。事前に間接的に談合している「受注調整型」である。
その他の3件は、落札者に対して勝チャンスがあったのは、1社あるいは2社である。落札者は最低制限価格を入れることで自分の評価値を最大にして、これよりも上回る1あるいは2の参加者に対してのみ借りを作り、落札したのではないか。「一部競争放棄型」である。

 落札価格がばらついていても談合がないとはいえない。

2011.11.13 中 登史紀
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談合>奥能登談合、公正取引委員会の法的措置の衝撃!

2011年11月07日 | 公共土木事業談合
能登町全体で課徴金は1.2億円、違約金は約6億円

小生が居住する旧柳田村を含めた能登町の建設会社の一覧を作成して課徴金と違約金を試算してみた。各建設会社名と課徴金は、公正取引委員会のホームページで公開されているデータ※a を使用した。現在の違約金の規定※b は30%であるが、2008年2月末までの規定20%を用いて違約金額を計算した。
 
石川県発注工事について
公正取引委員会から課徴金納付を命ぜられた事業者(能登町)

番号 事業者名     課徴金額 違約金 合計
             (万円) (万円) (万円)
1株式会社西中建設    3,029  15,145 18,174
2株式会社鼎建設     1,824  9,120  10,944
3柳田建設株式会社    1,637  8,185   9,822
4北能産業株式会社    1,317  6,585   7,902
5鈴平建設株式会社     662  3,310   3,972
6株式会社青木産業     652  3,260   3,912
7藤田建設運送       576  2,880   3,456
8寺西建設株式会社     481  2,405   2,886
9株式会社サンテック    440  2,200   2,640
10須美矢建設株式会社    326  1,630  1,956
11ケイ・エム・ティ     325  1,625  1,950
12有限会社渡瀬建設     310  1,550  1,860
13有限会社吉田土建     194   970  1,164
14株式会社蔦土木      142   710  852
15有限会社和光建設     112   560  672
計            12,027 60,135 72,162
※1:課徴金算定率は4%。課徴金は平成24年1月10日までに国庫に納付しなければならない。
※2:請負代金額の20%と設定して計算。ただし、2008年3月1日以降に契約する案件から30%となっているのでさらに大きくなる。
   

 課徴金納付を命令された能登町の企業は、15社もあり、課徴金は計1億2千万円、違約金は計6億円、合計7億2千万円にものぼる。

 課徴金は、法律による罰金であり、まけてほしいと言っても無理である。違約金は石川県との契約であり、お願いをすれば何とかなる余地がないでもない。しかし、石川県は違 約金について、工事入札談合防止の強化策として、2007年4月に10%から20%へ、さらに2008年3月には20%から30%へと引き上げており、再発防止に強い姿勢を示していた。これらのいきさつからも、違約金についての軽減措置はとりにくく、現に石川県知事は粛々と手続きをとると述べている。

 課徴金は請負金額の4%、違約金は請負金額の20%、合計24%となる。石川県発注工事は予定金額の約95%で落札していたということだから、24%を差し引くと残りは約70%となる。ほぼ直接工事費(資材費や労務費など現場で工事を完成させるための直接費用)に相当する割合である。つまり、事務費や利益などの間接工事費分25%をすべてとりあげられることを意味する。石川県発注分の割合が年間受注額の1/3に相当する企業は、平成19年6月以降の約3年分の石川県からの受注額が年間の受注総額に相当する。1年間の受注総額の間接工事費がすべてとりあげられ、企業がまる一年間、ただ働きすることになる。これで存続できる企業が能登町に存在するのだろうか。

※a:公正取引委員会による独禁法の法的措置「石川県が発注する土木一式工事の入札参加業者に対する件」2011年10月6日の文書による。石川県が発注する特定土木一式工事について,共同して,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていたとして、独占禁止法違反(不当な取引制限)により、排除措置命令及び課徴金納付命令がなされたものである。当該文書は以下のURL。
http://www.jftc.go.jp/shinketsu/dkhaijo23.html

※b:石川県建設工事標準請負契約約款第48条(賠償の予約)に、請負代金額の10分の3に相当する額とある。違約した場合に受注者が支払うことを予め約束した金銭のことで損害賠償の予定と推定される違約金を規定する条項である。当該約款は以下のURL。
http://www1.g-reiki.net/ishikawa/reiki_honbun/ai10106721.html

コメント (3)
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談合>辰巳ダム建設工事入札結果の簡易な分析

2011年11月06日 | 公共土木事業談合
 ///激しい競争に見えて、ゴール直前で故意にスピードをゆるめた?///
 入札結果は、石川県土木部監理課のホームページで公開されている。
 この結果を図で示す。
 本入札は、総合評価方式によるもので価格だけで決まらない。各企業の技術力とあわせて評価して決定される。
 技術力は、技術評価点として評価され、これを入札価格で割った数値が評価値で評価値の最高点で落札が決まる。下図では、応札した12企業グループうち、9つの技術評価点が155から157で競っている。
 入札価格が低いほど、評価値が高くなるが、あまり低い入札価格だと工事の品質が保証されない恐れもあるので、発注者(石川県)は最低制限価格を設定する。ここでは、最低制限価格の代わりに調査基準価格を設定している。この調査基準価格は最低制限価格と異なり、これを下回ってもただちに失格となるわけではない。技術評価点の低いグループは、入札価格を下げて応札するとおもいきや、下図のように、応札した12企業グループがほぼ横並びである。結局、技術評価点が157.63とわずかに抜けていた「飛島グループ」が評価値でも最高点を獲得して落札している。
 発注者(石川県)が決めた基準価格である予定価格から、12企業グループすべてが調査基準価格まで約14億円も値引きし、応札価格は調査基準価格約68億円付近で並び、一見、ゴール直前で激烈な競争に見えるが、ゴール直前で故意にスピードをゆるめて本命企業にトップをゆずっているように見える。なぜなら、さらに0.1億円から0.7億円値引きすれば、勝チャンスがあるグループが6つもあったにもかかわらず、そうはしていない。

 詳しくは、以下のホームページへ。
http://www.nakaco.com/tatumi-dam/tatumi-dam%20nyusatukekka20080215/tatumi-dam%20nyusatukekka20111101.htm
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談合>平成20年に実施された辰巳ダム建設工事入札の談合の有無を分析

2011年11月06日 | 公共土木事業談合
/// 本命企業が落札 ///
 辰巳ダム建設工事入札で談合が行われたという証拠はないが、入札結果を簡単に分析して見た結果(注:次のブログで紹介)、競争相手が強い受注意欲をみせることなく、関連の付帯工事に着手する以前から、本命と目されていた「飛島グループ」が順当に落札していることがわかった。
 『赤旗』が2001年に「山崎文書※」を入手し、国内のダム工事談合を暴露した。この文書では、辰巳ダムの本命企業は、飛島建設と奥村組となっていた。国内のダム工事入札で、この文書に記載された本命企業が落札をしており、辰巳ダムでもダム談合疑惑を裏付ける結果となった。

http://www.nakaco.com/tatumi-dam/tatumi-dam%20nyusatukekka20080215/tatumi-dam%20nyusatukekka20111102.htm
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