2008年2月20日
著者 鹿島茂
写真 鹿島直
株式会社平凡社
パサージュという言葉を知ったのは、この本の前書きに使われている文章がプログラムに掲載されていた、宝塚のレビューの時でした。2001年の雪組公演かな?
実際のパサージュは、このレビューのようにきらびやかで夢のある場所ではなかった。薄汚れた雰囲気で、澱んだ空気に夢の残滓が漂ってるような感じ。それでも全部取り壊さないで残すのが、凄いところだけど。リノベーションして、店舗が入ってるところも多いし。
パリのパサージュは大分回ってるつもりでしたが、現存するのは19だそうで、そのうち私が行ったのは14。パリの地図がないのではっきりしないのもあるけど。行ってないのは、パサージュ・ピュトー、パサージュ・ヴァンドーム、パサージュ・デュ・ポンソー、パサージュ・デュ・プラド、パサージュ・ブラディ。インド人街であるパサージュ・ブラディは行きたかったなあ。
由来を読むとやはり面白い。ギャルリ・コルベールは美しいけど、できた当初から人気がなかったとか。(今も人が少ない。国立図書館の別館になってるからというのもあるだろうけど。美しく改装されているのに。)美しく改装されたのに人があまりいないパサージュ・プランスの開業当時の悲劇だとか。普通のショッピング・モールのようで人の賑わいはあるけど、パサージュらしくないパサージュ・デュ・アーブルはもとはパサージュで近年の改装でああなってしまったのだとか。
それでも、書店にはパサージュ関係の本が結構あるし、賑わってるパサージュも結構あったので、パリのひとはパサージュが好きなんだろうなあ。
それでも、ブリュッセルのギャルリ・サン=テュベールや、ミラノのガレリア・ヴィットリオ2世のように、ショッピングの中心地で、観光客もたくさんいて賑わってるわけではなく、みんなに忘れられてうらぶれているけど、市民が愛着を持って守ってる感じがする。かつて花形だった時代へのタイムトンネルみたい。私がみたかぎり賑わってるパサージュは、ギャルリ・ヴィヴィエンヌ(観光客やちょっとリッチそうな人が多い)パサージュ・ショワズール(味も素っ気もないが、通り抜ける人は多い。散策するというより、近くのビジネス街からランチに来ている人などが多い。)パサージュ・ジョフロワ(こちらは散策の人が多い。古本屋でじっくり本を探してるとか。ミニチュアのお店や美味しそうなパティスリー、ステッキのお店、ホテルショパン、ミュゼ・グレヴァンなどいろいろ入ってる)パサージュ・パノラマ(ともかく凄い人。路地が狭く複雑なせいかもしれないけど。パサージュ・グラン・セール(人手はそれほどでもないけど、観光客向けの店がいくつか。天井が高く屋根が
美しい)