著 オマル・ハイヤーム 陳舜臣 2004年2月10日
集英社
ルバイヤート…確かペルシャの詩集? くらいの知識で読んでみました。
ルバイーは四行詩のことでルバイヤートはその複数形、つまり四行詩集という意味だそうです。
実際に読むとジャムシードとかバフラームとか『アルスラーン』ででてきた言葉がでてきて楽しい。
しかし、これはイスラームが入ってきた後のペルシャの詩なのですね。
その割にはお酒がよくでてくると思ったら、作者のオマル・ハイヤームは科学者で、
どうも無神論者らしいというのが、解説でわかりました。
面白かったのが、解説で出てきた「三人の学友」の話。
ルバイヤートの作者のオマル・ハイヤームと、セルジューク朝一代の名宰相ニザーム・ウル・ムルクと
イスマイール派の領袖であり、教匪と呼ばれた暗殺団の組織者であったハサン・サッバーフの三人が
ニーシャープールの硯学イマーム・ムワファック門下の高弟であったという話。
年代学者の研究により三人が同時代人ではないと証明されているらしいですが、話としては面白い。
もっともよく知られている話でもあるようなので、なんらかのメディアになっている可能性もあります。
この詩集や『アルスラーン』でも感じるペルシャのイメージ、
春の宵の香気を含んだ穏やかな風って感じです。