東京電力が企業向け電気料金を来年4月に値上げし、家庭向けも来年の早い時期に値上げを申請する方針を固めたそうだ。燃料費の負担が増える中、効率化と資本の取り崩しでの料金の維持は限界という。政府の第三者委員会の試算でも、原発再稼働も料金値上げも無い場合、2013年3月期で2931億円の債務超過に陥るという。20%程度の値上げが想定されており、5000億円の増収になるそうだ。販売電力量の約60%を占める企業向け(50kW以上)は政府認可が必要なく、料金も顧客との個別契約であり、安い電気を買いたい企業からはPPS(特定規模電気事業者)大手に相談が殺到しているという。しかし、現状はPPSの供給能力も限られており(シェアは3.5%程度)、電力不足に加えての値上げは産業の海外移転に拍車をかける懸念もあり、枝野経産相も「電力システムを見直していく」と語ったそうだ。●一方、東京ガスは来年3月をメドに家庭向けガス料金を1.5%前後(家庭平均で月70~80円程度)値下げすると発表したそうだ。これはLNG(液化天然ガス)などの価格変動を反映させる毎月の原料費調整制度とは異なり、人件費などのコスト削減分を反映させた本格改定で約4年ぶりという。同社の顧客の99%にあたる約900万件が対象になるそうだ。 ⇒ 12/23読売新聞
一昨日のマイブログで書いたが、原子力損害賠償支援機構による1兆円出資の前提条件は最大10%の値上げだったのに、20%の値上げを打出すとは何と大胆不敵なことか。東日本大震災前は、オール電化など電力会社の販促活動でガスを電気に置き換えてきた部分がかなりあると思われるが、今後は、逆の動きが加速するのではないだろうか。ティファールの電気湯沸かし器は直ぐにお湯が沸いてコーヒーを飲むときなど大変便利だが、やかんの水をガスで沸かしてポット(電気ポットではない)に保存する昔ながらのやり方が節電と経済性の両面で価値があるだろう。また、TVでも宣伝している都市ガスを使って自宅で電気とお湯を同時に作る「エネファーム」(家庭用燃料電池コージェネレーションシステム)の普及なども進むことになるのではないだろうか。
●IPPとPPS:IPP(電力卸売事業者)は自前で発電した電気を電力会社に売る卸売事業者、一方、PPS(特定規模電気事業者)は自前で発電した電気を電力会社の送電線を使って企業(50kW以上)に売る小売事業者で、電力会社のライバル。
(関連:12/21マイブログ、12/18マイブログ)