JCP市原時夫です

千葉県房総の睦沢町から、政治・経済・歴史・オペラ・うたごえを考えるgabuku@m12.alpha-net.ne.jp

20世紀人類の進歩と旧ソ連社会、音楽で表現したショスタコービッチ

2014年10月26日 | Weblog


 最初に、ユーチューブで聞いた、ショスタコービッチの交響曲第四番は、人間への信頼を損なうものを感じて好きになれなかったのですが、その後、クラッシックへの造詣の深い友人の方から別の指揮者、オーケストラのCDを聞き、そして、今回、サントリーホールで、人生初めて本格的なオーケストラ、日本フィル、アレクサンドル・ラザレフ指揮の、この四番とチャイコフスキー絃楽セレナーデを聞きました。
 この機会をいただいた友人ご夫妻に感謝したいと思います。
 チャイコフスキー絃楽セレナーデの最初の音を聞いたときに、なんでしょう、涙が溢れました。曲だけでなく、それを生み出す人達の思いが詰まっている音のように感じたのでしょうか。
 CDやテレビでは決して見ることが出来ない、始まる前の、各自の音の調整の時の響き、ラザレフ氏の一生懸命で明るい性格、「ロシア人が好きになりそう」「そうか、この音の生の音はこんな音だったのか」「ここからでているのか」「バイオリンの弦が切れたらしく、取り替えに行く演奏者や指揮者の揺るがない姿勢」「トランペットの音色」「トロンボーってこんな素晴らしく、大事な役割を果たしているのか」木琴(正式名は知らない)の響きってすごい」「ずいぶん細かく、指示する指揮者でなあ」、「終わるのを待っていたように『ブラボー』と叫ぶのは、どうもお約束的な感じがして実感と合わないのでは」などなど、本筋とは別のところで、興味津々でした。
 やはり、ショスタコービッチはすごい作曲家だと思いました。この四番はたしかに、スターリンの圧政の旧ソ連社会の様々な側面を描いているのではないでしょうか。彼が粛正を恐れて、又は圧力によって、長年発表できなかった理由がわかるような気がしました。
 彼の、権力に逆らわない、日常の生き方やどう思っていたのかは分かりませんが、音楽そのものは、旧ソ連社会そのものを妥協なく表現しているのではないでしょうか。そこが、芸術家のすごいところなのかもしれません。
 旧ソ連は、社会主義とは無縁の社会であったということを、踏まえれば、ショスタコービッチの音楽による告発は、時代と旧ソ連社会の評価を同時進行の中で、表現したということになるのかもしれません。
 また、中国のように、社会主義をめざすと指導者は言っていますが、彼ら自身も言っているように、そこへの、過度的時代は長期にわたること、その道から逸脱しかねない、危険性もはらんでいることなどを考えさせられました。
 サントリーホールは素晴らしいと思いましたが、経済的な理由を抜きに考えると、こんな大人数で聞く環境が本当にいいのでしょうか。もうすこし、少人数で回数を多く、たくさんの人が聞くことができる環境の方が大事なのではとおもったのですが。
 それにしても、トランペットとトロンボーンはすごかった。指揮者は人間味あふれた、おもしろそうな人だった。と曲とは別の興味津々ひとときでした。

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1 コメント

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ホールのあり方 (市原時夫)
2014-10-27 16:37:49
 このブログで、ホールの大きさについて、疑問を呈しましたが、経済的な側面、聴衆の側の聞きよい大きさ、音楽の質の維持向上の面からの質の良いホールの役割のご指摘を頂きました。
 私の、思いつき的な意見に、正面からご意見を頂き感謝です。オーケストラ音楽のあり方を単純に考えるのではなく、もっと深く考えるべきなのだと思いました。
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