デリカセロリ、その名はどこかで聞いたことがある。
飲み屋さんにしては、変な名前だなーと思った思っていた。
ネットで、お値段のお安い居酒屋さん的な感じを目にしたのだ。
よしりんさんという方のブログで、こちら。
いんたーねっつで調べると、お弁当・お惣菜の店だった?もしくは今もそうであって夜は居酒屋業態をしているのかもしれない。
あんまり詳細を知らないの。
ともあれ、詳細は知らず、でも変わった名前で入りたいなーと思って覗いてなんだか満席ぽいということが二度。
三度目の正直。
入店。あ、いっぱい気味。でもカウンターがいくつか空いている。よし、着席。
「なんにしますー?」美人おねえさんが聞いてくださる。
ええーと、あ、日本酒がある。これを。
店内はネクタイのひと、すなわちサラリーマンでいっぱい。
ムシマルは平日休みに行っているのでノーネクタイ。着ているシャツには『ちょい悪おやじ』という文言が入っている。目玉のおやじの絵が出ている。
ここは新橋か!ってくらいのサラリーマン度数。
メニューと、白版の本日のおすすめを見る。
380円が多い!
紙メニューにも、こう書いてある。
「ほぼ380円メニュー」と!
380円!380円って、ええーと、コロコロコミック一冊分くらいか?
マンガコミックス一冊分。はりまや橋~南国市のごめん電停くらい。
8品頼んでも3,000円くらい。
8品ってあれだぜ、満漢全席といっても過言ではない。
これって頼んだお酒。
『山』、入魂。
広島のお酒らしい。
お酒、まけまけいっぱいどころかじょっこりと溢れだすこと確定にお酒を注いでくださる。
ぐい。
あぁうまい。
お刺身登場。
グレ刺身880円。
あ、ネギやら大根のツマやらが、惜しみない。
篤実な花のように白い。
不実な夜のように黒い醤油にちょんちょんつけて、ぱくり。
罪の匂いがする!
適当な感想を書いてしまった。
美味しいってことを婉曲に言いたいがために、変な言葉になってしまった。
まろやか。
ああ、お酒が進む。レミングの大群みたいにすげえ止まらない。
お刺身をいただきながらもお酒の二杯めが気にかかる。
二杯めには、
ムシマルは、
決めた。
二杯めは高知のお酒。『どくれ』。カツオが有名な中土佐町の酒蔵さんのお酒だ。
「どくれもん」っていうのは土佐の方言で「ひねくれもの」とか「へそまがり」的意味を持っています。
うまい。
ちょっと辛いような強さがあって、洗い流す、リセットする、いてつくはどうみたいな美味しさ。
「ぷはぁぁー」
頼んでいたホルモン炙りが来る。380円。
でも日本酒のきらめきでほぼ映っていないの。
ってやると女将さん(帽子を粋にかぶってらっしゃるかっこいい雰囲気のママさん)
「おいしそうに食べるねえ」とお誉めいただく。
地元のお酒を呑んで、なんだか地元みたいな気分になったんだ。今ムシマルは、気が緩んでいるよ。
ホルモン炙り、好きになったかもしれない。
日本酒をちびちび、
そうだ、たまご焼きにしよう。こちらも380円である。
「おねーさん、注文いいですか。」「卵焼きをください」
「うちの玉子焼きはボリュームありますよ、おひとりで大丈夫ですか」
「だいじょうぶです」
「もし食べきれなかったら持ち帰りも可能ですからね」
優しいお言葉をかけてくれる。
毛布みたいに優しいよ。
しかし、ムシマルも「高知の胃袋」という二つ名を持つ食事人間だからな。
あのおねえさんも心配性だと。そうおもっていた。
その時が来るまでは。
その時はあっさり来た。
玉子焼き、あれ?
デカい。
群を抜いてではない、ムシマルが錯覚かなと感じるようなデカさ。騙す惑わす力があるということ。
なんだかレモンみたいなイエローだな、今にも空から落ちてきそうだ。
レモンはあんまり空から落ちてこないなと思いながら箸で持とうとする。
あ、重い。
自重によって崩れいきそう。
ぱくり。
甘み。
よじのぼれそうな甘さ。
サッカリンって言いたくなるような懐かしい甘さ。
遊具のない公園みたいな開放感。
こんなハッキリとした玉子焼き、そしてこのボリューム、ムシマルがこれまで体験した居酒屋で一番記憶に残る玉子焼きだと言えよう!
3杯目に、『ドメーヌ瑞冠』広島のお酒。
かっこいい。
3杯めもおいしい。
ムシマルはダメだ、今日はやり切ろうと思ってしまった。
「豚キムチをください!」「残してもお持ち帰りできますよ(2回目)」
おねえさんの優しさは繰り返すポリリズムやで。
多い!
380円で想像する豚キムチでは想像力が足りない。
あああ、落ち着く。B級グルメグランプリに出したらスラッと優勝をかすめ取りそうなそれは豚キムチ。
麺類!?一瞬思ったそれは長々とタマネギ。
ゴマ、ネギ!キムチ。
風味が一風といわず七風となっていろんな部分をくすぐる。
入った、スイッチが。
入れてはいけないスイッチが。
ざわ・・・・・・・・・ざわ・・・・・・・・・・・・・・・圧倒的!「ごはんください」
この期で!
今わの際で!
映画でいえば残り20分でラスボスと思っていた人が野たれじぬ感じ。
ばくばく。
ああ、白いお米が逃げる(食べている)。
なお食べたくなってしまう白米!
『白いご飯を茶色いたれで染めていくのが快感なんです』のちにムシマルは語る。
もう、ここで、終わってもいい。
なし崩し的に始めてしまった豚キムチ丼に、
総合的に多角的に食べ終える。
お会計は3,600円。
また来よう―。
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