足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1250 ~ ラミーカミキリ の 魅力を探る ~

2014年06月30日 | 昆虫

観 察 月 日  2014.  6.  16 晴 32℃

観 察 場 所  伊勢原市 仁ヶ久保林道

林道の傍には カラムシが多い。

先端の葉上に目をやると そこに!

ここにも!

体が小柄で 細いのが雄 

体が少し大きくて 丸みのある方が雌

ところどころ、葉柄や茎がかじられているカラムシがある。

ラミーカミキリが食べた跡

雌のお腹は 卵で一杯。

 今日の林道はラミーカミキリで賑わう。今年の最盛期のようだ。

 今では丹沢大山山麓では普通に見られるカミキリムシだが、元

をたどれば中国から入って来た帰化昆虫だ。日本での最初の記録

は、1873年茶葉の貿易で長崎に滞在していた英国人のものと言

われている。度々登場する私の本棚の原色千種昆虫図譜(続)を

見ると、“ラミーカミキリ らみーヲ食ス 1935年長崎市産”昭和の

初め頃は、長崎に棲息していた様だ。

 神奈川県では、1948年小田原の国府津のミカン畑の周囲に植

栽してあったムクゲの木から見い出された。その後丹沢方向へと

広がって行ったようだ。山麓の伊勢原、厚木辺りは、1982年頃と

言はれ、私が山麓を盛んに歩き始めた1990年頃には、伊勢原の

三ノ宮、日向のカラムシで見ている。

 ラミーカミキリは小形のカミキリだが、黒と青の色彩の取り合わせ

が美しく、昆虫愛好家人気の種類だ。最近では黒点の模様から人面

を想像する事が出来る。また、カミキリとしては良く飛び立つ。それも

無反動で、「スッー」と飛び立っては、近くのカラムシの葉上に着陸す

る。今流行のロボット玩具、ナノファルコンの動きとオーバーラップした。

いよいよ産卵の季節だ。カラムシの茎に傷を付け、そこへ卵を産みこむ。

     *縦位置から見たら 人面に見えるか。

 

 

 


No.1249 ~ クリの花 は おお賑わい ~

2014年06月28日 | 植物

観 察 月 日  2014.  6.  16  晴 32℃

観 察 場 所  伊勢原市 子易

クリの花は満開だ。

ベニカミキリでおお賑わい。

自然のアクセサリーショップだ。

雌は、エネルギーの補給。

コアオハナムグリは背中に土を乗せて。

テングチョウのお客も多い。

優雅に現われた トンボエダシャク。

アオカミキリモドキ 実物は小さく 11~14㎜。

翅を開くと 紫に光る ムラサキシジミ。

下草を歩いていた アカシジミ 。 クリの花にも来る。

クリの雌花

 この前チェックしておいた、クリ畑の花が満開だ。

 プラチナのネックレスを束ねた様な雄花の花穂が枝枝に下がり、

そこには真紅のベニカミキリが群れ飛び、アクセサリーショップに

迷い込んだ心地だ。

 やや小形の雄は、花の蜜を吸うと言うよりも、花穂の上を、葉の

上を、枝の上を、速足で歩き、波打つようにほぼ一斉に飛び立つ。

が、飛び立ってもすぐ近くに降り、再び歩き回る所をみると、雌を探

している様だ。雌の背に雄を乗せたカップルは、花穂を歩きながら

雌はエネルギーの補給に余念がない。

 次に多いのが、コアオハナムグリ。昨日までの地中の世界から、

今朝地上へ飛び出したのか、背に土を乗せている。花に着陸すると、

ブルトーザの様に動き回り、花粉は食べるは、花の造りを踏み壊す

は、花にとってプラス、それともマイナス、どうなんだろう。

 次は、テングチョウ。どの個体も新鮮な所を見ると、羽化して間も

ないのだろう。

 そして、トンボになりたかったトンボエダシャク。チョウトンボ並みに、

ヒラヒラと花に向かて飛んで来た。ムラサキシジミ、ベニシジミ、ツマ

グロヒョウモン、スジグロシロチョウ、アオカミキリモドキ・・・・・、クリの

花レストランはお客で大賑わいだ。

 私は子供の頃~、「クリの花は風媒花」と教わった記憶が雲のかけ

らの様に時として浮かぶのだが。今はどの本を見ても“虫媒花”とあるし、

現に虫媒花だ。雄花は昆虫で大賑わいだが、その付け根辺りにある

独立した雌花、柱頭を9~10個も出して花粉を運んで来る虫を待って

いるのに、昆虫が立ち寄るのを見た記憶が無い。(昆虫が雄花の上を

歩き回れば花粉は飛散するのだろうが?) 私の観察不足なのだろう。

 


No.1248 ~ シオヤアブ の 産卵  ~

2014年06月25日 | 昆虫

観 察 月 日  2014.  6.  13  晴 29℃

観 察 場 所  横浜市 栄区 (横浜自然観察の森)

のぎくの広場は ヒメジョオンの花盛り。

その片隅に 葉に止まっているのは、「アブ? ハチ?・・・・・・」

卵嚢を作り始めていた。 11:52:22撮影

卵も産み始めた。

卵嚢の泡の質感を出すため に 順光で。

卵嚢と卵を拡大

産卵も終え 

卵嚢の泡も ほぼ完成 12:03:39撮影

撮影の様子 (E 氏撮影)

この日は 暑かった。

 


No.1247 ~ ハートカメムシ ミズキに集合 ~

2014年06月23日 | 昆虫

観 察 月 日  2014. 6. 15 晴 27℃

観 察 場 所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

5月始め ミズキの花盛り

6月若い実を付けたミズキ エサキモンキツノカメムシが集まる。

ミズキの下からそれぞれが、ハートカメムシを探す、ミニ観察会の様子。

葉裏にいる、独身の♂カメムシ。

ミズキの実の汁を吸うるカップル。

葉裏で休む カップル。

♀に巡りあふれた♂が、カップルに挑戦。

ミズキの葉裏で、哺育にいそしむ ママさんカメムシ。

卵を抱えながら 交尾している雌雄。

今年は卵を抱えた交尾が多い。何故だろう?

無理に離して見たら 雄はすぐに雌の背中に走り寄って来た。

 

 

 5月の始め、自然環境保全センターの雑木林を白く飾っていたミズキ

の花も、6月の緑の雨の今は、若い果実に成長した。

 それを待っていたのか、樹木園の片隅にあるミズキには、エサキモ

ンキツノカメムシが集合する。

 相手を求めて葉の上を歩き回り、枝から枝へと小刻みに飛ぶ雄、互い

に巡り合い葉裏で静止している雌雄のカップル、産卵を終え腹部の下

に卵を抱えている雌等々、賑やかであったり、静かであったり、生命の輝

きを感じられます。

 中でも目を見張るのは、6本の足を踏ん張り、ミズキの葉裏に産卵し

たそれを抱えていた雌の姿である。

 昆虫の多くは卵を産み放された後、その時期から自然の厳しさにさ

らされる事になるが、ツノカメムシの仲間は、いつの頃からか、何故守

る行動を取る様になったのか興味深い。

 今年もセンターのミニ観察会でじっくりと見る事が出来た。

「ハートカメムシの翡翠色の卵の美しさは忘れません。卵や幼虫を守る

このカメムシに、ハートマークを上げた自然(の神様)って素敵ですね。

(雄にまでチャント)」とは、参加したみなさんの言葉でした。

「ハートカメムシの卵の数が、雌の体の大きさに比べて多量にビックリした。」

との声にも皆同感。体内に卵を育て産卵する雌は、雄と違い多量のエネ

ルギーを必要とし、体力も消費する。その上、これから1週間以上の哺育

行動が待っているのだ。

 単独で哺育をする行動が当たり前と考えていたが、今年は、卵を抱えな

がら交尾をしている状態の雌雄が今までになく多い。雌のカメムシは、再

度卵を育て、産卵するのであらうか。疑問が湧き上がってきた。

 *県自然環境保全センターでは 毎月第3日曜日午後1時からミニ観察会を行っています。お出かけ下さい。

 


No.1246 ~ ハートカメムシ の遍歴 ~

2014年06月21日 | 昆虫

観 察 月 日  2014年 6月 15日 晴 27℃

観 察 場 所  厚木市 七沢 (自然環境保全センター)

大山の山並みに雲が湧く 夏も間近だ。

この頃、ミズキの葉裏を見ると。

卵を抱えているエサキモンキツノカメムシがいる。

私は”ハートカメムシ”と呼んでしまう。

こんなにも沢山の卵を、幼虫になるまで抱えて、守って。だから背面にハートマークがあるのだろう。

”写真集 昆虫の生態” モンキツノカメムシのページ

 20年程前、自然観察に携わった頃、厚木市の林道を大人や

子供達と良く歩いた。

 6月にはミズキの実が緑に育ち始め、そよ風に揺すられる白い

葉裏には、エサキモンキツノカメムシが産卵のために集まって

いた。

 「葉裏にカメムシがいるでしょう。背中にハート印が付いている

のが見えますか」と大人や子供に話か掛けると、みんなは頷いた。

その内の一人が「カメムシのお腹の下に卵があるよ」「子供もいる

よ」「お母さんが子供を守っているみたいだ」 いつの間にかカメム

シを巡って話が弾み、生き物の不思議さや自然を感じる心が芽生

え始めるのであった。

 しばらくして落ち着いた頃、「このカメムシの名前は?」と一人が

質問、私はこの時「ハートカメムシと言うんだ」と答えた。質問した子

は「だから背中にハートのマークが付いているんだね」と。今でもこ

のカメムシに出会うと、私は「ハートカメムシ」と呼んでいる。

 私とハートカメムシとの出会いを、私の本棚から探って見ると、その

遍歴が見えて来る。

 私が子供の頃からボロボロになる程めくった本がある。1933年発行、

“原色千種 昆虫図譜(正・続)”でカラー印刷の本だ。そこには”モンキ

ツノガメ・ 背面ニ黄色ノ大紋ヲ装フ “とある。私も子供の頃は”モンキツ

ノガメ“と呼んでいたのだろう。

 青春時代はネット(採集網)片手に名前を追う事から、カメラを通して昆虫の暮ら

しの追求に変わった。そのバイブル的存在の本が、1951年発行“写真集

 昆虫の生態 田村 栄”で、ここでは“モンキツノカメムシ”になっていた。

そして、1948年6月教育研究所構内(現自然教育園)で長谷川仁氏が

産卵・哺育を発見した、と書かれている。

 その後、1965年発行“原色昆虫大図鑑”には“モンキツノカメムシ”と

同一種されていた”エサキモンキツノカメムシ “が種として独立し収録さ

れている。