足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1633 ~ ニホンリスに出会う ~

2019年04月30日 | 野生動物

観察月日  2019.4.2.晴 12℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 街の中にばかり居ると、サクラは咲いたのか、満開は何時頃

なのかと、TVの情報に頼る事になるが、野山を歩いている私

達にとっての春は、ミミガタテンナンショウが芽を出すのを、季

節の一つの区切りとして楽しみにしている。

今日も林道を歩いていると、道の片隅に葉を重ねた葉鞘の先

に佛炎苞を開き、中を見ると棍棒状の付属体が怪しげに覗い

ていた。

私達の山歩きは、何歩か歩いて花が咲いていれば止まり、虫

がいれば見つめ、鳥がいれば双眼鏡を取り出し、中々進まな

い事もある。

私達の歩きと前後しながら、高校生の男の子と母親の二人が

歩いている事に何となく気付いた。二人は時折止まっては山側

の林を眺め、止まってはダム側の斜面を覗き、身支度は散歩

風だが何かに興味があるように見える。

私達と緩く追いつ追われつ、有る程度の時間が経過し、先を行っ

た親子が林道の端でしゃがみ込んでいた。そして暫く動かず、二

人で足元を見ながら何かを話している。「何か あるんだな」と直

感したので離れた位置に止まる。

「しゃがんだ二人の足元に、ニホンリスがいますよ」双眼鏡を覗い

ているRさんが私に知らせる。すぐに望遠レンズを向けて見ると、

ニホンリスだ。足元にいる。向こう向きなのでリスが何をしている

かは解らない。暫くすると二人は立ち上がりその場を離れた。リス

もすぐ前の茂みに入ったらしい。

「茂みの中に リスがいる」Rさんが呟く。

レンズで探して見るとリスがいるのは解るが、細かな枝葉があって、

写真にならない。リスはオニグルミの実を抱え、実の凌をかじってい

る。時々休む様だ。リスは枝から降りると地上を走り去った。

この日は、ナガバノスミレサイシン、ユリワサビ等が印象的だった。

ミミガタテンナンショウは 春の兆し。

崩れた山の斜面に ナガバノスミレサイシンの群落が。

ヨゴレネコノメの花が キレイ。

ユリワサビの 花が目を引いた。

見透視のよくなった向うの岩場に ハルユキノシタが。

ニホンリスが オニグルミの実を。

 


  No.1632 ~ 2匹のアナグマ ~

2019年04月29日 | 野生動物

観察月日  2019.3.27.晴 18℃

観察場所  厚木市 不動尻

「Sensei!!」10m程先を歩いていたRさんが、私が顔を

向けるよう、抑えた声で送ってきた。

その時の私は、林道の脇に溜まった落葉の中に育ったフデ

リンドウが蕾を付けていたのでそれをカメラで狙っていた。

私は頭を起し、Rさんの方に目を向けると、早急らしい手の

合図は目に映ったものの、Rさんのすぐ横を走って行くアナ

グマに、引かれる様に焦点が結んでいた。

それは動画の様にゆっくりと走り行く後ろ姿で、相撲取りの

様な丸々としたお尻を振りながら短い足で去って行く姿であ

った。私はその姿を記録しようとカメラを向けた。

ところがその時、「それではないの、こっちに来て」とRさん。

私は去り行くアナグマを目で追いつつ、Rさんの所へ走り寄

った。

するとどうだろう!。山側の斜面の上に、鼻のつんと、顔に

茶色の2本の帯、そこに焦げ茶色の円模様、そして2個の小

さな目が光り、もう1匹のアナグマがいた。

「1匹が先に行ってしまったので、この子は私がいたので着い

て行けず、どうしようかと思案に暮れているのよ」とRさん。私

が2~3コマシャッターを切ると、アナグマはゆっくりと斜面を

登ると、土の中に姿は消えた。そこには巣穴があったのだ。

ついて行けなかったアナグマは、若いらしく、毛並みがキレ

イ、優しい顔に見えたので雌ではないだろうか。

アナグマはキレイ好きの動物の様で、林道から巣穴までの

けもの道は平に均されていて、落葉や木枝、小石等ない。

それと、アナグマの出産は3月中旬から4月上旬と言われる

ので、もしすると、巣穴に可愛い子がいるのかもしれない。

フデリンドウの蕾を撮影していた。

Rさんが 私を呼んだ。

山側の斜面に アナグマが!

ついて行けないで 困っている。

キレイに している けもの道。

その後 不動尻へと向かった。


No. 1631 ~ 公園で感じた事 ~

2019年04月01日 | 昆虫

観察月日  2019.3.20.晴 19℃

観察場所  八王子市 都立小宮公園

 刈り込まれた下草の大地に、黄色く色付いたコブシの大木

が、ランドマークの様に立っていた。

 「そうだ。来年の3月、白い花で包まれる頃来よう!」意識

する訳でもなく、自然に〝言葉“が体の中を流れた。

 今、そのコブシの木の前に立っている。三本ある内の一本

は満開、大きく枝を広げ、広げた枝先は地面に届いている。

 「花弁は白だけかと思ったら、紅い筋模様が付いていてキレ

イ」「いい匂いがするわ」花が顔のすぐ前にあるので、自然に

呟きが出て来る。

 ヒヨドリが3羽飛来し、吸蜜するのかと思ったら、蕾を嘴で突

き、細く切っては食べ始めた。落ちて来た蕾を口に含んで見た

ら、苦い味がした。青空に映えるコブシを後にして、散策路の

坂を下る。

 道のすぐ脇に、ヤマザクラの大木があり、「ニホンミツバチの

巣があります。だいじにして下さい」との内容の“案内板”が掛

けてあった。サクラの幹に溝があり、腹部に黒い筋があるニホ

ンミツバチが出入りしている。道からでも巣の入口が見え、見

張りをしている蜂が外を向き警戒しているのが解る。“あの有

名なキイロスズメバチの襲撃等外敵の見張りをしているのだ。”

 「ハチは何故刺すのか」彼らが何よりも怒るのは、巣をいじる事、

叩く事、壊そうとする事等、強いショックを与える事と言われている。

 ミツバチと言えばセイヨウミツバチを連想されてしまうが、日本

には古来よりニホンミツバチが棲息、利用していた事が史実の中

にある。江戸、明治以来、ニホンミツバチは西欧の波に押し切られ、

日本人が忘れかけた種と言え、自然観察で取り上げたいポイント

の一つだ。ここ小宮公園には、それが自然の中に、自然の形で

展示されている。

 2018.11.29.小宮公園のコブシの木の下で。

今、コブシの木の下に立っている。

コブシの木の下から見上げると。

ヒヨドリが蕾を・・・・・・・。

ヤマザクラの大木に ニホンミツバチの巣が・・・・・・・。

道から 巣の入り口が見え 見張りの働きバチが・・・・・・・・。

★ 小宮公園には 自然の中に、自然の展示が・・・・・・・・。 私は感銘を受けた!