足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1285 ~ 中ノ沢園地 ~

2014年11月24日 | 植物

観 察 月 日  2014.11.21 晴 16℃

観 察 場 所  山北町 丹沢湖 千代ノ沢園地

 丹沢湖ビジターセンターへ来たのだが、午前中時間が空

いたので、千代ノ沢園地へ行ってみた。

 玄倉川橋を渡り、丹沢湖の北側の林道、一方通行の道を

走り、園地の駐車場に車を止めた。紅葉が見頃と思うのに

人や車は少ない。湖岸に沿う様にイロハモミジ、オオモミジ

が植えられ、並木の様にもなっている。どの木も同じ様に色

付き、その赤さも殆ど同じに見える。

 車を降りて辺りを見回した時は“キレイ”だと思ったが、次

の瞬間“何だか変”な感じに襲われた。どの木も同じ“赤”の

絵の具で塗られた様で物足りない。

 考えて見なくても、ここに植えてある木は、園芸会社から持っ

て来た植木で、イロハモミジ、オオカエデと言っても園芸品種

?なのだ。だから樹形が揃い、紅葉の色が揃うのは当然の事

で、自然の中で育ったカエデの木を求める方が無理な話なの

である。だから園地なのだ。

 丹沢湖の対岸に見える山肌を飾る木々は、同じ赤でもそれ

ぞれが違い、赤だけではなく、黄色や茶色がありそれが変化

に満ちている。そこには、木々の育ちが違い、思いが違い、

ささやきが違う。

 それが無いのは、人間が整えた園地だからだ。

千代ノ沢園地モミジの並木

風は無く 湖面は鏡の様だ

赤いのは モミジ

山のモミジの色は いろいろ。

                                   自然の中の木は 育ちが違う・・・・・・・・

 


No.1284 ~ くずはの家 で ~

2014年11月20日 | 日記

観 察 月 日  2014.11.8 曇 15℃

観 察 場 所  秦野市 くずはの家

 くずはの家の野外施設は、街中にありながら“みどり”豊かな上、

木々がのびのびと茂り、枝が地上付近よりあって、芽も葉も花も

実も手に取って見る事が出来、自然観察には魅力あるフィール

ドを作っている。

 私がここへ来る機会がある度に楽しみにしていたのは、入口近

くにあるメグスリノキであった。樹高は低いのに枝を広げ、雌株な

ので春には花を咲かせ、秋には見事な実を付けた。地面に落ち

ている実を拾い空は向かって投げて見ると、くるくる回転しては地

上に戻って来た。

 ところが今回は、その木が見当たらない。私は場所オンチのと

ころがあるので

野外を一回りする事にして、再び探したが見つからない。カンのい

いRさんも「おかしい」と言う。

 所長さんに聞いて見ると、幹にカミキリムシが入り、今年の春には

花を沢山付けたのだが、突如枯れてしまい、職員の方々も残念がっ

ていた。現在苗木を手配しているとの事であった。

 建物へ行く所に赤く色付いたピラカンサ、ヒヨドリジョウゴ、ガマズ

ミ等鳥が喜びそうな実が並んでいる。林から「キーコーキー」とイカル

の声が聞こえて来る。アカゲラもメジロもエナガも・・・賑やかだ。

 帰りに駐車場に行くと、ジョウビタキ♂に出会った。鏡のようにメッキさ

れたバックミラーの上に乗り、写る自分の姿に怒りを露わにしていた。

厳しい冬を生き抜くための、防衛本能なのであろう。

メグスリノキが 葉を開き 花が咲き始めた。 2013.4.9.

ピラカンサが迎えてくれる。

ヒヨドリジョウゴはヒヨドリが喜んで食べるのか?

甘酸っぱい ガマズミの味

ジョウビタキが 自分の姿と格闘?


No.1283 ~ 洋種 の 草紅葉 ~

2014年11月19日 | 植物

観 察 月 日  2014.11.9.雨 14℃

観 察 場 所  山北町 玄倉

 大粒の雨が霧のような雨に変わって来た。西丹沢の山々は、

煙の様な雨雲に覆われている。

 林道を外れて草原に一歩踏み入れると、靴もズボンもびっしょ

りに濡れる。

 草原には、チカラシバが一面に生え、焦げ茶の穂を突き立てて

いるのだ。その穂には長い剛毛が上向きに生え、そこには微毛

があるので霧状の雨を拾い、水滴をぎっしりと付けるのだ。

 山間の集落を前に広がる草原は、茶色に色づいている。

      水車場へ 道は平や 草紅葉    高浜虚子

 晩秋、気温が下がると秋の野の草は色付くが、古人は“草の錦”

と言って愛しんだと言う。

 古人も親しんだと言う草紅葉、その足元の草を手にとって見ると、

それはメリケンカルカヤと名のつく草であった。

メリケンカルカヤは名の通り北アメリカ原産で、今では、アジア、

オーストラリア、太平洋諸国に帰化している。我が国では戦後愛

知県で見出され、現在では関東地方以西に広く分布し、水田の畔、

市街地の芝生、空き地に多い、と言われているが西丹沢の山の中

まで入り込んでいるのだ。

 それにしても、俳句の季語である草紅葉をメリケンカルカヤ

で感じるとは、どこかおかしいのではないだろうか。

雨に煙る 西丹沢

草原を覆う チカラシバ

穂の剛毛に宿る 水滴

玄倉の集落の前に広がる 草紅葉

メリケンカルカヤが醸し出す 草紅葉であった。

                          「どこか 変だと思いませんか?」


No. 1282  ~イロハカエデの葉 を 考える~

2014年11月11日 | 植物

観 察 月 日  2014.11.9.雨 14℃

観 察 場 所  山北町 玄倉

一般的には、天気は西から動いて来るのに天気図を見ると、今日

の雨はすじ状の雲が南の海上より関東を目掛けて北上している。

全国的に好天なのに、関東の沿岸は朝から雨と言う嫌な天気だ。

 西丹沢は、一年の中で一番の紅葉の季節、好天なら林道に車の

列が出来るのに、今日はそれが見られない。丹沢湖を取り囲む山々

は、雲に包まれ、その隙間から赤や黄色に染まった木々が見え隠

れする。

 皆さんに「カエデの名前はどこから?」と聞いたら、小2の男の子

が「蛙の手」と答えた。

 カエデと言う名は掌状に裂けた葉を「蛙の手」と呼んだのが変化

したのだと言う。手の平状に裂けた葉は、風や雨の抵抗を受け流

すのに都合良く、葉の表面に溜まる雨水を排水する道筋を付け、

その効果がありそうだ。

 では「イロハモミジの名は」と聞いたら、答えは無かった。

 そこで、ズーと昔子供であった人は遊んだ事があろう、イロハニ

ホヘトを変えた“ことば遊び”「イロハニ金平糖、金平糖は甘い、甘

いのは・・・・」をイロハモミジの7つに分かれた掌状に当てはめて

遊んでみた。

 最後の言葉は「・・・○○○は赤い、赤いはモミジ」とモミジに帰っ

て来なければ終われない、というものだ。イロハモミジの葉を見

て、私が考えたものなのだが。 遊んでみませんか。

山は雨雲に包まれ

丹沢湖も雨模様

ブナの葉は葉脈が深く 水が流れやすい

オオヤマザクラは赤く染めた葉を 殆ど落とす。

湖面に枝を突出した イロハモミジ

葉の表面を流れ落ちる 晩秋の雨

赤いのは、生理的にはアントシアン、 生態的には誰にアピール。

                            「・・・・・・◎◎◎は赤い、赤いは モミジ。」 おしまい。