足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1170 ~ シオヤアブ の身に付けた道具 ~

2013年07月29日 | 昆虫

水辺を シオヤアブが飛んだ

ループを描き マコモの葉上に戻った

恐ろしい程の姿だ

昆虫の飛ぶのを待つ

脚のつくりに注目

観 察 月 日  2013 7.21 晴 30℃

観 察 場 所  厚木市 七沢 (県立自然環境保全センター)

 空間をループに描き、元いたマコモの葉の上に戻って来た。

飛びだした時、肉眼では確認出来ないが、何やら獲物を捕え

たらしい。

 双眼鏡で見て驚いた。太い口吻を差し込み胸の下に抱えて

いるのは、クロスズメバチではないか。相手には毒針と言う強

力な武器があるのに、どのようにして仕留めたのであろうか。

 シオヤアブは、獲物が飛ばないか見通しの良い所に止まって

いる。その時大きな2個の複眼で空間を見張っているのだ。そ

れを知らずに飛行してきた昆虫には、即、反応して追尾する。

 止まっている昆虫には反応しないが、空間を通過する昆虫に

はすぐ飛び立つ。見ていると、その範囲は1~3m位らしい。2

個の複眼に並ぶ個眼上を次々に移動する相手の像を捕捉して

飛び立つので正確度は高い。

 クロスズメバチは、頭と胸の関節部を上部から口吻を差し込

まれている。飛行している所を上方から不意に攻撃されたのだ

ろう。それにはシオヤアブのループ状飛行が有効に働いている

のだろう。

 シオヤアブの脚に注目して見ると、脚の先端に鋭い爪、じょく

盤は広く開き、そして附節、脛節に鋭い棘が何重にも生え、獲

物を確りと掴むしくみが出来ている。


No.1169 ~ 不思議な 変形菌ムラサキホコリ ~

2013年07月26日 | 植物

丹沢湖ビジターセンター

kさんが手にした枯れ枝に付いていた 変形菌ムラサキホコリ

付け根は 毛のように細い多くは胞子の塊だ

細い小枝を 子実体に触れると 胞子が飛び散り空気中に広がった

観 察 月 日  2013 7.14.晴 34℃

観 察 場 所  山北町 玄倉

 今日一日の仕事も終わり帰り際に、ビジターセンター裏庭の

池の様子を見ていると、レンジャーのKさんが林の中から出て

来た。

 「こんなものがありましたよ。写真に撮りますか」と。Kさんは

30cm程の枯枝を持っていたのである。

 「ここに、刷毛状のものが付いているでしょ」と言われて見ると、

1cm程の古びてばらけた筆の穂先様なものが付いていた

 それは、“キノコでもないし、カビでもない”私の不思議そうな

顔を見ると

「ムラサキホコリの仲間です」  Kさんは変形菌に詳しいのだ。

以前にも見せてもらった事がある。

 枯れ枝についているのは子実体で揺れるとそこから胞子が出

て、風に流れて朽木や土壌など好条件な場所に落ち発芽すると、

アメーバー状の細胞が放出されるのだと言う。これらの細胞はバ

クテリア等を捕食しながら大形のアメーバー状生物に成長し、こ

れを変形体と言う。変形体は朽ち木や土壌の中に潜り込んでいる

ので、多くは私達の目には入らないが、適当な時期になると表に

出て小さなキノコの様な子実体になり胞子を飛ばすのだと言う。

 動物にも植物にも思える不思議な生物”変形菌”に興味を持ち、研

究に没頭した”南方熊楠”は余りにも有名だ、

 ところで、大形の子実体のムラサキホコリに集まり、好んで胞子を摂食する

甲虫がいると言うから、生き物はどこまでも不思議で興味深い。

 


No.1168 ~ ヤマユリに吸蜜 ミヤマカラスアゲハ ~

2013年07月25日 | 植物

丹沢湖に入る小菅沢も流れていない

丹沢湖も水位が低い

玄倉林道も乾燥している

水の染み出るところには キンシバイが

側溝脇には ミゾホウズキが

ヤマユリは崖から垂れ下がって

ウラハグサの向うに

新鮮なヤマユリ、新鮮なミヤマカラスアゲハ

観 察 月 日  2013 7.14.晴 31℃

観 察 場 所  山北町 玄倉林道

 朝Yさんに会うと「ヤマユリが綺麗でした。今日はそちらへ行き

ましょうか」とカメラのモニターには、咲き揃ったヤマユリとミヤマ

カラスアゲハの吸蜜が映し出されていた。だが、参加者の様子

を見て、玄倉林道を歩くことにした。少ないながらヤマユリがあ

るからだ。

 例年なら“つゆ明け7月”だと言うのに、林道は乾ききっている。

だが水の浸み出している崖には、キンシバイが枝を伸ばして花

を付け、水の流れる側溝脇にはミゾホウズキが黄色の花を付け

ていた。

 ヤマユリは大人の背丈の2倍程の高さの崖に茎をたらし、重そ

うに花を付けていた。

 Rさんが“早く来るように”と合い図をするので、小走りに行くと、

調度ヤマユリにアゲハチョウが来ている所であった。前翅から後

翅にかけて金緑色に輝く

すじ模様がはっきり見えた。ミヤマカラスアゲハだ。花弁の黄色の

すじ模様がチョウに対する指標なのか、外から中心へと羽ばたき

歩きながらストローを伸ばしている。だが、花の中心“蜜腺の個所

”まで行かず、途中で飛び立った。ヤマユリは蜜が豊富なので流

れ出ているのだろうか。

 ミヤマカラスアゲハは羽化したばかりの新鮮な個体だ。翅の傷み

も無く、尾状突起も綺麗だ。翅にヤマユリの赤褐色の花粉が付いて

いないところを見ると、直接中心に行かなくても吸蜜出来ているの

だろうか。

 


No.1167 ~ すっきり綺麗な シロツバメエダシャク ~

2013年07月24日 | 昆虫

林道を行くとモンシロチョウが飛び出した

「モンシロチョウじゃないよ!」

シロツバメエダシャクだった

今日は 何匹かに出会った

昼は葉裏でお休み 夜が出番・・・・

観 察 月 日  2013 7.14.晴 31℃

観 察 場 所  山北町 玄倉林道

 足元からモンシロチョウ?が突然飛び立った。

 ヒラヒラと5m程先まで飛んで行くと、林道脇の草に止まった。

「モンシロチョウじゃないよ」一緒にいた子が私に向かって言っ

た。モンシロチョウなら草の上に止まる時、4枚の翅をたたんで

立てて止まるのだが、4枚の翅を平たく開いて止まり、中々美

しい。

 その時Mさんが本を開いて、「シロツバメエダシャクよ」とゆ

びを指した。

ところが大人はこれだけでは満足できず「チョウかガか」知り

たくなるのだ。以前は昆虫を扱う本なら“チョウとガの区別の

仕方”の項目が載っていた。         

 ところで、Mさんが用いた本のタイトルは“チョウでも、ガでも

”なくイモムシ ガイドブック”である。本来はイモムシから調べ

る本なのだが、チョウもガも区別せず一緒に扱っているので

ある。

 現在の流れのように思えるが、「チョウは好きだが、ガは嫌

い」と言う人がいる。「チョウは綺麗だが、ガは・・・?」とか、訳

はありそうだが何故か分けないと気が済まない所もあるらしい。

 私の子供の頃は、ガもチョウも分別せず「ガ チョウ」と呼んで

いたが、昆虫学的には正解であったのかもしれない。

 今日の林道では、珍しく何匹かのシロツバメエダシャクに出

会ったが、葉裏に隠れて休んでいるのが昼間の姿であった。


 No.1166 ~ ナワシロイチゴ の 名前 ~

2013年07月23日 | 植物

7月の林道

金網+コンクリートの崖を登る

ルビーのような

5月27日の林道 ナワシロイチゴは花盛りであった

花には マルハナバチが次々にやってくる

ミヤママルハナバチのようだ

花は 星の王女様

7月8日 ルビーの宝石に

観 察 月 日  2013 7.8.晴 34℃

観 察 場 所  伊勢原市 仁ヶ久保林道

 林道は山の斜面を削り、巻き道をしながら徐々に高さを上げて行く。

 見上げる様な崖面には、金網を張り巡らせそこにコンクリートを吹き

つけ、崩壊を防ぐ方法を採っている。

 この林道にも、その工法を採っている所があり、日当たりのよい所

ではナワシロイチゴが茎を伸ばし、金網を足場にして這い上がっ

ている。

 真紅に色付いた苺を摘まんで口に入れると、甘酸っぱい汁が口の

中に広がりローカルな気分になった。

 身近な植物の中には、農事暦と重なっているものがある。ナワシロ

イチゴも苗代苺で、“苗代から稲の苗を採り出し、田植えの準備をす

る頃苺が赤く色付く”事から名が付いたのであろう。そして大人も子供

も甘酢ぱい味を楽しんだのであろうか。のどかな日本の自然と農村

の暮らしが絵となって浮かんでくるのだがどうだろうか。

 しかし、今の時代には“ナワシロイチゴ”の名前はピンとこない。林

道の入り口まで乗ったバスからの田園の景色は、既に稲は育ち青々

とした風景が広がっていた。