足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1606 ~ 晩秋の丹沢山麓 ~

2018年11月25日 | 昆虫

観察月日  2018.11.15.快晴 10℃

観察場所  厚木市 広沢寺から不動尻

 コバルトブルーの空は何処までも深く、雲を探す事が出来ない。

これを快晴と言うのだろう。

 奥大沢の集落を通ると、右に茶畑、その向こうに鐘ケ岳が聳え

て見える。この道を何度通ったか。その度に「あれが鐘ヶ岳よ」と

頭の中で口ずさむ。それだけに思い出のある風景なのだ。

 以前は七沢川に沿う様に、林道はあったが、近頃砂防ダムが

造られ、林道は一段高い位置に変わった。

 その頃、七沢石の石工の家があったが、今では崩れかけ、い

つの間にかシロダモの林に囲まれ、真紅の実が私を呼び止める。

 シロダモは雌雄別株、この季節は果実と共に花も見られ、得を

した気になる。が、今年は来たのが遅い為、雌花は過ぎ、雄花も

残り花だ。それでもハエの仲間がやって来ては、花粉を食べてい

る。花が盛りの時は、ハチの仲間が多数訪れるが、今日はキイロ

スズメバチが一匹、残った蜜を探しているだけだ。越冬する前の

新女王蜂なのだろう。

 チャノキの残木があり、葉の茂みに身を隠す様にキタキチョウが

下っていた。翅も体も弱々しいのに成虫越冬を選んだのは、何故

なのだろう。間もなく消えるミヤマアカネは、舗装道路で暖を取って

いた。コセンダングサの花に来たのはヤマトシジミだ。街中では姿

が消える頃だが、丹沢山麓の日だまりではまだまだ、元気の様だ。

奥大沢集落を過ぎて・・・・

家は崩れかけ いつの間にかシロダモの木に囲まれて。 

雄花の残り花にハエの仲間が。

 

キイロスズメバチ

キタキチョウ 越冬にはまだ早いのに。

ミヤマアカネ

ヤマトシジミ

 

 

 

 


No. 1605 ~ 玄倉だより 11月 ~

2018年11月23日 | クモ

観察月日  2018.11.11.曇のち晴 12℃

観察場所  山北町 玄倉 (小菅林道)

 朝の内は天気は曇り、気温も低く活動する昆虫は見当たら

ない。植物もこの時期には花を付ける物も無く、さすがに目利

きのメンバーも、気付く事も少なく、早めに小中沢の鉄橋に来た。

 集合写真を写す頃には陽も差して、鉄橋を支える柱の陰にな

る人がいて、失礼した。

 橋脚の基礎であるコンクリートの壁には、黄金色のコガネグモ

が、網の中央で下を向いて餌を待ち、橋に入ると支える柱と柱の

間を使い、大きく網を張るジョロウグモの中に、上向きで餌を待

つクモがいた。「体が大きいのに、何故産卵しないの」と呟きが

聞え、「ここでは、鉄骨に産み付けてあるわ」との声も聞こえた。

 昨年と比べると、鉄骨に産卵してある卵嚢の数が少ない。

 ジョロウグモが張った網を通して、砂防堤が作った河原の広

がりが見え、先月緑であったフジアザミは茶色に変わっていた。

橋を渡ると、林道への刈り込みが少なくなる。そこで、アズマヤ

マアザミが立ち並び、緑の草の中から瑠璃色をしたリンドウの

花が覗くが、陽が弱いので開いていない。岩石の混ざる裸地に

は、黄色の花をうな垂れたヤクシソウが株を作る。

 「ウラギンシジミが飛び、止まった」と言われて目をやると、ま

だ青々したイロハモミジに羽を半開して止まっている。

 「例年だと山は赤く染まるのに、今年は台風のせいか、枯葉色

で残念」オオカマキリが呟きたいのか、私と目が合った。

今日は早めに、鉄橋に到達。ここからは、眺めが良い

基礎のコンクリート壁を利用して コガネグモが網をかける。

ジョロウグモの網を透して 広い河原が見える。

「ここには 卵のうが。

フジアザミの葉は 枯葉色になった。  

橋を渡ると 瑠璃色のリンドウが。

ウrギラギンシジミの雌。

遠く丹沢湖が見え、辺りの山は、枯葉色。

「今年は 残念!」と、おしゃべりオオカマキリが

 


No. 1604 ~ 私の玄倉だより ~

2018年11月16日 | 昆虫

観察月日  2018.11.11.晴 12℃

観察場所  山北町 玄倉

 もう十何年も前の事だっただろうか。

 丹沢湖ビジターセンターが機能を果たしていた頃、若いKさん

ご両親が可愛い2人の女の子を連れて、観察会にやって来られ

た。そして或る日、私の採集ネットを見てだろうか。

 「上の娘が“採集ネットが欲しい”と言うのですが」とのお母さん

の言葉に、それなら、と〝志賀昆“のカタログを差し上げた。

 “志賀昆”とは採集用具の老舗で、以前は渋谷駅前の宮益坂を

青山道りヘ向かい、仁丹ビルの前にあった。私も中学生の頃より

通い詰めた専門店で、随分お世話になった。

 次会Kさんが来た時には、“竹製4本繋ぎの柄の先に、スプリング

式のネット”私の物と同じ捕虫網がお子さんの手に握られていた。

それからは、そのネットが観察の質を高めた。

 二人の娘さんは、小学生から中学生へ、そして高校へ進むと部活

で日曜日は忙しくなり、来られる日は殆ど無くなった。

 今朝の私はいつもの様に当たりを一巡し集合場所に戻って見ると、

談笑している仲間の中に、母親と暫く振りに見る姉妹の姿が遠目に

あった。私の姿を見ると走って来て「ご無沙汰しています。大学生に

なりました」と。薬学系の大学へ進学したと言う。そして嬉しい事に、

“志賀昆”のネットを手にしていた。

 今日はチョウは飛ばず、白いヤブツバキにスズメバチが潜り、オ

ニイタヤにはカメノコテントウが休んでいた。「この天気と、気温では、

昆虫が活動できず、すいません!」色付いたススキの葉陰から、オ

オカマキリが顔を覗かせた。

O ”志賀昆”のネットを手にしていた。

白いヤブツバキの花にコガタスズメバチがやって来た。

蜜は何処にあるんだ!奥の方か!潜ってやれ!

やっと蜜にたどり着いたぞ!

サザンカの花には 小さなショウジョウバエが来て

ワカバグモが狩りをしていた。

オニイタヤ(カエデ)の枝に カメノコテントウが。

ススキの葉裏に アカスジキンカメムシが。

「ネットを持って来てくれたのに、昆虫が飛ばなくて」「 時間のある時 また来てね!」 オオカマキリより!

 

 

 


No.1603 ~ 小中沢林道を歩く ~

2018年11月07日 | 植物

観察月日  2018.10.30.晴 17℃ (11.3.)

観察場所  清川村 宮が瀬

 「みやがせフェスタ秋」に参加「ネイチャークラフト教室」の材

料収集に、林道を歩いた。

 まだ紅葉には早く、緑の葉を付けた小高木の中に、小粒な

赤い実が目を引く。カマツカだ。材が丈夫なので、鎌の柄に使

ったり・牛の鼻輪にしたり、暮らしの中の木であった。

 星形に開いた深紅の蕚の中に、藍色の果実を付けるクサギ

がみどりの中に浮かび上がる。昔から草木染めに必要な生活

木だ。

林道脇の小高木は、私達の暮らしを留める資料木が多く、次の

世代に残して行きたいものだ。

 この辺りの林道で、秋を代表そるアザミと言えば、立ち姿のき

れいなアズマヤマアザミだ。歩いても歩いても続き、花にはキチ

ョウ、ミドリヒョウモン、アサギマダラが飛び交う筈が、何故か今

日は、そのアザミが見当たらない。

 餌となり、暮らしの場になる植物が少ない事に比例してか、ア

カタテハ、タンザワフキバッタに出会っただけで、寂しかった。

 金沢橋の欄干には、トビサシガメが集まり冬越しの準備をして

いる。

 Rさんの「オシドリの群れが泳ぎ出した」の声、急ぎ湖面を見る。

前を2羽の♀が並んで泳ぎ、後を追う1羽は♂、並んで泳ぐもう1

羽は、体色は♀に似ているが、嘴が赤くエクリプスの様だ。 

今日は野鳥撮影の、準備はしていなかった。

カマツカ

クサギ

アズマヤマアザミ の花に来た キタキチョウ(キチョウ)

アカタテハ

タンザワフキバッタ

リュウノウギク

オシドリの群れ

「ネイチャークラフト教室」 で活動する ”自然関心人間”の人たち


No. 1602 ~ 私のミニ観だより ~

2018年11月06日 | 昆虫

 

観察月日  2018.10.21.晴 20℃

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 

 本館の犬走りの上に、2匹のバッタがいるのに気が付いた。

1匹は5cm弱の大きさ、もう1匹は小さく約2cm程だ。体はま

だら模様がありよく似ている。

 「小さい方のバッタは、まだ子供なんですか」此の様な場面

に出会うと、よく聞かれる質問だ。体が小さければ「これから

まだまだ大きくなって、成虫になるのだろう」と考えるのが、一

般的なのだろう。

 よく見ると小さい方のバッタにも、立派な羽がある。だから成

虫(親虫)で、ヒロハネヒナバッタという別の種類だ。大きい方は

クルマバッタモドキで、此の様な所に出会うと、つい微笑んでし

まう。

 この辺りでは、秋に見るアザミと言えばタイアザミで、紅紫色

の花は綺麗だ。花をルーペで見ると、“カ”を大きくした形のガ

ガンボが、何匹も止まり蜜を吸っている。アザミは筒状花の集

まりで、筒の深さが15mmもあり、口が長くないと蜜まで届か

ない。ガガンボの口を見たら、折れそうな程に細く長い。アザ

ミの花に合わせる様な口をした、ヒナクチナガガガンボであ

った。同じキクの仲間の、コウヤボウキの花にも集まっていた。

 三出複葉のメグスリノキはカエデの仲間だと、その特徴を見

付けていると、「見慣れない幼虫がいるのですが」とTさんが葉

を掴んだ。それは、異様な形をしたシャチホコガの幼虫であった。

二匹のバッタが遭遇

タイアザミの花の蜜を吸う ガガンボ。

コウヤボウキの花の蜜を吸う ガガンボ。

怪しげなガの幼虫・・・・

ミニ観察会に集まった 仲間の人々。

★ 今日も収穫が 多かった。