足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

Mo. 1465  ~ センダン食堂(ヒヨドリの流儀)~

2017年01月30日 | 野鳥

観 察 月 日   2017.1.15 晴 5℃

観 察 場 所   厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 センターのフィールドも、1月共なると冬枯れで、動植物の姿もぐっと

少なくなった。そんな季節にミニ観に登場して来るのがセンダンの木だ。

 12月には、枝々に黄褐色の果実をたわわに付け、ヒヨドリが次々に、

立替え入れ替えやって来ては、センダン食堂は大賑わいであった。

 ヒヨドリが食堂にやって来ると、キョロキョロ見回し先ずは果実を吟味

する。次にピンセットの様な嘴で果柄から果実をもぎ取り嘴にくわえるが

すぐには呑み込まない。必ず一度二度と果実を回してから呑み込む。

ヒヨドリにそんな作法がある訳がないだろうに、それには理由があるの

だろう。

 1ヶ月過ぎた1月のミニ観の日、センダンの果実はヒヨドリに食べられ

少なくなり、青空が透けて見えるようになった。12月とは違って食堂に

やって来るヒヨドリの数も少なくはなった。けれどヒヨドリは、果柄から果

実をもぎ取ると嘴にくわえそのまま呑込まず、相変わらず二度三度と果

実を回す動作を繰り返した。

 ヒヨドリはイイギリの果実も好みよく啄むが嘴を広げそのまま呑み込ん

でしまう。イイギリの果実と比較するとセンダンの方が大きく呑み込み難

いのかも知れないが、大きさだけが原因でも無さそうだ。

 気になるので、再度1月26日にセンダンを訪れてみた。この時は1羽の

ヒヨドリであった。果実をくわえるとすぐに呑み込まず、1回2回・・とくわえ

直しながら果実を回転させる作法?が始まった。望遠レンズを向け観察

を続けたが、回転の作法?は止まらない。13時11分~13時14分まで

の間36回繰り返した。そして私が気になったのか、くわえたまま飛び去

った。

 さて、センダン食堂とヒヨドリの流儀は、次回のミニ観につづく・・・。

12月18日のミニ観の時のセンダン、果実が鈴なりだ。

1月15日のミニ観、大分少なくなった。

ヒヨドリは、果実を2回3回転がす作法?を・・・

すぐには のみ込まず作法?を何故か繰り返す。

 

 

果実と果柄の様子は・・・

ヒヨドリが 落とした果実はどうなっている? 等々。

★ 次回の ミニ観につづく。

 

 

 

 


Mo. 1464  ~ 早戸川林道を歩く ~

2017年01月29日 | 野鳥

観 察 月 日   2017.1.11.快晴 8℃

観 察 場 所   清川村 宮が瀬

 やまびこ大橋上の温度計は2度を標示していた。

 車を降り、林道入口のゲート付近に来ると、一面氷色だ。ダムの

水面に近い為か、いつ来ても落葉には霜が降り、路面は凍り付い

ている。野鳥を観察に来たのに、霜の花の美しさに目を奪われてし

まった。

 ジョウビタキの鳴き声がして、林道の遥か先を見ると、ヌルデの実

が鈴なりの枝先に雄がいた。実を食べる所を写そうと歩を速めると

、気に入らないのか飛び立ってしまった。

 山の斜面で“ガサ ゴソ”と木の葉を動かす音がする。シロハラが

落葉返しをし、餌を探している。汁垂れ隧道から出て来た人に挨拶

をし、「何か鳥に出会いましたか?」と声を掛け、“ハッ“として顔を見

た途端「ダメデスネ!ベニマシコは、いませんでした」と流調な日本語

で返してくれた外国の人であった。長いレンズを下げ日本の野鳥に

興味を持つ人なのだろう。

 隧道の先では、ヌルデの実を啄むツグミに出会い、ダムの遥か対岸

の立枯た木の梢に、今日もミサゴが一羽休んでいた。

 林道を引き返し金沢橋まで来た時、「変ね!柿の種が沢山あるわ」と

Rさんが立ち止まった。獣の毛も散乱している。ばらけたタヌキの貯め

糞の跡だ。新しい糞もある事から、金沢橋を拠り所に、東と西のタヌキ

が夜ごと情報交換をしているのだろうか。

 「ダメデスネ。・・・・」と外国の人が言われた様に、野鳥の収穫は少な

かったが、それ以外の収穫があり満ち足りた一日であった。

林道入り口ゲート付近、落ち葉の上に付いた霜の花に目が釘付け。

遥か向うのヌルデの実に ジョウビタキが。

落ち葉返しをする シロハラ。

ヌルデの実が好きな ツグミ。

遥かな対岸の木に 今日もミサゴが。

金沢橋の真ん中に タヌキの溜め糞が。

「ヤチョウ ホントニ イマセン。 ドウシタノデショウ?」

★ そう思った事でしょう。


No. 1463  ~ 1月の 玄倉 ~

2017年01月28日 | 自然現象

観 察 月 日   2017.1.8 曇 3℃

観 察 場 所   山北町 玄倉

 丹沢湖の畔に植えられているイロハモミジは、枝々を紅くして紅葉の様

に見える。その中に一点緑色が目に止まり、何かと近づいて見るとウスタ

ビガの繭が、モミジの葉を一枚付け微風にそよいでいた。紅い景色の中に

緑色は余りにも目立つ。繭の中にいる蛹は、野鳥にとっては高蛋白質のこ

の上もない御馳走だ。それなのにわざわざ目立つ緑の色を、ウスタビガの

終令幼虫が選ぶ訳がなく、秋に蛹は羽化して飛び立ち今は空繭だ。

 湖畔の路には何種類かのサクラが植えられている。その幹も太くなり、

そこにはマツゲゴケが生え、空気のきれいさを語るエンブレムそのものだ。

 玄倉川の川面には、キンクロハジロが泳ぎ、時折潜水し餌を捕っては上

って来る。

 「チイ、チイ・・・」と賑やかな鳴き声がして、エナガの群れが通過する。餌

の少ない冬は集団が生きる為に有利だと言われるが、通過する速度が速

く、“あっと”言う間に姿が見えなくなった。

 「ジェー、ジェー・・・」と濁った声と共に、渓谷から山側へと5羽のカケスが

飛んだ。ヒノキの葉越しにシルエットが見え、実を突いては種子を食べてい

る様だ。

 渓谷側を双眼鏡で覗くと赤い実を鈴なりに付けた美しい木が視野に入り、

この前より気になっていた。Uさんが林の中に分け入り、落ちた実を拾って

来た。予想はしていたが“アズキナシ”と解り落着した。

イロハモミジの枝々が赤く色付いて きれいだ。

紅い中に 緑色は目立つ。 冬の季節 繭の中は?

マツゲゴケのエンブレムが美しい。

「アっ!鳥が・・・」

「潜ってる」 「なかなか出て来ないね」

動きが早く すぐ通過してしまう。

「ヒノキの種子を 食べているみたい」

アズキナシ あずきとなしで 美味しそうな名前?

★ 天気は良くなかったが 雨に降られず 今日も楽しかった。

 


Mo. ~ 続 ベニマシコ ~

2017年01月21日 | 野鳥

観 察 月 日   2017.1.4.晴 12℃

観 察 場 所   清川村 宮が瀬

 すれ違いざまに、「ベニマシコに会いましたか」とよく声を掛けられた。

 成熟した雄は体が紅色に染まり、鳥を写す人にとっては人気がある。私も

ベニマシコ狙いなのだが、東北や北海道から冬鳥として来た小さな鳥が、何

を食べているのか興味がある。

  昨年は、アズマヤマアザミの茎に止まり、冠毛を落とし種子を食べている

様子を記録した。又、木の枝に下がって付くフサザクラに種子を、羽を飛ばし

て食べる所も写した。

  今年は、草木が茂る藪の中で、実を啄むベニマシコに出会った。藪の中

は蔓植物等が絡み合っていて、その上冬枯れしていて判別しにくい。ベニマ

シコが食べている所までの距離も離れている。800mmの望遠レンズを通し

ても判別し難い。それでもどうにか、ナガバノヤブマオ、メハジキ、カナムグラ

を見る事が出来た。

  そして、あれ!と思ったのがイノコズチで、下向きに鋭い針状の小苞があ

る胞果を盛んに啄んでいる事だ。

  イノコズチと言えば、最近では“ひっつき虫”の名で有名?だ。胞果は花序

の軸に逆むきにぴったり付き、藪を歩くイノシシやシカの体に付着し、人間の

衣服に突き刺さって遠く、広く種を運んでもらう。イノコズチは上手く考えたもの

、植物は賢い、調子がいい、ずるいかな?と思ったら、・・・・・。

  ベニマシコの厳冬のエネルギーとなっているとは、人には知られていない

だろう。自然は上手く出来ているものだ。(ここのイノコズチは、ヒカゲノイノコ

ズチの様だ。)

藪から出て来て 当たりを探す。今度は何にしようかな!

イノコズチの花序に、上手に止まる。

どれを 取ろうか。うまく取らないと 針状の小苞が突き刺さるぞ!

外側の殻を脱がして、捨てて と!

ヒカゲノイノコズチさん ありがとう! お陰で冬が越せます!

★ 味はどうなのか、知りたいね。 自然は循環世界、うまく出来てます。

 


No. 1461  ~ ベニマシコ ~

2017年01月17日 | 野鳥

観 察 月 日   2017.1.4.晴 12℃

観 察 場 所   清川村 宮が瀬

 「ベニマシコが、あの藪の中にいますよ」と指さした。

 先程から山の斜面にレンズを向けていた人が、私を見るなり

手招きをしてくれたのだ。

 指さす方を見たのだが、立ち枯れの茎に蔓草が絡まって出来た

藪、ベニマシコの紅色の体色が枯れ草の中に融け込んでしまう。

やっと視野にトリを捕えたが、茎や蔓や枯葉が邪魔をして、ベニマ

シコがファインダーの前面に出てこない。

 「蔓草が邪魔だなー」「もう少し前に来ないかなあー」「トリの目に

光線が入ってくれないかなー」ささやき声が聞こえた。始めは二人

だったものが、気が付いて見たら5~6人の塊になっていた。

 “ジャー、ジャー、ジャー、・・・”小気味良いシャッター音が響く。連

写している音なのだが、私には、遥か昔、戦闘機に追い駆けられた

機銃の音を思い出してしまった。

 「ベニマシコは、何を食べているのかな」手招きしてくれた人の、独

り言が聞こえた。そう言えば、ベニマシコは藪の中に潜りながら、右

に左にと向きを変え、嘴を動かし続けている。「多分、カナムグラの種

子だと思いますよ」と、つい私が答えると、「よく解りますね。山草が好

きなんですか?」と聞き返された。確かに、トリを写しに来ていながら、

私の頭の中は“ベニマシコが食べるくさの種子”を追っているのだ。私

のカメラのシャッター音は、種子を食べる度に単発音で、他の人とはず

れていて、変わって思えるのだろう。

 ベニマシコは、メハジキ、ナガバノヤブマオ・・・・、枯れ色の中から細か

な種子を取り出し、体をくねらせながら啄んでいる。

「ベニマシコがいますよ」と指さしてくれた、山の斜面。

枯れ草の藪の中から、ベニマシコが出て来た。

枯れ草の中から、実をとりだした。

” カナムグラ ” の実を啄ばんだ。

実の殻の中から、上手に種子を取り出す。

体を伸ばして ナガバノヤブマオの実を啄ばむ。

藪の中から現われ、ジャー、ジャー、ジャー、一斉に連写が始まった。

★ 光線がよく目に光が当たっている。 トリ屋さんには、チャンスだろう。