観察月日 2018.12.16.雨後晴 5℃
観察場所 厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)
「“あふち”とは、この木の事だったのですか」
センダンの木を仰いで、“疑問がやっと解決出来た”と
言う顔をされた人がいた。
妹が見しあふちの花は散りぬべし
わが泣く涙いまだ干なくに
万葉集の中で、山内憶良が大伴旅人の夫人の死を悼んで、
“あふち”の花に託して詠んだといわれる。
きのふけふ あふちに曇る 山路かな
時代は下り、芭蕉が詠んだものである。
近くは、唱歌“夏は来ぬ”に おうち が出てくる。
昔は、初夏に咲く淡い藤色のあふちの花を好んで観賞の対象にしたが、
近代では、ウメやサクラの様に、センダンの花を取り上げる事は見
られなくなった。
センターのツバキ園の外れにあるセンダンの木は大木で、樹形
は自然そのもの、枝を広げその先は地面にまで下がり、花の季
節も、実の季節も、尋ねた人の顔の高さで見る事が出来、ミニ観
推奨木だ。
冬の季節の今は、黄金の実を木全体に付け、ヒヨドリの大食堂。
太い幹の割れ目は、ヨコズナサシガメの越冬場所。雨を避ける北
側にはジョロウグモが糸と樹皮の破片を塗した卵嚢。根際1m程
の樹皮を斜めに見ると、シカやイノシシの毛が挟まっているのが
解り、夜間になると体を擦りに来ている景色が目に浮かぶ。
のびのびと成長した、大きな(センダン)木は、私達人間の心を
ゆすり、多くの生き物を支えている。
それを実感するのが、ミニ観 なのだろう。
素直な樹形のセンダンの木がある。
枝は地面近くまで垂れ。
ヒヨドリの食堂
ミニ観の人々。
樹皮の割れ目はヨコズナサシガメ。
ジョロウグモの卵のう。
毛が!
みんな一生懸命