足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1433 ~ 雨を降らす木 否 虫 ~ 

2016年08月30日 | 昆虫

観 察 月 日   2016.8.21.晴 30℃

観 察 場 所   厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 「晴れているのに、或る木の下だけ雨が降る」と言う不思議な話を

聞いた事はありませんか。

 “或る神社の駐車場での出来事だ。車から降りると目の前の一本

の木の下だけだ、一面に濡れている。空は青空、雨を降らす雲など

無い。不思議に思って木の下に行って見ると、ポツリ ポツリと雨が

降っているのだ” ミニ観の途中、聞いた“世にも不思議な話”を思

い出してしまった。

 「空には、雲は無い」訳だから、“狐の嫁入り”的な雨の降り方では

ない。だが、木の下は雨が降っていると言うので、木に何か隠され

た原因があるのだろう。

 ミニ観の途中、ムラサキシキブの枝にツマグロオオヨコバイが2匹

並び、枝に口吻を差し込み汁を吸っているのに出会った。そして、体

の末端から水滴を出している。そう言えば、セミを取り損ねて掛けら

れたオシッコも水だし、同じ仲間のアワフキムシも、お尻から大量の

水で泡をつくっている。何故だろう?

 木は地中から水を吸い上げ、葉で2酸化炭素と光を吸収、水+CO2

 +光=澱粉+酸素の仕事をしている。ツマグロオオヨコバイは、その

内の何を横取りしているのだろう。養分の少ない水を吸っているのだ

。常に多量の水を吸い、腸で少ない養分を吸収、多量の水を肛門か

ら放出する。もしも、多数のツマグロオオヨコバイが木にいたとしたら、

雨は・・・・・。

ミニ観の途中、ムラサキシキブの所で・・・・。

”雨を降らせる 不思議な木”の話を思い出した。

ツマグロオオヨコバイが 木の汁を吸って水滴を出す・・・・・。

 

ツクツクホウシが鳴いていたが、掛けられたオシッコも水だ。

同じ仲間のスケバハゴロモも 木の汁を吸っては水を・・・・・。

★ ツマグロオオヨコバイは棲息数が多い。吸水の量も多い。


 No. 1432 ~ もう 秋ですね! ~

2016年08月28日 | 自然現象

観 察 月 日   2016.8.21.晴 30℃

観 察 場 所   厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 「もう秋ですね!」 しげしげと空を見上げた人がいた。澄んだ

青空に、巻雲、巻積雲が流れている。

 ここの所、次々と台風が発生し連日の雨続き、今日も台風9号

が関東に向かっていると言うのに、この晴天は遺跡的だ。

 この暑さなのに、「何が 秋だ!」と言いたいところだが、生き物

達の季節は、確実に秋へと向かっている。

 ついこの前まで、アブラゼミ、ミンミンゼミが主役であったセミの

世界も、今日は「ツクツクホーシ、ツクホーシ」と澄んだ鳴き声が

目の前のサクラの木から聞こえて来た。

 旧盆も過ぎると、湧いて出た様に、ウスバキトンボの群れが草

原の空間を埋め尽くす。昔の年寄りは、「ご先祖様が乗っている

精霊トンボは、捕るものではない」と子供達に言ったものだが。

 先月は、センターの片隅に植えてあるムラサキナツフジ(薩摩さ

っこう)の花には、花に似せたウラギンシジミの幼虫が、花弁を食

べていたのに、今日はその姿は無く、クロウリハムシが花に群れ

ていた。

 ケンポナシもそうだ。触れると痛いヒメクロイラガの幼虫の群れ

に変わっていた。

地上には、トチの実が転げ落ち、実りの秋を感じさせる。

 子連れのサルの群れが現われた。

[もう、秋ですね!」 と空を見上げて つぶやいた人が。

ツクツクホウシが 一番最後に鳴き出す。

ウスバキトンボも一休み。

ムラサキナツフジも実を付け。

花には、クロウリハムシが。

ケンポナシの実も青くなり。

葉を食べあらす、ヒメクロイラガの幼虫。

地上には、トチの実が転げ落ち。

仔ずれのサルの群れが、現われた。

 ★ 巻雲を見ると 人は「 秋ですね 」と言うのだが?


Mo. 1431 ~ トビイリシワアリの食糧とゴミ ~

2016年08月24日 | 昆虫

観 察 月 日   2016.8.14.曇 26℃

観 察 場 所   山北町 玄倉

 続ガイド・ウオークの始めに、昆虫のパズルを楽しんだ。これは昆虫

のくらしを1コマの写真に写し、9分割し、1枚をA3の大きさにプリント、

皆で会わせながら自然を垣間見ようとするものだ。

 今日もパズルを始めていると、みんなの足元に、直径4~5cmの円

形に、粒状の物質を積み上げたものがあり、その不思議さに引き付けら

れた。

 パズル終了後、みんなでその不思議さを紐解こうと、観察を始めた。

 その場所は舗装された駐車場で、円形に積み上げられていた粒は、

ケヤキの種子である事が解った。その中心には干からびたミミズが1

匹置かれていた。

 今までにも、土の上に落ちた昆虫の死骸に、極小さなアリが土の粒

を集め、埋める様にしているのは見ている。それは大きな餌は巣まで

運べないので、その場で分解処理する知恵と考えていた。ここでは土

粒がケヤキの種を使ったアリの機転と理解したが、中心に食料であろ

うミミズを放置してあるのが理解できない。

 少し離れた所に、生々しいミミズに沢山の小さなアリが集まり、働い

ていた。体長2.5mmのトビイロシワアリで、細かに見るとミミズの外皮

が破られ、そこに口を入れているアリもいる。だが、ミミズを分解して運

ぼうとしているアリはいない。干からびたミミズは何だろう。

今日も昆虫パズルを楽しんだ。

みんなの足元に、粒粒で作った盛り上がった円形が いくつもある。

横から見ると。

上から見ると。 

粒はケヤキの種子、中心に干からび、皮だけになったミミズが放置。

近くでミミズに集まったアリがいた。皮を破って口を、頭を入れている。

   ★ 放置された干からびたミミズは 何故放置?

 

 


No. 1430 ~ 不運 幼いノウサギ ~

2016年08月19日 | 野生動物

観 察 月 日   2016.8.14.曇 26℃

観 察 場 所   山北町 山市場

 今日は旧盆の14日、それも日曜日、西丹沢に来ている。帰りの道路

の込み具合が心配で、急ぎ玄倉を出発した。丹沢湖を離れ、集落を過

ぎ、右河内川、左大野山が張り出し道は狭まる。

 「道路に動物が?」とUさん。「腹部が白く見えるが、リスにしては大き

いかな」と私。会話の内に車は進む。降りて見るとリスではなく、ノウサ

ギであった。

 ノウサギの体長は、40~50cm程と記憶しているが、それより小さい。

今日はメジャーを持てないので、目測で30cm余だろうか。ノウサギの

出産は、春から夏だから、今年の春生まれ育った、幼いノウサギなの

だろう。

 傷口は、左体側の後足大腿部付近が5c㎡程の皮が剝げ、筋肉が見

えているが、茶色の毛並みに汚れは無く、目を閉じている顔は幼く、ま

だ息をしているかの様に見えた。

 その間にも車が何台も通過する。「ここには置けないので、移しましょ

う」Uさんが前足を持って下げると、路上で下になっていた面が見え、

首から腹部に掛けて、穴が開いたり、裂傷等何か所かあり、鮮血もあ

った。

 玄倉では、時折クマタカの飛翔を見掛ける。 “狩りをしたタカが、ノ

ウサギを下げて移動中、何かのトラブルがあり、路上に落とした?”と

言う情景が頭を過ったのだが、ノウサギに何があったのだろうか。

「アッ!道路に動物が!」

 ノウサギだ。 目をつぶった幼い顔が 痛々しい。

その間にも何台の車が通過する。他へ移すために Uさんが前足を持つと、裏面の傷口が見えた。

この辺り クマタカの飛翔を見かける。

まだ幼さの残る顔 

★ 生死は自然の摂理 でも心が痛むのは・・・・・・・ 


No. 1429 ~ 我が家のヤマアカガエル ~

2016年08月12日 | 野生動物

観 察 月 日   2016.8.11.晴 31℃

観 察 場 所   横浜市

 我が家の裏は北側で、隣の家との間が1m幅の土地が空けてある。

そこは、オオマツヨイグサが毎夕黄色の花を付け、ヤブラン、シラン、

ツワブキ、ドクダミ等が繁茂している。

 いくら裏でも、お隣の方に悪いと思い、草刈りを始めた。すると10

cm程の生き物が飛び出し、2段~4段飛びをして、草陰に隠れる。

何匹か現われた。それが、立派なヤマアカガエルだったのである。

 我が家の庭には、ヤマアカガエルが住み着いている。それは数年

前必要あって卵塊を飼育し幼いカエルになって庭に這い出し、それ

が成長して2年前から水鉢に産卵している。

 住宅地の狭い庭で、暮しているものとばかり考えていたら、狭い横

から、裏からと、カエルは生活範囲を広げていた事まで考えが及ん

でいなかった。

草刈りに追われる様に出て来たヤマアカは、体長は大きく(目測6~

7cm程)色つやも良く健康状態良好に感じた。草の中には、オンブ

バッタも繁殖しているので、餌にしているのだろう。

 環境豊かな里山から山地に掛けて棲息しているヤマアカガエルが、

住宅地の狭い庭での生き行く姿を見て、その順応性と、逞しさに心

を打たれた国民の祝日 山の日であった。

裏の空き地は 草原だ、 草刈りを始めると・・・・・・

草の中から 2段、3段・・・跳びに。 草の陰に隠れる。

ヤマアカガエルで体長も大きく、立派だ。

幼いオンブバッタが何匹も飛び出した。

こちらは 庭。 ここが活動の場所かと思っていたら、 敷地の中を跳ねまわって・・・

メダカのいる水鉢、ここが生まれ故郷。今日も見に来ていた。

「あつい夏の日は 水の中が一番!」 水鉢の中にも入っていた。