観察月日 2023. 8. 20. 35℃
観察場所 横 浜 市
半年程家を空けていると庭の様子は異変した。60年程前に澄んだ頃の野の花咲く草を
植えていた筈が、コセンダングサやオオアレチノギク等外来植物が背を伸ばし、光を覆い、
オニドコロやヤマノイモ等がからみつき、荒れ野の一画になってしまった。
中でも優勢なつる草は、ヘクソカズラで、くさといわず庭木にも絡まりそのままにしておくわ
けには行かない。伸びたばかりの蔓は、掴んで引けば千切れるが、伸び来た蔓は皮が丈夫
で切れない。
ここまで書くと何の事もない草と思うが、とてつもない悪臭が臭い、これを読むような人はつ
かんだりはしない。万葉の時代の人々もこれには懲りているらしい。
* さいかちにはいおほどれる くそかつら 絶ゆることなく宮任せむ 万葉集
江戸の時代にはいてから へ が付けられこの悪臭は葉を食べあらす昆虫から身を守るす
べで、悪臭のもとは メルカプタン というガスで昆虫が嫌う物質だ。
以前、長崎に住んでいた甥が遊びに来た時、この花をつまみ採り、「意地悪をすると、や
いと するよ」と私の腕に持って来たのを、思い出した。花の新は赤く、廻りはもぐさを積み
上げた形から、子供の遊びにしていたらしい。そこから ヤイトバナ の名が生まれたのか
も知れない。
ヘクソカズラの名はいかにも「気の毒だ」と植物学者が云ったのだろうか? サオトメバナ
の名もあり、三浦半島等で見られるヘクソカズラの海岸型には、ハマサオトメカズラの名が
残っている。
せつかくメルタプタンを得たヘクソカズラには、スズメガの仲間のホシホウジャクが産卵
し、幼虫が育っている。
ヘクソカズラのつるが伸びる
花はきれいだ