足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1406 ~ ヤマトクロスジヘビトンボ ~

2016年05月30日 | 昆虫

観 察 月 日   2016.5.20.晴 21℃

観 察 場 所   横浜市 緑区 新治市民の森

 けやきの会の人達と訪れた新治市民の森は、緑に包まれていた。

 クリ林はまだ穂状の蕾は硬いが、独特の匂いが漂って来る所をみ

ると、どこかで蕾がほころび始めているのだろう。

 林床は草原で、赤紫のノアザミが幾つも花を付け、ニッポンヒゲナ

ガハナバチが吸蜜に来ていた。

 クリ林に別れを告げ、雑木林の中の道を進むと、前方に人が立ち

止まっているのが見えた。近寄って見ると大きめの翅をひらひらさせ、

体を垂直にして飛んでいる昆虫が目に入った。「この昆虫、何ですか

?」2~3人の人がそれを指さして、私の顔を見た。「トンボではない

が、ヘビトンボですよ」と答えた。「ヘビ??」と怪訝な顔をしたと同時

に、興味が倍増した様で他の人も集まって来た。

 ヘビトンボは、飛んでは草上に降り、再び飛んでは・・を繰り返す。

カメラに収め、頭を拡大して見たFさんが、「スゴイ!エーリアンだ!」

と叫ぶ。

 ヘビトンボには何度も出会っているが、長野県等々自然豊かな山間

部で、県内では厚木の記憶がある。幼虫は綺麗な流れに棲息するの

で、新治で出会うとは思わなかった。以前は、横浜にも記録はあるが、

谷戸の開発で棲息は難しい。

 昼に皆が集まった所で、「昔は幼虫を“孫太郎虫”と言って、幼児の

疳の虫の薬として行商したそうだ」と話をした。すると、「子育ての頃、幼

子を医者に連れて行ったら〝疳の虫“と言う病気は無いと言われた」と

Iさんが笑った。そう言えば、昔からある物だが、我が国の薬事法に認め

られた事がない民間薬?の様だ。

クリ林の下は草原で ノアザミの花が。

花には ニッポンヒグナガハナバチが自慢の長いアンテナを!

道の中央をヒラヒラ飛ぶ昆虫が。「これ何ですか?」と。

”トンボ” じゃないよね!

飛んでは止まり・・・を繰り返す。

やっと、落ち付いたのかな? こんな止まり方。

「スゴイ! エーリアンだ!」と・・・

       ★ ヘビ と名を付けた人の気持ちが 解りそう!


No. 1405 ~ トチノキ の 戦略 ~

2016年05月27日 | 植物

観 察 月 日   2016.5.15.晴 25℃

観 察 場 所   厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 センターの観察路に、トチノキの花の季節が来た。

 2本あり、共に立派な高木に成長したが、1本は下枝が切られて

いて、花は双眼鏡でもないと身近に見る事は出来ず惜しいが、出

口付近の1本は下枝が残されていて、手にとって見る事が出来、

ミニ観に最適だ。

 花は枝先に20cm程の大きな円錐形の穂状に百数十個付くが、

花は雄花と両性花からなるが、その90%は雌蕊のない花だと言

う。花には、黄色の斑紋のものと、赤色のものと、2通りある。

 トチノキはハナバチにとって有用な蜜源である為、マルハナバチ

やミツバチが盛んにやって来る。花穂の小さな花を一つ一つ移動

しながら蜜を集めているが、近くでよく観察すると赤い斑紋の花を

避け、黄色のはなに口吻を差し込んでいる。

 マルハナバチになって考えてみると、黄色の花より赤く色付いた

花の方が目に付き易いと思うのだが、何故、逆の発想?をしてい

るのだろう。

 それは、トチノキの根元付近にその答えがあった。花は6日も立

つと蜜は出なくなり、花の役目も終えて、やがて地上に落下する。

その地上に落ちた小さな花を見ると、斑紋は赤く染められていた。

 マルハナバチは沢山ある花の中から、蜜の出ている黄色の花

を選んでいたのだ。トチノキもポリネーター(花粉媒介者)であるマ

ルハナバチに、古くて蜜の出ない花を赤く染めサインを送り、無

駄手間のない様優遇しているのだ。

トチノキは 花の季節だ。

円錐形 穂状に 百数十個の花を付ける。

マルハナバチが やって来た。

赤い斑紋の花もある。

赤い花は避け、黄色の斑紋の花に口吻を差し込む。 どうして?

その答えは 地上に落ちた花に 書かれていた。

      ★ トチノキの戦略 驚きましたね!

 


No. 1404 ~ 5月 玄倉の自然 ~

2016年05月24日 | 日記

観 察 月 日   2016.5.8.晴 24℃

観 察 場 所   山北町 玄倉

 以前は丹沢湖ビジターセンターの駐車場に車を止め、“丹沢は

神奈川県のシンボル”とささやかな活動をしていたが、閉鎖されて

からは有料駐車場に移り、時には挫けそうな事もあったが、今朝

は違った。

 車を降りると富士山が、緑濃い山々に囲まれて見え、今までとは

違った景色が目に飛び込み、今まで気付かなかったもう一つの丹

沢の美しさ、大切さを感じ、“新たに頑張ろう“の気持が湧いて来た。

 元センターの周囲には、立ち寄る人がいなくても、今年もフデリンド

ウが数多く咲いた。そこにも自然の時は流れ、その様子を見に行っ

て見ると、既に種子になっていた。今は野鳥も子育ての季節、大き

な口をあけて親鳥に餌をねだるひなの様に、フデリンドウも大きな

口を開き、空を向いて、雨粒が種子を撒き散らす機会を待っている

様に見えた。

 フジの蕾を食べ育ったトラフシジミがタイアザミの葉の上にやって

来た。翅を開いている。見ている人達に、「低い姿勢で翅の裏を覗

いて見ると、縦じまのトラ模様が見えますよ」と、皆が観察してから

私も写真を写そうと待っていたら、チョウは飛び立ってしまった。

 一昨年か、オオムラサキの幼虫を育てていたエノキの葉に、それ

と違う食痕があった。平べったい幼虫がいる。Nさんがスマホで調

べてくれて、“エノキハムシ”と解った。

 元ビジターの使う人のいなくなった庭のテーブルにイロハモミジの

若苗が2本育っていた。

始めて気付いた富士山の景色。

フデリンドウは 種の季節。

種が 飛び散った跡。

トラフシジミ。

エノキハムシ幼虫。

デーニッツハエトリ。

テーブルのイロハモミジ。

          ★ 5月の玄倉は みどりに染まる!


No. 1403 ~ 出会った 老夫婦 ~

2016年05月22日 | 日記

観 察 月 日   2016.5.7.快晴 24℃

観 察 場 所   山中湖村 石割山山麓

笛の音を聞いて来た ヤマガラ。

笛を 見せてもらう。

もう少しで尾根と言う辺りで。

飛んで来ては、ヒマワリの種を加えてゆく ヤマガラ。

「今年は そろそろ終わりにしようと思っています」

★ 自然の中で 楽しい日々を過ごしている老夫婦。 羨ましいですね。

 

 


No. 1402 ~ 突然 不思議な囀りが ~

2016年05月21日 | 野鳥

観 察 月 日   2016.5.7.快晴 24℃

観 察 場 所   山中湖村 石割山山麓

「野鳥に餌付けをしている、人がいるに違いない」4人の意見が一致

したのは、4月30日の事であった。今日再びそれを確かめに、石

割山山麓にやって来た。

 早速、廃道になっている山道に入る。昨年の実を穂状に折り曲げ

て付けたリョウブを見上げると、雲一つない青空が眩しい。

「ドウダンツツジの、蜜を吸う昆虫は大変だろうな」とH氏が呟く。マ

ルハナバチが花にぶら下がり、口吻を花の蜜壺に差し込んでいる。

「ほら、アオダイショウが!」とY氏が叫ぶ。私は気付かづ、ヘビにす

り寄り、マルハナバチを夢中になって写す。

 道は一旦沢へ下ると、対岸にミヤマハコベが咲き、オオバショウマ

が若葉を広げている。

 一寸した広場に差し掛かり、「先日はここで野鳥が近寄って来たん

だよね」と仲間に話し掛けたその時、後方で聞き覚えのない鳥の囀

りが始まり、緑の山々にこだました。

 すぐ頭上の枝に、ヤマガラが飛んで来て、「どうかしたの?」と頭を

傾け、不思議な顔つきで私を見つめた。

リョウブを見上げる。

ドウダンツツジの蜜を吸う マルハナバチ。

「あつ、アオダイショウが!」と・・・

一旦 沢へ下る。

ミヤマハコベが・・・・

オオツクバネウツギが・・・

ホソバテンナンショウが・・・

後方で 突然聞き覚えのない鳥の囀りが 始まった。

  ☆ ヤマガラが飛んできて、「どうかしたの」の顔つき。 つづく!