足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1184 ~ ムカゴイラクサ・ミヤマイラクサ ~

2013年09月30日 | 植物

昔々 誰が祭ったんだろう

刺を刺した犯人は その花

茎や葉には刺毛が

葉腋には むかごが

丹沢山域では見ない イラクサの仲間だ

ススキの穂を思わせるが イラクサの仲間だ

こんな刺に刺されたら 大変だ

刺をよく見ると 注射器だ

ミヤマイラクサ 上の穂状が雌花 下の集まりが雄花だ

観 察 月 日  2013 9.11.曇 25℃

観 察 場 所  群馬県 水上町

 

 「痛い!これは何だ」Yさんが小声で呟いた。

 アウトドアーの専門家なのだが、つい草を手で撫でてしまった

のだろう。

見ると、ムカゴイラクサであった。小穂状に伸びた花の集まりは、

刺状のもので囲まれて見えたが、これは雌花の柱頭で、茎や葉

に刺毛があるので、そこに触れたのだろう。葉腋には5mm程の

“むかご‘がある。

ムカゴイラクサは、丹沢山麓でも普通に見掛けるが、この林道に

は、丹沢山域で見た事のない、気になるイラクサの仲間の植物

があった。

草丈80cm、ススキの穂を思わせる花、雌雄同株で先端は開いた

穂状の雌花、雄花は下部の葉腋に多数集まっている。ミヤマイラ

クサだ。

長い穂状の雌花から目線を下げて、茎の部位を覗いて見ると、そ

こには手を触れたらさぞ痛そうな刺毛が生えていた。刺毛の数は

おびたたしい。

忘れた位以前、我武者羅にブッシュの中を歩いていて、イラクサ

の刺毛に見舞われた事があった。刺毛の先はガラス様で、刺さ

ると折れて中にある蟻酸が注射され、傷みが走った。

その痛みの状態は人により違う様で、イラクサの仲間には注意

が必要だ。

 

 

 


No.1183 ~ イタドリオマルアブラムシ ~

2013年09月28日 | 昆虫

オオイタドリの葉が変化している。 どうしたの?

近づいてみる「 葉の裏に回ってみると

大型のアリが

胸の赤い ムネアカオオアリだ

アリマキもいるが 黒い点模様が気になる 何だろう?

黒点が背にあるのは 成虫。 ないのは幼虫だ。

夏の間は胎生で 自分と同じ娘アリマキを産み続ける

秋になると冬に備え 有翅の♂、♀を産む事だろう。

観 察 月 日  2013 9.11.曇 25℃

観 察 場 所  群馬県 水上町

  神奈川県で見る背丈の小さいイタドリとは違い、茎は人の背丈

より高い3mにも伸び、林道の中央にまで張り出している。多雪地

でよく見掛けるオオイタドリで、日本海側要素の植物だ。

 尚も進むと、葉が黄色や茶色に色付いたオオイタドリがあり、私

の好奇心がうずき出した。

 オオイタドリの色付いた葉の裏側に回り、曇り日の中それでも幾

らか明るい空に透かして見ると、体長12mm程の大形で、胸の赤

いムネアカオオアリがいた。それも、何故か色付いた葉の裏に1匹

づついる。葉裏一面にアリマキもいるが、それよりも、真っ黒な点が

散りばめられている不思議な状態に目が釘付けになった。

 眼が慣れて来ると、成熟したアリマキの背には黒い円模様があり、

若虫にはそれが無い。

調べて見ると“イタドリオマルアブラムシ”だ。南関東では、周年イタ

ドリに寄生し、胎生雌で越冬するとあった。寒冷地では、2次寄生は

オオイタドリで、1次寄生はクロウメモドキで、卵で越冬すると言う。

さればここ雪国では、夏の間は胎生で次々とクローンで増やし、降

雪近付く秋になると有翅虫が出現し、交尾した後産卵した卵が、深

い雪に守られ厳しい冬を越すのであろう。


No..1182 ~ 「アッ! マムシが・・・」

2013年09月26日 | 野生動物

林道でキノコをさがす

ハタケシメジが

「アッ! マムシがいるぞ!」

下顎を胴の上に乗せ 休息中

頭に続く体はSじ型に いつでも動ける態勢

うるさいので いやいや逃げ出す

草むらの中へ

観 察 月 日  2013 9.11.曇 25℃

観 察 場 所  群馬県 水上町

 Yaさんはキノコ、Yoさんはコケ、私は?、の3人での山歩きだ。

 「アッ! マムシが・・・」見つけたのは、3人の内誰であったか

想像付きますか。

 そう、Yaさんである。歩きながら林の中に倒木はないか、草の

間に出てはいないか、キノコの目になって地面を始め幅広く探

索しているからである。

 胴の背面に銭型の模様が並び、赤味を帯びているが、黒が強

いもの、中には銭型の模様がないもの等変化が多いと言う。

 リチャード・ゴリス(ヘビの神父さん)によれば、“マムシは怖くな

い毒ヘビ”だと言う。おとなしく、ゆったりとしているヘビで、間違っ

て踏んだり、つかんだりしなければ、かみつく事は無いと言う。

 何年か前、丹沢大室山付近の尾根筋を歩いていた。短く太い落

ち枝をまたいだその時、後ろを歩いていたRさんの「マムシですよ」

の声。思わず振り向くとマムシは何もなかったかの様に、ゆっくり

と草の中を移行していた。

 今回のマムシはとぐろを巻き、下顎を胴の上に乗せていた。これ

は休息の姿勢で、多分寝ていたのだろう。3人がカメラで近付いた

ものだから眠りを覚まされ、いやいや頭近くのS字姿勢をゆっくりと

伸ばし、しばらくは静止していたが、やがて迷惑そうに草むらの中

に姿を消した。


No.1181 ~ 初見 クロバナヒキオコシ ~

2013年09月25日 | 植物

誰も通らぬ林道の脇は ミゾソバで埋まり 

ヤノネグサが混ざっていた

林道を被るヒキオコシは

クロバナヒキオコシであった

小さなクロユリを思い出させる暗い色の花だ

葉がカメの甲羅の形 カメバヒキオコシもあった

花は 明るい紫色

観 察 月 日  2013 9.11.曇 25℃

観 察 場 所  群馬県 水上町

 「これ、ヒキオコシですよね」Yさんが振り向いた。

 草全形はそうだし、葉も茎もそうだが花の色が暗紫色だ。

そうだろうが自信がなかった。

 「葉を口に含んで噛んでみましよう」二人でやって見ると、口の

中にヒキオコシ特有の苦味が広がり、その仲間には間違いなか

った。

 Yさんは、「ヒキオコシがあったら・・・」と奥さんに頼まれていた

のだと言う。

 “昔のこと、弘法大師が山道に差し掛かると、一人の行者が苦し

がって倒れていた。それを見た大師は、道端に生えていた草の

葉を採り、そのしぼり汁を飲ませると行者は忽ち回復し、元気に

起き上がったと言う。”そこから、ヒキオコシの名が、又、別名

“延命草”の名が付けられたのだと言われる。

 翌日、水上の奥にある林道に入ると、根株より1mもの茎を

10本以上も伸ばしたヒキオコシが、続いていた。調べて見ると、

クロバナヒキオコシで、日本海要素の植物であった。

 ここの山中は、有数の豪雪地帯で、10月も末になれば雪が

降り出し、植物達は雪に埋もれてしまう場所なのである。


No.1180 ~ アキアカネ 初見 ~

2013年09月24日 | 昆虫

種まきが終わり 目を移したらアキアカネがいた。

初めはプラ製の支柱に止まっていた

胸の真ん中の黒い線の先が尖っているのが特徴

竹の竿の先に移った

台風一過の空は どこまでも青い

観 察 月 日  2013 9.18.27.5℃

観 察 場 所  横浜市 瀬谷区

 台風18号が過ぎ、菜園では大根と白菜が打ちのめされ種の

巻き直しを強いられる羽目に成った。その午後やっと仕事が終

わり、疲れた目線を土から離すと、プラ製の支柱の先にアキア

カネが止まっていた。

 アキアカネに出会ったのは今年初めてで、「よく来てくれたね」

と思わず声を掛け、嬉しくなり、疲れも吹き飛んでしまった。

 アキアカネの最大の特徴は、平地と高地の間を渡りをすると

いう事だ。世界の中には長い距離を移動するトンボはいるが、

アキアカネの様に平地と高地の間を、それも大集団で移動する

トンボは、アキアカネの他には類を見ない様だ。

 「アキアカネに出会ったのは初めて・・」と書いたが、出会ってい

る可能性が高い。初夏の頃、近くの田んぼでアキアカネは誕生し

ているのだ。だが羽化するとすぐに高地へ移動してしまう。又、体

色も赤くなくアカトンボらしくないので、人の目に付き難いからだ。

 高地で過ごしたアキアカネは成熟して雄の腹部は紅く色付き、

雌と共に大集団で平地へと降りて来る。人里の田んぼや池沼に

すがたを見せるので、大昔より人目に止まり語り残されている。

 菜園では、プラ製の支柱の先で止まり難そうに見えたので竹竿

を立てたら、アキアカネは移動して止まった。

   ゆうやけ こやけの あかとんぼ  止まっているのは 竿のさき