足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1273 ~ ヒガンバナの 赤 ~

2014年09月28日 | 植物

観 察 月 日  2014.9.19.晴 25℃

観 察 場 所  愛川町 中津川

 横浜には “赤いくつ”の歌があり、話がある。

  赤いくつ はいていた 女の子

  異人さんに つれられて 行っちゃった

  横浜の 埠頭(はとば)から 汽船(ふね)に乗って

  異人さんに つれられて 行っちゃった

 今、横浜港へ行ってみても、波止場の面影は感じられないが、

戦前の港には、どこか横浜の雰囲気が漂っていたのを憶えている。

 戦前と言えば、横浜の港からアメリカへ輸出した積荷の中には、沢山

のヒガンバナの球根があったと聞いている。

 当時の我が国では、ヒガンバナは忌み嫌う植物であり、シビトバナ、

ソーレンバナ等と呼ばれ恐れ慄く花であり、墓地に植えても、家屋敷の庭等

に植えはしなかった。植えれば、火事に見舞われ、不吉な事が起こると

も言われていた時代だ。“ヒガンバナの輸出“の話を聞いた人は、

さぞ、驚いた事だろう。

 横浜の港から海を渡って行ったのは、“赤いくつ”と言うよりは、“赤いヒガ

ンバナの球根”で、異国の庭に見事な赤い花を咲かせていた事だろう。

 今の時代、ヒガンバナの赤い花にこだわる人はいないであろう。それよりも、

赤いヒガンバナの咲く場所には、多くの人が集まり、マスコミも取りあげる。

 「来年は、何処へヒガンバナを見に行こうか。人出の少ない所へ」と、私も

密かに考え始めている。

くさもみじ と ヒガンバナの緑が美しい。 2013.12.20.中津川堤にて

来年、ヒガンバナの花を見に来ようと 思った。

ヒガンバナの花が、迎えてくれた。 2014.9.19.

蕾の出る前に、草刈りを終えている。土地の人の心の暖かさ!

今年の開花は、4~5日早かったようだ。

黄色い花粉が見えるのが雄蕊、長く突き出ているのが雌蕊だ。でも、実は種は?見たいよね!

赤色は、元気が出る色、やる気の出る色、心が燃える色!!


No.1272 ~セイヨウミツバチの 吸水 ~

2014年09月25日 | 昆虫

観 察 月 日  2014.9.12.晴 28℃

観 察 場 所  愛川町 中津川

 中津川の河岸段丘の裾に沿って広がる田んぼを歩いて見る

と、コナギが青い花をつけている。

 「ミツバチが何匹も集まっている」と同行者の声、田の傍に群

れていたのはニホンミツバチではなく、体色の明るいセイヨウ

ミツバチで吸水していた。

 「今日は暑いから水を飲んでいるのかしら」誰かが呟いた。

 ミツバチは社会性昆虫と呼ばれている。巣を中心とした集団

はカースト(血縁集団)によって組織化されている。雌は女王蜂

と働き蜂に分化し、女王蜂は卵を産み続け、働き蜂はそれ以外

の仕事と言う分業を生み出している。雄は繁殖のときだけ現わ

れる。

 働き蜂の仕事はいろいろで、巣内の温度が上がると翅を震わせ

送風する係、女王の世話をする侍女、幼虫を育て世話をする係、

巣の建設保全係、環境清掃係、蜜や花粉を収集する係、門を守衛

する係、水や塩分を集める係、等々分業を生み出している。

 ミツバチは、個人の欲望では活動していない様だ。では田んぼ

で見掛けたミツバチはどんな仕事をしていたのだろうか。

中津川沿いの田んぼ

河岸段丘沿いに歩く。

「ミツバチが何匹もいるわ」

明るい色の セイヨウミツバチの集団だ

手を出しても 逃げようともしない

ストローを伸ばして 盛んに吸水中

ミツバチは 暑いので水を飲んでいるのか、それとも水を巣へ運ぶのか?

            * どこかに ミツバチの巣箱があるのでしょうか。 暑い!私も水を飲もうかな!・・・・・

 


No.1271 ~ アサザを食べたのは 誰だ? ~

2014年09月24日 | 植物

観 察 月 日  2014.9.03.晴 27.7℃

観 察 場 所  横浜市 瀬谷区

 若い頃水生植物を調べに水元公園に行った事があった。

広い水面にヒツジグサに似た小さな葉、その間から黄色の

花を咲かせていたアサザが印象的であった。

 一昨年Rさんが家で育てているアサザを持って来てくれた

ので、早速メダカの瓶に入れると、忽ち増え、水面をおおう

程に広がった。

 今年も冬を越した芽が伸び、艶やかな若緑の葉を広げ、

水中で出来た蕾は水面にまで伸び、黄色の花を開いてくれ

た。花は朝開いて、昼頃には早くもつぼんでしまう。

 7月11日思い出してメダカの瓶を覗くと、若々しかった葉が

無残にも食われ、咲いたばかりの花がまだ朝なのによれよれ

になっていて驚いた。

 犯人は誰か?と相手を頭で特定してみた。ガの幼虫か、ハ

ムシの幼虫だろうと探して見たがいない。黄色に開いた花は、

まだ朝なのに花弁をくちゃくちゃにしてつぼみかかっている。

良く見ると、そこには1cmにも満たないオンブバッタのニンフ

(子虫)が何匹もむさぼり付いていた。水面に浮かぶ葉の上

でも並んで食べている。

 オンブバッタは草原の昆虫とばかり思っていたが、まさか

水面に浮くアサザの葉や花を食べて暮しているとは、全くの予

想外であった。

5月25日 葉は水面を覆い、黄色の花を開く。

6月5日 朝花が開くと、小さなハナバチが花粉と蜜を求めてやって来る。

7月11日 メダカの瓶を覗いて驚いた。

開いたばかりの花はよれよれ、オンブバッタのニンフが一杯。

昼でもないのに、この通り!

葉の上にも並んで 表皮を食べる。

9月3日 翅が生えて立派な成虫に。 葉に付いた歯形を見て!

                              オンブバッタは 水生植物アサザが お好き?

 


No.1270 ~ シシウド 回想 ~

2014年09月08日 | 植物

観 察 月 日  2014.8.6.晴 30℃ 他

観 察 場 所  群馬県 渋川市 赤城自然園 他

 若い時の夏休みは、時間の都合が付けば、山や高原へとネット

を手に歩き回っていた。

 山や高原の秋は一足早くやって来て、澄んだ青空に突き抜ける

シシウドの花が印象的であった。

 シシウドは2mにも伸び、私たちの背丈を越える程に成長し、そ

の先に大形の複散形花序に小さな白い花を密に付ける。夜空を

きらびやかに飾るのが花火なら、真昼の青空に白く飛び散り飾る

のがシシウドの花だと私は思う。

 シシウドのウドは、成長すると2mにもなる大形植物等が似てい

るところから来たのであろうし、シシはイノシシの事で人は食べな

いところから動物の名を付けたのだ。だが、シシウドはウドの仲間

ではなくセリの仲間なので、今となってはシシゼリと名付けた方が

良かったのだろう。

 ところで、シシウドが私にとって忘れ難いのは、広がった花にチョウ

やハナカミキリ等が集まるからで、ネットを振ればその地域の昆虫

を調べる事が出来たからだ。

 赤城自然園の散策路に、背丈を越すシシウドが目に付いた時、私

の時間はタイムスリップし、青春時代に戻って行った。この日は鞘翅

が赤いアカハナカミキリが花に群れていた。小さな花だがその集まり

は一段と目立ち、花粉と蜜が溢れているのであろう。

 飛び交うカミキリの飛翔の姿を止めようと、高速シャッターを切って

見て驚いた。前羽は開いたままで翼の役目をし、後羽はあおりをきか

せ推進の役目は想像出来たが、6本の足については予想を大きく外

れていた。足は縮め着地に備えていると思いきや、最大限後方に投

げ出す様に伸ばしていたのである。

シシウドは2mにもなり、四方への宣伝効果は大きい。

昼間に広がる 白い花火だ!

ハナカミキリが集まってくる。

小さい花だが 花粉や蜜は豊富だ。

翅を広げて 新型ヘリコプター。 オスプレイ ではなく ロングホーン。

肢はまるで アクロパットか

シシウドの下を歩く。 こんな日もあった!

                                           ( 2005.8.5. 湯の丸にて )


No1269 ~ 避暑旅をしない アキアカネ ~

2014年09月05日 | 昆虫

観 察 月 日  2014.8.17.晴 29℃

観 察 場 所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

「オヤ!どうして真夏にアキアカネがいるの?」私は思わず

立ち止まった。暑い最中のミニ観察会での事であった。

 ここでは、ナツアカネを始め夏も秋も見られるアカトンボ類

はいるが、ここで真夏にアキアカネを見た記憶が無いからだ。

 アキアカネは、秋、田んぼに産み付けられた卵は冬を越し、

春になると孵化して幼虫のヤゴは急速に成長し、初夏に羽化

すると未熟なトンボは飛び立ち姿を消してしまう。そこで、低地

では夏にアキアカネの姿を見る事は出来ない。

 では何処へ行ってしまうのだろうか。夏に高い山や高原を旅

した時、沢山のアカトンボに出会った思い出はないだろうか。

 私は2007年7月18日東北の秋田駒ケ岳(1637m)を歩い

た。その日は小雨降る中,山は霧に包まれ、ハイマツも露に濡

れその中に咲くマルバシモツケの葉に、アキアカネが点々と止

まっていたのに出会った。“あきたこまち”を生産している

下界の田んぼで生まれ、羽化した未熟なアキアカネが秋田駒

ケ岳へと飛んで来たのであろう?

 秋になると集団で里へと降りて来るので、その様子はマスコミ

に乗るので、“旅するトンボ・アキアカネ”とは、多くの人が知って

いる事と思う。所が“どこの田んぼで育ったアカネは、何処の山

に向かうのか”と言う事になると全く解っていない。何故山へ向

かうのかについても、幾つか考えられるがその原因は解らない。

 近頃、旅をしないアキアカネがいるらしい事も解って来た。普通

に見られるアキアカネだが、良く見て、良く考えると、不思議に溢

れている。  だから、自然観察は面白い!!

 暑い最中の ミニ観察会風景

「オヤ!どうして?」 観察路にアキアカネがいるの??

小雨に煙る 秋田駒ケ岳 (2007.7.18)

アキアカネの胸の線模様 先が尖る

 

よく似ている ナツアカネの胸の線模様 先が平らに切れる

秋田駒ケ岳(1637m)ハイマツの中に マルバシモツケが花を付けて・・・

そのマルバシモツケに アキアカネが点々と休んで ・・・・

こちらは箱根芦ノ湖

箱根に登っていたアキアカネ。 下山間近か既に成熟し、赤く色づいている。 (2012.9.4.)

山から里へ降りてきた 成熟したアキアカネ どこの山にいたのやら? (2013.9.23.自然環境保全センター)

暑い夏にも見られたナツアカネも 成熟して (2013.9.23.自然環境保全センター)

                    *今年も 9月のミニ観では 旅してきたアキアカネに会えるのを期待して!