足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1595 ~ ママコノシリヌグイは? ~

2018年09月27日 | 植物

観察月日  2018.9.12.曇 25℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 “ママコノシリヌグイ”とは、一度聞いたら忘れない和名であり、

知らない人はいないと思われるほ程、有名な呼び名だ。

 葉にも茎にも下向きの鋭い刺が生えていて、「まま子の尻を

拭いてやったら、さぞ痛いであろう」こんな事を連想させる和名

なのだが、いつの頃から呼ばれていたのだろうか。一つの試み

として、“日本植物方言集成”を開いて見たら、24収録されてい

る中で、「とげそば」とか「はりそば」とかは見られたが、花の形

から「こんぺとー・・・」が呼び名としては最も多く、「ママコノシリ

ヌグイ」と呼んでいた地方は無かった。

 ママコノシリヌグイの茎には、鋭い刺が密集している外、花柄

には腺毛が密集していて粘つき、衣服や体に触れたりすると、

一瞬困った事になるが、植物体はそのお陰で細く伸びた茎を、

互いに支え合い、上へ上へと成長する。

 林道でも、適当に開いた場所がある所では、その場所を領

有している。

 方言名の、「こんぺとー・・・」は、地方に住む人達に昔から親し

まれていたものと思われるが、私自身今見ても、柔らかな紅の

色や花の形から、微笑ましい気持ちになる。

 蜜が豊富なのであろうか、それと、花の色が形が紫外線の視

覚と、臭覚の世界で暮らす昆虫達にとって魅力的な植物なのか

次々と訪れ、私の心の中の言葉は「こんぺいとーばな」であった。

ママコノシリヌグイが領有している 見事な空間。

鋭い刺。

花柄には 腺毛が。

ハナアブが花粉を食べに。

 トックリバチの一種。

イチモンジセセリ 前足でも蜜の様子を探る。

コミスジも。

アゲハチョウも吸蜜にやって来た。


No. 1594 ~ キバナアキギリの秘密 ~

2018年09月24日 | 植物

観察月日  2018.9.6.晴 28℃

観察場所  秦野市 くずはの家

 けやきの会の9月の自然観察地は「キバナアキギリが見たい」と

いう話が出た。「それなら、くずはの家にして見たら」とつい私が言っ

てしまい、その後花期が良かったか、心配になった。

何年か前、この会で弘法山へ行き、権現山へ行く途中、北側の路

にキバナアキギリの群落が続き、花も盛りでマルハナバチが吸蜜

に訪れていた事があった。それは10月の中頃であったと記憶して

いる。

くずはの家に寄り、一段低い湿地の縁に付けた道の両側にキバナ

アキギリの群落が続くが、緑一色であった。

9月は花には早いのか。しかし、1株づつ成長の具合を見て行くと、

3株、花穂が伸び2輪程開花しているものがあった。「これなら、会

の時には何とかなる」と決めた。

キバナアキギリの様な形の花は“唇形花”といい、上の花弁を上唇

といい、下の花弁を下唇という。上唇の先を良く見ると、細く突き出し、

先が2裂しているのが雌蕊で、雄蕊は見当たらず、上唇の下に隠れ

ている。上唇と下唇の間を覗くと、退化した雄蕊が2本塞いでいるの

が見える。

唇形花の花は、マルハナバチに特化して来た花で、吸蜜の為花へ

潜ると、ハチは退化した雄蕊のペタルに当たり、シーソー状に連動

して、隠れていた雄蕊が降り、マルハナバチの背に花粉を叩き付け

る仕組みだ。マルハナバチは最良の花粉媒介者だ。

みどりに包まれる くずはの家。

キバナアキギリの小道。

花穂の伸びた株が見つかった。花が2輪、雌蕊が突き出る。

退化した雄蕊が ペタル状に見える。

Rさんが 草の茎の先でペタルを押すと 上唇に隠れていた雄蕊が降りて来た。

マルハナバチが 下唇に止まり・・・・・・次へ

花へ潜ると ペタルを押して 上唇に隠れていた雄蕊が降り 背に花粉を・・・・・・・

花の 違いを・・・・

★ 以上3コマの写真は 2008.10.13.弘法山で撮影。


No. 1593 ~ メハジキの印象 ~

2018年09月21日 | 植物

観察月日  2018.9.12.  曇 25℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 子供の頃市街地で育った者にとっては、図鑑で絵や名前は見て

いたが、現物は知らなかった。成人になり生物を調べて野山を歩く

ようになり、メハジキに始めて出会ったのは、図鑑にある何処かロ

ーカルな匂いのする草原や道端ではなく、近代的な重機が入って

造られた林道であった。

 ここ宮が瀬の林道にもメハジキが多い。山側は絶えず土砂がず

り落ち、舗装された立派な道路の山側の隅は土が溜まり、そこには

里山らしい植物が芽生える。ここでも、メハジキの植え込みが続き、

林道を歩く者を楽しませてくれる。

 林道を造成に使った土砂に種子が混入していたり、人や車に種子

が付着していて種が蒔かれたのであろう。

 時期が過ぎたメハジキは殆どが種子になっていたが、緑をした葉

の付け根に、赤紫色の唇形花をぐるりとつけている様は目を引き付

ける。

 夏が過ぎるとハナバチも元気が落ち、目の前のハキリバチも花に

来ては暫く休んでいた。

 アゲハチョウがメハジキの花にやって来た。アゲハにとって最良の

吸蜜植物はクサギだが、花期は過ぎメハジキを見付け密にあり付い

たのだ。長い肢で花に止まり、ストローを伸ばし花に刺し込み、ゆっく

りと花を一巡しながら、秋を楽しんでいる様に見えた。

林道を 歩く楽しみ。

メハジキが多い。

赤紫の唇形花。

ハキリバチの一種が花へ。

メハジキの花にアゲハチョウが吸蜜に。

蜜を求めて 花を廻る。

間もなく 一回りだ。

ありがとう。


No. 1592 ~ アズマヤマアザミの季節 ~

2018年09月19日 | 植物

観察月日  2018.9.12.曇 25℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 暫く振りに宮が瀬にやって来た。小中沢の林道も3ヶ月振り

だと思う。

 駐車場の入口の花壇を見ると、隙間のない程にアレチヌス

ビトハギが覆っている。黄色のマリーゴールドが2輪顔を出し

ていたので、植えてあったのだろう。だが、帰化した野草では

あるが区切り良く生えていると、これもまた良い物だと好感が

持てた。

 林道へ入って見ると、山側の道端は落下した赤紫の花弁で

敷き詰められていた。見上げると、クズの花の盛りで、甘い香

りが流れて来た。

 夏が過ぎ秋に入る頃になると、林道を飾るのはアズマヤマア

ザミだ。茎には花柄の短い蕾を並べているが、開花には少し早

い様で、細かな鱗片に包まれている。

 しかし、ヒラタアブがやって来ては蕾の所でホバリングしては、

やがて、止まる。まだ、雌蕊も雄蕊もガードされているのに。

不思議に思い注視すると、腹部を曲げ静止後やがて飛び立つ。

産卵行動だ。ヒラタアブの幼虫の餌はアリマキだ。茎を見ると赤

紫色のアリマキが、口吻を刺し込み腹部末端を空に向けて並ん

でいる。ヒラタアブは幼虫の為に、蕾に産卵していたのだ。

 Rさんが蕾を引き寄せ、ルーペで見ている。「鱗片の間に産み

こまれています」感心した顔をしている。

 ダンドボロギクの種が飛んだ。熱い空気は残るが秋なんだ。

アレチヌスビトハギの花壇も なかなかいいもんだ。

赤紫に敷き詰められて。

見上げると クズの花盛り。

アズマヤマアザミ 林道に並ぶ。

まだ蕾なのに ヒラタアブがやって来る。

産卵だ。 茎には・・・・。

卵が 見えますか。

ダンドボロギクの種が飛ぶ。 秋なんだ!

 


No. 1591 ~ 玄倉だより9月 ~

2018年09月17日 | 昆虫

観察月日  2018.9.9.晴 25℃

観察場所  山北町 玄倉

 久し振りに抜ける様な青空、悪天侯が続いた為か、ススキが

こんなにも伸び、穂が開いているのに気付かなかった。

 車から降り、Yさんと会話。「今年の夏の野鳥はどうでした」と

聞くと、「全然だめで、仕方が無いので昆虫でもと思ってみたが、

こちらの方もね」と締めくくった。見せてくれたカメラの動画に、オ

ナガアゲハの求愛行動の様子が記録されていた。

「ヒナが落ちているのですが!」Tさんが駆け寄って来た。付いて

行くと、駐車場の隅、落葉が積もり、薄暗い中に、頭に産毛が長

く立っているヒナが、上を向いては鳴いている。

 落ちたヒナはそのままにして、母鳥に任せるより方法は無さそ

うだ。メンバーが集まって来たが、心残して離れた。                      

 構内にはタイアザミが多い。蕾の先が筋状に割れ、赤紫色が沁

みて見える。「あれ?これバッタ、それとも枯葉?」誰かが囁いた。

茶色のオンブバッタ♀に、緑の小さい♂が乗っている。交尾の形だ。

♀が2本のアンテナを揃え、伸ばすと、並行しているアザミの葉先

の刺と平行して、姿が消える。

 建物のひさし近くの壁に、キアシナガバチ10匹の集団が休んで

いた。暑かった夏が続いているので、忘れていたが今は秋なんだ。

巣の全盛時代は過ぎ、既に♂バチが生まれ、新女王バチの誕生を

待っているのだろう。アシナガバチの世界は、来年の季節へと歩み

始めているのだ。

しばらく振りの青空 ススキが眩しい。

クズの花も 今が盛り。

どうして 落ちてしまったの。

オンブバッタも擬態する?

今年変態した シュレーゲルアオガエル。体長1.5cm 大きくなった。

キアシナガバチ ハネムーンに成功するのはだれ?

今日は晴天 みんなニコニコ。(今日のカメラはNさん)