足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1679 ~ ススキの原で ミニ観察の日 ~

2019年10月31日 | 昆虫

観察月日  2019 10.20.晴 21,5℃

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 自然環境保全センターの自慢出来る一つに、広々としたススキ

の原があり、自然観察が出来ることだ。

 今日も、銀色の波間を搔き分けて泳ぐように入って行った。4月

のミニ観の時の広場は一面ヨモギの群落で、踏まない様避けて

歩いたのを思い出す。

 先ず出会ったのは、ススキの葉に見え隠れするコバネイナゴだ。

子供の頃は田んぼでの“イナゴ採り”の行事があったのが懐かし

い。農薬で一時減った種類だ。

 次にいたのは、シュリリ・・・と低い声でなくクサキリの一種だ。キ

リギリスの仲間で、ススキの藪が良く似合う。

 斜めに下ったススキの葉に、2匹仲良く止まっているのは、ベニ

シジミだ。名の通り紅色の羽をしているが、黒い模様の部分が多

く夏型の名残だ。間もなく原の周囲にあるスイバに産卵する前段

階だ。

 一時、余り見掛けなくなった北米生まれのセイタカアワダチソウが、

原の一隅に入り込んでいた。昆虫にとって、太い黄色の花穂は目を

引くし、蜜も豊富に出るのだろう。ハチ・アブの仲間に、キタテハが来

ていた。成虫越冬するキタテハは今が羽化する時期で、数も多い。

 虫も集まれば、クモも集まる。ススキの背丈に網を張るコガネグモ

が並ぶように多い。来月は、卵嚢が見られるだろう。

 ススキの原の真ん中に立ち止まり空を見上げたら、この“ミドリ“が、

地球の温暖化や気候変動を防ぐのかと思うと、愛おしくさえ

自慢の ススキの原。

懐かしの イナゴ。

ササキリの一種。

幸せな ベニシジミ。

越冬のため エネルギーを吸収しないと。キタテハ!

コガネグモ。

みんなが 指差した先に何がある?

カヤネズミノ巣。

 

 

 


No. 1678 ~ 玄倉だより 台風翌日 ~

2019年10月27日 | 自然現象

観察月日  2019 10.13.晴 28℃

観察場所  山北町 玄倉

 246号は大渋滞、10時の予定が、玄倉に着いたのは12時

少し前であった。

 紺碧の空に黒い夏姿の富士を横目に、まづは、先発者に追

い付こうと林道に出る。林道上は山側からの土石の流れで、道

を埋めている。足場を拾いながら20分も進むと、先発者が戻っ

て来たのに遭遇した。

 「この先は、山の斜面から大量の土砂や岩が崩れ落ち、私達

の背丈を有に越えている。林道は埋まり山の斜面と見分けが

付かず、引き返して来た」とスマホを見せた。

 元ビジターの庭に戻り、そこでTさんが撮影した“アオバセセリ

の巣作り”の動画を見せてもらった。幼虫の不思議な行動があり、

素晴らしい記録に心を打たれた。後、昼食、雑談、そして解散した。

 解散後、林道を土石が埋めた状況を記録しようと、Rさんと共に

現場に向かった。毎月第2日曜に20年来ているが、見た事が無

い酷さに圧倒された。

 「アオバセセリの幼虫がいますよ」と、意外なRさんの声に驚き、

急ぎ行って見ると、“ミヤマホウソ”の葉の上に幼虫はいた。風雨

強烈な昨夜を、どう凌いだのだろうか。私はめぐる不思議さに包

まれ、体は釘付けになってしまった。

 私が見ている限りでは、丹沢山中では既に蛹化の時期は過ぎ

たと思っていたのに、この幼虫は葉柄をかじり糸で固定をし、頭

を左右に振りながら、巣作りの行動をを始めたのである。

青空に トビが舞う。

富士を横目に。

ダムは泥水。

林道の出発点からこれ。

ジョロウグモが 朝から働く。

先発の人達が 戻って来た。

「これから先は 行けないわ」

林道の 先が見えるが 土石を乗り越せない。

ぶとりアオバセセリの幼虫が、

 

 

 

 


No. 1677 ~ ニホンザルの食事マナー ~

2019年10月23日 | 野生動物

観察月日  2019.10.9.晴 22℃

観察場所  清川村 宮ケ瀬

 暗くくすんだ樹林の中、白い円盤が浮き沈みして見えたのは、

シラネセンキュウであった。

 以前は林縁を明るく飾っていた様に思えるのだが、木々は成長

し枝を広げ陽を遮り、その上林縁のつる草が広がり、シラネセン

キュウは林内に追いやられた様に見える。

 暗い林の中から草藪の隙間を縫うように現れたのがセキヤノア

キチョウジだ。1m以上にも伸びる茎をもちながら、細くて柔ら

かい為に他の草と争うこともなくひっそりと咲いている。いつ見

ても興味を駆られるのは、蕾の時代、超小さく仁丹大であること

だ。故に開花しないとセキヤノアキチョウジの存在が解からない。

超小さな蕾のエネルギーは、不思議な存在だ。

 以前この林道で毎月観察会をやっていた事があった。秋、オニ

グルミの木の下を通ると緑の花床に包まれた果実が転げ落ちてい

た。皆喜んで皮をむき、褐色の堅果を取り出しては石で割り、中

の脂肪質の多い種子を取り出し、少し味見をした事があった。

 「オニグルミの堅果の割方、人間のと違うわ」散乱しているか

けらを拾いながら、Rさんが呟いた。

 暫くして、シロヨメナの咲く角を曲がると林道の先方に、点々

とニホンザルの集団がいるのに気が付いた。

 「頭上の木にも、サルがいますよ」とRさんが、私に知らせる。

大きなサルは木に登り枝を激しくゆすって、オニグルミの果実を

落とす。路上にいるサル達はそれを歯で砕いて食べている。砕く

音が聞こえる。当たり一面サルの吠える声が聞こえ出した。サル

の為にも、私たちの為にも、急遽戻る事にした。

シラネセンキュウ。

セキヤノアキチョウジ。

オニグルミの木の下で。

オニグルミの果実が落ちている?

堅果が。「人間のやり方と違うわ」とRさん。

シロヨメナの咲く角を曲がると。

ニホンザルの群れが。

大きなサルは、木に登り・・・・

子どものサルは


No. 1676 ~ バトンはアズマヤマアザミへ ~

2019年10月22日 | 植物

観察月日  2019.10.9.晴 22℃

観察場所  清川村 宮ケ瀬

 「熱中症にならないでね」の言葉を背に受けて、玄関を出た

のは暑かった8月の事であった。

 それまでして、宮ケ瀬の林道へ来たのは、訳があった。低高

木のクサギが空間一杯広げた枝先に付けた花に会いたくて、

いやそれ以上に、黒いマントを着た大型のアゲハチョウに、会

いたかったのである。

 チョウは、特に暑い夏は水分が欲しい。それ以上にエネルギ

ー源が欲しい。それを提供してくれるのは、クサギのフラワース

タンドだ。クサギは、ポリネートという対価をチョウから然り受け

取り、二方良し。現在のフラワースタンドは赤紫色の萼で包まれ

休業中だ。

 萼の中はどうなっているのか開いて見たいが、それは来月自

動的に開くのを楽しみにまた来よう。

 もう一つは草本で、立ち上げた茎に精一杯黄色の花を付けた

メタカラコウだ。林道に沿うように並び、小、中型のチョウや昆虫

を集め賑わっていたが、今は静まり返っている。枯れ葉色の棒

が雑然と立ち並び、次への遺伝子を運ぶため羽毛を付けた種子

はそよ風が来るのを待っている。

 メタカラコウの後にくる草本は、アズマヤマアザミだ。都市で言

えば市民の森や公園の片隅で赤紫色の花を付けるのは、どっ

しりとしたタイアザミだ。

 だが、丹沢大山山麓の林道に沿ってみられるのは、アズマヤマ

アザミで茎は1m程に直線的に立ち上がり、花柄は短く花は茎に

直接付いている様に見える。今年は台風などで横倒しのものが

多く、ハチが潜り込むようにして吸蜜をしていたが、これからは冬

を越すチョウの羽化が始まり、来月は賑やかになるのが楽しみだ。

クサギはがくに包まれ休業中。

8月24日の日 クサギは花盛り。

メタカラコウ枯葉色。

8月6日のメタカラコウ。

アズマヤマアザミ。 倒れて他の草の中。

クマバチは 倒れた花に潜り込む。

ヒラタアブの仲間。

 

 


No 1675 ~ ノダケの花をよく見たら ~

2019年10月19日 | 植物

観察月日  2019.10.1.晴 29℃

観察場所  渋沢 頭高山

「ショウリョウバッタさんどうしたの、舗装道路に飛び出して」

ここは、渋沢丘陵の尾根道だ。右は雑木林、左は一段下がって畑

が続く。

 気温は30℃近いが吹く風は涼しく、真夏の頃とは違う。それに

しても路上にいては危険と、畑へ追いやった。

 バッタが下りたその先に、青々と育った長ねぎの畑が一枚の絵

画を描き、それに目を奪われていると、「すぐ目の前に、ナガコ

ガネグモがいますよ」とRさん。クモに焦点を合わせると、成熟

したクモが、大きく張った垂直な円網の中心にいて、飛び出した

ショウリョウバッタは、危なかった。

 しばらく行くと、道の左右は雑木林となり小道に入ると、ノダ

ケが何本か下草の中から立ち上がっているのが目に付いた。

 立ち上がったその先端は傘状に広がり、その先に暗紫色の小さ

な粒が付いている。粒に見えたものは蕾で、開花すると花弁は5個、

雄蕊は花弁より長く突き出し共に暗紫色だ。花糸の先の白い粒は葯

で花火が散った時の様に目立つ。これらが、うす暗い林の中で昆虫

たちにアピールする仕掛けなのだろう。

 それを物語るように隣のノダケに、キイロスズメバチが軽い羽音

を立てて花へ向かって来た。が、よく見るとこのノダケには、暗紫

色の花弁はなく、雄蕊も白い葯もない。何故だろう。植物には

、“雄性から雌性に”聞いたことはないだろうか。スズメバチは小さ

な花を一つ一つ訪ねて回る。吸蜜しているのだ。

 足元にはギンリョウソウが、色素豊富なタマゴダケが、顔を出し

た。

 低木の間を滑るように飛ぶのは、“ホソミイトトンボ”だ。小さく、

か弱く見えるが、どうして春を目指して厳しい冬を乗り切るのだ。

シュリョウバッタさん どうしたの?

ナガコガネグモが 大きな網を張っていた。あぶない、あぶない!

雑木林に ノダケが。

暗紫色が目立つ よく見ると きれいだ!

キイロスズメバチがやって来た。だが前の花と違う。何故だろう。

エンレイソウ

タマゴダケ

ホソミイトトンボ