足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1087 ~ 日向新田 の 稲作・彼岸花 ~

2012年09月30日 | 植物

田んぼが煙る

ズームすると

台風17号が来る 農家は大忙し

家族総出でコンバインがフル活動

アッという間に 玄米は袋詰め

籾殻を焼いた後 残った炭化物は田んぼに還元

収穫後の田んぼの土手にヒガンバナの赤が

稲刈りが終わり 土手の草原へ移動したハネナガイナゴ

まだ蕾状態のヒガンバナも沢山あった

今年のヒガンバナは1週間以上遅れているようだ

観 察 月 日  2012.9.29 晴 32℃

観 察 場 所  伊勢原市 日向新田

 影の部分は薄はなだ色に染めた白煙が、広い田んぼに棚引いていた。

 一週間前に訪れた時は、稲穂の波の日向新田も、今日再度訪ねてみ

ると田んぼの風景は一変していた。

 白煙棚引くそれは何かと、田んぼの向こうをズームして見ると、火の世

話をしている人の影が右に左に動き、黒く焼け焦げた籾殻の小山が幾つ

も映し出された。

 台風17号が迫っている今日、農家の人が総出で、田んぼのいなぎで天

日干しした稲をコンバインにかけて玄米にしている。その籾殻の焼ける煙

が収穫の秋の風景を描いているのだ。

 収穫の終わった田んぼの土手には、ヒカンバナの赤が眩しかった。

 毎年お盆の頃には花を開くヒガンバナも、夏から秋に掛けて雨の少なかっ

た今年のお盆には、花が間に合わなかった。その後雨があり、水を吸った

球根の花芽は一気に成長したのだろう。

 「何かいい写真が撮れましたか」

突然声を掛けられ、振り向くと以前みどりの財団で仕事をしたK君のお父

さんであった。

 K君との頃、ヒガンバナの伸びる速さを知ろうと花茎にモノサシ状に印し

を付けてみた。確か1日に5㎝も伸び驚いた記憶がよみがえった。

 


No.1086 ~ クサヒバリ の 世界 ~

2012年09月27日 | 昆虫

元気のなくなったハンゲショウ

左右に別れている葉の上に雌雄のクサヒバリが

雄 強力な後足は斜め上へ立てているのが解る

雌 産卵管が見える

観 察 月 日  2012.9.22.晴 27℃

観 察 場 所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 7月の頃は、華やかにおめかしをしていた草本ハンゲショウも、

9月ともなると疲れを見せ、黄色がかった葉に変わっている。

 「キンヒバリでしょうか」と言われて葉上を見ると、体長6~7mm、

体色は黄褐色、体形は平べったい鳴く虫がその葉上にいた。

 よく見えず種名は特定出来ないがコオロギの仲間に違いなく、

種名もその当たりなのだろう。

 コオロギは地上生活なので、それに合わせて体色は濃褐色

、体は平べったい。この鳴く虫も高さ50cm程の葉状にいるが

、祖先は地上生活をしていたのだろう。葉上にいるバッタの仲

間は大きな後肢を体の上へ突き立てているが、コオロギの仲

間はそれを斜め上へ向けている。

 後で写真を見たら、後大腿節の内側に黒すじが2本あるので

“クサヒバリ”と解った。

 ところで、ハンゲショウの左右の葉に雌雄のクサヒバリがいるの

に気がついた。カメラを近づけ過ぎると雌雄とも同時に“ぱつ”と姿

を消す。そして、一呼吸すると“ぱつ”と同時に姿を現す。葉の裏へ

と廻り込んでいるのだ。まるで、イリュージョンの世界だが、これは

平べったい体形と、邪魔をしない後足等、機敏な動きに対応した

体の作りに成立っている様だ。

 


No.1085 ~ スベリヒユ の 秘密 ~

2012年09月25日 | 植物

大山・丹沢の山々を望む日向新田

農道に広がるスベリヒユ

1㎝程の花が美しい

色が濃いのがあったり、花弁が重なっていたり

若い果実が出来ている

果実が熟すと横に裂け

上半分が蓋となって

帽子のようにすっぽり取れる 蓋果という

中には黒い種子が詰まっている 白い紐は種柄、種に養分を送っていた

とれた上半部の蓋 まるで脱げた帽子だ

観 察 月 日  2012.9.21.曇後晴 29℃

観 察 場 所  伊勢原市 日向新田

 「こんなきれいな花を咲かせるの!」

広々とした田んぼの農道に、1cm程の黄色の花をつけたスベリヒユ

が地面に広がっていた。

今年の夏も庭の草取りをしたばかりなのだが、スベリヒユも代表格の

一つだ。抜き取って庭がすっきりしたのもつかの間,2枚葉の芽が出

て成長を始める。花の記憶が無いのに種子が庭にこぼれているのだ。

花を開かない株もあるのではないかと疑いたくなる。

抜いたものをそのまま放置すると、他の草は枯れるのに、スベリヒユは

夏の太陽をものともせず、根を出し再び成長を始める。それは、茎も葉

にも水分を蓄えているからだが、他の植物にない乾燥地に生き抜くシス

テムを持っている。

植物の光合成には太陽のエネルギーを利用し、根から吸い上げた水、

それと、気孔を開いて二酸化炭素を取り入れ糖の生産をしている。処が

日中気孔を開くとそこから水分が蒸散してしまい光合成に使用する水の

不足が生じて来る。そこで他の植物とは逆に気温の低い夜に気孔を開き

二酸化炭素を確保し、日中の光合成に使うというシステムを開発し?乾

燥に強い植物を作り上げているのだ。

スベリヒユは、ただ者ではない植物の様だ。


No.1084 ~ 久し振りの ネキトンボ ~

2012年09月24日 | 昆虫

樹林に囲まれた観察園の池沼

深紅のアカトンボが枯れ枝に止まる

見かけないアカトンボだ

ネキトンボだ! 体長39~48mm

アカネ属でもないのに深紅な ショウジョウトンボ

久し振りの ネキトンボ

観 察 月 日  2012.9.22.晴 27℃

観 察 場 所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 「近年、見掛けた事はなかったよね」毎月一緒に観察会を

開いているYさんと顔を見合わせた。 

 池に突き出た枯れ枝の先に、全身紅く色付き翅の基部も紅

く染めたネキトンボが止まっていた。体は濃赤色だが胸にある

2本の黒い帯ははっきりと見える。

 1900年代の頃の自然環境保全センター観察園の池沼には、

多くの種多くの数のトンボが飛び交い、その中にはショウジョウ

トンボと制空争いをしているネキトンボの姿もあった。その後心

ない人にアメリカザリガニが持ち込まれ、トンボは著しい減少の

道を辿っている。

 ネキトンボは、丘陵の樹林の水深のある池沼を好む事から、

里山を歩いていても出会う機会は少ない様に思う。この付近では

県立七沢公園で見掛け、昨年は伊勢原市子易の林道で出会った。

 アカネ属では唯一幼虫越冬の種と言われ、嘗ては保全センター

の観察園の池沼でその可能性が観察されている。

 今回の目撃が復活の兆しであればと願い、皆の視線がネキトンボ

に注がれた。

 


No.1083 ~ ショウジョウトンボ も 暑さ対策 ~

2012年09月23日 | 昆虫

この辺りはいつもならヒガンバナで一面赤く染まるのに

「今年は雨が降らないので 花が遅れているね」

「秋山さん、自家製の冷凍ミカン冷たくておいしかった!!」

「これ、ネキトンボではないですか?」

来た道にいた ナツアカネより大きい

マユタテアカネより大きい

アカネの仲間のように 体色は赤く、日よけの逆立ち

観 察 月 日  2012.9.14.晴 34℃

観 察 場 所  伊勢原市 日向新田~日向薬師

 “ ロンドン・パラリンピック100m背泳メダル 秋山里奈さん”

伊勢原駅に横断幕が出されていた。すばらしい!

 今日はヒガンバナ観察会の下見に日向辺りを歩くが、“秋山”姓が

多いのを思い出した。

 日向新田から薬師に向かって歩くがヒガンバナの花は無く、球根か

らも芽が出ていない。

 「今年は雨が降らないから、ヒガンバナの花が遅れているね」農作

業をしていた女の人が手を止めて言われた。冷凍ミカンを頂いたの

でお名前を聞くと、「秋山さん」であった。

 「これ、ネキトンボではないですか」Rさんが土手の草むらを指す。

ナツアカネより大きく体長50mm位、全身真紅で翅の基部も紅く染

まるが逆光と距離があるので確かめ難い。

 秋なのにこの暑さ、太陽の直射を避け空に向かって垂直に逆立

ちをしている。

 後で写真を精査したら、ショウジョウトンボであった。系統的には

アカネ属ではないのに体色をアカネの様に真紅に染め、羽の基部

も紅い。直射日光を避けようとの逆立ちは、アカネで真夏に良く見

掛ける姿勢だ。

 どちらがどう関わり合っているのか、自然は不思議な現象を見せ

てくれる。