足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1526 ~ ナンバンハコベ・アケビ ~

2017年10月21日 | 植物

観 察 月 日   2017.10.11.曇 22℃

観 察 場 所   清川村 宮が瀬

 Rさんが立ち止まり、手の平の種を数えている。

 そう言えば、夏の頃、林道側面の石積みした上から、ナンバン

ハコベの蔓が束になって下っていた。蔓には直径1cm程の白い

花が咲いていた。ばらけた扇子を思わせるような細く切れた花弁

が5枚、その変わった花の形から、南国風という意味で“南蛮”と

付けたらしい。

 今は黒い球形の果実になっていて、お盆の様な蕚の上に乗って

いて、完熟すると上半分が横にさけ、蓋の様に開いて細かな種子

がこぼれ出る。現在は裂開していないが、Rさんは実をつぶして、

出て来た種子を数えているのだ。

 「黒い細かな種子が、39個でてきましたよ」Rさんが顔を上げ、私

の方を向いた。私も数えてみると43個、Uさんは42個、種子の数は

この辺りなのだろう。近頃林道の各所でナンバンハコベの群落が目

立つようになった。種子の多さと、発芽がいいのだろうか。

 林道の中央に、艶のある黒い種の塊りが落ちていた。種子を含ん

だテンの糞で、中味はアケビの様だ。

林の袖を見上げると、林道へ張り出した枝から蔓が下がり、5枚の小

葉と3個のアケビが付いていた。果皮は白味を帯び、その奥に白い

果肉が覗いていた。

再び路上のテンの糞に目をやると、黒紫色の種子の端にゼリー状の

白い部分があり、アリの好物だ。テンが運んだ種子を、次はアリに運

ばせ遠くへ散布させようと言う、アケビの周到な作戦が見える。

手の平の種を、数えている。

夏の頃は、ナンバンハコベの花盛り。今は・・・・・・

種の数を 数えたら・・・・・

林道の真ん中に テンの糞が・・・・

見上げると アケビが・・・・

再び 林道上のテンの糞へ ・・・・アケビの種子散布作戦が見えて来た。


No. 1525 ~ 千村を歩く ~

2017年10月18日 | 植物

観 察 月 日   2017.10.10.晴 30℃

観 察 場 所   秦野市 千村 (頭高山)

 トンネルを右下に見ながら、急坂の林道に入ると、林の下草に、

ヤブランやジャノヒゲの細長い葉と若い実が目に付く。その暗い

草叢の中に、キチジョウソウの淡紅紫色の穂状の花がある、そ

こだけ明るくしている。「この花が咲くと吉事がある」と言う故事

に習って“吉祥草”の和名が付いたと言う。されば、この林道は

大吉の方角と早トチリは凶、広線形の葉が、密に生えている場

所と、疎の所があり、花の密な所と全く無い所があり様々だ。

 登り切ると開けた丘に出た。左側は畑、その向こうに箱根の

連山、右は林でガマズミの赤の実が眩しい。5~6粒口に入れる

と、甘酸っぱい子どもの頃の世界が口一杯に広がった。

 トンネルの上を越えると、真紅のトウガラシ畑が左、林は右と

逆に成り、林縁をクサフジがよじ登る。ウラナミシジミが、クサフ

ジの花に吸蜜、蕾に産卵が見られるのも、秋の風景の一つだ。

 ススキの茂みの間から、ワレモコウの花が顔を出す。バラ科

の花と知ってかどうか、ハナグモが虫の来るのをじっと待つ。

 今日歩いた中で一か所だけ、茎を2m程伸ばし立派な花を

付けたトリカブトの株に出会った。

 大山丹沢山麓の林を春先歩くと、トリカブトの若芽にはよく

出会う。憶えておき、楽しみにして秋歩くが、花に合う事は少

ない。

 春、林床は日当たりがいいが、夏、秋と葉は茂り林床に陽

は届かず、花が付かないらしい。

キチジョウソウの花だ。

林道の側面はキチジョウソウの群落で埋まるが 花は・・・・・?

ガマズミの赤が眩しい。

クサフジが登る。

ウラナミシジミの世界

ワレモコウ ハナグモが虫を待つ。

トリカブトの見事な花


  No. 1524 ~ 玄倉の10月 ~ 

2017年10月17日 | 植物

観 察 月 日   2017.10.8.晴 22℃

観 察 場 所   山北町 玄倉

 

 元ビジターセンター入口左の草叢にある、ヤブツルアズ

キの黄色の花が私達を楽しませてくれた。

 竜骨弁はくるりとねじれ、左側の翼弁が一緒になって巻

き上がり、右側の翼弁はその基部に巻き付いている。

「二百三高地の髪型の様で不思議だね」と、私の口からつ

い出てしまった。一緒に居た人達から「それ 何ですか」け

げんな眼差しが私に集まって来た。

 「明治の末から大正に掛けて大流行した女性の髪形で、

前髪を張り出し、中心を高く盛り上げた形で、この花を見る

と不思議にも幼い頃に見たであろう、古いグラビアの写真

が幻の様に浮かんで・・」と、

「古いですね、私たち知りません」と言われてしまった。

 庭の小池の畔のススキに褐色に小壺(2cm程)が下って

いた。それを見付けたのはRさん。「先月ここにお腹の大き

なナガコガネグモがいたが、今日は居ないので、さては産

卵かと」探していたのだと言う。

 「ガガンボがきてますよ」と知らせてくれたのは、Uさんだ。

アズマヤマアザミの花へカメラを近づけると、ハラボソツリ

アブの一種であった。この種は2種で、頭にスズキさんとニ

トベさんが付いている。

よく似ているので、これはニトベさんの様かな?

 いつも注目しているミヤマハハソ、先月はアオバセセリとス

ミナガシの幼虫がいたが、今日は食べ跡と空の隠れ家が風

に踊っていた。

 黄葉始めたエノキの葉に、アカボシゴマダラの幼虫が、来月は

如何しているか、お楽しみ!

              ★ 玄倉集落は秋祭り 神輿は丹沢湖の中へ!

ヤブツルアズキの花は 二百三高地か!

ナガコガネグモの卵嚢

ハラボソツリアブの一種

 食草の食べ痕が 風に舞う。

アオバセセリの隠れ家は 中は空 今頃蛹で眠りについて。

エノキの葉には アカボシゴマダラが 冬の準備

秋を訪ねた 仲間達

★ 毎月第2日曜日 玄倉バス停

 


No. 1523 ~ 落ちたコナラの小枝 ~ 

2017年10月14日 | 昆虫

観 察 月 日   2017.9. 13.晴 30℃

観 察 場 所   松田町 秦野峠林道

 コナラのドングリを付けた小枝が、林道一面に落ちている。小枝

を拾って見ると、その切り口が刃物で切った様に、平面で綺麗だ。

雨や風の力で引き裂かれ、落ちたものではない。

 ドングリをルーペで見ると、小さな黒い点が一つ付いている。ゾ

ウムシの仲間のチョッキリのⅠ種が、ドングリに穴を開け卵を産み

込み、切って落としたのだ。

 子供の頃、山や公園でドングリを拾い、宝物としてブリキのカン

へ大事に仕舞っておくと、忘れた頃ドングリに穴を開け這い出した

ウジ状の幼虫が部屋中に広がり、母親に叱られた記憶はないだ

ろうか。

 それを、研究テーマにした大学院生がいた。それによると、ウジ

状の幼虫は土の中に潜り、やがて蛹になって冬を越すと言うが

そう簡単なものではないらしい。それらの事をチョッキリの母虫は

知っていて、ドングリを地上に落とすとは、「賢いものよ!」と感心」

したくなる。だが待てよ!これはどうした事か?写真の様子は変

ではないか!

 

 クサギは花盛り。オナガアゲハが次々と吸蜜に訪れる。

 遅れて咲いたヒメジョオンの花に、サカハチチョウが。イタドリは

今が盛り、サカハチチョウが乱れて吸蜜。

 林道脇の空間に、単純な網を張ったオナガグモを見付け、Rさん

が遊んでいる。ジョロウグモが虫の掛かるのを待っている。

 夏が行けば、次は秋だ。そして・・・生き物達は季節を数えている。

林道に落ちた コナラの小枝。 何だろう? 変だよね?・・・・・・・

クサギは花盛り! オナガアゲハが次々に。

若い実もある。

遅く咲いた ヒメジョオンにサカハチチョウが。

イタドリは 花盛り。 サカハチチョウが!

オナガグモ。

ジョロウグモ 生き物は季節を数えて!

 

 


No. 1522 ~ 9月の玄倉 ~

2017年10月04日 | 昆虫

観 察 月 日   2017.9. 10.晴 28℃

観 察 場 所   山北町 玄倉 (秦野峠林道)

 「枝先にクモがいますよ」と言われてレンズを向けた。

「1匹ではなく、2匹纏まっているみたい」「何か餌を持っている

様です」見難い所なので、結局ははっきりしないままそこを離

れた。

 林道上にセグロアシナガバチが、何故か止まっていた。2~3

人で囲むように見ているが、飛ぼうとしない。体色は美しいし

、初々しく見える。新しく誕生した女王蜂のようにも見える。蜂の

巣も今年はそろそろ終わりなのか、秋を感じさせる。

 垂直に伸びたススキの葉に、足も体も長長と伸ばした虫の影が

写し出されている。表に回って見るとツユムシだ、アンテナはだら

りと前にたらし、それぞれの足は関節の力を抜いて、のびのびと

伸ばしている。体を葉に密着させ、葉化けの術を使いゆっくりと昼

寝をしている。

弱い昆虫にはこの形が最適なのだろう。

 林道も山際に差し掛かると林の中に、低木としてのミヤマホウソ

が出て来る。この木は私たちにとって常に注目している木だ。季節

感を私たちに与えてくれるからだ。

 今日はスミナガシの5令幼虫がいた。頭に2本の肉角を持ち、ナメ

クジ様な体形、茶と緑に分けた色彩、変な感じの幼虫だ。

巻いた葉を覗くと、中から朱の頭、黒白の縞模様の体はアオバセセ

リの幼虫だ。両種共に蛹越冬なので、秋の時間を体に刻んでいる。

ぞうだ!はっきりしなかったクモ、腹部を拡大して見たら動物の顔の

模様が現われた。と言う訳ではないが、カニグモの一種の様だ。

「枝先にクモがいますよ」 離れているし、暗いし、よく解らなかった?

ススキの葉裏に 虫の影が?

表へ廻って見たら! 草バケしている。

こちらは セスジツユムシ。

スミナガシ 5令幼虫。

アオバセセリ幼虫。

毛深さに 意外だった。 

★ 意外な模様があるものですね!