足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 942   ~ メジロのしぐさ ~

2011年02月25日 | 野鳥

日 2011222 快晴 18

所 松田町 松田山

 

桜は蕾と咲き始めは花の色は濃く、開ききると色褪せてくる。

蕾も多いが開き始めの花も多く、五分咲きなのだろうが、山の

斜面は桜色と言うよりは桃色に染まっていた。

 お花見に来た人の列が続き、立ち止まってはレンズを花に向

けるカメラマンが多く賑やかだ。それにも増して賑やかなのが

メジロ達だ。

 松田の早咲き桜は、一つの花芽から数個の花が開き、それが

束状に下向きに咲いている。そこでメジロは花の付いている細

い枝に止まり、花を下から覗き込むようにして嘴を入れ蜜を吸

うか、細い枝に逆垂の体形をして吸蜜している。正確に言えば、

メジロの舌先は刷毛状になっているので“集める”と言う方が

適当かもしれない。

 賑わうメジロに対して、蜜を好む筈のヒヨドリの姿が少ない。

早咲き桜は花の付く枝が細く、ヒヨドリの体重では重すぎるの

だろうか。

 カメラを手にして気付いたのは、メジロが次の枝へ移る時、

その第一動作は飛ぶと言うより、跳び出す様で、その後、羽を

開く様だ。

 松田山の雑踏を避け、裏山へ歩を進めると静寂の世界があっ

た。収穫を終えた緑の蜜柑畑、貯蔵小屋の後ろに、春化粧の富

士が迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


No.941   ~ 干潟のハマシギ ~

2011年02月24日 | 野鳥

日 2011216 晴 10,5

所 船橋市 船橋海浜公園 三番瀬

 

干潟に残った潮だまりを見ると、数え切れない数のハマシギが分散

して降り、嘴を水に入れ細かくゆする様にして餌を採っている。細

い紐状のものをくわえ出すところを見ると、砂の中に棲むゴカイを

探している様だ。集団のハマシギは、みな同じ方向を向き、こまめ

に歩きながらの餌採りは見事だ。

 嘴のセンサーで餌を探しているのであろうが、目の働きはどうか

なと、水面の乱反射の少ない方向から水中を覗いて見た。水の透明

度は高く、海底の砂や貝殻など思いのほかよく見える。視覚をも使

って餌を探せそうだ。

 ハマシギの行動に見とれている内に、潮が上げ始めた。それは海

水が砂の中から染み出す様に、干潟が次々と消されて行く。すると、

潮にせかれるようにハマシギが飛び立ち始めた。いつの間のか2~

3百羽の群れになり、巨大な黒い生き物となって東に西に、高く低

く、海面を嘗めるように旋回する。

 「北に帰る練習をしているのかしら」とFさん。群れの行動を、

誰がコントロールしているのだろうか。黒い塊の飛翔は続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


   No.940  ~ ミヤコドリ 考 ~ 

2011年02月19日 | 野鳥

所 船橋市 船橋海浜公園

日 2011216 晴 10,5

 

潮は引き、見る見るうちに干潟は沖へと広がっていった。

 遥か先の浅瀬に、オナガガモの群れに混ざってミヤコドリが、

赤い嘴を水の中に差し込みながら歩いていた。逆光の上望遠レ

ンズで写すには余りにも遠い距離だ。鳥ばかり追っている訳で

はない私は、ミヤコドリを見たのは初めてだ。

 最近の観察会で、ユリカモメを見た参加者が、「ミヤコドリ

がいる」「いや違う」・・・・と小さな論争になった。内、一

人が図鑑を示し「ミヤコドリはあるよ」で、一件落着となった。

が、記録を見ても少ない鳥を、何故、ミヤコドリ・都鳥と呼ぶ

のか不思議さが頭をよぎった。

 そこで、江戸の都のバードウオッチングをしてみると、隅田

川の川遊びの絵の中に都鳥、即ちユリカモメorカモメを指差し

見ている図がある。中でも、葛飾北斎の都鳥図はユリカモメに

間違い無さそうだ。

 江戸の庶民はユリカモメを都鳥と呼んでいたようだが、江戸

から明治時代へ移り鳥の和名を決める作業の時、都鳥をカモメ

の仲間からシギ・チドリの仲間の説を採ったようだ。

 今でも我々庶民の体のどこかに江戸の心が残り、つい口に出

てしまうのかも知れない。

 

 

 


No.939   ~ ツツジ科植物の越冬 ~

2011年02月15日 | 自然現象

日 2011213 快晴 0℃(朝10時)

所 山北町 玄倉

 

昨年の1231日より雨はなく、1日だけ休んで乾燥注意報が続い

ていたが、遂に西高東低の冬型の気圧配置は崩れて雪が降った。

我が国の太平洋側に降雪があると言う事は、春の兆しなのであろう。

 今日13日はこの冬で一番気温の低い日であった。横浜市の瀬谷

ではー4.5℃を記録し、道路は全面凍結した。

 丹沢湖ビジターセンター周辺は、雪は既に溶けていたが、空気

中の湿度が高かったのであろう。草原、木々、落ち葉、杭、テー

ブル、野外のもの総てに霜が降り、野も山もプラチナの世界に包

まれていた。

 気温が0℃ならば、霜が出来るとは限らない。草木、落ち葉、

杭・・・の、表面の微細な繊維、毛、ちり等を核としてミリ単位

で成長しているのが解る。

 中でも葉を落とさず冬を越しているツツジは、葉の表面にある

毛が核になって霜が育ち、朝の光を受けその美しさ見せているが,

植物にとってみれば、凍結と言う厳しい現実との戦いの中で生

き続けているのだ。

 植物体は凍っても重要な器官は防ぎ、ツツジ科植物では零下20

 40℃でも、花芽の中の小花は凍結を避けている事が解っている。

 

 

 

 

 

 

 


No.938  ~ ルリビタキ雌の体色 ~

2011年02月10日 | 野鳥

日 20112、Ⅰ 快晴 -5℃(早朝)

所 厚木市

 

  ルリビタキの雄は、自分の羽が瑠璃色に輝いている事を知っ

ているのだろうか。

 カメラマンが集まっている池は、氷が張り広々として開け、

多方向からよく見通せる所で、そこへ雄がよくやって来るので

ある。

 そして、少し離れた所に湿地があり、一面に茂っていた草も

今は枯葉色で複雑に倒れかかり、その中に3羽のオリーブ褐色

のルリビタキが飛び回っていた。或るは雌鳥か、雄の幼鳥か見

分け難いが、内1羽は、「カッツ、カッツ」と盛んに声を出す

賑やかな鳥であった。だがそこには、カメラマンの姿は無かった。

 オリーブ褐色のルリビタキを見つめると、羽に艶と深みがあ

り、尾羽に青を残す色合いは、雄に劣らぬデザインだと思うの

だがどうだろうか。それ以上に、跳び廻る姿を目で追うと、枯

れ草の中に溶け込んだり現れたりする様に、魅力を、意味合い

を感じたりしないだろうか。

 ルリビタキが、地球上に表れた時、雌雄の区別なく共にオリ

ーブ褐色に包まれていただろうかと、頭に描きながらルリビタ

キの姿を追い駆けていた。