足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1389 ~ 今年の ヤマアカガエル ~

2016年03月27日 | クモ

観 察 月 日   2016.3.25 雨 13℃

観 察 場 所   横浜市

 2月13日は曇で気温が急に上がって20,3度、翌14日は雨と風

が強く、気温は又また上がって21,5度。「今年の春一番か」と思っ

たが、気象庁は報ぜず、今年の春一番は出なかった。

 その日夕飯を食べていると、雨音に混ざって「キャララッ、キャラ

ラッ、クック、クック・・・・」と賑やかな鳴き声が聞こえて来たのである。

 昨年は、3月16日に突然の出来事でびっくりした事は、書かせて

もらいましたが、今年はそれより一カ月早くやって来たのである。

 庭で勝手に?育ったカエルなので、餌だって本当の野外に比べれ

ば遥かに少ないだろうし、昨年は大騒ぎをし、産卵したので体力だっ

てある筈はないだろう。オスは良いにしても、何百個と言う卵を産ん

だメスは、毎年産卵する訳がないので、今年は出てこないだろうと

考えていた。

 蛙の鳴き声は、歌の歌詞では、「コロ、ロ、コロ、ロ、」とか「クワッ

、クワッ」とか、鈴を転がした程ではないにしろ、心地よい表現になっ

ているが、本物の蛙の歌は、ましてヤマアカガエルの鳴き声は、そ

うはいかない。

 ヤマアカガエルの鳴き声を聞いた事のない人が、雨降る夜の住宅

地から聞こえて来たら、どう感じるのか、心配なのである。

 “カエル等の生き行く環境は、人間が住むのに良好な環境の筈な

のだが”

どう思いますか!

2月14日雨21、5℃ 睡蓮鉢のヘリに乗って雌を呼んで鳴く。

2月15日夜雨 18,6℃ お腹の大きい雌に 雄が抱接していた。

2月20日 雨 10、7℃ 鉢の中は賑やか、産卵してあった。

3月1日 晴 9、 7℃ 新しく産卵。

3月7日 雨 17℃ 夜雄が激しく鳴きあう。

3月8日 曇 20、5℃ 鉢の中は 依然として賑やか。

3月18日いつまでも鳴くので 鉢の水を抜き カエルも草むらへ放つ。

3月19日 日中雨 朝 空の筈の鉢の中を覗くと、カエルが8匹も戻っていてビックリ。 

生まれた場所の 水の匂いがするんだ!

 

★ 又来年の立春を目安に、生まれた場所に集まろう!

 


No.1388  ~ プラタナスでカニムシを ~

2016年03月24日 | 野生動物

観 察 月 日   2016.3.20 曇 13℃

観 察 場 所   厚木市 七沢 (県 自然環境保全センター)

 センターにある1本のプラタナスの木は、不思議な木だ。不思議

と言うよりは不思議を誘う木だ。

 1月にはいつも参加しているWさんが、プラタナスグンバイハム

シが、樹皮の間にいるのを見付けた。

 3月の今日、グンバイハムシを見ていた小学3年生のA君が、カ

ニムシのいるのを見付け、大騒ぎになった。なにしろ、大きな2本

の鋏を持ち、しっぽこそないが、サソリそのものだ。と言っても、体

長3㎜でルーペの世界、子供の目の鋭さに感心するばかりだ。

 カニムシと言えば、普通の知識では土壌にすむ生き物で、極小さ

く“土壌動物を採集する装置”を使わなければ、見る事は難しいと

思われるが、プラタナスの樹皮とは、意外であった。

 カニムシとは総称で色々種類はあるが、体形は頭胸部と腹部か

ら出来ているが、そのくびれは無い。クモに近い種類なのだろう。

頭胸部の背面は硬く、腹面には4対の足と、1対の鋏の形をした触

肢がある。これでトビムシなど小型の虫を捕える、食肉者なのである。

 マクロレンズにストロボで撮影しようとカメラを近づけると、意外に

も歩く速度が速く、カメラの視野から離れると、小さい故に見失って

しまう。

 歩行時には、鋏角を前に伸ばし、鋏にある感覚毛で辺りを確かめ、

異常があれば後すざりをして方向を変える様は、ロボット掃除機の

動きに似て、つい、笑みがこぼれてしまった。

不思議を誘う 不思議なプラタナス。

1月は プラタナスグンバイムシを発見。

3月は 小学3年生のA君が”カニムシ”を発見。

歩くときは 鋏を前にのばして。

正面から見ると。

鋏には 長い感覚毛が。

危険があれば 後すザり。方向を変え 自由自在に動く。

★ 自然が組み立てた 精密機械だ!


No.1387  ~ ミツマタの咲くころ ~

2016年03月23日 | 植物

観 察 月 日   2016.3.13 曇 8℃

観 察 場 所   山北町 玄倉

 もう20年以上前の話になるが、大山山麓の山道を歩いていると、

突然何本ものミツマタが、黄金色の花を付けているのに出会い、

違和感を味わった事があった。辺りを見回すと、藪の中に石積み

が見られ、そこだけ地面が平らな事から、以前には人家があり、

庭木としてミツマタが植えられていた事が推測できた。

 その頃丹沢を歩いていると、スギ、ヒノキの暗い林床に、ミツマ

タを見る事があった。こちらは山の中で、人家の形跡もなく、集落

からも離れているので、あることが不思議に思えた。

 その頃、その後平塚市博物館の館長になられた浜口さんと歩い

ていた時、「こんな山中にミツマタがあるのは不思議ですよね。

植林する時混ざって来たのでしょうか」と言われたのが耳に残っ

ている。

 それが今では、丹沢大山山麓と言わず山中を歩いていると、

ミツマタに出会い、群落やこれから広がろうとする場所に、出会

うのは珍しくなくなった。中には山頂をミツマタで埋め、それを前

景に富士を望む山さえある。

 丹沢湖の周辺を歩くと、黄金色のミツマタの花に誘われる様

に、春の季節は歩み始めていた。

西丹沢の山々は、雪だ。

丹沢湖当たりでは、ミツマタの花盛り。

ミツマタで 町起こしが!

林床を覗くと、ツチグリが!

湿った斜面には、タマゴケが輝く!

フデリンドウは、蕾を抱えて春を待つ!

ヤマアカガエルは、冬眠から覚めて産卵を!

★ 空気はまだ冬だが、どこかで春が聞こえます!


No. 1386 ~ 津古久峠への道 ~

2016年03月17日 | 日記

観 察 月 日   2016.3.2.晴 12℃

観 察 場 所   伊勢原市 西富岡

近くを通ったので、伊勢原市の北部にある市総合運動公園に寄っ

て見た。と言っても公園裏にある、一見何の変哲もない小道を歩い

て見たのだ。道の左は大きな石を積み上げ公園端の斜面、右側

は急斜面の雑木林で、遥か下に田んぼと小集落が見える。

 古い地図を開くと、この道の少し先には“津古久峠”の地名があり

、ヤマトタケル東征説話としての経路、それ以前、古墳時代の小集

落の人達が行き来したと考えられる古道であるのだ。しかし今では

地名は地図から消え、藪の中に“峠の茶屋の跡”と記した石柱が立

つだけである。

 今日は3月も始め、春浅いので芽吹きもままならず、枯れ木立の

景色ではあるが、公園側の斜面には、秋を飾り種を散らしたコウヤ

ボウキが一面覆い、積み上げた石の間からは、オケラの特徴ある

種子を付けた花穂が風にそよいでいた。

 道端には、春を先読みしたクサイチゴは、花を開かんばかりの蕾

を見せ、タチツボスミレやタンポポは、ほんの僅かなロゼトの中心

に花を付けていた。

 

今は、通る人のいない 道だ。

斜面には コウヤボウキが 一面に。

コウヤボウキ

道行く道に オケラが。

タチツボスミレ

クサイチゴ

タンポポ

★里山に残された野草が 次々と花を付けるだろう。


No.1385  ~ 続 プラタナスグンバイ ~

2016年03月15日 | 昆虫

観 察 月 日   2016.3.2.晴 12℃

観 察 場 所   厚木市 七沢 (県 自然環境保全センター)

 20人程の人達がルーペを取りだし、プラタナスの樹皮で冬越し

をしている小さな昆虫を覗き込み、釘づけの時間が流れた。

 「こんな小さな虫にも、名前があるのですか。」目が覚めたよう

に、声があった。

 「グンバイムシです。でも、グループの名前ですよ。グンバイ

と言うのは、この虫(昆虫)の体形が、相撲の時の行司が手に持

って仕切る軍配に、見立てて付けられた様で、見事な名前だと

思います。こんな小さな虫だけど、カメムシの仲間なので、刺す

口で植物の汁を吸って生きているのでしょう」

 「私は、プラタナスにいるグンバイムシは、初めて見ましたが、

身近ではツツジの葉裏に付くツツジグンバイがいますので、気を

付けていて下さい」と付け加えた。

 「暖かくなって、冬越しが終わったら何処へ行くのだろう」

 「これからの、観察が楽しみだ」

 みんなの気持ちは、次の季節へと移って行った。

 後で調べてみると、北米に棲息の様で、我が国には、平成13

年名古屋で記録されたのが初めての様だ。

プラタナスの樹皮は パズルのようにはがれ落ちる。

樹皮の裏側には グンバイムシが!

横から見ると凸凹があって、厚みがある。

最新鋭の飛行機を想像させる。

自然の造形は、人智を超える。

★ 4㎜程の小さな昆虫 もちろん空を飛行する。