足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1651 ~ 今年は違った ~

2019年06月29日 | 昆虫

観察月日  2019 6.16.晴 28℃

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 毎年つゆ入りも近く、ミズキが青い実を付ける頃になると、

「ハートカメムシを見に行こう」と誰ともなく声が掛かる。(“ハ

ートカメムシ”とは、“エサキモンキツノカメムシ”を観察した

時、体形、色や模様、行動や習性等から考えて付けた仲間

での愛称だ。)

 その訳は、保全センターの樹木観察園でも決まったミズキ

の木に、そのカメムシが集まり、雌雄が出会い、雌はミズキ

の葉裏に産卵、子虫になって分散するまで、哺育するのが

観察出来るからだ。

 ところが、今年の”ハートカメムシ“は違った。葉裏ではなく、

葉の表に産卵“が目に付く。この季節”葉裏に産卵“には重要

 な意味があると思われるのだが。

 それと、雌が卵を哺育しているのに、おすと交尾をしている。

体力的にみても、雌が再度産卵するとは考えにくい。自然の流

れから考えても理に合わない様に思えるのだが。

 まだあった。雌が哺育、それに雄が交尾、その上に別の雄が

交尾をしようと被さり、三重になってもがく。それを見ながらミニ観

の人達が話し合っているらしい。「三角関係と言う事で良いんで

すね」笑い顔の一人がその場を離れて歩いて来た。

人間の世界では、“三角関係”は聞くが、昆虫の世界では本質的

な理由があるのだろう。

スタッフを交えてどんな話があったのか、聞いてみたいものだ。

梅雨入りまじか、ミズキの青い実

ハートカメムシ 葉裏に産卵 2017.6.22、撮影

今年は違った。 葉の表に産卵。 そして交尾。

「何匹も 集まってますよ」とRさん

三重に重なって・・・・・・ 

 

これ何だ!!!!!。


No. 1650 ~ 昆虫の小世界 ~

2019年06月21日 | 昆虫

観察月日  2019 6.13.晴 26℃

観察場所  秦野市 渋沢 頭高

 「頭高山方面」の道標に沿って進むと、南側はコナラ・クヌギ

中心の雑木林に変わり、軽トラ幅の道沿いと低木の藪で仕

切られた形になっている。

 「ミズイロオナガシジミかな」とUさん。藪を覗いて見ると、斜

めに突き出した細い枯れ枝の先に、青白色の後羽の地に、

淡い墨で稲妻を走らせたチョウが休んでいた。羽にしわがあ

り、今朝方羽化し、羽の固まるのを待っているのだ。

 昔の蝶愛好家や研究者は、このグループを“ゼフィルス”ギ

リシャ神話に出て来る“西風の精”を表す美しい呼び名を付け、

他の蝶とは違う愛着を持った。夢があり、心にゆとりがあった

のだろう。

 「小さな虫が葉陰で動くと思ったら、オオカマキリの子供の

集団だわ」Rさんが指さした。

 カマキリやバッタの仲間は、孵化した時から成虫と同じ体形

をしている。幼虫と言うよりも、子虫と言う方が当たっている。

「分散しないと危険だ」と隣の枝を見たら、ヨスジハエトリが

一匹捕食していた。

 次に目に付いたのは、赤と緑に輝く“アカガネサルハムシ”だ。

エビズルの植物で見掛ける昆虫だが、ハムシを好むサシガメ

の仲間が狙っている。

アカショウマは花の季節だ。花に見送られて山を降りた。

雑木林を仕切る藪は 昆虫の小世界だ。

「ミズイロオナガシジミかな」 羽化したばかりだろう。

「小さなオオカマキリの・・・・・・・」

ヨツスジハエトリに 捕まっていた。

綺麗な アカガネサルハムシだ。

シマサシガメに注意。

すがすがしい アカショウマの季節。


No. 1649  ~ ナナフシモドキ幼虫から ~

2019年06月20日 | 昆虫

観察月日  2019 6.13.晴 26℃

観察場所  秦野市 渋沢 頭高山

 街中の坂道を登り詰め、振り返ると、秦野の街を挟んで

丹沢の山々が連なる。湿度が高いのだろう、山の頂きは雲

に覆われている。

 頭高山への道は尾根続き、北側に丹沢、南側に遠く箱根

の連山が眺められ”鼻唄気分“になるのどかな所だ。

 南側は棚田状に畑が麓(?)まで続き、日当たり抜群、季節

が違ってもここを通る度に「ここに住んで農作業を職とした

ら、幸せだよなー」今日も呟いてしまった。

 「頭高山方面」道標に沿って一歩進むと、環境はがらりと変

わり、南面雑木林で道沿いに低木が生垣状に続く。

 「幼いナナフシがいるが、肢が足りなくて、何だか落ち着か

ないわ」と心配そうにRさん。

 見ると体長3cm程で、左後足痕跡程度で無いに等しい。

 「脚が長いから、アクシデントにあう機会が多いのか」「体は

中足で支えていて・・」「活動する時の動力源の脚なのに」「こ

んなに小さいのにこれから生きて行くのに大変だわ」右中足は、

少し前に事故にあったのか変形した足が伸びている。

 “これナナフシモドキ。触角が短いのが特徴。再生脚だね・・」

で、とかく終ってしまう観察会、私達はそうはやりたくない。

 体のしくみの精巧さ、動きのしなやかさ、命を繋ぎ行くすばら

しさ等々を、語り合いたい。

 棚田状に続く畑。

「脚が少なくて なんだか落ち着かないわ」

幼虫の食糧に アシナガバチが狙う

シマサシガメは鋭い口で。

 

 


No. 1648 ~ 玄倉だより6月 ~

2019年06月18日 | 昆虫

観察月日  2019 6.9.雨 18℃

観察場所  山北町 玄倉

 

 今日は雨。地上も、草や木の葉も、雨粒を宿っている。ビジ

ターが空き家になっても、主がいなくても、庭に植えてある木

には、今年もさすらいのモリアオガエルが枝先に産卵、8卵が

数えられた。卵塊の下には手作りの小さな池があり、自然が

考え出した知恵。それを見上げる私達人間、そこから何を感

じ、何を学ぶのでしょうか。

傘をさしていつもの林道へ入る。「路上に花が散らばっている

と思って見上げたら、テイカカズラが!」とRさん。過ぎ去る私

を呼び止めた。見上げるとスギの大木の中程から、ウエディン

グ・ドレスを思わせる花柄が下がっていた。

「昨年の今日は、ガードレ-ルの何か所にオオチャタテ(ムシ)

の集団がいて、習性が面白かったですね」とWさん。

その時、「ガードレールにアシナガバチが巣を掛けていますよ」

と誰かが。「去年もあったがすぐ盗られた?」「卵は産んである

のかな」「曲面が雨よけになる?」・・・その後2か所に作られて

あった。来月も無事である事を祈る。

カメラで巣の中を撮影すると、卵があり、小さな幼虫もいた。女

王蜂は1匹でもう暫くは、子育てをする事になる。がんばれ!!

ドクウツギの様子も気になった。枝の葉腋から出た雄花は枯

れてみすぼらしく下がり、雌花は花弁が包み様に成長して液果

を作っている。来月は綺麗に色付いているのだろうか。

路上に 花が一杯。

見上げると テイカカズラの花が。

ガードレールにアシナガバチの巣が。

卵と小さい幼虫が。

ドクウツギ 雄花の枯れた跡

ドクウツギ 雌花の 液果が膨らむ。

山は雲 観察メンバー

 

 


No. 1647 ~ 新治市民の森へ行く ~

2019年06月12日 | 昆虫

観察月日  2019 6.4.晴 25℃

観察場所  緑区 新治市民の森

 「戦前の武蔵野の初夏の森は、夕焼けが空を染める頃、

森に住むアカシジミは一斉に飛び立ち、赤い空を一層赤

く染めた」との記録を読んだ事がある。

 新治市民の森は、それとは比べ物には成らないだろうが、 

アカシジミ、ウラナミアカシジミが多く、その頃の風景を思い

浮かべるだけの自然が、残されている様に思う。

 5月27日 晴30℃「クリの花は咲いたかな、ゼフィは出た

かな」と、熱い日であったがRさんと出掛けてみた。しかし読

みが浅く、クリの蕾も固く、森にはキアシドクガが乱舞し、目

的の2種に巡り合わず、最後に新鮮なアカシジミが現われ

ホッとした。

 6月4日 近くの畑のクリが咲いたので、今度は一人で出

掛けてみた。予見通りクリの花は満開をやや過ぎた頃であっ

た。クリの花には、チョウを始め昼行性のガや、ハナカミキリ

の仲間、等集まる。クリの木を歩いて見たが、今日は何故

か一匹も見当たらない。

 先日来た時に、クリ林の下草がフタバハギであった事を

思い出し、注目すると咲き始めた花があり、早速ヒゲナガ

ハナバチがやって来ていた。散策路には、今日もテング

チョウ、ウラギンシジミ、ルリシジミが歩く度に、乱舞する。

 午後もクリ林やコナラ、クヌギ等の雑木林を歩いて見た

が見当たらなかった。原因は、“何”なのだろうか。

5月27日 クリは蕾が固い。

それでも 最後に アカシジミが現われて

6月4日 クリの花は 咲いていた。

フタバハギも咲いた。

テングチョウ

ウラギイシジミ。

ヒメアカタテハ。

何故か ゼフィールスには 出会えなかった。